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 妖怪の山。滝。


「わひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!! いえぇあぁぁああっばばばばばば、無理無理ぃいいいひひひひひひふぎぃぃ~~!!!」

 くすぐりボルボックの触手でIの字に拘束され、全身をくすぐられる犬走椛。
 ガラ空きの腋の下、おへそ、素足の足の裏を、触手でなでまわされる。


「ひぎぃぃいっひっひひひっひひひひひっひ!!! もうだめぇぇえええははははははははははは~~!!」

 椛、体をびくびくと痙攣させ、涙と涎をまき散らしながら笑い狂う。

 その様子を滝の裏側から眺める影ひとつ。
 鍵山雛は、ぞっと身震いして、奥の洞窟へ引っ込む。

にとり
「う~ん……」

 洞窟の奥で、にとりが首をひねっている。


「入り口、確認してきたけど、さっきより増えてるわよ、くすぐり藻。もうウジャウジャ……。白狼天狗達が捕まってくすぐられてた。ここ、大丈夫なの?」

にとり
「光学迷彩張ってるからね。奴らの妖力はマックスでも4面ボス程度。それなら全然こっちの対応範囲。5面ボス級ラスボス級の妖力吸わない限りは、ここへは入ってこられないはず」


「……それってつまり、そのクラスの妖怪がくすぐられたらやばいってことよね」

にとり
「まあね。まあそれ級の妖怪様方は、自分で身を守る程度の能力は備えてるだろうから大丈夫だろうけどね。不意打ち喰らったり、行動に制限が掛かったり、舐めプしたりしない限りは。それよりさ。雛の溜めてた厄を分析して調べてみたんだけど、ちょっと困ってるんだよね」


「どうしたの?」

にとり
「幻想郷で発生する災厄では、奴らを倒せない」


「どういうこと?」

にとり
「弾幕とか毒霧とか魔法とか……幻想郷でそういったダメージを受けたり不遇に遭ったりすると、それを厄として溜め込むのが雛の能力でしょ。だからその厄の元になった事象をひとつひとつデータ化して、奴らの細胞データと照合してみたんだ。そしたらさ、どんな攻撃を受けても奴らは再生可能って結論になっちゃうんだよね……。つまり正真正銘の不死身の妖怪ってこと」


「えっ……なにかの間違いじゃないの?」

にとり
「なんど計算してみても同じだった。ただこれは、あくまで雛の溜めた厄をベースに算出した結果だから、幻想郷内限定の不死身。すなわち……」


「すなわち?」

にとり
「幻想郷の外の世界の攻撃なら奴らを倒せるかもしれない」



(つづく)



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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
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