ローズヒップは目覚めてすぐ、半狂乱に陥った。

「動けませんわ! かっ飛ばせませんわ! 死んでしまいますわ!」

 さすが聖グロリアーナ学園一のスピード狂。
 動けないことがよほど不安らしい。
 四肢を拘束して大の字に寝かせるのは、彼女にとっては酷すぎるか。

「外してくださいまし! ああっ! 禁断症状が! 足が勝手に!」

 拘束は外れないものの、がちゃがちゃと激しく足を震わせるローズヒップ。
 ちなみにブーツと靴下は脱がして素足にしてある。
 足指がグーとパーを激しく繰り返す。
 本当に、呆れるほど落ち着きがない。

 さっそく、マジックハンドを投入してみる。

「なんですのっ!? 真打ち参上ですの!?」

 彼女は訳のわからないことを喚きながら手足をがちゃがちゃと動かす。
 左右からにょきにょきと生え出た六本のマジックハンド。
 腋、脇腹、足の裏を同時にくすぐりはじめる。

「おにょおおお~~~ほほほほほほほほほほほっ!!?」

 びっくりしたように甲高い声で笑い出すローズヒップ。

「ほにゃっははっははっははっはは!! ちょっとなぁぁぁぁっはっはっははっは!? やめてくださいましぃぃぃ~~っひっひっひっひ!!」

 スピード狂も、くすぐりには弱かったらしい。
 体を激しく震わせて笑い狂う。

「マジで無理っ!! マジ無理ですのおおぉぉほほほほっ、ひぃぃ~~!!」

 目に涙を浮かべて大笑いしている。
 下品な笑い方は、とてもお嬢様に見えない。

「にょおぉぉっ!! リミッターぁぁ! リミッター外れてしまいますわぁぁあっっはっはっはっはっはっははっははふひゃぁああ!!!」

 たとえリミッターが外れても、
 かわいいからやめてあげない。


(完)