「おはよう。クリちゃん。眠そうだね」
「ふぁ……、あ、アリサ、おはよー……。昨日の宿題難しくって、夜中までかかっちゃって……。いいよね、アリサは頭良いから」
「そんなことないよー」

 二人の少女が笑い合う。
 ともに●●中学の制服を着ている。
 クリちゃんと呼ばれたおさげの少女と、セミロングのアリサという少女。

 二人の後ろに、黒塗りの車が一台あり。中の男達がその様子を眺めている。

「あれが噂の天才少女か」
「ええ。まだ14歳ですが、すでに海外の大学の修士を持っています」
「そうか。それは役に立ちそうだな……」

 ゆっくりと車が発進した。

~~~

 アリサが目を覚ますと、そこはコンクリートに囲まれた薄暗い部屋だった。

「……え、なに……?」

 アリサはきょろきょろとあたりを見回した。
 両手が動かないことに気づいた。
 彼女は両手を大きく横に広げ、手首を壁に金具で拘束されているのだ。
 身長よりもやや高い位置で固定されているため、つま先立ちになっていた。

(誘拐……!?)

 アリサは自分の体を見下ろした。
 服を脱がされた形跡はなく、中学の制服のままだ。
 レイプされたわけではないらしい。

「目が覚めたようだね」

「……っ!?」

 アリサが声のした方へ顔を上げると、サングラスを掛けた男が二人立っていた。

「だ、……誰ですか? なんのために、こんなこと……?」

「ちょっと我々の研究に協力してもらいたくてね」

「協力……?」

~~~

 男達の説明を聞いて、アリサは愕然とした。
 なんやかんやで、彼らの研究には力を貸せないと思った。

「そんなこと……私にはできませんっ」

 アリサは男達へ必死に拒否の意思を伝えた。
 男達は残念そうにため息をついた。

「ほぅ……これを見てもそんなことが言えるかな?」

「えっ?」

 男の一人がリモコンを取り出した。
 操作すると、アリサの目の前に大きなスクリーンが現れる。

 アリサは目を見開いた。

 映し出されたのは、友人のクリちゃんだった。

「きゃははははははははっ!!! いやぁぁあっはっはっはっはっはっはっは~~!!」

 甲高い声で大笑いするクリちゃん。
 彼女はX字に体を広げられ台の上に拘束されていた。
 制服は乱れ、靴と靴下は脱がされて素足だった。
 台の下から生え出た数十本のマジックハンドに、全身をくすぐられている。

 わきわきと不規則に指を動かすマジックハンド。
 腋の付け根や足の付け根に入り込み、脇腹をぐにぐにと揉みほぐし、足の裏をガリガリとひっかいている。

「きゃぁぁっはっはっは、やめてぇぇ~~~~やだぁぁあはっははははははははははは!!!」

 クリちゃんの目には涙が浮かんでいる。
 長時間笑い続けたのか、声は枯れ、口元は涎で汚れている。

「どうだ? 我々に力を貸してくれないかな?」

「クリちゃん……っ!」

 アリサは友人の苦しむ姿を見ていられず、目を背けた。
 自分が協力の意思を表明すれば、クリちゃんは解放される。

(でも、あんな恐ろしい計画に荷担するなんて……)

 アリサは男達に聞かされた計画の内容を思い出し、身震いした。
 アリサはどうしても首肯することができない。

「あぁああああああ!!? ぁあばぁあははははははははははははは!!!」

「……クリちゃんっ!?」

 スクリーンに映ったクリちゃんの声が突然甲高くなった。

「いつまでも君がしぶっているから、マジックハンドの動きを強くしてあげたんだよ」

「そんな……」

 クリちゃんの体中を這い回るマジックハンドの動きが速くなっている。
 彼女の火照った体はびくんびくんと波を打つように痙攣する。

「ぎゃぁぁははははっはははははははしぬぅぅうううじぬぅううううううひゃはひゃっひゃひゃひゃははははははぁぁぁあああ!!?」

 クリちゃんが絶叫する。
 スカートの下でぷしゅっと音がする。
 びくびくと体を震わせながら、彼女は勢いよく失禁した。
 直後、事切れたように気を失ってしまった。
 同時にマジックハンドも動きを止めた。

「おっと、強くしすぎたようだ。14歳の女の子には刺激が強すぎたかな」

「ひ、ひどい……」

 スクリーンが閉じられた。
 アリサは怒りと申し訳なさに打ちひしがれた。

「どうだ? 協力する気になったかな?」

 男が問う。

「……っ」

 アリサは答えられなかった。

「なら、君の体にお願いするしかないかな?」

「えっ」

 突然の機械音に、アリサは体を強ばらせる。

 すると、アリサが背中をつけた壁の横から、複数のマジックハンドがにょきにょきと生え出てきた。スクリーンの中でクリちゃんをくすぐっていたのと同じものだ。

「……ぃ、や、やめてください」

 アリサは自分が何をされるのか想像して、表情を硬くした。

「我々に協力してくれる気になったのか?」

「そ、それは……」

 アリサが言いよどむ。

「なら、仕方ない」

 男が言うと、アリサの周囲に生え出た数十本のマジックハンドが、一斉にアリサの体へ襲いかかった。

「……っうぷ!!!? ぷははははははははははははっ!!! あぁははははははははははははは!!?」

 上半身を埋め尽くすマジックハンド。
 腋、あばら、脇腹、お腹へ指を突き立てられ、たまらず悲鳴を上げる。

「あぁあははっははははははやめてぇぇえあぁぁっっはっはっはっはっはっはっは!!」

 アリサは首を左右に振って笑い狂った。

 足元のマジックハンドがアリサの足首を掴んで、運動靴を脱がしにかかる。

「いやぁぁっはっはっはっはっはっはは!! やだぁぁあ~~~ははははははははははは!!」

 アリサは足をばたつかせ抵抗するも、複数のマジックハンドに押さえつけられ、あっという間に靴下まで脱がされてしまった。
 アリサの靴と靴下を床へ放り捨てたマジックハンドは、彼女の素足の足の裏をくすぐり始めた。

「ひゃっ!? あははっははははははははははっ!!? こんなカッコっ……やぁぁっはっはっはっはっははっはっはははっはやだぁぁぁあひぃぃぃ~~!!」

 足首を掴まれ、がに股に広げられた状態で足の裏をガリガリと掻きむしられる。
 アリサは恥ずかしさとくすぐったさに顔を真っ赤にした。

 びくびくともがく足指。
 マジックハンドは指の間や、付け根にも指をねじこんでくすぐった。

「ひやははははははははははっ!!! やめっ、やめえぇいぃぃ~~~ひっひっひっひっひひっひっひっひひっひあぎゃぁぁああああ!!」

 アリサは髪の毛を振り乱し大笑いする。

「どうかね? 我々に協力してくれないか?」
 しばらくして、男が問うた。

「だめいぃぃい~っひっひっひっひっひ!!! できないぃぃぃっひひひひひひひひひひふぎゃぁぁぁ!!!」
 涙を流して笑いながら、アリサは必死に首を振った。

 すると、マジックハンドのくすぐりが強くなる。

「いぎゃぁあああああはははっははははははははは!!? なにゃぁあっ!!? だひゃぁぁあああ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 薄暗い部屋に天才少女の悲痛な笑い声が響き渡った。

~~~

 なんども失禁し、気絶し、ようやく彼女が墜ちたのは数日後のことだった。
 くすぐりと関係の無い事情は割愛するが、彼女の協力により、世界の片隅にまた一つ悪が栄えた。


(完)