「のぉ、この牌譜見とーみ」
とある闇企業の重役室。スキンヘッド顔面凶器の男が凄みのある声を出す。
「北大阪予選か」
パンチパーマ能面の男は、牌譜をを見ながら足を組む。
「これ、おかしない?」
「……変やなぁ。この一発率、ほぼ100%やん。積み込みか?」
「アホか。自動卓や。……この女、一巡先が見えるらしいで?」
「……ホンマ?」
「ホンマ。吹田で一人、千里山女子の麻雀部員捕まえてな、佐藤の班が聞き出しよった」
「拷問か。その麻雀部員が一番気の毒かもわからへんな」
「そんで、どないする? この女欲しない?」
 顔面凶器の問いに、能面は鼻で笑った。
「要るわ。当然や」
「吹田、行こか」

★★★

「あれか?」
「間違いあらへん」
 吹田市千里山。人通りの少ない路地裏から、黒リムジンが静かに発進する。

「竜華、なんで今日来ぇへんかったんやろ……」
 たった独り、ふらふらとよろけながら不安定な足取りで歩くセーラー服姿の園城寺怜(おんじょうじとき)の横にリムジンが付く。
 一瞬の出来事だった。
 突然開いた後部座席のドア。
 怜は振り向く間もなく左腕をごつい手でつかまれ、車内に連れ込まれる。
 口を塞がれた。しかし、抗う体力を怜は持っていない。
 なんの抵抗もできず、怜は意識を手放した。

★★★

「……ん」
 怜がうっすらと目を開ける。
「おっ! ようやく目ぇ覚ましたか」

 薄暗い牢屋のような部屋の中央で、お馴染みのSM用チェア、M字開脚診察台に怜はセーラー服姿のまま拘束されていた。
 両腕を万歳、椅子の背もたれに深く腰掛けた状態で、大きく開脚させられ、両手首足首を黒い皮製ベルトでぎっちりと固定されている。
 怜を正面から眺めるのは、顔面凶器と能面の二名。
「……っ」
 怜は膝を閉じようと身をよじるが、大腿部に負担がかかって痛いのか顔をしかめた。

「状況把握はもうええんか?」
 顔面凶器がニヤケながら言う。
「……誰ですのん?」
 怜の問いに、能面が口を開いた。
「ウチで働いてほしいんや」
「……はぃ?」
「園城寺さん、言うたか? 牌譜見せてもろたで。おたく、麻雀のセンスあるわ」
「……」
「単刀直入に言うわ。裏プロならんか?」
「……」
「おたく、裏社会で活躍できんで。学校辞めて、ウチの専属雀師なってや」
「……お断りや」
 怜が言うと、顔面凶器はせせら笑った。
「あんた、この状況でよくこっちの要求断れんなあ」
「……交渉決裂です。用が済んだんなら、はよ帰してください」
 怜は体を震わせながらも毅然として言う。
「まぁこんぐらい根性ないと、裏プロもつとまらんわな」
「ならへん言うてますやん」
 怜の頑なな態度に、能面と顔面凶器は顔を見合わせて笑った。

□□□

「園城寺さんよ。そうカリカリせんと。なあ? はじめよか?」
 能面が言うと、顔面凶器が怜の背後に回った。
「な……、何するつもり、なん?」
 怜は不安そうな声を上げる。
「仲間なる気なったら、いつでも言ってや?」
 顔面凶器は言うと、両手の人差し指を怜の両腋に突き刺した。
「ふにっ!!?」
 そのまま、もぞもぞと人差し指を動かす。
「ふひゃっ……な、やはぁっ、な、なんで、こそばっ……ひゃはんっ!?」
 怜はくねくね体をよじった。

「なかなか敏感やん? だんだん強なるでー」
「あひゃぁっ、ふひっ、……やめぇ」
 目をぎゅっと閉じて赤面する怜の腋の下で、顔面凶器は指をぐりぐりと動かす。
「ひゃはぁんっ!! やははっ、やめてっ。こそばいっ!! だめなんっ……あひゃぁぁん!」
 怜のM字に開いた脚ががくがく震える。

「ツボはどの辺か? のぉ」
 顔面凶器が人差し指をほじほじと動かしながら、怜の腋の下から脇腹辺りを局所的に弄くる。
「ふひゃはははっ! やめてっ!! あはははっ、……にひゃぁぁんっ!!!?」
 指が第10肋骨、ちょうど肝臓と腸の境辺りをつついたとき、怜の身体がびくんとうねった。
「お? 弱点発見?」
 言うと、顔面凶器は怜の肋骨をゴリゴリほぐすように人差し指と中指を動かした。
「ちょっ!? ひゃはははははははっ!! ひゃっぁっはっはっはっはっはっ~~! やめぇぇぇっ、ひゃあはははは! こそばすんだめぇぇっへっへっへ~~!!!」
 途端、怜は髪の毛をぶんぶん振り乱して笑い始めた。
 目に涙を浮かべ、額には汗が滲んでいる。
「あぁぁっはっはっはっはっは~~~!! ひひひっ、息っ!! 息ができひ、ひっひっひっひ~~!!!」
「ウチで働くか?」
「ひぃぃぃっひっひっひ~~! 嫌やぁぁっはっはっはっはっはっはっは~~!!」
 がくがく身体を揺さぶる怜の口から涎が滴る。
「もう限界近そうやん。これ、続けても大丈夫なんか?」
 顔面凶器は心配する素振りを見せながら、怜のお腹をくすぐった。
「ひゃははははははははっ!! 死ぬっ!! 死にゅぅぅっ、死んでまうぅぅひひひひひひひひひひ~~~!!!」
「死にたくなかったら言うことあるやろ?」
「いぃっひっひっひっひ~~!!! ひゃっはっはっはっはっはっ!!!」
「聞こえへんで?」
「にやぁぁぁぁっはっはっはっはっはっ!!! 言わへんっ!!! ひ~っひっひっひっひ~~!! ……ゲホっ!? ゲホォォッ!!? いぃひひひひひ~~!」
 怜は咳き込み、口から涎を撒いた。それでもなお、笑い続ける。

「強情やなぁ。……まぁ、その方がおもろいけどな」
 顔面凶器が指を這わせながら笑う。
 すると、腕組をして見物していた能面が動く。
「ワシも入ろか」
「頼むわ」
 能面は、びくびく左右に震える怜の両足から黒いローファーを脱がせる。

 普段から靴を脱ぐことが多いからか、怜の白いハイソックスの足裏は蒸れた様子もなく、綺麗だった。
「あぁぁっはっはっはっは~~! そこは触らんといてぇぇぇっへっへっへっへ~~!!!」
 能面は、クネクネと必至に逃げ回る怜の足に指を這わせた。
「ひゃぁぁぁっはっはっはっはっはっ!!! きゃはははははっやめぇぇぇぇこひぃぃひひひひひひひっ!!!」
 能面は、怜の右足の指を捕らえ足の裏を反らせ、土踏まずをかきむしった。
「いやぁぁぁぁっはっはっはっ!! あしぃぃっっひっひ、ぁかんぁかんぁかんっぃぃっひっひっひっひっひ~~~!」
「足めっちゃ敏感やん! 運動不足ちゃう?」
「病弱で入院しとったらしいで? そのせいやろ」
「ひゃひゃひゃひゃひゃっ、あかんてぇぇぇひひひひひひひひあぁぁぁぁいぃっ!!! 息っ!! 息いぃぃひっひっひっひっひっふひゃぁぁっはっはっはっは!!」
 涙で顔を濡らしながら笑い続ける怜は何度も咳き込む。

 怜は、苦しそうに顔をしかめたり、弛緩させたりを繰り返し、次第に目が虚ろになってきた。
「これ、そろそろヤバイんちゃう?」
「ひぃぃひひいひひひひひひっ!!! ごひぃぃぃいぃぃぃ、ああぁぁはっ……はぎぃぃっひっひっひっひ」
「園城寺さんよ、死にとうなかったら言うことあるやろ? 裏プロなる、言うてみいや」
「あははははははっ!!! はががががっ……ひひひひひひっ、言わんっ……あぎっ、ひひひひ……」
 怜は笑いながらも死にそうな声で拒否すると、気絶してしまった。

「うわぁ……気絶してもーたがな」
「全然時間経ってへんのにな」
「起こそか?」
「……まぁ自然回復待とや。おそらく今起こして再開したら、こいつ本気で死ぬわ」
「死なれたら困るなぁ」
「あー。栄養剤打っとこか。多少回復早なるやろ」

□□□

「……んっ、……えっ?」
 怜は目を覚まし、あたりを見回す。状況は全く変わっていない、が……。
「お、起きた。園城寺さんよ、気分はどうや?」
 顔面凶器がニヤニヤしながら、M字開脚診察台に乗った怜の顔を覗きこむ。
「……最悪に、決まってますやん」
「体調は?」
「……」
 怜は目を逸らす。
「前よりマシになっとってビックリしとんやろ?」
「……」
「それな、アメリカ軍が開発した肉体増強剤をベースにウチで改良した栄養剤なんよ。常人なら二日貫徹の肉体疲労・精神疲労も一瞬で吹っ飛ぶぐらいの効果あるんやけど、病弱な園城寺さんやったら、どんなもんかのぉ?」
 怜は不服そうに顔をゆがめるが、顔色は良く、呼吸も安定している。

「ほな、再開しよか」
 顔面凶器が能面を呼ぶと、怜は怯えたような表情になった。
「ま、また、こそばかすん、ですか?」
「当然や」
「……ほ、ほな、その、……ここで働かせてもらいますんで。あ、あの、もう、勘弁してもらえませんか?」
 顔面凶器はしたり顔をするが、能面は険しい表情を作る。
「……嘘やな」
「え?」
「園城寺さんよ。おたく、ウチら舐めとんか? こちとら嘘見抜くプロやで?」
「そ、そんなんっ……。う、嘘やないですよ」
「魂胆見え見えやん。この場だけしのいで、こっちが油断した隙に逃げる気やろ? こっすいなぁ」
「い、……そんなこと……」
 怜は言いよどんだ。
「安心しぃや。心配せんでも、ウチらに絶対服従を誓いたなるまで笑わしたるわ」

 能面が怜の右足、顔面凶器が怜の左足の前にしゃがむ。
「足が敏感やったなぁ」
 言うと、能面と顔面凶器は怜の白いハイソックスを脱がした。怜の真っ白で不健康そうな素足が露になる。
「……お、お願いします。もう、こそばさんといてください」
 震える声で怜は懇願する。
「おたくのために、こんなん用意したんやで?」
 能面が手に持って怜に見せたのは、鳥の羽だった。
 怜は顔を青くして身震いする。

「そ、そんなんで、やられたら、……マジで死んで――」
 怜が言い終わる前に、能面は怜の足の指に羽根を這わせた。
「うひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? きっついっ!!! きっつぃってっ!!」
 足の指をぐにぐにうごめかしながら、怜は首を左右に振った。
「ほれほれ、どや? おもろいかぁ?」
「ひぃぃひっひっひっひ、やめっ……!! ぁかんてぇぇぇっはっはっはっはっはっはっは~~!」
 怜の笑い声は、気絶前よりもハリがあるように聞こえる。
「踵とか結構きつそうやの?」
「くひゃゃっはっはっはっはっ~~!! こしゅっ……どっこもきついってっぇっへっへっへっへっへ!!!」
「羽根一枚でそんなおもろいか?」
「ひゃっはっはっはっはっ!!! アホかっ……いひひひひひっ! おもろないっ!!! おもろいわけないやんっぃぃひっひっひっひっひっひっひ~~!!」

「ほな、左はコレでいくで?」
 顔面凶器は孫の手を取り出し、怜の左足の裏、土踏まずの辺りを引っかいた。
「いぃぃやぁひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ~~~!!! 死ぬぅぅっいぃぃっひっひっひっひ」
「死ぬ死ぬ言うて、そう簡単に死ぬ気ないやろ?」
「ひひゃぁぁぁっはっはっはっはっは~~、気持ちのっ!!! あはははははっ、気持ちの問題ちゃうやろぉぉぉっはっはっはっはっは~~」
「大人しい子かとおもたけど、案外つっこみキャラなんか?」
 言いながら顔面凶器は、怜の足の指を掴んで反らせ、足裏のふくらみに孫の手をあてがった。
「ぎゃひぃぃっひっひっひっひっひ~~!!! マジでぇぇっ、マジで死ぬぅぅっはっはっはっはっはっ……ひゃあぁぁぁははははははは!!!」

動く怜


「なんか、元気になったみたいで何よりや」
「せやなー」
「あぁぁ~っはっはっはっはっはっ!!! 言うてんなやぁぁぁひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ~~」
 ほのぼの雑談する二人に唾を飛ばしながら笑い乱れる怜。
「こっち側も使ったるな」
 能面は羽根の柄の部分で、怜の足裏を引っかく。
「ぁいたぃっいたっ、ひゃははははっ! いたぃってあっはっはっはっはっは~~」
「痛い言うて、笑っとるやん」
「こそばいぃぃぃっひっひっひっひっひっ! きひぃぃんっ!!? あっぁっはっはっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!」

□□□

 数分ほどくすぐり二人が手を止めると、怜は息を切らせるものの、それほど顔色は悪くなかった。栄養剤の効果は抜群である。
「はぁ……はぁ……、も……もう、……堪忍してや……」
「薬、効き過ぎちゃう? この女、まだ全然落ちてへんで?」
「せやな。肉体増強かつ精神衰弱させるような薬ありゃええねんけどな」
 二人の顔を怜は涙目で見比べる。
「そ、そんな、……もう、なんでも、言うこと、聞きますんで」
「信用できんわ。目が全然死んでへんもん。その目、敵意丸出し。裏切る気満々やん」
「……~~~~~~っ!!!」
 怜は両腕両脚をガタガタ激しく震わせる。
「無理やって。そのベルト、そんなヤワやない」

「ノーパンが流行っとんかいな?」
 顔面凶器がぺろんと怜のスカートをめくる。
「ちょっ!!? なっ……っ!!」
 怜は紅潮した顔をさらに紅くした。
「かわいいおめ○が丸見えやん!」
「これ使うか?」
 能面が羽根を顔面凶器に手渡す。

「お○ここ~ちょこ~ちょ」
「ふひゃひゃひゃひゃひゃっひゃ!!!! ちょっ!!! ひぃぃぃっ!!! やめぇぇぇあひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」
 顔面凶器が怜の秘部に羽根を這わせると、怜は膝をがくがくさせながら笑い暴れた。
「うひひひひっ! ぁかんぁかんぁかんぁかんっ!!! 変になるっ!!! ひゃひゃひゃひゃっ!!! おかしなるって、いひひひひひひひひいひひっ!!」
「おかしなってもろてええねんで?」
 能面は怜の背後に回り、後ろから首筋をくすぐった。
「にゃひゃぁっぉあっ!!! にひひひひひひひっ!!! ぁかんてっ……無理無理無理無理ぃぃぃっひっひっひっひっ!! きひひひひひひひひひ~~っ!!!」

「○めこ羽根責めされながら、こそばされるんはきっついやろぉ」
「ひゃぁぁぁぁーっはっはっはっはっはっはっ!!!! うひひひひひっ!! ぎひぃっ!!? ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」
 能面は怜のセーラー服の裾から両手を入れ、素肌をこちょこちょくすぐる。
「にひひひひひひひひひっ!!! いぃぃぃーっひっひっひっひっひあひゃぁぁぁあああっはっはっはっは~~!!!」
「まだまだこれからやで? 園城寺さんよ?」
「やぁぁぁぁひゃひゃひゃひゃっ!!! 堪忍っ!!!! ひゃひゃひゃひゃ、堪忍してぇぇえへへへへへへっ~~……ゲホォっ!!!? ぎひひひひひ~~」
「気絶するならしてええで? ゆっくり休んでまた遊ぼうや」
「嫌やぁぁぁぁはははははははははっ!!! もうだめやってぇぇひひひひひひひひひひひひ、いぃぃーっひっひっひっひ~~っ!!!」

 この後、怜が裏社会に足を踏み入れるのか、無事表社会に戻ることが出来るのかは、別のお話。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 2012年6月に掲示板の版権スレに投稿した作品です。
 16巻、すばらの和了を未来視して、げんなりしたときの怜の表情が死ぬほどかわいい。