翌日のターゲットは、結乃ちゃんに決まった。
 いつもひとりで本を読んだり勉強したりしている物静かなまじめな子だった。
「結乃ちゃんあそぼー」
 奈々が結乃ちゃんに声をかけた。昼休みで、教室にいる人は少なかった。
「いい。本読んでるから」
 さらっと断られた。予想通り。
「へーじゃあ、こちょこちょの刑にしちゃおっかなー」
 そう言って奈々が椅子に座っている結乃ちゃんの後ろから腋の下へ手を差し入れて、くすぐりはじめた。
「……」
 結乃ちゃんは無反応だった。そのまま机に向かって本を読んでいる。
「こちょこちょー」
「……何? 別にくすぐったくないから……」
 振り向いてにらんでくる結乃ちゃんの言葉は、ちょっと強がっているように聞こえた。
「……くすぐったくないなら、やってもいいよね? 飽きたら勝手にやめるから、結乃ちゃんは本読んでていいよ」
 智子の言葉に、結乃ちゃんはむっとした表情をした。
「……勝手にすれば」
 そう言って机に向き直る結乃ちゃん。
 奈々と智子で結乃ちゃんの腋や脇腹をくすぐった。
「……っ、……っ」
 しばらくくすぐっていると、結乃ちゃんの体がくねっ、くねっと左右に揺れ始めた。
 ときどき口元もぴくぴくしている。
 明らかにくすぐったいのを我慢していた。
「結乃ちゃん我慢してるー」
 琴音ちゃんが無邪気に言った。
「……ん、も、う、いい加減に――」
 結乃ちゃんは苛立ったように振り返った。
 その瞬間に、私と琴音ちゃんで結乃ちゃんの左右の足を掴み上げた。
「きゃっ! あ、やだっ、そこは……っ」
 上履きを脱がすと同時に、結乃ちゃんが口を滑らせた。
「自分から弱点教えてくれてありがとう」
「ちょっと、やだ! やめて!」
 椅子に座ったまま暴れる結乃ちゃんを千尋が後ろから羽交い締めにして、奈々と智子が上半身をくすぐりながら押さえる。
 私と琴音ちゃんは、持ち上げた結乃ちゃんの足からソックスを無理矢理引っ張って脱がし取った。
 結乃ちゃんは素足にされた足首から先をくねくねと左右に振って最後の抵抗していたが、私と琴音ちゃんでその足の裏をくすぐりはじめると、結乃ちゃんはようやく声を上げて笑い出した。
「やっ――あはっ!! やはっはっはっはっはっははやぁぁぁっははははははははっ!!! やめてぇ~~ははははははは!!」
 たがが外れたみたいに、結乃ちゃんの笑い方は激しかった。
「あぁぁははははははははもうっ、嫌ぁぁぁぁっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」
 奈々の腋の下、智子の脇腹責めも効いているみたいだった。一回笑い出してしまうと、もうなんでもくすぐったく感じてしまうらしい。
 上半身をよじり、髪の毛を振り乱し、目に涙をためて笑う結乃ちゃんの笑顔は可愛かった。
「やだぁぁぁはははははははっ!!! くすぐったいぃぃいっひっひっひっひ、くすぐったいよぉぉ~~っはっはっはっはっはっはっは!!」
 琴音ちゃんは以外とテクニシャンだった。
 結乃ちゃんの足の指の付け根をこそこそ掻いたり、足指を反らせてつっぱった足の裏をくすぐったり、色々私に教えてくれた。
「あぁぁっはっはっはっはっはっはははやめてってばぁぁぁ~~ははははははははははは!!!」
 私達は昼休みが終わるまで、結乃ちゃんをくすぐり倒した。
 結乃ちゃんは解放されると、荒い息を立てながら「もう……嫌い……」と涙目になって言った。
 そのむくれた表情がすっごく可愛かったので、その日の放課後、私達はもう一度結乃ちゃんをくすぐった。
 帰り際に、琴音ちゃんが「スッキリしたー?」と無邪気に聞くと、結乃ちゃんは「……少し」なんて返していた。くすぐりには変な魔力があるのかもしれない。琴音ちゃんは何故かその日も素足に靴を履いていたが、結乃ちゃんは、脱がしたソックスもちゃんと穿き直して帰っていた。


(つづく)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 ノリ的な意味で、JCはいいものだなァ!