くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

呪擽 ~すみれ~

「どこまでが噂で、どこまでが事実だ?」
 すみれがそう聞かれたのは一年前のことだった。
 高校に入学してすぐ、すみれは一人の女子生徒と意気投合した。すぐに親友と呼べる関係になった。
 親友は好奇心が旺盛で、すみれの中学で流行った『かの子の呪い』なるものが存在することを知っていた。
 すみれは親友に強くせがまれ、『かの子の呪い』の概要を話してしまったのだ。
「かの子が死んだ。卓也の彼女が死んだ。親衛隊のメンバー二人が死んだ。この三点は当時の新聞を見ればわかるな?」
 親友は事実と噂話の境界線にこだわっていた。
「かの子がくすぐられて死んだ。それは君が直接くすぐって殺したメンバーから聞いたのか?」「死因は担当医師からの情報か?」「死に顔が笑ってたっていうのは?」「実際に見た人間がいるか?」「その人間の名前を具体的に挙げられるか?」
 親友は、まるで新聞記者のようだった。
「ふふふ、すみれ! 私が『かの子の呪い』の全貌を解き明かしてやろう!」
 その数日後、親友は失踪した。

 鈴江に『かの子の呪い』について話した翌日、すみれは登校しながら、失踪した親友のことを思い出していた。
 すみれは気分が落ち込んだ。深いため息をつく。
 すみれは親友に『かの子の呪い』について喋ったことを後悔していた。
 彼女が失踪したのは自分のせいだと、ふさぎ込んだ時期もあった。
 親友のことを思い出すのがつらかった。
「だめだ! 切り替えよう」
 すみれは学校の下駄箱までやってきて、自分に活を入れた。
 テニス部の朝練前に、いったん教室で荷物を片付けるのが習慣だった。
 ふと、クラスの下駄箱前の地面に、二枚の紙が落ちていることに気づく。
 近づいて、ぎょっとした。
 一枚の便せんと、薄水色の封筒。封筒の表には、『後背卓也様』と書いてあった。
 チラと便せんに記された文字が目に入る。末尾に署名はないが、間違いなく鈴江の筆跡だった。
(す、鈴江ちゃん……、忠告したのに!!)
 すみれはキョロキョロと辺りを見回した。
 誰もいない。
 開きっぱなしの便せんを折りたたみ、封筒に入れ、自身のスポーツバッグへしまった。
 鈴江の靴を確認した。すでに学校へは到着しているようだ。
 教室に上がった。
 鈴江の姿はなかった。鈴江の机を確認しても、登校した様子はなかった。
「鈴江ちゃんっ」
 教室を出て、廊下に呼びかけてみるが返事はない。
 すごく嫌な予感がした。
 そのとき、早朝予鈴が鳴る。
 時計を見た。朝練に遅刻だ。すみれは通学鞄を自分の机に放り出して、慌てて教室を飛び出した。

「先輩が遅刻なんて珍しいですね。何かあったんですかぁ?」
 朝練を終えた更衣室。
 髪の毛を耳の後ろで二つくくりにした少女が人なつっこい笑みを浮かべ、着替え中のすみれに声をかけた。テニス部の後輩である細野泉(ほその いずみ)であった。
「いや、ちょっと……」
 すみれは言葉を濁した。
「もしかして、恋煩い?」
 泉はニシシと笑って言った。
「当たらずも遠からず」
「えーっ!? まじですか!? 先輩もぉ? ついにぃ!?」
 泉は大げさに声を張った。泉はすでに着替えを終え、セーラー服姿である。
「私じゃないよ」
「えー! またまたぁ! ジュースおごりますから、詳しく教えてくださいよぉ」
 泉は、すみれのスポーツバッグの隣に自分のスポーツバッグを置いて、自販機まで走って行った。
 泉は買ってきた栄養ドリンクをすみれに渡しながら、
「で、誰なんです? あさーいせーんぱい?」
「だから私じゃないんだって。友達の話。友達が好きになった人がちょっと訳ありで……」
 すみれは、そこまで言ってハッと口をつぐんだ。
 見ると、泉はきらきらと目を輝かせている。
「どういうことですかぁ!? 訳あり!? すごく面白そうじゃないですかぁ! 詳しく! その辺詳しくお願いします!」
 すみれは反省した。
(……ちょっと昨日から、口滑りすぎだな、私)
「放課後の部活、楽しみにしてますから! あ、それ、飲んでくださいね! 元気出して、先輩!」
 さらにつっこんでくるかと思いきや、泉はスポーツバッグを肩にかけて、さっと更衣室から出て行ってしまった。
 と、泉はすぐに戻ってきて、
「先輩、授業まで遅刻したら洒落になりませんよ!」
 それだけ言って、去った。
 すみれは更衣室内の時計を確認して、大急ぎで着替えを済ませた。

 すみれがスポーツバッグの入れ替わりに気づいたのは昼休みだった。
 朝練終了時に、泉が間違えて、すみれのバッグを持って行ってしまったのだ。
 すみれは急いで一年生の教室に向かった。
 バッグには鈴江の手紙が入っている。鈴江は学校を無断欠席している。泉に手紙が見つかってしまえば、嫌でも事の次第を話さねばならなくなる。泉まで巻き込むのは耐えられなかった。 
 一年生によると、泉は毎日、友達と中庭で食べているとのこと。
 泉の机に、スポーツバッグはなかった。
 すみれは、中庭へ向かった。

 中庭のベンチの上に、スポーツバッグが二つ並べて置いてあった。
 誰もいなかった。
 ベンチの上に、食べかけの総菜パンが一つ、まだ手のついていない弁当が一つ置いてある。
 その横に、鈴江の書いた便せんと封筒が開いて置いてあった。
「泉ちゃん?」
 すみれは声をかけてみるが、やはり反応がなかった。
 便せんを手に取った。背筋が寒くなった。
(これ……、駄目だ……!)
 すみれは便せんを折りたたみ、封筒にしまい、自分のスポーツバッグへ入れて持ち帰った。

 放課後、部活に泉は現れなかった。
 別の一年生に聞いてみると、泉とその友人が、昼休みに食事に行ったきり行方不明になったという。
 すみれは、鈴江の書いた手紙の危険性に確信を持った。

 他人の書いたラブレターを燃やすなんて、どうかと思う。
 しかし、背に腹は代えられない。
 すみれは、帰り道の橋の下で、鈴江の手紙を焼き払った。
 燃え尽きる瞬間、わずかに頭痛が生じた。
「すみれ! 私が『かの子の呪い』の全貌を解き明かしてやろう!」
 突然、一年前に失踪した親友の言葉が脳裏によみがえった。
 すみれの足は、導かれるように、親友の家へ向かった。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 ジャパニーズホラー好きのくすぐりフェチの皆様はより一層美味しくお召し上がりいただけると思います。

呪擽 ~鈴江2~

 翌朝、鈴江は普段よりも一時間近く早く登校した。
 卓也の下駄箱の前で深呼吸する。
 両手で握りしめた薄水色の封筒の中には、鈴江が一晩かけて書き綴った恋文が入っている。いわゆるラブレターである。
 鈴江は、勇気を振り絞り、そっと卓也の上履きの上に、封筒を置いた。
 ホッと一息ついてから、鈴江はボッと顔を紅潮させた。
(キャー、置いちゃった、置いちゃったぁ! も、もう後戻りできないからっ!! もう付き合うか、フラれるかしかないからぁ!!!)
 妙にテンションが上がってきて、鈴江は心の中で普段のキャラとは似つかわしくない黄色い歓声を上げながら、その場で地団駄を踏む。
(ああ、私! 私はどうしてこんなに後背君のことが好きなんだろう!)
 端から見ればものすごく変な子に映るだろうが、早朝のため人目を気にすることもない。

 顔を押さえて、しばらく腰を振っていた鈴江は、ふと、違和感に気づいた。

「え?」 

 顔を上げた鈴江は素っ頓狂な声を出した。
 目の前の光景が変わっていた。
 教室の中だった。それも、鈴江の通う学校の教室ではなかった。
 窓から夕日が差していた。
 たった今まで、朝だったのに。
 鈴江は自分の体を見回した。
 特に変わった様子はない。高校の夏服であるセーラー服に、白ハイソックス、上履きを身につけており、通学鞄とスポーツバッグは、肩にかかったままである。
 状況が飲み込めない。
 鈴江は教室内を見回している途中で、突然悪寒がして振り返った。
 一秒前まで誰もいなかった場所に、少女が立っていた。
 顔は、夕日の逆光でわからなかった。ぼさぼさの髪の毛はセミロングだった。
 半袖のポロシャツの上に、灰色のサマーベストを着ている。よく見ると、シャツのボタンはちぎれ、ベストは穴が開いたり破れたりしていた。プリーツスカートはホックが壊れているらしくずり下がって見えた。足元は、上履きも靴下も履いておらず素足だった。
「そ、その制服……」
 鈴江は少女の着た制服に見覚えがあった。
「もしかして……かの子、さん?」
 少女は何の反応も示さなかった。
 鈴江はぞくっと背筋が寒くなって、駆けだした。
 が、扉の方へ振り向くと、そこにも、まったく同じ少女が立っていた。
「ひっ!?」
 鈴江は驚いて後ろを向いた。
 真後ろにも、まったく同じ少女がいた。
 少女がゆっくりと、鈴江の方へ近づいてきた。
 ふと見ると、真横からも、まったく同じ少女が近づいてきていた。
 視線を動かすたびに、少女が増えていく。
 気づくと、鈴江は、見た目が全く同じ六人の少女に取り囲まれていた。
 鈴江は、恐怖に膝が震えた。
「や、……やめてよっ!」
 鈴江はバッグを振り回し、その場から逃げようとする。
 が、鈴江は手首をつかまれた。
 おそろしいほど力が強かった。
「きゃっ!?」
 鈴江は、少女達に押し倒された。
 なすすべなく、両腕、両脚に一人ずつ四人の少女に乗られ、仰向け大の字に床に押さえつけられてしまう。
 一人の少女が鈴江の腰に馬乗りになった。
「きゃっ、ちょ、おねがぃ、やめ――、いやぁああああああああああああっ!!!!」
 鈴江は少女の顔を見て、悲鳴を上げた。
 少女には、目や鼻や口などはあったが、顔がなかった。

「ひひひひっひひっはひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁあぁ!!!!」
 鈴江は、いつの間にか、訳もわからず笑っていた。
 首を左右にぶんぶんと振り回し、開きっぱなしの口からはよだれが垂れ、鼻水が噴出し、涙が止めどなく流れ出る。
 腕に乗った二人が腋の下を、腰に乗った一人がアバラからお腹を、脚に乗った二人が足の裏を、開脚した股の間に陣取った一人が内股から太ももをくすぐっていた。
「きやぁあぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃぃぃぃいいい嫌あぁぁぁあっはっはっははっはっっはは!!!!」
 鈴江には、自分がなぜこんな目に遭うのかわからなかった。
 状況が全く飲み込めないまま長時間激しく笑わされ続けた鈴江は、混乱のために頭がおかしくなりそうだった。
「おにゃがいぃぃいひいひひひひひひひひひっ!!! やめてぇえぇぇひゃっはっはっはははははははは!!!」
 少女の指が腋の下に食い込んでいくる。
 袖から侵入してきた細い指は、冷たく、少し素肌に触れるだけで鈴江の体を震えさせた。
「あひゃひゃひゃひゃひゃ!!? やぁあぁぁぁ~~はははははははあははだひぇぇええっへっはっはっはは!!!」
 セーラー服の裾はめくられ、おへそを指でほじくられる。
「おひゃぁあぁははっははははっ!!! ああぁははっはっははっはは!!!」
 両足とも上履きとソックスは脱がされ、素足の足の裏をひっかくようにくすぐられる。
「だぁぁあっはっははっっはははっは!!! 息があぁぁははっはははははっ!!! いきがぁあぁぁぁっひゃははっはっはっはっははっは!!!!」
 少女達の力は強く、鈴江の体は大の字からびくとも動かない。
 わずかに与えられた自由な部位、首から上、手首から先、足首から先だけが激しく暴れ続ける。
「あぎゃぁあぁあはっはははははは!!!! だめぇえぇぇぇひひひひひひひひひひひひ~~!!!?」
 数分ほど擽られ続け、鈴江は勢いよく失禁した。
 プシャと音がして、見る見るスカートの中が湿っていく。
 床に水たまりができても、少女達の指の勢いはいっこうにおさまらなかった。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 ジャパニーズホラーのノリって、案外私の嗜好の原点かもしれないと、書いていて思いました。

呪擽 ~鈴江~

 とある高校の学生食堂。
 小柄なショートボブのおとなしそうな女子生徒が、ポニーテールのやや険のある目つきをした女子生徒に、相談を持ちかけていた。夏服に移行したばかりで、二人とも半袖のセーラー服を着ている。
「やめた方がいいんじゃない?」
 話を聞き終えた浅井すみれ(あさい すみれ)は言った。
「……どうして?」
 相談者である小山鈴江(こやま すずえ)は、表情を曇らせた。
「そっか……鈴江ちゃん。転校してきたばかりだから、知らないんだ……」
 すみれは、神妙な面持ちで言う。
「どういうこと?」
 すみれの意味深な言い方に鈴江は首をかしげた。
 転校してきて一ヶ月あまり、鈴江に好きな人ができた。
 相手は同じ二年三組の男子生徒、後背卓也(うしろせ たくや)。男気はないが純朴で優しい青年である。
 鈴江は想いを伝えようかどうか、彼と同じ中学出身のすみれに相談したのであった。
「もしかして、もう誰かと……」
「ううん。誰ともつきあってない。でも、ちょっと後背君、訳ありなんだよね」
「訳あり?」
「そう……」

 すみれが言うには、中学時代、後背卓也はその人柄の良さのためにかなりモテたらしく、親衛隊なるものが結成されるほどだった。
 卓也の彼女になるためには、まず親衛隊の六人に認められなければならなかった。
 反町かの子(そりまち かのこ)という女子生徒がいた。
 セミロングの髪の毛はまったく手入れされておらず、いつもぼさぼさで、暗く無口な少女だった。友達もいなかった。
 そんな彼女が、ある日、卓也に告白した。学年中が驚いた。
 卓也は断った。その当時、別の彼女がいたからだ。
 親衛隊も認めなかった。かの子は卓也に釣り合わないと判断されたからだ。
 その翌週、かの子は、同じように、卓也に告白した。
 卓也が何度振っても、かの子は毎週卓也に告白した。
 親衛隊のメンバーが注意しても、かの子はとぼけた仕草でその場をはぐらかし、毎週の告白をやめなかった。
 さすがの卓也も毎週丁寧に告白を断ることに疲れてしまったのか、日ごとに元気がなくなっていった。
 交際中だった女子生徒も、卓也との関係に距離を置くようになった。
 親衛隊の矛先は、かの子に向かった。
 親衛隊メンバーは、かの子を「ストーカーだ」とののしり、否定する彼女をひとり放課後の教室に呼び出し、リンチして、死なせた。

「し、死んじゃったの!?」
 そこまですみれの話を黙って聞いていた鈴江が声を上げた。
「うん」
 すみれは頷く。
「ひどい……。かの子さんもかの子さんだけど、何も殺すことなんて……」
「親衛隊の六人の話では、殺すつもりはなかった。というか、あんなことで死ぬなんて思わなかったんだって」
「あんなこと?」
 すみれは少しだけ言いにくそうに目を泳がせてから、
「くすぐったんだって」
「ええ!?」
「くすぐり責め? ていうのかな。六人で押さえつけて、かの子をくすぐったらしいよ」
 鈴江は眉をひそめた。
「……そんなことで、死んじゃうの?」
「私も見てないからわからないけど、親衛隊の子達、たぶん話を小さくしてると思う。無自覚のストーカーへの制裁って大義名分だけど、普段暗くて誰とも全然喋らない子が大笑いする姿って、鈴江ちゃんどう? こんなこと言ったら不謹慎だけど、テンション上がっちゃうんじゃないかな。それで、たぶん、かの子、相当きつくくすぐられたんだと思う。で、笑い発作起こして心臓麻痺。もともと体も弱かったらしいしね」
 鈴江はぞっとした。
(六人によってたかってくすぐられるのって、どんなだろう……)
「それと病気……」
 すみれは小さくつぶやき、口を閉じた。
「病気っ?」
 鈴江は思わず聞き返してしまった。
 すみれはばつの悪そうな顔をした。
 鈴江は「しまった」と思った。
 うっかり口が滑ったすみれに、催促してしまった。
「あとでわかったことなんだけど……」
 と、すみれは続ける。
「かの子、小さい頃から脳に病気があったらしくて、……その、記憶障害で、……好きになった人のこと、数日で忘れちゃう病気だったんだって」
「え……、それじゃぁ……」
 鈴江は背筋が寒くなった。
「かの子、毎週毎週本気でただ純粋に恋して、毎週毎週勇気を奮い立たせて告白して、振られ続けてたんだよね……」
 鈴江はいたたまれない気持ちになった。
「……かの子さん。誰にも理解されないまま、ストーカー呼ばわりされて、殺されたってこと?」
「そうなるね」
「……かわいそう」
 鈴江は思わず涙ぐむ。
「でも、問題はここからなんだ」
「え?」
 すみれの言葉に鈴江は目を見開いた。

 かの子が死んだ数日後、突然、卓也と交際中だった女子生徒が死亡した。
 死因は心不全。
 発見場所が鍵のかかった自室だったことから病死とされたが、彼女は生前いたって健康だった。
 発見された死体の顔は苦悶にゆがみ、まるで笑っているようだったという。
 彼女の死を皮切りに、卓也の親衛隊メンバーが次々と失踪していった。
 失踪したメンバーのうち、二人は死体で発見された。
 死因は心不全。
 その死に顔は、苦しそうに笑っていたという。
 学校では瞬く間に『かの子の呪い』の噂が広まった。

「かの子の呪いっ!?」 
 鈴江は思わず大声を上げてしまった。
「ちょ、鈴江ちゃん、声大きい」
「あ……ごめん」
 周囲の視線を集め、鈴江は顔を赤くした。
「心臓麻痺って、ほら、……なんか本当に呪いみたいじゃない? かの子の死に様が死に様だけに、ひどい噂だよね」
「えっと……それは、死んだかの子さんが自分を殺した人間に復讐してるっていうそんな話?」
 鈴江が聞くと、すみれは首を左右に振った。
「ううん。違うよ。最初に死んだ後背君の彼女さんは、かの子の死に関係ないし、恨まれる筋合いもなかった。むしろかの子のこと心配して後背君と距離置いたくらいだから、親衛隊が先走ったことしなかったら、ちゃんと話し合ってかの子の理解者になれたかもしれない。親衛隊がかの子をストーカー呼ばわりするの、とめようとしてたくらいだし」
「……そんな彼女さんだったんだ」
 鈴江は、漠然と抱いていた卓也の元カノ像を修正した。てっきり嫉妬深い傲慢女かと思っていた。
「かの子は後背君に強い恋心を抱いたままくすぐられて笑いながら死んでいった。だから、その呪いで、後背君に好意を寄せる人間が笑いながら死んでいくって話」
「え」
 鈴江は絶句した。
「そういう噂があるから、鈴江ちゃん、後背君はやめた方がいいと思うよ」
 そう言って席を立とうとしたすみれを、鈴江は慌てて引き留めた。
「ちょ、浅井さんちょっと待って!」
「何?」
「どこまでが噂で、どこまでが本当なの?」
 鈴江の質問に、すみれは固まった。
「どうしたの?」
「……あ、いや」
 すみれは首を振って、
「かの子が死んだっていうのと、後背君に好意を寄せていた人が死んだりいなくなったりしたのが事実。かの子がくすぐられて死んだって言うのは、又聞きだから、……噂かな。死因も、……公表はされてないから噂になっちゃうんだよね。死に顔が笑ってたっていうのも、実際誰が見たってわけじゃないから噂」
 鈴江は、少しホッとした。
(なんだ……ほとんど作り話なんだ……)
「鈴江ちゃん。やめた方がいいって、忠告だけはしておくから」
「うん?」
 すみれは一瞬何か言いかけたように口を開くが、すぐに踵を返して立ち去った。

 その晩、鈴江は悩んだ末に、卓也に告白することに決めた。
 すみれの言っていた『かの子の呪い』が気になったものの、このまま告白せずに卒業してしまうと、後悔してしまう気がした。
 ……好きな人は呪われています。告白しますか? しませんか?
 いったん決心してしまうと、実にばかげた問題で悩んでいたものだと思う。
 鈴江は自室の机に向かい、自分の正直な想いを、手紙にしたためた。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 原作とキャラクターの性格はだいぶ変更。
 ジャパニーズホラーとくすぐりを一度混ぜてみたかった。
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