海老原深青(えびはら みお)には秘密があった。
 正体を隠す正義の味方『レスキューエンジェル』(通称RA)として、美杉市の平和を守っているのだ。
 ところが夏休みが明けたばかりのある日、
「海老原、お前、RAだろ?」
「ふぇっ!?」
 みおは突然クラスの男子に声をかけられ、素っ頓狂な声を上げた。
「違うよぉっ!?」
「嘘つけ。テレビで見たけど、完全にお前じゃん」
「てか、胸にでかでかと『海老原』ってあったし……」
 詰め寄る男子達に、みおは必死に否定し続けた。
 業を煮やした男子達は、椅子に座ったままのみおを押さえつけた。
「だったら吐かせるまでだ。やっちまおうぜ!」
 すると、男子の一人はみおの後ろから脇腹を、もう一人は片足を持ち上げて上履きを脱がして足の裏をくすぐり始めた。

「あはっ!? あははははははっ!! やだぁっ!! やめてぇああははははははははは!!」

 みおはくすぐられるのに弱い。たまに知り合いのお姉さんや兄にもやられるのだが、足の裏や脇腹を少し触られるだけで笑い転げてしまうのだ。

「あははははははは違うからああっ!!! 私じゃないからぁ!!」

 ぶんぶんとツインテールの髪の毛を揺らし、必死に否定するみお。
 男子どもは薄手のセーラー服の上から、こちょこちょとくすぐり続けた。

「ちっ、吐かないかー。せっかく海老原はくすぐりに弱いって聞いたのに」
「服の上からだからだろ」
「そっか! 直にやっちまうか」

「!!!」

 みおは焦った。
 体を左右に揺すって抵抗するが男子の力にはかなわない。
 足をくすぐっていた男子がみおの白いソックスをすぽっと脱がし取った。

「あははははははやぁあんっ!! そこはだめぇぇ~~!!」

 みおは素足をくねくねと動かして抵抗する。
 が、がっちりと足首を掴まれているためほとんど無意味。逃げ場がない。
 男子はみおの足の裏をわしゃわしゃとくすぐりはじめる。

「うひひひひひひひひひっ!!? いやぁあああはははははははははははは!!!」

 脇腹をくすぐっていた男子も、セーラー服の裾から手を突っ込み、素肌のお腹をくすぐった。

「あひゃっはっはっははははっははっ!! ひぃぃ~~っひっひっひっひっひやめてぇぇ~~!!!」

 袖からも手をつっこまれ、腋の下をくすぐられる。

「やだやだやだぁぁあっはっはっはっはっはっはっははひぃぃ~~!!」

 みおは苦手な足や腋を散々くすぐられ、とうとう秘密をばらしてしまった。
 クラスのみんなに知られてしまった。
 それならばと、みおは、別のクラスにいる親友にも打ち明けた。
「ごめんね、ゆーみ、黙ってて……」
 親友のゆーみはきょとんとして、
「え……知ってたけど」
「なんですと!?」
「おにいさんから聞いた」
「お兄ちゃんェ……」


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 『渚のロブスター少女』p.108にくすぐりシーンがあります。
 「足の裏やわき腹を少しさわられただけで、笑いころげそうになる」て表記があり、さらに脇腹をくすぐられて笑い悶えるみおちゃんの挿絵付き。台詞での笑い声は「あははは」と一行のみですが、責めるお姉さんの「ほーれほれほれ」とか、やめた後の地の文「しゃがみこみ、ひー、ひー、とおなかをおさえながら呼吸を整え」など、そそられるポイントが満載。