さあ、いよいよ始まりました。
第一回全国高校生くすぐり選手権大会。
全国から勝ち上がった52校によるトーナメント戦。
頂に立つのは一体どの高校なのか!

一回戦第一試合の模様をお届けします。
団体戦は
各校5名の選手が1人ずつ戦う勝ち抜き戦。
勝ち数、勝った人数の多いチームの勝ちになります。
試合時間は6分。
全日本くすぐり連盟審判規定によって試合が行われます。

一回戦第一試合は高知県代表足摺(アシズリ)高校と長崎県代表稲佐山(イナサヤマ)高校の対戦です。
清潔感のある水色のセーラー服を着ているのが足摺高校。
先鋒は、3年生で部長の岡林舞。
メガネを外し、ゆっくりとステージに上がりました。
落ち着いた表情、高校ではクラス委員を務めています。
対する稲佐山高校。開襟シャツにニットベストを組み合わせたカジュアルな制服が特徴です。
先鋒の岩永千尋は2年生。
実家は道場を経営していて、岩永自身高い身体能力を秘めています。
地区予選では、小柄な体躯を駆使したすばやい身のこなしで、全戦全勝。
自信に満ちた表情。
ポイントゲッターとしての活躍に期待が集まっています。

両選手向かい合い――
さあ、試合が始まりました!
先陣を切ったのは稲佐山高校岩永。
足摺高校岡林は、岩永のスピードに追いつけない!
岩永、岡林の後ろを取る。脇腹の攻撃。
岡林の表情が緩んだ。
岩永、すばやく後退。岡林の反撃を許しません。
主審により「吹きだし」が取られました。
開始10秒。まずは岩永の先制1ポイントです!
先手必勝の岩永流!
両者にらみ合い、再び岩永が駆け出した。
軽やかなステップ。
勢いに呑まれたか、岡林、動けない。
――と、岡林転倒。岩永の渾身の体当たりにバランスを崩した。
岩永、岡林の背中に密着、寝技に持ち込んだ!
そのまま岡林の急所、腋の下へ!
これぞ岩永流。見事な指さばきで、岡林の鉄仮面を剥いだ!
身を捩って笑う岡林。
攻撃を緩めない岩永。
主審から「哄笑」のジャッジがでました。
このまま10カウント取られると、岩永の勝利が決定します。
もがく岡林。必死に腕を振り回すが、岩永には届かない。
岩永勝利を確信したか、笑みがこぼれます。
あっと! ここで、岡林。自慢の長い脚を岩永の股へ絡め。身体をツイスト!
急な重心移動。岩永。対応できません。背中をついてしまった。
岡林。岩永の左足を持って――これは! 四の字固めだ!
見事な手際。
岩永、左スネの痛みに悲鳴を上げます。余裕の笑みは消え失せ、苦悶が浮かぶ!
この体勢になってしまえば、もうやりたい放題。
岡林。岩永のソックスを奪い、両足の裏を同時に攻める!
甲高い笑い声をあげる岩永。
主審から「哄笑」のジャッジ。
岩永。顔をぐしゃりと歪め、泣いているのか笑っているのかわからない表情。
痛みとくすぐったさで、感覚麻痺を起こしているのか。
断続的に、嗚咽を漏らしています。
悲痛な笑い声が会場に響き渡る中、決まったぁ! 「哄笑」10カウントで、岡林の勝利!

先鋒戦は、足摺高校が制しました。
4分2秒です。
足摺高校にとって、これは大きなアドヴァンテージと言ってよいでしょう。
この勢いを次鋒戦でも生かしたいところ。
一方の稲佐山高校は、ポイントゲッター岩永のカウント負け。
これは大きな誤算かもしれません。
このハンデを、次鋒戦で払拭できるか?

続いて、次鋒戦です。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 2013年頃、こえ部にアップロードしていた実況原稿です^p^
 今更、サービス終了していたことを知りました。このテキストを見つけたのも偶然。

 全国高校生くすぐり選手権大会というネタは、案外膨らませられるかもしれない……。