「君、かわいいね。一緒に遊ばない?」
「え……、あ、あのっ、ごめんなさい」

 夜道。
 萩原雪歩がひとり歩いているのを見つけ、男はすぐに声を掛けた。
 案の定断られたので、力尽くで茂みの中へ引きずり込む。

「や……っ、え、いやっ、やめてくださいっ」

 雪歩は泣き出した。
 よほど男性が怖いらしい。
 暴れる彼女を地面に押さえつけ、手首を手持ちの縄で縛る。さらに足を引っ張って伸ばし、足首も揃えて縄で縛った。
 夏場で蒸し暑いためか、彼女は花柄のワンピースにサンダル姿だった。

 男は、雪歩の足を抱えて持ち、サンダルを力任せに引きはぎ、放り捨てる。

「やっ、やぁ……っ」

 あっという間に両足とも素足にされ、ぽろぽろと涙を流す雪歩。
 歩行時間が長かったのか、雪歩の足は少し赤くなっていた。
 きゅっと縮こまる足指。
 足の縁には、土埃がついていた。

「大丈夫、痛いことはしないよ?」
 男は言うと、雪歩の足の親指を掴んで反らした。

「ふ、ふぇっ?」

 雪歩が何をされるのかと、首をもたげた瞬間、男は勢いよく雪歩の足の裏をくすぐり始めた。

「……ふひゃっ!!? あひゃひひひっひひひっひひひひひひっ!!!? ななな、なんですあかぁぁあ~~~~ひゃひゃひゃひゃ!!」

 途端に破顔して大笑いを始めた雪歩は上半身を左右にねじりながら叫んだ。
 しゃりしゃりと足の裏の皮のが擦れる音が、茂みに響いた。

「ひやぁああぁあひひっひひひひひひひひひっ!!! やめっ、やめてぇぇ~~~ひゃっひっひっひっひっひっひっひっひっひ~~!!」

 大声で笑い叫ぶ雪歩。
 男は爪を立て、ガリガリと反り返った足の裏を貪った。
 彼女の足指が必死に丸まろうと力が入っている。

「ほらほら。笑った方がかわいいじゃないか。おどおどせずに笑っていればいいのに」

「嫌ぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃ!! ひゃめひぃぃぃ~~ひひひひひひひひひひ、こんなのいやぁぁ~~!!!」

 雪歩は背中を地面に打ち付けて暴れた。
 綺麗なワンピースはあっという間に土と汗で汚れてしまう。

「なかなか足の指の力が強いね。押さえつけてカリカリしてあげよう」

「ふひぃぃぃぃ~~ひひひっひひひひっひっ!!? やぁぁあ!!! ひやぁぁぁあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

 足の指の間や付け根に爪を立てられ、雪歩は悲鳴を上げる。

「こんなに敏感なのに素足を晒してた出歩くなんて、はしたないなぁ」

 男は挑発するように言いながら、反り返った足の裏を引っ掻き続けた。

「やぁぁぁ~~ひゃっひひひひひいひいぃぃひいっぃいひひひひひひひふひゃぁぁあぁ!!」

 通りかかった警官に助けられるまで、雪歩は笑わされ続けた。
 この後、雪歩の男性恐怖症が悪化した。


(完)