それはまだ機動六課設置前のこと。
「ヴィータちゃん、制服姿可愛いね!」
 高町なのはは、ヴィータの初制服姿を見て、感嘆の声を上げた。
 茶色をベースにした管理局地上部隊の制服はヴィータの小さな体にフィットしていた。
「ああ、あんがとよ……」
 ヴィータは少し照れたように、頬を掻いた。
「じゃあ、くすぐっていい?」
「……は?」
 なのはの突然の提案はヴィータを困惑させた。
 なのはは聞き返すヴィータの四肢をバインドで拘束した。ヴィータの体はたちまち空中でX字に拘束された。
「ちょっ!? わ!? はぁぁぁ???」
 ヴィータは素っ頓狂な声を上げた。
 なのははてへっと舌を出して笑い、
「私、可愛いものを見るとくすぐって笑わせたくなる性質があるんだよ」
「性質ってなんだよ!? わけわかんねーよ! 離せよ!」
 ヴィータは体をよじる。
 が、なのはのバインドは強力で、まったく歯が立たない。
「HEY!」
 なのはが言うと、ぽん、ぽん、とマジックハンドがヴィータの周囲に出現した。
「お、おいっ!? こら、やめ――」
 ヴィータの制止も聞かず、マジックハンドはヴィータの脇腹を揉みほぐし始めた。

「うひゃっ!!? あはははははははははっ!? なななっ、なにすんだぁぁあははははははははは!!」

 ヴィータはたまらず笑い声を上げた。
 ジャケット越しとは言え、ヴィータはかなりのくすぐったがりだった。

「ヴィータちゃん。つり目だから、笑顔になると一段と可愛く見えるね! もっと笑おうよ!」

 なのはが言うと、さらにマジックハンドが増え、ヴィータの腋の下をこちょこちょくすぐる。

「うはぁあぁはははっ!? なのっ、なのはぁぁっはっはっはっはっは!!!? やめろぉぉ~~はははははははは!!」

 ヴィータには何がなんだかわからない。
 何故制服姿を見られただけでこんな目に遭わなければならないのだろうか。
 マジックハンドは指を器用に動かし、脇腹のツボや、腋の下の骨をしごくようにくすぐってくる。

「あひゃあぁあっははっはっははっはっはだっはっはっはっは!!! やだぁぁああ笑いたくないぃぃぃっひっひっひっひっひっひ~~!!」

 目に涙を浮かべ、ヴィータは笑い叫んだ。

「そんなこと言わないで! ヴィータちゃん、今、すっごく可愛いよ!」

「うるさいぃぃいっひっひっひっひっひ~~!! なのはごらあぁああっはははははははははははははは!!!」

 首をぶんぶんと左右に振りヴィータは暴れる。
 体はびくびくと痙攣するように動いている。

「ヴィータちゃん怒らないで! 笑って笑って」

 ヴィータの足元に出現したマジックハンドが、ヴィータの靴と靴下を脱がし取り、放り捨てた。
 そのまま、わちゃわちゃと素足の足の裏をくすぐり始める。

「やぁぁあっはっはっはっはっはは!!? だぁぁあっはははははははやめろぉぉ~~やめてぇぇぇええひゃははははははははははは!!!」

 ヴィータは身をよじって笑い狂う。
 両手の指や足の指が激しく暴れもがいている。

「可愛いよヴィータちゃん! 制服よく似合ってるよ! ほらほら楽しい楽しい」

「楽しいわけあるかバカぁあぁああひゃひゃひゃひゃひゃ!! うひゃあぁああぁあ~~っはっはっはっはっはっはっはぎゃぁああ!!!」

 開きっぱなしの口からは涎が垂れ流れ、見開かれた目から涙が溢れる。
 鼻水まで噴出し、ヴィータの顔はぐしゃぐしゃだった。

「あひゃひゃひゃひゃひゃだぁあぁああははははははははは! もうやべぇぇええうへへへへへへへへへ!!!」

 ヴィータは泣き叫び喚き、結局一時間あまりくすぐられてようやく解放された。
「うへ……あひ、いひ……」
 意気消沈してぐったりと床に倒れ込んだヴィータに、なのははにっこりと笑いかけた。
「ヴィータちゃん。また遊ぼうね♪」
 このように、管理局の白い悪魔に目をつけられた新人局員は、ときどきオモチャにされる。


(完)