St.ヒルデ魔法学院初等科仲良し三人組、高町ヴィヴィオ、コロナ・ティミル、リオ・ウェズリーの休養日。
 高町家の一室で突然始まった「くすぐり遊び」の、二番目のくすぐられ役は、ヴィヴィオだった。

 ベッドに仰向けに寝そべったヴィヴィオは、数分前にコロナがしていたように、ベッド上部の格子を握り、万歳の体位を作っていた。

「えへへ、負けないよー!」
 ヴィヴィオは笑って意気込む。

「ほー、余裕かましてくれるじゃんヴィヴィオ」
「3倍返しだよぉ?」

 リオとコロナは、ワキワキと指を動かしながらヴィヴィオを取り囲む。
「わわっ、これ、結構怖いんだね。なんか……ぞくぞくしてきたよ」
 ヴィヴィオは萎縮したように、腕をぷるぷると震わせた。

「えい!」

「きゃんっ!?」

 と、突然コロナが人差し指でヴィヴィオの腋をつついた。
 ヴィヴィオはたまらず手を離し腋を閉じてしまう。

「あーヴィヴィオの負けだー」
「ヴィヴィオ全然じゃ~ん、これじゃつまんない」
 コロナとリオが笑う。

「もう、コロナずるいよぉ~。えっと、今のはノーカン?」
「ごめんね~」
「ノーカンノーカン!」

 仕切り直して、
「じゃあいっくよー! 3、2、……」
「う~緊張するよぉ……
 呟くヴィヴィオ。リオとコロナは顔を見合わせると、カウントダウンが終わるのを待たず、ヴィヴィオの腋をくすぐり始めた。

「きゃはははははははっ!!? なっ、いきなりずるいぃぃ~~やははははははははっ!! あぁあぁああっ!」

 途端にびくんと体を上下させて暴れるヴィヴィオ。
 しかし数秒もたたないうちに、ヴィヴィオは腋を閉じてしまう。

「わっちょっと」
「あわわっ」

「ふひぃ……」

 ヴィヴィオは自分の腋を押さえて、涙目になっている。

「ヴィヴィオ~! ちょっとは我慢してよ、つまんないじゃん」
 リオが言う。
「ヴィヴィオ、意外とくすぐったがりだねー」
 コロナもくすくすと笑った。
「仕方ないよぉ、二人ともいきなりなんだもん」
 ヴィヴィオはう~と不服そうに唸った。

「あ、そだ」
 と、リオはぴこんと頭上に電球を点けた。
「あんまり我慢できないとつまんないからさ――」
 リオは先ほど脱がしたコロナのニーソックスを拾い上げ、
「――縛っちゃおうか」
「え」

 ヴィヴィオはコロナのニーソックスで両手首を縛られた。
「ちょ、ちょっとリオ!? コロナ!?」
 さすがのヴィヴィオも慌てている。
「んじゃあ、やりますか~」
「うん」 

「ちょっと待って! ルールと違――」

 ヴィヴィオは必死に制止を求めるが、リオとコロナは容赦なくヴィヴィオの無防備な体をくすぐりはじめる。

「きゃはっはっはっはっははっ!!? ちょとおぉああぁぁあ~~っはっはっははっっははは動けないよぉぁあははははははははははははっ!!!」

 万歳のまま閉じることのできない腋の下を、リオにくすぐられ、ヴィヴィオは悲鳴のような笑い声を上げる。
 コロナヴィヴィオの膝の上にのってぺたんとアヒル座りをして、ソックスを履いたヴィヴィオの足の裏をくすぐった。

「やぁぁあぁあっははっはははっははっははふたっ! 二人ともやめてぇぇ~~ははっはははははははははははは!!!」

「だめだよヴィヴィオー。わたしをくすぐった時間ぐらいは我慢してもらわなきゃ」
 コロナはすっかり仕返しモードに入ってしまったらしく、にっこり笑い、ヴィヴィオの両足の裏を爪でこすり上げる。

「きゃっぁあっはっははっはははっはっ!!! そゆっ……そういうルールじゃないよぉぉ~~ああははははははははははははふやぁぁ~~!!」

「まーまーそう固いこと言わずにー」
 リオもにやにや笑いながら、ヴィヴィオの腋の下をわちゃわちゃくすぐる。

「うひゃひゃひゃあははははははっ!!! ホントにムリぃぃぃホントにだめぇぇえあぁあああっはっはっはっははっははっはっは~~!!!」

 髪の毛を振り乱して笑い狂うヴィヴィオ。
 コロナはいつの間にかヴィヴィオの両足からソックスを脱がし、素足にしていた。
 足の指を掴んで反らし、つっぱった付け根の部分をなでなでとくすぐる。

「いやぁあぁぁあっはっははっははっははこりょにゃぁぁあっははははははっ!! 直はだめぇぇえやははははははははははははは!!!」

「そっかそっか直はダメか~」
 リオは意地悪く笑うと、ヴィヴィオのシャツをまくり上げ、くびれたお腹、脇腹を直にくすぐりはじめた。

「あきゃっははっはっははっははっ!!? うひゃぁぁああひひひひひひひひひひひダメダメダメえぇええぇえはははははははははははりおぉぉ~~うひゃひゃひゃはははははは!!!」

 結局ヴィヴィオは、コロナの倍ぐらいの時間、くすぐられ続けた。
「ひひぃ……ほ、ほんとに、……息が、止まるかと思ったよぉ」
 解放された後も、ヴィヴィオはしばらくぐてっと動けなかったので、少し休憩を挟んだ。


(つづく)