やぁ! 僕はゴーストバスターのケン!
 何やら島の共同住宅に悪霊がいるって噂を聞いたから、退治しに来たよ!

「……はぁ?」

 おっと、そんな、なんのことやらわからないってとぼけた表情で首を傾げても駄目だぜ、お嬢さん。君が悪霊だということはお見通しなのだよ。さっそく除霊の儀式を始めさせてもらうよ。
 そぉれ。

「……っ!?」

 ほらほら、油断してるからあっという間にグルグル巻きさ。
 ん? なんで触れるのかわからないって顔だね。
 さっき言ったろう?
 僕はゴーストバスター。人間にでも見えたのかな?

「や、……やめて」

 おや? さっきまであんなふて腐れた態度を取っていたのに、この状況になってから急に怖くなったのかな?
 大丈夫。
 除霊って言っても、君が成仏してくれるって言うなら何もしないよ。

 さて、お嬢さん。
 成仏してくれないか?

「……っ」

 顔を背けて沈黙しても駄目だよ?
 まぁ、今まですんなり成仏してくれた悪霊なんていなかったから、はなから期待してなかったけれどね。

「……」

 震えてるよ? そんなにこの世に未練があるのかな?
 僕も仕事だからね。
 さて、と……。
 それにしても、綺麗な足だねぇ?

「きゃっ!? ……んぁぁんっ」

 急に触られてびっくりしちゃったかな?
 除霊の儀式は初めてかい? あ、そりゃそうか。
 うん。
 敏感な子にはちょっときついかもしれないねぇ。

「きゃはっ、ははっ!! やぁぁ~~!」

 悪霊のなのに暑がりなのかな?
 こんなに露出して……。ちょっとはしたないかな?

「あははははははっ! やだぁっ! 足っ、足の裏ひっかかないでぇ~~!」

 露出してるくせに敏感なんだ?
 それじゃあさそってるようにしか見えないよ?
 どれ、それじゃあ指の間も。

「やはははははははははっ!!! いやぁあ~~ははははははっ!」

 暴れても無駄だよ。
 これは特殊な縄だからね。いかに豪腕な悪霊でも逃れられない。

「嫌ぁぁあっはっはっっはっはっははやめてぇぇ~~! くすぐったいぃぃ~~やぁぁあっはははははははははは!!」

 白くてなめらかな肌触り。
 日々手入れをかかさないようだね。

「あぁぁ~~っはっはっはっはっっはっっはやぁぁあぁ、そんなとこやめてぇぇ~~いひゃはははははは!!」

 しばらく笑っていれば、ぼーっとしてきて、自然と成仏できるからね?

「いやぁぁあぁ~~!! 死にたくないぃぃぃ~~ひっひっひっひっひっひやめてぇえ~~!!」

・・・

 後日、『ゴーストバスター』を語ったインチキ霊能力者は、盗賊の若頭と名探偵に見つけ出され、なぶられた。
 いくらくすぐったところで、普通の霊はもちろん、龍ヶ嬢七々々(りゅうがじょう ななな)は成仏できない。


(完)