永遠亭。救護室。
 八意永琳、診察台に載ったアリスを触診する。
 魔理沙、傍らで心配そうに見守っている。

永琳
「たしかに妖力が奪われているわね。彼女」

魔理沙
「やっぱりか。平気なのか?」

永琳
「命には別状ないわ。エクステンドさせてあげればそのうち回復するでしょう」

魔理沙
「そうか。さんきゅ。それじゃ、私はこれで! 霊夢のやつに知らせないと。なんだかヤバい香りがするぜ」

 魔理沙、そそくさと箒にまたがり、飛び去っていく。

 永琳、その姿を見送ると、回転椅子に腰掛けくるりと体を反転させる。

永琳
「ふんふむ……。くすぐって妖力を奪い取る妖怪ね……。数千年の時を経て蘇生したか、あるいは、進化を遂げた新個体か……」

 永琳、脚を組み、あごに手を当てて思慮する。

永琳
「いずれにしても、やっかいな妖怪が幻想入りしたことになるわね。ウドンゲ!」

鈴仙
「はっ」

 鈴仙、永琳の背後へ出現し、片膝をつく。

永琳
「魔法の森に現れたらしい妖怪――くすぐりボルボック――の殲滅を命じます」

鈴仙
「承知しました」

 永琳、くるりと振り返り、

永琳
「ただし、倒せないと判断したら、すぐに撤退すること。くれぐれも、捕まらないように。やつは、くすぐった相手の妖力を吸収して成長する。つまり、くすぐればくすぐるほど、強くなる」



(つづく)



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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 ト書きシリーズまだまだ続きます!


最初からやり直す