「ちょっとあんた達! 何すんのよ!」

 放課後の空き教室にて、たどたどしい口調で激昂するのは宮河ひかげ(みやかわ ひかげ)。ごくごく普通の小学四年生だと自負しているが、オタクの姉の浪費癖のために家計が圧迫され、質素倹約生活(貧乏生活)を余儀なくされている。
 午後四時のタイムセールに間に合うように急いで校舎から出たところを、突然同じクラスの男子五人組に取り押さえられ、空き教室まで連行された。抗う間もなく椅子に無理やり座らされたひかげは、靴と靴下を脱がされ、大きく開脚させられた足首を、縄跳びで天井から水平に吊り下げられたモップにくくりつけられた。両手は背もたれの後ろで縄跳びで縛り付けられた。
 ひかげは、椅子の座部の上でV字開脚をした状態で、男子達をにらみつけた。

「いったい何なのよ! こんな恥ずかしい格好させてぇ!」
 語尾を強め、怒りを露にするひかげであったが、言い方があざとく聞こえ、あまり迫力がない。

「宮河、お前、俺達の給食費返せよ」
 男子の一人が言う。
 ひかげは一瞬ぽかんとして、
「はあ?」
 怒気のこもった声とともに顔をゆがめた。
「ネタはあがってんだよ!」
 別の男子が言う。
「さっき職員室で先生達が話してるのが聞こえたんだ。うちのクラスの給食費がなくなったって。宮河。お前が盗ったんだろ!」
「は……っ」
 ひかげは、怒りのあまり言葉につまった。
 下唇が震えて、うまく声が出せない。
「宮河。給食費返せよ」
「いくら貧乏だからって、他人の金盗んなってんだよな」
「だから貧乏人がいるクラスは嫌なんだよ」
 男子達は口々に悪態をつく。
 ひかげはきゅっと唇をかんだ。気付くと目尻に涙が溜まっていた。

 払えるのに払わないような親がいるときに、お姉ちゃんは毎日一生懸命働いて、私に給食費もたせてくれてるのにっ!

 ひかげは、姉までが侮辱されているようで悔しかった。

「わ、わ、私っ! 盗ってないもんっ!!」
 ひかげは声を震わせて叫んだ。今にも男子達に飛びかかりたかったが、両手両足を縛りつけた縄跳びがそれを許さない。

「おいおい白切る気かよ……」
「嘘つきで泥棒とか最悪じゃね?」
「宮河。正直に言うなら今のうちだぞ?」
 男子達は呆れたという風に笑った。
 そんな態度が余計にひかげの神経を逆なでする。

「盗ってないって言ってんじゃん!!!」
 ひかげは金切り声で叫んだ。

「しかたねーな。お前ら、やるぞ」
「うしっ」「よっしゃ」「おー」「待ってました」
 男子達は口々に大声で気合を入れた。
 その熱に、ひかげはびくっと首をすくめた。

●●●

「な……、何よっ!?」
 ひかげは、意識的に強めに叫んだ。
 意味深な笑みを浮かべて近づいてくる男子達が不気味で、怖かったのだ。

 脚は大きくVの字に開かれ、下着と両足が男子に向けられている。
 下着はもちろん、普段他人にめったに見せることのない足の裏がさらされていることにも、恥ずかしさを感じる。

「宮河。泥棒がどんだけ悪いことか、体で教えてやるよ」
 言うと男子達は、ゆっくりとひかげの足に手を伸ばす。
「だから盗ってないって――きゃはっ!!?」
 突然の予期せぬ刺激に、くんと身をよじるひかげ。男子達は、ひかげの両足の裏をカリカリとくすぐりはじめたのだ。

「きゃはははははははっ!!? なっ、何っ!? やはははははっ!! やめっ、やめてよぉ~~」

 反射的に膝に力が入るものの、モップでしっかりと足首が固定されているため、足をひっこめることができない。

「いやっはっはっはっ!? やめてっ!! やめてってばぁぁぁっはははははははははははははっ!!!」

 ひかげは、自分でも風呂以外で触れることのない足の裏を、男子達に激しくくすぐられ、恥ずかしくてたまらなかった。
 男子達は、一心不乱にひかげの足の裏に指を走らせている。

「うああぁああっはっはっはっはっはっ!!? なにぃぃぃっひっひっひ、なんなのぉぉ~~はっはっは、なんか言ってよぉぉ~~っふぁっはっはっははっはっはっ!!!」

 ひかげの足の指がびくびくと痙攣するように動く。
 激しい刺激により、ひかげの足の裏はあっという間に血色の良い桃色に変化した。

「宮河。本当はお前が給食費盗ったんだろ? 正直に言えよ。言ったらやめてやるよ」
 リーダー格の男子が、ひかげの右足の指と指の間に、自身の手の指をねじ込みながら言った。

「くぁっはっはっはっはっ!!! そ、そんなぁぁぁははははははははっ!! 盗ってないぃぃっひっひっひっひ!! 盗ってないぃぃ~~っひっひっひっひ~~!」

 ひかげは必死に首を左右に振った。
 左サイドアップポニーテールが激しく揺れ動く。
 開きっぱなしの口からは涎が滴り、ぎゅっと瞑った目尻からはとめどなく涙があふれてくる。

「強情な奴だな。おい! 秘密兵器もってこいよ」
「やめてぇぇぇ~~へっひっひひ、秘密っ、秘密兵器って何ぃぃぃっひっひっひっひ~~っ!!」
 笑いすぎて喉が痛い。
 ひかげには、男子達の楽しそうな様子が恐ろしく感じられた。
 一人の男子がくすぐる手を止め、机においてあった鞄からシリコンでできたシャンプーブラシを取り出した。
 リーダー格の男子がシャンプーブラシを受け取ると、
「宮河~~? これが見えるか~~?」
 いやらしい笑みを浮かべ、ひかげに見せ付けた。

「ひぃぃ~~っひっひっひっ!!!? な……っ!!! まひゃっ、まさかぁぁ~~っはははははっ!! そ、そんなのでっ!? ふぁっはっは、絶対っ、っひっひ、絶対やだ!! やだやだ絶対やだぁぁぁっはっはっははっ!!」

 ひかげは必死に男子を見つめ、首を左右に小刻みに振り、拒否を示した。
 流れ出る涙が開きっぱなしの口に入り、しょっぱかった。

「やめるわけないじゃん」
 リーダー格の男子は無慈悲に言うと、シャンプーブラシでごしごしとひかげの右足の裏を擦り始めた。

「はぎゃっ!!!? ――ぎょ、っ、ゎはぁぁぁぁぁっはっはっはっははっ!!!? 嫌あぁああぁぁぁはははははははっ、駄目ぇぇぇえひぇひぇひひひひひひひひひひ!!!」

 これまでの刺激とは次元が違った。
 シリコンの硬すぎず、柔らかすぎない絶妙な触感がたまらないくすぐったさを生み出す。足の裏の皮膚をぎりぎり傷つけない程度の、痛みとも痒みとも判別できないような刺激が脳にびりびりと伝わってくる。

「うぎひひひひひひひひひひひっ!!! ひぃぃぃ~~~っひっひっひひ、あぁぁぁあああああっは、は、は、死ぬっ!!!! 死んじゃぅぅぅぅ~~~っひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」

 ひかげは叫んだ。
 頭の中が、くすぐったいという感覚、「笑え」という命令に支配され、何も考えることができない。

宮河ひかげ($様作)

「ほらよ。宮河。泥棒ってのはこんぐらい重罪なんだぞ? わかったら自分の罪を認めて謝れよ」
 リーダー格の男子が言う。
 ひかげは必死に耳から入った男子の言葉を解読して、
「ふぎゃぁぁあっはっはっはっはっはっは!!! 違うぅぅぅぅっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!! 私じゃないぃぃぃぃっひっひっひっひ、ぎぃぃ~~っひひっひっひ!!」
 全身全霊で否定した。

「じゃあ、謝るまでくすぐってやろうぜ」
 男子達は猛る。
「いやぁぁぁっ!!! いやああ~~っはっはっはっはっはっは、ふぎぃぃ!!!」

 ひかげはその後、異変に気付いた親友えりかとゆきなが助けに到着するまで、延々と笑わされるのであった。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 本文中に挿入いたしました、ひかげちゃんのカワイらしいV字開脚イラスト! 『CoCyo CoCyo』の村長$様に描いていただいた絵に、小説をつけさせていただきました。モップでの開脚拘束、たまんないですね! チャットルームにて、インスピレーションが最高潮に達し、今朝一気に書いてしまいました。万歳!