ある夜、高町ヴィヴィオは入浴中、頭をゴム製の頭皮ブラシで洗っていて、
(あ、これでアインハルトさんの足の裏をごしごししたい)
 ふと、そう思い立った。

「ヴィ、ヴィヴィオさん!? これは何ですか?」
 翌日、高町家に招かれたアインハルト・ストラトスは、ソファーの上に座り手前の机上に左足を載せた状態で両手両足をバインドで拘束されていた。
「ごめんなさい、アインハルトさん。私、アインハルトさんの綺麗な足の裏、コレでごしごしごーしごしやりたくなっちゃったんです」
「えっ、それって……」
 アインハルトはヴィヴィオの手にあるブラシを見て、さっと青ざめた。
「や、やめてください! そんなもので足の裏なんてこすられたらっ、私……」
 想像してしまったのかアインハルトは身震いした。
 机の上にのったアインハルトの左足は素足にされており、足指すべてがバインドで拘束され、くっぱりと開かれていた。
 おかげで足の裏全体がピンとつっぱっており、指を縮こまらせることも、足裏の筋肉をよじることもできない。
「さ、最近ヴィヴィオさんおかしいです! いったいどうしてしまったのですか!?」
「おかしくないですよ。さ、アインハルトさん」
 じりっと、ヴィヴィオは頭皮ブラシを構え、
「やっ、ヴィヴィオさんやめ――」
 いきなりアインハルトの足の裏へこすりつけた。

 ごしごしごしごし。

「ふひゃへへへへへへへへへっ!!!? はひゃぁあああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!?」

 アインハルトは一瞬たりとも耐えることができず、笑い出してしまった。

「ヴィひぃぃぃひひひひひひひひひひひひヴィヴィオさんひゃめへぇぇえええふへへへへっへへへへへへへへへへへっ!!!」

「アインハルトさん、気持ち良くないですか? こうやってごしごしすると、血行がよくなるんですよ」

 ヴィヴィオは言いながら、ブラシを激しく上下に動かす。
 10本ほど付いたゴム状の歯は、ぐねぐねとしなりながら、アインハルトの白い素足の皮膚をなであげる。

「はひゃぁあぁあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!? ほんとにぃぃひひひひひひひっひ、はたまぁああっ!!!? 頭おかしくなりまひゅぅぅうううひひひひひひひひひ~~!!!」

 アインハルトは目を見開き、舌を出して笑い狂った。
 指一本まったく動かすことのできない左足は、わずかに土踏まずがひくひく悶えるのみ。上半身はあまりのくすぐったさによじれて踊りくねっていた。

「アインハルトさん、すごくいい表情ですよ。そんなに気持ちいいですか?」

「きもひひょくにゃんかぁあぁひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!? ひゃめあぁひゃぁぁあああああはははははははははは!!」

 アインハルトはぶんぶんと首を左右に振った。

「ふひゃひゃひゃひゃ!! こんにゃにゃははははは、大声出したらひゃひゃひゃ!!! 近所迷惑にぃぃぃぃいいいいふひゃへへへへへへへへへへへ!!!」

「大丈夫ですよ。今日はママもいないし、いつもはもっと騒がしいですから」

「いひゅも何やってるんでひゅかあぁああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃぽぴぃぃぃぃっぃ!!!」

 ヴィヴィオはアインハルトの足の裏をこすり続けた。
 笑い狂うアインハルトを見ているうちにトランス状態に入ったのか、ヴィヴィオの顔は徐々に紅潮していく。

「ふあぁ、アインハルトさん、すごくいいですよぉ」

「なひゃひゃひゃひゃ何言ってるんですかヴィヴィオしゃああはへはへはへはへはへっ!!」

 とろんとした顔でアインハルトを見つめるヴィヴィオ。
 すると、
「……あ、アインハルトさん、私――」
「ひゃはっ……へっ?」
 突然ヴィヴィオが倒れ、バインド拘束が解かれた。
「ヴィ、ヴィヴィオさん!? 大丈夫ですか?」
 アインハルトが駆け寄ると、ヴィヴィオは恍惚の表情でへらへらと昇天したような表情を浮かべていた。アインハルトの笑い顔に興奮しすぎたらしい。
 アインハルトは逆に恥ずかしくなった。

 そのとき、

「ただいまー」
 玄関から声が聞こえた。
「えっ」

 ガチャリ。

 なのはが部屋に入ってきた。
 なのはは一瞬固まると、倒れたヴィヴィオとその前にいるアインハルトを交互に見た。
「あ、ヴィ、ヴィヴィオさんのお母様……これは、あのぅ」
 アインハルトは焦って言葉を窮してしまう。
「アインハルトちゃん……。少し、頭、冷やそうか?」

 この後、アインハルトはなのはに死ぬほどくすぐられた。


(完)