とある中学校で、写生大会が数日後に迫っていた。
 写生大会で展示される絵は、三人の学生審査員によって賞が与えられる。
 そこで美術部のメンバーは、ある生徒のひとり勝ちをもくろみ、三人の学生審査員を買収しようとしていた。

「こんなことやっても木村さんは喜ばないわ!」

 美術室でそう訴えるのは、二年生の昨年写生大会校内最優秀賞受賞者、古手楓(ふるで かえで)であった。
 険のある目つきでやや芋臭い顔立ち、髪の毛は耳の後ろでふとつくくりにしておさげにしている。優衣とはまた違った元気でまじめな優等生タイプである。
 両手首を後ろに縛られて、両足とも足枷にはめられている。
 すでに素足にされ、両足とも足の指までぎちぎちに縛られてまったく動かせない状態にされている。
 床に脱がされたシューズと白いハイソックスが乱雑に放り捨てられている。

「木村が喜ぶかどうかなんて関係ない。古手。木村に一票入れろ」
「嫌よ! 不正になんか荷担しない!」
「そうか、ならしかたない。説得を始めよう」

 部員のひとりは、言うとアクリル画筆で静かに楓の素足の足の裏をなで始めた。

「んふっ……くぅぅっ、ふふっ、やめっ……やっ! ぷくくっ……」

 楓は必死に笑いをかみ殺すように下を向く。
 足の指はひくひくとくすぐったそうに微動した。

「約束しろ」

「んひっ、ひくぅぅ~~~……いひっ、いっ、嫌だ……っ! んふぅぅ~~」

「これでもか」
 と、部員は足の指の間に筆先をねじこんだ。

「ぷひゃっはっ……っ!!? くっくっくっ……やめっ、やめてっ! んひぃぃ」

 楓は左右に首を振る。
 部員は楓の足の指の付け根を左右になぞるように、筆を走らせる。

「うひひひっ……はひゃっ……ひひっ、んはぁぁあ、ひぃっぃい~~」

 楓は顔を真っ赤にして堪えている。

「同じクラスのよしみでせっかく時間をやったのにこの体たらく……。嘆かわしいな、古手。もういい。みんな、本気でやるぞ!」

 筆を持った部員がそう言うと、残り数人の部員達が一斉に楓の素足の足の裏をくすぐり始めた。

「――っ!!!! あぁっ、あっ、――ぶひゃぁぁあああっはっはっはっはっはっはっはははっ!!! だぁぁああっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃあぎゃぁぁあぁ~~!!?」

 楓は上半身を左右上下に激しくよじって笑いだした。
 足の指一本動かせない両足に約百本の指がたかっている。

「ぎゃはっはっはっはっはっはははぎゃぁぁあひぃぃっひぃひぃっひっひっひいっひやだぁぁぁ~~!!! やべてぇぇえ~~っひぇっひぇっひぇ~~!!!」

「古手。お前が強情なのがいけないんだぞ? 早く約束しろ」
 筆の絵の部分で土踏まずをごりごりひっかきながら部員が言う。

「嫌だあぁぁぁっひゃっひゃっひゃっ!! ぎぃぃぃ~~ひひひひひひひひひ、馬鹿ぁぁぁあっひゃっはっはっははっはっはは!!!」

「調子にのるなよ」
 部員は筆先にアクリル絵の具をつけると、ぺちゃぺちゃと楓の足の裏に塗り始めた。

「うひゃぁあぁっはぁぁぁぁ~~~にゅるにゅるやめぇぇぇっへっへっっへっへっっへっへへ!!!」

 足の指の間まで絵の具を塗りつけ、さらに乾いたところからガリガリとブラシでこそぎ落としていく。

「うががぁあはっははははっははっ!!!? なんにゃそりゃぁぁぁっはっはっはっはっはっはっ!!!? だびゃぁぁあひゃっひゃっひゃっひゃっひゃひぃぃぎぃぃぃ~~!!!」

 固まった絵の具が剥がれるのもかなりくすぐったいらしく、楓は悲鳴を上げた。
 数時間に及ぶ足裏責めに、とうとう楓は堪えられなくなった。

「うぎゃぁぁあっははははっはびぃぃ~~っひぃぃぃ~~わがっだがらぁぁぁっはっはっはっは、ぎむらざんにどうひょうずるがらぁぁぁっひゃっっひゃっひゃもうやめてぇぇぇ~~っひゃっひゃっひゃ!!」

 学生審査員の最後のひとり二年生の古手楓も落ちた。
 写生大会では、見事、木村由香が最優秀賞を受賞した。
 後日、不正が発覚して、まったく事情を知らないはずの木村由香が黒幕に仕立て上げられて罰を受けたというのは、また別のお話。


(完)


♯1 ♯2 ♯3


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 買収モノ完結。ご読了ありがとうございました。
 こちらで名前を使ったキャラと同姓同名ですが別人の設定です。大昔に書いた小説からキャラだけ引っ張り出してリメイクして遊んでいたら重複事故を起こしてしまいました。