「働かざる者食うべからず!」

 美樹さやかの家に居候中の佐倉杏子は、突然そんなことをさやかに言われ、短期バイトを探していた。

「お嬢ちゃんにぴったりの良い仕事あるよ」
「はぁ?」
 うさんくさい求職センターのおっさんに提示されたのは、
「『くすぐりパートナー募集』?」
「そそ」
「なんだこれ? いかがわしいバイトじゃないのか?」
「ノンノン。ちょっとくすぐられて笑うだけ。笑うのは健康にいいし一石二鳥。しかも日当五万」
「五万!?」
 杏子は不安を感じながらも、そのバイト紹介を受けた。

 数日後、杏子は指定されたホテルに向かった。
 私服は一着しか持っていなかったが、むしろそれが良いと太鼓判を押された。
「……なんかおかしい」
 扉の前まできて、杏子は不安に駆られる。
 呼び鈴を押そうか押すまいか迷っているうちに、中から大学生ぐらいの男が顔を出した。
「杏子ちゃんだね? 話は聞いてるよ。ささ、入って」
「う……」
 促されるまま、杏子はホテルの部屋に入った。
「さ、ベッドに横になって」
「え」
「大丈夫。初めてなんだろ? 俺がリードしてやるよ」
「あ、……いや、そうじゃなく――!?」
 杏子はいきなり男に押し倒された。
「ちょっ!? こら、やめろっ」
 華奢に見えた男の力は意外にも強く、杏子は手首を縛られ、ベッドの格子に括り付けられた。
「……っ!!」
 杏子は犯される恐怖に目をつぶった。
「あ、そうか。犯されると思ったのか。大丈夫だよ。バイトで告知した以上のことはやらないよ。くすぐるだけ」
 男はやさしく諭すように杏子に語る。
「ほ、ホント、かよ……」
 杏子は訝しげに眉をひそめた。
 男はにっこりと笑い、
「そうそう。だから、そんな不安そうな顔せず――」
 両手を杏子の脇腹へ添えた。
「笑いなよ」
 男の指がきゅっと杏子の脇腹へ食い込む。

「ひゃっ!!? んはっはっはっはっ……ちょ、やっ、あぁあぁあああああああああはははははははははははは!!!」

 ぐりぐりとえぐるように男の指が杏子の脇腹を刺激する。
 杏子は初めての刺激に、たまらず大声で笑ってしまった。

「やっぁあああっはっはっははっはっははぐるしっ!!! 苦しいいぃぃぃっひっひっひっひっひっひっひっひ!!!」

 髪の毛を振り乱して笑う杏子。
「へぇ。杏子ちゃん、八重歯かわいいね。もっとその可愛い笑い声を聞かせてよ」
 男は十本の指をバラバラに動かし、杏子の脇腹からアバラをくすぐった。

「あぁああああっはっはっはっはっははっはははっ!!! こんなのぉぉ~~何がたのしいってぁぁあぁひゃははははははははははははは!!!」

 杏子は目に涙を浮かべて泣き叫ぶ。
 自由な足がじたばたと激しく蹴るように暴れた。

「そうか。杏子ちゃんはくすぐりの良さがわからずにこのバイトを受けちゃったんだねぇ。やっぱり日当目当てかな?」

「あひゃっはっはっははっっはは当たり前っ、あたりまぇだひゃぁあぁぁ~~っはっはっははっはっはっははは!!!」

「じゃあ今日はお兄さんがい~っぱい開発してあげよう」

 男は言うと、ベッドの上で暴れる杏子の足に乗っかり、ブーツに手を掛けた。
 突然くすぐりとまり、杏子は大きく咳き込んだ。
「げほげほげほっ……あ、や、それは――」
 杏子が制止しようとするも遅く、男は杏子の左足からブーツが脱がし取られた。
「ぅあ……」
 杏子は開放感に思わず声を漏らしてしまった。
 その日は一段と暑く、ブーツの中はかなり蒸れていたのだ。
「ふふ。さすが長時間歩き回っただけのことはあるね。しっとりと蒸れていいかんじだ。臭いも……すんすん。ばっちりだ」
「や、やめろ、よぅ……」
 恥じらいに疎い杏子も、生足を直に嗅がれるのは恥ずかしかった。
「ほぉ~ら。蒸れ蒸れの足の裏は敏感かなぁ?」

「うひゃぁあああああああ~~!!?」

 男が、人差し指で杏子足の裏をなぞり上げたのだ。
 杏子の足の指が、びっくりしたように反り返る。

「うんうん。良い反応だ。じゃあ土踏まずの真ん中を人差し指でほじくってあげよう」
 男は、足元が見えない杏子のために丁寧に説明しながら、足の指の付け根の膨らみをガリガリと五本の指で引っ掻いた。

「ふぎゃははははははははははははっ!!!? いぎゃぁぁあっはあっはっははっははっはははっ!!! なあなあぁぁひゃひゃひゃひゃっ、言ってたのと全然ちがうぅうううひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!」

 杏子は甲高い声を上げた。
「うん。素直な杏子ちゃんもかわいいね」

 男に足の指を掴まれ引き伸ばされくすぐられると、杏子はびくんと体を仰け反らせた。

「あがぁぁああああああひゃはははははははやぁぁあぁっはっはっはっはっはっはっははっっは!!!」

 杏子は初めての感覚に頭がおかしくなりそうだった。
 育ちのために靴下を穿く機会は生まれてからほとんどなかった。
 それゆえ、ブーツに覆われた素足は蒸れているのが普通だった。

「指の股もしっかり蒸れてるね。良い子良い子」

 男は、杏子の足の指の股へ手を突っ込み、爪の先でこそぐようにくすぐった。

「あひゃぁあああひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? どどどこさわってんにゃぁぁあぁあああひゃはひゃひゃひゃひゃひゃひゃうひぃぃぃ~~~っひぃぃぃぃぃいぃ!!!」

「こういうチロチロと小刻みにくすぐられると楽しいだろう?」

「ふへぇぇえええ~~~ひぇっひぇっひぇっひぇ楽しくないぃぃぃっひっひっひっひっひあがぁあぁぁぁぁくるっちまうあがぁぁぁぁあはっはっははっはっはっはっははっはっはあ!!!」

 杏子は白目を剥いて泣き叫んだ。
 口からは涎が流れ出て、いくら笑っても腹の底から再び笑いがこみ上げてくる。

 足の裏から送られてくる刺激はそれほど強烈だった。

「やぁぁあぁああああああやべろぉぉぉ~~ひひひひひひひひひあががががいっだんすとぉぉぉぉ~~~ぴひひっひっひっひっひっひっっひっひひ!!!」

 数分間くすぐられ続けた杏子はほとんど発狂状態だった。
 びくびくと身体中を震わせ、ひとしきり甲高い悲鳴を上げたかと思うと、

 ぷしゅ。

「あ~漏らしちゃったか。そんなに気持ちよかったんだねぇ」
 男はニコニコと笑いながら、さらに貪るように杏子の足の裏をくすぐる。

「ぎもぢぐないぃぃぃぃぃ~~~~ぎもぢぐないのにぃぃぃ~~~ひっひっひっっひっひっひひいがぎゃぁぁぁあああああひゃっひゃっひゃっひゃっひゃはふひゃぁぁぁあああ!!!」

 杏子はさらに二回、三回と失禁するまでくすぐられた。
 足の裏をくすぐられた時間は合計で二時間程度。
 杏子の顔は涙と涎でぐしゃぐしゃだった。

「うへへ……へひゃ……ひぎぃ……ふひ」

 男がすでに帰り支度を完了しても、杏子はとろんとした目でベッドに仰向けに寝そべったままだった。

「ふふふ。足の裏だけでこんなになるなんてキミが初めてだよ。どうだい? また来て、くれるよね?」


(完)