それは、機動六課ができる前のこと。

「んぅ……あ、ああっ!?」
 ヴィータは目覚めて驚きの声を上げた。
 体がベッドに寝かされ、両手を頭の上でバインドで拘束されているのだ。
 地上部隊の制服である茶色のジャケットは脱がされて、ワイシャツ姿だった。
「ヴィータちゃん、おはよう!」
 声がして、ヴィータはびくっと振り返る。
 なのはが添い寝をしていた。
「な、なのは……」
「んもう、最近ヴィータちゃん、起きるの遅いよぅ待ちくたびれちゃった」
 なのははにっこりと微笑んだ。
 ヴィータは「ひっ」と恐怖に頬を引きつらせた。
「な、なんだよ……。なんであたしばっかり……てか、なんであたし、あれ? さっきまで……」
「うん。ヴィータちゃん、最近なかなか捕まらないから、食事に一服盛って、拉致しちゃった。てへ」
 なのはは悪びれた様子もなく舌を出して笑った。
「なんだよそれ……もう勘弁しろよ」
「ヴィータちゃんどうしたの? 前までもっと強気だったのに。そんな怯えた表情しないで。ヴィータちゃんは笑った方が可愛いんだから」
 なのはは言うと、ヴィータのガラ空きになった腋の下を人差し指を押し当てた。

「いひゃあぁぁっ!!? やめっ、やめろぉぉ~~~あはははははははははっ!!!」

 くりくりと人差し指でひっかくだけで、ヴィータは大笑いを始めた。

「ほぉら。ヴィータちゃんはやっぱり笑顔が一番だよ」

「あひゃははははははははははやだぁぁあああああっ!!! やめひぇ~~っひゃっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 なのはが両手をヴィータの腋の下にあてがって、こちょこちょと指を動かすと、ヴィータは上半身を左右にねじって笑った。
 自由な両足をジタバタと動かし、宙を蹴り、必死にもがいている。

「あひゃひゃひゃははははははっ!! ホントにやべぇえっ、やめるのだぁぁあっはっはっははっはっはっはは~~!!!」

「やめるのだって、ヴィータちゃん口調が変になっちゃってるよ? かわいいなぁ」

 なのはは言うと、ヴィータの膝の上に乗っかり、足を押さえつけた。
 靴下を脱がし、素足にした両足の裏をさわさわとくすぐり始める。

「うひひひひひひひひひっ!!? 嫌あああははははははははは!!!」

「あはは。足の指びくびくって可愛いよ、ヴィータちゃん」

 なのはは、ヴィータの足の裏をガリガリと掻きむしった。

「あぁあああはははははっ!! ひぎゃぁあああっはっははっはっはっははっはっはっはおねがぁあはひぃぃぃっひっひっひ!!! なのはやめぇぇぇえぇえうひひひひひひひひひひひ!!!」

 首を左右に激しく振って、涙を流して笑うヴィータ。

「ヴィータちゃん最近ホントにくすぐったがりになったんじゃない? 昔はもっと我慢できてたのに」

「だぁぁあかりゃあぁなのはのせいだってぇぇえええひゃひゃはははははははははははははは~~っ!!! あがぁぁあああ~~笑い死ぬぅううううひゃはははははははははははっ!!!」

 その日もヴィータは、失神するまでくすぐり倒された。


(完)