もうそろそろ野球部の練習試合も終わった頃だろうかと思い、松田さんの携帯を勝手に確認した。
 文野(ふみの)さんという子から、なんども着信とメール受信があった。
『先輩、いまどこにいるんですか?』
『連絡ください』『試合始まっちゃいましたよ』
『みんな困ってます』
 いくつかメールを読んで、野球部マネージャーの後輩の子だとわかった。

 初々しい一年生か……。

 どんな子だろうと思い馳せていると、新たにメールを受信した。文野さんからだ。
『練習試合、終わりました』
 という業務連絡だった。
 良いタイミングだと思った。
 俺は、松田さんの携帯を使ってメールを打った。

 数分後、音楽室に文野さんがやってきた。
「先輩! こんなところでなにやってるんですか! ……っ!?」
 俺は、彼女が入ってきたところを後ろから羽交い締めにして、縛り上げた。松田さんになりすまして呼び出したのだ。ちょろかった。

 俺は、文野さんも松田さんと同じように椅子に縛り付けた。
 一年生の文野さんは身長150ちょっとぐらいで、ショートヘアの女の子だった。華奢なからだつきだが、元気で小回りが利きそうだ。
 練習試合が終わったばかりだからか、ジャージ姿だった。上は長袖で、下はクォーターパンツ。スニーカーソックスを穿いている。ちっこい足だった。

「あ、あ、あなた、誰ですか!? せ、先輩になにしたんですか!?」
 文野さんは、隣で自分と同じように椅子に縛られて、片足の靴下だけ脱がされて失神している松田さんを見て、怯えているようだった。
 俺は、文野さんも片足だけ拘束を解いて持ち上げ、スニーカーソックスをすぽっと脱がし取った。
 一日汗をかいたおかげか、かなり蒸れてニオイがきつかった。
「やっ! やめてください!」
 と、顔を真っ赤にして叫ぶ文野さん。嫌々をするようにくねくねちっこい素足をくねらせた。
 足の指も小さかった。松田さんより土踏まずのアーチがくっきりとしていた。

 俺は、人差し指で、そんな彼女の土踏まずをごりごりほじくってやった。

「きゃっ!!!? あひはははははははははははははっ!? なにっ!!? なんですかぁぁあああははははははははははははははあはは!!!」

 文野さんは足の指をくねらせて大笑いしてくれた。
 野球部の女子マネージャーは足の裏が弱い子ばかりのようだ。

「あはははははっははははははっ!!! ひぃぃぃ~~っひっひっひやめてぇぇえええ~~!!」

 涙を流して笑う文野さんはかわいかった。
 一日動き回って疲れただろう足は汗ばんでいた。
 汗で湿った足の指と指の股をほじくるようにくすぐると、一層甲高い声を上げてくれた。

「嫌ぁぁあああははははっはあはははははは!!!? そこだめぇぇえええっへっへっへっへっへっへっへっへ!!!」

 松田さんをくすぐったときは徐々に口調が変わっておもしろかったが、文野さんも反応がわかりやすくておもしろかった。

「あぁぁあっはっはっはっはっはは!!! なんでぇぇぇ!? なんでこんなことするんですかぁぁあはっはっははははははははははは~!?」

 マネージャーの仕事を終えたばかり、ジャージ姿の女の子が音楽室で足の裏をくすぐられて笑い狂う……。
 いったい彼女はどんな心境なのだろう……。

 想像を巡らせながらくすぐり続けていると、文野さんのジャージの上着のポケットで震動があった。
 彼女の携帯にメール受信があったようだ。
 俺は、文野さんが「やめてください!」と必死に懇願するのを無視して、彼女の携帯をひったくった。
『文野さん。いまどこ? 更衣室のカギ閉めたいんだけど』
 メールの送信者は『つるちゃん』と表示されていた。
 誰かと訊ねても、文野さんは答えなかった。
 脇腹を思い切りくすぐった。途端に文野さんは体を仰け反って笑い出した。
 椅子に縛られてまったく動けない状態で脇腹をくすぐられるのは、かなりきつかったと思う。文野さんは泣いていた。
「あひゃぁあぁはっはっはっはっはっは!! 言うううう!! 言いますからぁぁはあああははっはははは!!」

 文野さんによると、メールを送ってきたのは、彼女と同じ一年生の野球部マネージャー鶴海(つるみ)さんという女の子らしかった。
 着替えもせずに消えてしまった文野さんを心配……というか迷惑がってメールをよこしたようだ。
 俺は、文野さんになりすまして、鶴海さんにメールを打った。


(つづく)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 なんとなく野球部マネージャーをくすぐりたくて書きました。