リオ・ウェズリーは気が付くと、見たことのない空間にいた。
「あれ? どこ、ここ?」
 ピンクのもやに白い背景。
 リオはハッとした。
「もしかしてここがヴィヴィオの言ってたトレーニングルーム?」
 リオは自分がベッドに入って眠ったのを覚えていた。
 服を見ると、パジャマから制服に替わっている。
 間違いない。
「なんか、話に聞いてすぐ夢で見るなんて、変な感じ……へへ」
 誰もいない。
 リオは適当に跳んだり跳ねたり、自主トレを行う。
「ホントに体が軽いね。さすが夢」
『現実だ』
「うぇっ!?」
 突然声がして、リオは飛び上がった。
「あ、この声が、ヴィヴィオの言ってた……って、現実ってどういうこと?」
 声は質問に答えない。
 代わりに地面から生え出た四本の手が、リオの手首足首を捕らえ、空中で大の字に引っ張り伸ばした。
「痛っ!? えええっ!? なにこれぇ!?」
 リオは必死にもがく。
 さらに二本、地面から腕が伸び出てきて、リオの脇腹をわしゃわしゃと揉み始めた。

「きゃははははははははっ!? いひゃっ!? なんならぁぁあぁっはっはっはっはっはっははっは~~!!?」

 訳もわからずくすぐったさに笑い悶えるリオ。
 地面から次々と生えてくる。
 足元の手が、リオのローファーを脱がし取った。

「やははははははははっ!!? なにぃぃぃ~~なんなのぉぉ~~あはははっはははははは!!!」

 少し動いただけで、リオの足は蒸れていた。
 ソックスが汗を吸って黒ずんだ足の裏をカリカリと指先でくすぐる。

「にゃはははははははっ、嫌ぁああああ!!! そこはだめだってぇぇ~~っははっはっははっはっはは!!!」

 ぶんぶんと首を左右に振って笑い叫ぶリオ。
 開きっぱなしの口からは涎が流れ出ている。

「いやぁぁあはなしてぇぇえ~~ははははははっ!!! はなしてってばあぁぁっはっはっはっははっははっはは!!!」

 嫌々と足をくねらせるが、リオは両足ともソックスを引っ張り脱がされた。
 素足にされた足の裏に、一斉に数十本の指が襲いかかる。

「うひゃははははははははっ!!! やぁあああはははははははははっ! こんなのっ……ふやっはっは、こんなの聞いてないぃぃぃひひひひひひひひひひ~~!!!!」

 リオは四肢を引っ張り伸ばされたまま、腋の下や脇腹、腰回り、脚から足の裏にかけて全身をくすぐられた。
 びくびくと体を痙攣させるように振るわせ、甲高い笑い声をあげる。

「あひゃぁあああははははははははっ!!! だっ、……説明!!! 説明だけでもしてぇえええひゃひゃひゃひゃっ!!! 意味がぁあはははははは、意味がわかんにゃいぃぃいっひっひっひひっひっひひ~~!!!」

 リオが泣き叫ぶ中、空間は暗転していった。
 暗闇の中に、リオの悲痛な笑い声が響き続けた。


(つづく)

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