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 魔法の森。

 バシュン!

 バシュン!

 鈴仙、木々の間から触手を伸ばすくすぐりボルボックを撃ち落としながら深部へ進む。

鈴仙
「ホント、すごい量ね。四方八方から触手が襲ってくる。初見殺しもいいところ。全方位からの攻撃に慣れてないシューターにとってはおそらく地獄でしょう」

 鈴仙は正面と背後のボルボックに同時に座薬弾を放ち粉砕する。全方位攻撃は慣れている様子。

鈴仙
「……それにしても、こんなに大量、どこから湧いて出て――」

 少し開けた場所。鈴仙は動きを止める。
 5,6メートル大の巨大なくすぐりボルボックがでんと居座っている。根を張っているようで、地面から直接生え出ている。
 地面に突きたてた触手は、ごくり、ごくり、と蠕動している。
 根元にワラワラと集まったボルボックが、自らその触手にめりこんでいき、吸収されている。吸収のたびに、妖しく光り、一回り大きくなるボルボック。

鈴仙
「これが、親玉……?」

 鈴仙、ハッと我に返り、巨大なボルボックに向けて座薬弾を発射する。

 バシュン!

 しかし、座薬弾はボルボックの表面に命中するも、砕け散ってしまう。
 びくりと微動したボルボックは極太の触手を鈴仙の方へ向ける。ぐにゃり。触手の先端が無数に分かれ、それぞれが細長い触手となって、鈴仙に向かってくる。かなりのスピード。

鈴仙
「これは……無理だ!」

 鈴仙、回れ右をして脱兎となる。



(つづく)



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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 ト書きシリーズ連載中です!


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