QB
「僕と契約して、魔法擽女(マジックティックラー)になってよ!」

~~~

なのは
「ユーノ君じゃないっ!?」ガバッ

チュンチュン

QB
「おはよう、なのは。寝ぼけているのかい? 僕の名前はQB。君は僕と契約して、魔法擽女になったんじゃないか」キュップイ

なのは
「あ、そうだった、……かな……?」
(なんだろう。妙な違和感がある)

QB
「さあなのは、さっそく今日もTポイントを貯めに行こう」

なのは
「うん。そうだね。そんな契約したような気がする。……えっと、QB君ごめん。私寝ぼけてるみたい。Tポイントってなんだっけ? 私、具体的に何をすればよかったんだっけ?」

QB
「Tポイントは、いたいけな少女をくすぐって笑わせることによって得られる、宇宙延命のために必要なエネルギーだよ。僕はそのポイントを回収するために地球にやってきたんだ。なのはは魔法で女の子を捕まえて、どんどんくすぐってもらえればいいんだ」

なのは
「そっか。私、女の子をくすぐらなきゃいけなかったんだ」

QB
「そうだよ。TポイントはDVDを借りたり宅配ピザを注文したりしても貯まるけど、少女をくすぐって得られるポイントには遠く及ばない。さあ、なのは、君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て笑顔に覆せばいい」

なのは
「……なんかぬぐい去れない違和感がするけど、……ティクリカル・マジカル・がんばります!」

~~~

なのは
「う~ん……なんだろう? 何かが違う気がするんだよね……」

アリサ
「やはははははははは!!? 何が違うって言うのよぉ~~やめなさいなのはぁぁっはっはっは!!!」ジタバタ

すずか
「きゃはははははは!! なのはちゃんお願いやめてぇぇ~~っへっへっへっっへひゃぁ~~!!!」クネクネ

なのは
「ごめんね、アリサちゃん、すずかちゃん。召喚したマジックハンド、勝手に動くから私には制御できないらしいの」

QB
「自律性のくすぐりハンドを召喚するなんて、なのは、君の潜在能力には驚かされるよ。召喚された数十本のくすぐりハンドが、対象者の体中をまんべんなくくすぐりながら、徐々に弱点を絞っていく……、なんて効果的なんだ」

アリサ
「あははははははは!!! いやぁぁぁあ腋はやめぇえぇうあははははあは、くはっ!? そんなとこ入ってくんなぁぁ~~っはっはっはっは!!!」

すずか
「嫌~~っはっはっはっは!!! あっ、靴下脱がさないで……っ、ひゃははははははは!? やめてぇ!! ひはははっあぁあぁああぁ、お腹もダメなのぉぉ~~!!!」

なのは
「……う~ん」

QB
「どうしたんだい、なのは?」

なのは
「やっぱりなんか違う気がして……。QB君、これでホントにTポイント貯まってるの?」

QB
「もちろんだよ! ……でも、もっとポイントが貯まりやすい少女がいることも事実だよ」

なのは
「へぇ……どんな少女なの?」

QB
「魔法少女さ」

なのは
「魔法少女……あれ? 私って、もしかして――」

QB
「なのはは魔法擽女だよ。あっ、ちょうど近くに魔法少女の反応があるよ? なのは、行ってみるかい? 今週の魔法少女はポイント10倍キャンペーン中だ」

なのは
「……だったら最初から魔法少女だけ狙った方が良かったよね? 少し、頭冷やそうか?」

QB
「殺気がすごいよ、なのは」アセッ

なのは
「……いいよ。魔法少女からTポイントもらいに行こう?」フワリッ

アリサ
「ちょっとぉぉ~~行く前にコレ止めていきなさいよぉ~~っはっはっはっはっはっは!!!」

すずか
「いやぁぁあはははははは、下着恥ずかしぃぃ~~っひっひ、ふあっはっはっはっは~~!!」

なのは
「ごめんね二人とも。それ、いったん動き出したらポイント搾り切るまでとまらないの。あと一時間ぐらいがんばって?」スイーッ

アリサ
「なにゃぁぁあ~~っはっはっはっはは!!?」

すずか
「もうだめぇぇ~~へっへっへっへ!!」

~~~

なのは
「あの金髪の子が、魔法少女?」

QB
「そうさ。なのは、早くTポイントを――」

フェイト
「……っ!」クルリ

なのは
「あ……」

フェイト
「なのは……」

なのは
「え? なんで私の名前を知ってるの?」

フェイト
「なのは。そいつの言うことに耳を貸さないで。なのははそいつに記憶を改ざんされてる」

なのは
「……あなたは誰なの?」

フェイト
「ぅ、なのは……っ。私は、フェイト=テスタロッサ。なのはの、……友達だよ」

なのは
「とも、だち……?」

QB
「ダメだなのは! あいつの言うことに耳を貸しちゃいけない!」

フェイト
「なのはを返せ。……バルディッシュ!」ギュンッ

QB
「きゅ――」クビチョンパッ

なのは
「QB君!? …………っ」ザワッ

フェイト
「……!」ビクッ

なのは
「フェイトちゃん、だっけ……? どうしてこんなひどいことするの?」

フェイト
「なのは、そいつは――」

なのは
「少し、頭冷やそうか?」スッ

フェイト
「待ってなのは! 正気に……っ、くっ、バルディッシュ行くよ!」ギュイーン

なのは
「ティックライト・ブレイカーああああああ!!!」

~~~

フェイト
「……う、な、なのは、こんなに、力が」ボロッ

QB
「さすが、なのは。数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな相手も目じゃないね」

なのは
「QB君! よかった。無事だったんだね」

QB
「なのはのおかげさ。さぁ、早く、あいつのTポイントを回収しよう」

なのは
「うん」

フェイト
「なのは……っ、やめっ」

なのは
「ティックル・ハンド」ポン、ポン、ポン

フェイト
「や、うわぁっ!?」ガッシリ

QB
「M字開脚だね、なのは! まさか君は、たった数分間の戦いの中で、彼女の弱点が下半身にあることを見抜いたって言うのかい?」

なのは
「マジックハンドが勝手に動いてるだけだよ」

QB
「なんて手際がいいんだ! あっという間にブーツとソックスをはぎ取っていくよ」

フェイト
「やぁっ!? やめて、なのは、こんな格好、恥ずかしいよ……」ヌギヌギ

なのは
「ごめんね。フェイトちゃん。これが私の使命みたいだから」

フェイト
「ち、ちがうっ! なのはそいつに操られて――ひひゃあぁああああああ!!!?」ビクビクビク

QB
「すごいよなのは! 彼女の足の裏にくすぐりハンドが触れた瞬間、とんでもない量のTポイントが放出されたよ」

なのは
「そうなんだ? じゃあこのまま続ければいいんだね?」

フェイト
「ひやぁぁあ~~~はははははははははははっ!! なのはぁぁっはっはっはっはっは、ふにゃぁぁああひゃはははははははははは」ガリガリ、ビクビクビクッ

QB
「すごい! こんななめらかな指さばきは見たことがない!」

フェイト
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!? 指はぁぁあひゃひゃひゃ、ゆびゅやみゃぁあぁああっはっはっはっはっはっはっは~~!!」グリグリ、ピクピク

QB
「こんなことが……っ! 想定値を遙かに超えるTポイント獲得が期待できる……っ!」

フェイト
「うひひひっひひひひひひひひっ!!! ひっかかにゃいでぇぇぇ~~ひゃひひひひひひひひひひひぐひゃひぃぃ~~!!!」カリカリカリカリ、クネクネ

なのな
「なんだろう。狭い足の裏にひしめき合うマジックハンドを見ていたら、私までむずがゆくなってきちゃった」

フェイト
「にゃにょひゃぁぁぁあ~~っひゃっひゃっひゃ、とめてぇぇぇぇ~~っひぇっひぇっひぇ!!!! いぎがぁぁぁががはっははははっはははっはっはっは!!!」コチョコチョコチョ、ビクンビクン

なのは
「でも、フェイトちゃん。さっき怖い顔より、今の方がかわいいよ」ニコッ

フェイト
「おひょひひひひひひひひっ!!!? そんにゃっ、ひっひっひ無りぃぃぃぃひひひひひひ!!! あひっ、あひのうりゃやだぁぁぁぁ~~っひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!!」

QB
「あ、なのは、また魔力反応が。近くに魔法少女がいるよ? 行ってみるかい?」

なのは
「そうだね。……フェイトちゃん、あと二時間ぐらいだと思うから、がんばってね!」フワリ

フェイト
「いやぁぁぁあひゃひゃひゃひゃひゃ!!? なのはぁぁぁあひゃひゃひゃひゃ、いかにゃいでぇぇ~~ひぇひぇひぇひぇ!!!!」

~~~

こうして世界中の魔法少女は、白い悪魔によって駆逐された。

~~~


(完)