「はひゃぁっ!?」
 I女学院の山形夢穂は甲高い声を上げた。
 背後から忍び寄ったおっさんが、彼女の腋の下に軽く手を置いたのだ。彼女の周囲には七人のおっさんが群がっている。
「なんだ三つ編みメガネちゃん。敏感じゃないか」
「なっ、ふわぁっ!? なんで、こ、こんなこと、するんです?」
 おっさん達は答えない。
 足元のおっさんが、彼女の両足から革靴を脱がし取り、ソックスを履いた足の裏を撫で始める。
「ひゃははっ……ちょっ、やだっ……あははっ、やめぇ……んはは」
 山形夢穂は、三つ編みを左右に振り乱して悶えた。
「俺たちはなあ、お前等みたいな『メガネっ娘』に夢を見続けてきたんだ! それなのに、裏切りやがってええ!」
 左足をくすぐっていたおっさんは泣き喚きながら、彼女の土踏まずへ爪を立てた。
「きゃはははっ、や……そんなのしらないぃいいひひひひっ!!」
 山形夢穂は、腋の下や脇腹の刺激にも耐える。
「こいつ……、必死の叫びを笑ってやがるぞ」「やはり○ッチ……」「性根が腐ってやがる」
 おっさんの罵声に、
「や、あはははっ……これは違うんですっ! いひひひひ、私っ……くすぐりよわくってぇぇ~~……あはは!」
 彼女は必死に弁明する。涙目になっている。
「『メガネっ娘』なら、メガネをかけてる限り、くすぐったさなんか感じないんだろ!?」
 横に立ったおっさんが、彼女の脇腹に指を突き立てながら言った。
「ひひゃぁぁ!? なひゃっ……なん、なんですかぁ……? あははは、ひぃぃ~~、その設定ぃぃいい~~!?」
 山形夢穂は、くねくねと身をよじりながら悶える。
「『メガネっ娘』なら、メガネをかけてる限り、どんなにくすぐられても、下品にゲラゲラ笑ったりしない! そうだろ!?」
「ひぃぃ~~ひひひ……そ、そんなぁぁ……」
 彼女は目に涙を浮かべ、歯を食いしばった。


「くっ、……こんなことして、……なにが楽しいんです、かっ……!」
 C大学付属校の大垣静は、ギリギリと歯ぎしりを立てながら笑いをこらえている様子。額には脂汗がにじんでいる。
 彼女を囲んだ七人のおっさん達。
 そのうちの四人が腋の下や脇腹、首筋あたりをなで回している。
「なかなか耐えるな。これじゃあ復讐にならない。お前等、もっと強くやれよ」
 大垣静の真ん前に立って腕組みをしたおっさんがそう言うと、脇腹をくすぐっていたおっさんが、きゅっとツボに指を押し入れた。
「くぅううう~~!」
 途端に、びくんと体を反らせる大垣静。
「おお、おお。さっきまで反抗的な態度を取っていたくせに、顔を真っ赤にして、いいザマだな」
「う……くぅ……うるさいっ……、変態ども……。こんな目に、合わせて……くぅ……ただじゃ、すましません……っ!」
 彼女はぷるぷると体を震わせながら、正面のおっさんをにらみつけた。
「おお、こわいこわい。じゃあ、どうただで済まさないのか、おじさん達に教えてくれるかな?」
 おっさんが顎をしゃくると、くすぐっていた四人のおっさん達は、さらに指の動きを激しくした。
「ひぅぅううっ!? ……ぅっ、このう……、ひぐっ……、きっつ……ぃぃ」
 目をきゅっととじて、左右に首を振ってこらえる大垣静。そんな彼女をせせら笑うおっさん達。


「……」
 私立L校の三井佳奈は、無反応だった。
 彼女に群がった六人のおっさん達は、彼女の腋、脇腹、お腹、首筋を必死にくすぐっている。
 おっさん達が、わきわきと彼女の体に指を這わせても、彼女は眉一つ動かさない。
「不感症か?」「まさか……これが真の『メガネっ娘』なるもの?」「いや! 真の『メガネっ娘』はもう滅んだはず……! 現世に残るは、騙りのみなり……! しかし、これは……」
 おっさん達は、三井佳奈の体中をくすぐりながら、不安そうに声を漏らす。
「他に弱点があるのではないか?」
 そう言って、ひとりのおっさんが彼女のショートブーツに手をかけた。
「……?」
 瞬間、三井佳奈がわずかに表情を動かしたのをおっさんは見逃さない。
 紐をほどき、するりと左足のショートブーツを脱がすと、フリルの付いた白いクルーソックスに包まれた足が現れる。
 おっさんは、人差し指を立てて、つーっと踵から指先まで一文字になぞり上げた。
「……っ! っ、……っ!」
 その途端、三井佳奈は、眉を大きく上げ、ぴくりと肩を震わせた。
「なんだ、足の裏が弱点だったのか……。というより、むしろ、足の裏は触れられたことがなさすぎて、感覚がわからない、といった感じか?」
 おっさんは言いながら、指を上下に動かした。
「っ……!! ……~~っ!!」
 三井佳奈は、苦しそうに顔をしかめると、くっとうつむいてしまった。
「くすぐったいなら笑えよ。まだ声すら聞かせてもらってないんだから。……お前等、上半身はいい、こっち手伝え」
 左足をくすぐっていた男が声をかけると、
「なんだなんだ、足の方が反応いいのか?」「おお、肩ぴくぴくしてるじゃないか」「なるほど、こりゃ不健康そうな足。敏感そうだ」などと無駄口を叩きながら、彼女の足元へ寄ってくる。
 右足のショートブーツも脱がされ、両足の裏に指を突き立てられる。
「~~~っ!!? っ、っ……、……っ!!」
「なんだ、顔を真っ赤にして」「涙目になってるじゃないか」
「足の指をそんなにくねらせても無駄だぜ」
 右足をくすぐっていたおっさんのひとりが、三井佳奈の足の指をつかみ反らせる。
 つっぱった指の付け根、土踏まずを、もうひとりのおっさんがぐりぐりとくすぐり始める。
「……っ!!!! ぷ……はっ……~~~~!!!」
 ついに三井佳奈が吹きだした。
「おお、やっと声が聞けたな。可愛い声じゃないか」
「もう限界だろう?」「早くラクになれよ」
 おっさんたちは、数十本の指を彼女の両足の裏に突き立て、縦横無尽にかき乱す。
 左右上下、それを数十秒もの間、絶え間なく続けられる。
 普段足の裏を他人に触れられることが滅多にないうえに、運動不足で血行不良、足の裏の神経が敏感になっていた少女にとって、その刺激は耐えようがなかった。
「――ぷふっ、ふぷぁっ!!! はっ……ふひゃひはっ……んははははっ!! ひひゃひふひゃひぃいぃ!!!?」
 三井佳奈は、堰を切ったように笑い出した。
 一度笑い出すと、もう止まらない。体をびくびくと激しく震わせて笑う。
「ふひゃははははははっ!!! ひぅういっひっひっひ、ひゃめっ、ふへぇぇひぃぃ~~!!」
 声を出すことに慣れていないのか、過呼吸のように息を詰まらせながら笑い声を発する三井佳奈。
「ずいぶんと変な笑い方だな」
「しかし声は可愛いな」
「こんなにはしたなく笑うとは……、『メガネっ娘』の面汚しめ! きついお仕置きを食らわせてやらんとな!」
 おっさんたちは、依然三井佳奈の足の裏をくすぐりながら、にやりと嫌らしい笑みを浮かべた。


(つづく)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 清楚系女子くすぐり狩りの別パターン。
 彼女らの制服のイメージ図示は→彩=私立L校 愛=C大付属校 舞=I女学院 結構ボレロって好き^p^

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