フェイトがあたしの元へやってきた。
 少し目が赤い。
 またあいつに痛めつけられたらしい。
 こんなときこそあたしの出番だ。
「フェイト、いいよ?」
 フェイトは、安心したようにホッと表情を緩ませてうなずくと、そっと手をあたしの方へ伸ばしてきた。

「んく……っ」

 フェイトがベッドの上で仰向けに寝そべったあたしのお腹をぺたぺた触る。
 首を傾げながら、さわり心地、あたしの反応を確かめるように、ゆっくり、じっくりと。

「んふっ、ふふっ、フェイっ……ふふっ、ひひっ」

 指先で円を描くようにするする、さわさわと。

「ふふふっんふぅぅうう、ひうぅぅ~~ん」

 徐々に指の動きが速くなる。

「はっ、ひっ、フェイっ……たっ! はひっ、ひぅぅっ!!」

 ふいに、

「うひゃぁぁぁああっ!!?」

 フェイトの人差し指が、あたしのおへそに落ちた。

「ちょ、んっ、フェイト……っ、早く抜い――んはやぁああっ!!?」

 フェイトはあたしのおへその中でくにくに指を動かし始めた。

「はひっ、はひっ、んきひっ、や、ふぇっ、それ!!! やぁぁんひぃぅ!!」

 おへそから指を引っこ抜くと、フェイトはあたしの脇腹をもみ始めた。

「ふひゃひゃひゃひゃっ!!? ちょ、いきなりぃいいぃ!!」

 いきなり強くなる。

「あははははははははっ!!! フェイトっ!! やぁぁぁんっはっはっはっはっは!!!」

 フェイトはひとしきりあたしのお腹を撫で終えると、今度はあたしの足の裏をくすぐり始めた。

「やはははははははっ!!! あぁぁぁふぇいとぉぉ~~っはっはっはっはっは!!!」

 コツをつかんだらしい。
 フェイトは足の裏をくすぐるときには爪を立てて、やや強めに、ひっかくようにくすぐってくる。

「きゃはははははふぇいとぉぉ~~やあああっはっはっはっはっははは!!!」

 フェイトはあたしをくすぐることで、ガス抜きをしていた。
 母親の虐待は、ペットの目から見ても、日に日にひどくなっている。
 フェイトはいつになったらあいつから解き放たれるのだろうか。

 くすぐり疲れて眠ったフェイトの頭をそっと撫でる。
「……アルフ……、ごめんね……」
 寝言だ。
「あたしは大丈夫だよ。フェイト」
 あたしはただ、フェイトの傍で笑ってあげればいい。
 フェイトが「笑顔」を、忘れないように。
 それがあたしとフェイトのかわした契約。


(完)