「へぇ! 告白成功したんだ! やったじゃん、奈美!」
 翌日、学校にて、桃香は本気で喜んでくれた。
 桃香の人なつっこい笑顔は人を引きつける。
 髪の毛は耳の下で二つくくりにしていて、清潔感があり、きっちりと制服を着こなした、典型的な優等生である。
「うん。そ、それでね? 先輩が桃香に会いたいって言うんだけど……」
 奈美には少し罪悪感があった。
 断ってもらった方が楽だった。
「ほんと? じゃあ挨拶さてもらおっかな! 奈美の彼氏さんに会うの楽しみ!」

(桃香が私の背中押してくれたんだもんね……。私、先輩好きだから……。しょうがないよね)

 放課後。
 先輩の家にて、昨日の奈美と同じようにベッドの上でIの字に拘束された桃香は戸惑いを隠せない様子だった。
「ちょっと……えっ……なんですか、これ!? 奈美、どういうことなの?」
 奈美は目をそらした。
 奈美と違って桃香は上着は着たままである。
 靴下も新品ではないようで、ほんの少しだけ汗臭かった。
「桃香ちゃん。結構可愛いじゃないか。どんな声を出してくれるのか、俺楽しみだよ」
 先輩がにやにやしながら、桃香のブレザーのボタンを外していく。
「いっ……嫌っ! やめてください!! 奈美っ!! 何なのこの人!? 奈美の彼氏じゃなかったの!?」
「彼氏だよな、奈美?」
 先輩が言うので、奈美は頷いた。
 桃香はブレザーを左右に開かれ、ワイシャツを晒された。
「きゃっ……!? 何するんですか!! ちょっと奈美!! 彼氏なら、やめさせてよっ! 彼女の前でこんなこと……っ、奈美! 聞いてるの!?」
 桃香は声を震わせて怒りを露わにした。
「桃香ちゃん。せっかくの可愛い顔が、怒ったら台無しじゃないか。ほら、笑ってみな」
 先輩は、両手で桃香のアバラ辺りをわしゃわしゃとくすぐり始めた。

「ひゃっ!!? ひひゃっ!!! ……な、なにすっ!!! いひゃっ!!? だっ!!! んふぅぅぅぅ~~やめてくださいっ!!! ~~~~!!!」

 桃香は顔を真っ赤にして、身体をもぞもぞとよじった。

「お、奈美より我慢強いじゃん」
 先輩は、両手を上下に動かした。
 桃香の弱点を探し出そうとしているようだった。

「んひゃっ、ひゃぁあぁあ……!!! んぐぅ~~~~!!? ひっ、奈美!! やめさせてっ!! んひぃっ!? わかんないっ!!! くひひひぃっ!?? 意味わかんないぃぃっ……うくぅぅ~~~~!!」

 桃香は目に涙を浮かべてにらんできた。
 罪悪感にさいなまれた。
 奈美は、先輩の顔を伺う。
 こちらは、心底楽しそうだった。
「なかなか大笑いしてくれないね。よし、奈美。奈美もやってごらん?」
「え?」
 突然先輩に言われ、奈美はおろおろした。
「桃香ちゃんを、くすぐって笑わせるんだ」

「ちょっ……!! ふひぃぃ~~……くふっ!!! 奈美っ!!! んふっ、冗談でしょ!? ~~~~!!! んぅぅぅふふふっ、やめてっ!!」

 首をぶんぶんと振って苦しむ桃香。

「なんでもするんだよね? 奈美?」

 先輩の一言で、奈美は決心し、桃香の足下へ移動した。

「奈美っ!!? おねがっ……やめてぇぇ~~!!! んふぅぅぅぅぅぅ」

 上半身を先輩にくすぐられ続けている桃香の涙混じりの声が聞こえた。
 奈美は罪悪感を振り払って、靴下を履いた桃香の足の裏へ指を伸ばす。

「ふひゃあぁあぁっ!!!?」

 桃香の甲高い声と一緒に、触れていた足がびくっと激しくよじれた。
 奈美はびっくりして指をひっこめる。
「お、奈美。良い手つきじゃないか。もっとやってごらん?」
 奈美は先輩に褒められて嬉しくなった。
 奈美は、もう一度指を伸ばし、今度は桃香の足の裏を人差し指でなでるように動かしてみた。

「ふひゃはははははっ!?」

 指を増やし、くすぐる。

「ふふふひひひひひひひっひっひっひぃ~、あっはっはっはっはっはっはっはぎゃぁ~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」

 桃香の足がくすぐったそうにくねくねとよじれた。
 奈美はその足を追いかけまわすようにひっかく。

「嫌ああぁあはっはははははははは!!! 奈美ぃぃひひひひひひひひひ、やめてぇぇぇぇははははははははは!!」

 奈美は、不思議な気分だった。
 桃香が自分の指に反応して大笑いしている。
 いつもの桃香じゃない。大口を開け、涎をまき散らす、下品な笑い。
 くすぐればくすぐるほど、笑わせれば笑わせるほど、奈美の中に、加虐心が育っていった。
「裸足にしたらもっと効くよ?」
 先輩のアドバイスを受け、奈美は桃香の両足から靴下を脱がし取った。

「あっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!! ひぃぃ~~ひひひひひひひひひぎゃぁぁあひゃひゃひゃひゃっははははははは!!!」

 本当に効いた。
 素足の足の裏をかき回すと、桃香は一層激しく泣き叫んだ。
 桃香の足の裏は少し黄ばんでいて、糸くずがついていた。
 奈美は、足の裏の硬そうなところは爪を立ててひっかくように、柔らかそうなところは指の腹を使って撫でるようにと、強弱をつけてくすぐった。

「ふひゅぅぅうううひひひひひひひひひひっ!!!! ぎぃぃいひっひっひっひっひ、だひゃぁあぁぁひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」
 
 先輩はいつの間にか桃香の上半身から降りて、桃香の様子をムービーで録画していた。
 奈美は、無我夢中で桃香の足の裏をくすぐり続けた。

「奈美ぃぃぃぃっひっひっひっひっひ!!!! やべでぇぇぇぇ~~ぎゃはははははははははははっ!!!! いぎがぁぁああがはははっはははははは、じんじゃうぅぅぅう~~ぎひひひひひひひひひひひひ!!!!」

 奈美は夢中になりすぎて、どのくらいの時間くすぐり続けたかわからなかった。
 解放された桃香は、肩で息をして、疲れ果てた様子だった。
「桃香ちゃんいいね? この動画をネットにアップロードされたくなかったら、今日のことは誰にも言うんじゃないぞ?」
 先輩は動画を再生させて桃香に見せた。

『うひゃひゃひゃひゃっ!!? ひぎゃぁぁあああひゃ――』

 鼻水をずぶずぶと噴出し、顔を涙でぐちゃぐちゃにして笑う桃香の表情がアップに映し出されている。
「ひっ……だ、……誰にも、言いません……っ!」
 桃香は、服装を整えることもせず、返された靴下も中途半端に履いただけで、慌ただしく先輩の家から逃げ出て行った。

「どう、奈美? くすぐるの、ちょっとハマっちゃったんじゃない?」
 先輩に聞かれた。
 奈美は複雑な心境だった。
 友人の苦しむ姿は、確かに、見ていて辛いところもあった。
 でも、
「……は、はい。くすぐられるよりは」
 楽しかった。

 また、桃香、くすぐらせてくれないかな……。
 そんな期待を心に抱く奈美であった。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作にした、リメイク第二弾!
 目覚めろ!