三姉妹の館は驚くほど簡単に侵入できた。
これが本当に国内最強の魔法使いの家だろうか……?
フェイトが天井裏を匍匐前進して、奥部まで進むと、
「あはっはっはっはっは……、や、だあっはっはっはっはっは~~」
女性の笑い声が聞こえてくる。
なんだ?
フェイトは天井板のスキマから、部屋の中を覗き込む。
するとそこには、目を疑う光景が広がっていた。
「ほらほら~、くすぐりなんて利かないんじゃなかったの~?」
「いやはははははははははっ!! 無理ぃぃ~~っひっひっひ、我慢できないぃいっぁっはっはっはっはっははっはっは~~!!」
室内には二人の女性がいた。
ひとりのは部屋の中央の台の上で、X字に磔にされている。もうひとりが、その身動きの取れない体をこちょこちょとくすぐっている。
磔にされている女性は白い半袖のTシャツを身につけただけの露出の多い格好。くすぐっている方は濃紺色のフード付きローブを身につけていた。
磔にされている女性の顔には見覚えがあった。
行方不明になった時空飛行士のひとり、エレン・マツムラである。
わずか17歳で時空飛行士となったエリート中のエリート。写真の彼女は、キリリと引き締まった表情で、他を寄せ付けないカリスマ性が感じられた。
そんな彼女が、薄いTシャツ一枚身につけただけの姿で、黒いショートヘアを振り乱して大笑いしている。大口を開けて、涎をたらして……。
「やめてぇぇえあああっはははっははっはは、くすぐったいよぉお~~ははははははははは!!」
まったく身動きのとれない彼女の腋の下を、フード付きローブを身につけた長身の女性がこちょこちょと両手でくすぐっている。
なんて、ひどいことを……!
フェイトは無様に笑わされるエレンの姿を見て、怒りに震えた。
これで、三姉妹がこの失踪事件に関わっていることは明らかになった。
くすぐっているのが、三姉妹のひとりだろうか?
声から女性であることは明らかなのだが……。
フェイトは身を乗り出す。
なんとかくすぐっている女性の顔を見ようとするが、フードが邪魔でよく見えない。
しかし、いったいなんのために、彼女はくすぐっているのだろう? 新手の拷問だろうか?
「ほおら、やっぱりエレンちゃん笑った方が可愛いじゃない。もっと可愛い声を聞かせてねえ~」
「おねがいあぃあいあいひっっひっひっひっひっひっひ~~、やめてぇぇえ~~へへへへへへへっへっ!!」
…………。
彼女らのやりとりを見ていると、拷問というわけではないようだ。
くすぐっている女性は、まるで、自らの快楽のためにエレンをくすぐっているようで……。
フェイトはエレンの笑い狂う姿を見ているうちに、心臓が高鳴るのを感じた。
そのときだった。
「――どう? フェイトちゃんもやられてみたくなった?」
くすぐっていた女性が天井の方を振り向いた。
え?
フェイトは、あまりに唐突な展開に固まってしまった。
直後、天井裏に空気の漏れるような音が響き出す。
これは……? 催眠ガス――……。
フェイトは、わけのわからないまま意識を手放した。
(つづく)
(♯1 ♯2)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
久々のなのはモノ。フェイトさんをくすぐって欲しいとご要望いただきました!
これが本当に国内最強の魔法使いの家だろうか……?
フェイトが天井裏を匍匐前進して、奥部まで進むと、
「あはっはっはっはっは……、や、だあっはっはっはっはっは~~」
女性の笑い声が聞こえてくる。
なんだ?
フェイトは天井板のスキマから、部屋の中を覗き込む。
するとそこには、目を疑う光景が広がっていた。
「ほらほら~、くすぐりなんて利かないんじゃなかったの~?」
「いやはははははははははっ!! 無理ぃぃ~~っひっひっひ、我慢できないぃいっぁっはっはっはっはっははっはっは~~!!」
室内には二人の女性がいた。
ひとりのは部屋の中央の台の上で、X字に磔にされている。もうひとりが、その身動きの取れない体をこちょこちょとくすぐっている。
磔にされている女性は白い半袖のTシャツを身につけただけの露出の多い格好。くすぐっている方は濃紺色のフード付きローブを身につけていた。
磔にされている女性の顔には見覚えがあった。
行方不明になった時空飛行士のひとり、エレン・マツムラである。
わずか17歳で時空飛行士となったエリート中のエリート。写真の彼女は、キリリと引き締まった表情で、他を寄せ付けないカリスマ性が感じられた。
そんな彼女が、薄いTシャツ一枚身につけただけの姿で、黒いショートヘアを振り乱して大笑いしている。大口を開けて、涎をたらして……。
「やめてぇぇえあああっはははっははっはは、くすぐったいよぉお~~ははははははははは!!」
まったく身動きのとれない彼女の腋の下を、フード付きローブを身につけた長身の女性がこちょこちょと両手でくすぐっている。
なんて、ひどいことを……!
フェイトは無様に笑わされるエレンの姿を見て、怒りに震えた。
これで、三姉妹がこの失踪事件に関わっていることは明らかになった。
くすぐっているのが、三姉妹のひとりだろうか?
声から女性であることは明らかなのだが……。
フェイトは身を乗り出す。
なんとかくすぐっている女性の顔を見ようとするが、フードが邪魔でよく見えない。
しかし、いったいなんのために、彼女はくすぐっているのだろう? 新手の拷問だろうか?
「ほおら、やっぱりエレンちゃん笑った方が可愛いじゃない。もっと可愛い声を聞かせてねえ~」
「おねがいあぃあいあいひっっひっひっひっひっひっひ~~、やめてぇぇえ~~へへへへへへへっへっ!!」
…………。
彼女らのやりとりを見ていると、拷問というわけではないようだ。
くすぐっている女性は、まるで、自らの快楽のためにエレンをくすぐっているようで……。
フェイトはエレンの笑い狂う姿を見ているうちに、心臓が高鳴るのを感じた。
そのときだった。
「――どう? フェイトちゃんもやられてみたくなった?」
くすぐっていた女性が天井の方を振り向いた。
え?
フェイトは、あまりに唐突な展開に固まってしまった。
直後、天井裏に空気の漏れるような音が響き出す。
これは……? 催眠ガス――……。
フェイトは、わけのわからないまま意識を手放した。
(つづく)
(♯1 ♯2)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
久々のなのはモノ。フェイトさんをくすぐって欲しいとご要望いただきました!