「そっちが先に攻撃してきたんだから。仕方ないよね?」

 リンカーコアを採集するために高町なのは(たかまち ――)を襲ったヴィータであったが、幼少期とは言え、後に『管理局の白い魔王』としてミッドチルダを震撼させる力を秘めた少女の力にはまったく歯が立たず、返り討ちにあってしまった。

「く……殺せよ……っ」

 ヴィータはふてくされたように言う。
 調査不足であったことは否めない。
 しかし、これほど圧倒的な力量差があったとは。

 最大出力のスターライトブレイカーの直撃を食らい弱ったヴィータを、なのははマジックバインドで四肢を拘束し、捕らえていた。
 両手は背中。足首を自身の武器であるグラーフアイゼンの柄にがっちりと固められている。

「私の名前は高町なのは。あなたの名前、教えてくれるかな?」
 なのははヴィータを見下ろして言った。
「……あ? そんなこと聞いてどうする気だよ」
「なんで私を襲ってきたのか、理由を教えて欲しいから。まずは自己紹介が必要だと思ったの」
「…………」
 ヴィータはそっぽを向いて黙秘した。
「そっか……質問に答えてくれないなら、仕方ないね」
 なのはは言うと、ヴィータの周囲に、ぽん、ぽん、と四本のマジックハンドを出現させた。

「……っ!? な、何する気だよ」
 わきわきと指を動かしながら浮遊するマジックハンドを見て、ヴィータは顔を引きつらせた。
 なのはは答えず、マジックハンドをヴィータの足元へ向かわせる。
「おいっ!? こらっ! なんだこいつらっ!?」
 突然ブーツを掴まれ、暴れるヴィータ。
 しかし、拘束は固く、あっけなく両足からブーツを脱がされてしまう。
 さらに二本のマジックハンドがヴィータの靴下のつま先をつかみ、無理矢理引っ張る。
「こらぁっ! はなせっ、こらっ!」
 バインドで少しひっかかるが、両足とも、すぽん、と素足にされた。
「……っ!!」
 ヴィータは素足にされ、恥ずかしそうに足の指をきゅっと縮こまらせた。

「名前を教えてくれない?」
 なのはがもう一度聞いた。
 感情がまったく読めないほど、優しい声だった。
「……っ」
 ヴィータはギリッと歯がみして顔を伏せた。なのはの死んだ魚のような目を、見ていられなかった。
「お前に教えることなんか、……なんもねぇよ」
「そう。答えてくれないんだ。なら……、少し、頭、冷やそうか?」

 なのはの言葉に呼応するようにマジックハンドが人差し指を動かしながら、ヴィータの足に迫る。
「……な、なんだよ。これ……ま、まさか――」
 ヴィータがハッと目を見開いた直後、マジックハンドの二本が、ヴィータの両足の裏をつつーっと撫でた。

「あひゃっ!!? ひやっ……な、なんだこれ!? ひゃっ、あはっ!!」

 マジックハンドが二本、それぞれ人差し指を立てて、ヴィータの素足の足の裏をなで上げた。

「わっ、ひゃっ……こ、んひぃ~~! こんなことしてっ、なんだって、ひゃは!? は、ひぃぃっ!!」

 ヴィータは首を左右に振って悶えた。

「名前を教えて欲しいな」
 なのはは繰り返し言った。
 マジックハンドの動きは止まらない。
 踵をくるくるとなでたり、土踏まずから親指の付け根を指先で往復したり、足の小指や薬指をつついてみたり、マジックハンドはヴィータの足の裏を這い回った。

「ひゃひっ、ひぃぃっ!! あひぃっ、や、やめっ、あはっ!! だっ、な、名前っ!! 名前言うっ! 名前言うからっ!!」

 足の裏をねぶるように弄くられ、ヴィータは根を上げた。
 なのはは満足そうに頷くと、マジックハンドの動きを止めた。

「は、……ひぃ……ひぃ」

 ヴィータは目に涙を浮かべ、荒い呼吸を整えていた。

「名前は?」
「……ヴィ、ヴィータ、だよ……」
 ヴィータは悔しそうになのはをにらんで言った。
「そう。ヴィータちゃん、て言うんだ」
 なのははにっこりと微笑むと、
「じゃあ、もう少し、頭、冷やそうか?」

「……っ!!?」

 ヴィータがびっくりして顔を上げた瞬間、四本のマジックハンドはいきなりすべての指を突き立て、ヴィータの両足の裏をくすぐり始めた。

「――くはっ!!? あっ、あはっ、だはははははははははははははは!!?」

 不意打ちだったこともあってか、ヴィータは耐え切れず大口を開けて笑い出した。

「だぁぁはっははっはっはははっ!!? なだっ、名前言った!! 名前言ったのにぃぃぃひっひっひっひっひっひっひ!!!」

 マジックハンドはわちゃわちゃとヴィータの足の裏の皮膚を引っかき回す。
 ヴィータの足の指は、くすぐったそうにグーとパーを繰り返した。

「ヴィータちゃん。なんで私を襲ったのか、教えてくれるかな?」

「あはははははははははいったんやめぇぇぇっひゃっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 戦闘中は険しく吊り上がっていた眉がハの字に曲がり、だらしなく緩んだ笑顔を見せるヴィータ。
 目には涙が浮かび、口元からは涎まで垂れていた。

「ヴィータちゃん、そのままでも言えるよね?」

「いひゃぁぁっはっはっはっは!? な、言えないっ!! これじゃ言えないからぁぁっははっはっはっはっはっはは~~!!!」

 ヴィータは激しく体を震わせて笑う。

「やめたら教えてくれるのかな?」

「あぁぁあっはっははっはっはは!!? そ、それはぁぁぁっははっはっはっはっはっはひひゃぁぁぁ~~!!!」

 ヴィータに喋るつもりがないことは、なのはにお見通しだったらしい。
「ヴィータちゃん。時間稼ぎはよくないよ。話してくれる気になったら言ってね」
 なのはが言うと、マジックハンドの一つがヴィータの足の指を掴み上げて反らす。
 そして別のマジックハンドが、そのピンと反り返った土踏まずを掻きむしった。

「だひゃぁぁぁっはっははっははっはははっ!!? やぁぁあぁはははははははは足やだぁぁぁあ~~ひゃひゃひゃひゃ!!!」

 ヴィータの笑い声がさらに高くなった。

「お話してくれない?」
 なのはが言うと、さらにヴィータの足の指と指の間にも、マジックハンドの指がねじこまれた。

「うひひひひひひひひひひひひひっ!!? ひぃぃぃひゃははははははははははあがぁぁ~~!!」

 ヴィータは上半身をがくんがくんと上下に揺らして笑った。
 掴み上げられた足の指はぴくぴくと痙攣するように動いている。

 数分間のくすぐりの末、とうとうヴィータは限界を感じたのか、リンカーコアの事を吐いてしまった。

「あぎゃはははははははははははっリンカーコアあぁ!!! リンカーコア奪うためぇひゃぁぁぁっはっははっはうひゃら!! 魔力保持しゃぎゃぁぁぁぁひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ~~!!!」

 ヴィータは舌を出して笑いながら叫んでいた。
 なのははヴィータの説明を、ふんふんと相槌を打って聞いた。
「……そっか。ヴィータちゃん。ありがとう。魔法の世界には私の知らないことがいっぱいあるんだね」

「うひゃぎゃははははははははっ!!! しゃべったぁぁあぁっひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃっ!!! 喋ったからやべでぇぇぇぇぇあぎゃははははははははははは!!!」

 ヴィータは体を海老反りにつっぱって、足の指も全開にして笑い狂っている。
 見るからに肉体の限界を迎えている。

「私。もっともっと勉強しなきゃだから。ヴィータちゃんの知ってること、もっと教えてくれない?」

「はぎゃぁぁあああははははははははっ!!? だぁぁあはっはっはっははっは、もうむでぃぃぃひひひひひひひひひもう無理だがりゃぁぁあひゃっはははははははは~~!!!」


 好奇心旺盛な少女高町なのはのために、ヴィータは失神するまでくすぐり&質問責めにあった。



(完)



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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 『DDD産業』のDDD様に描いていただいた絵から、妄想を膨らませて書かせていただきました! 武器の柄に足首拘束! このヴィータちゃんの騎士服素足絵たまらなく好きです! 結構な回数、ごちそうさましました(^p^)
ヴィータ(DDD様より)