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 画面が晴れると、今度はショートカットの女の子、齋藤さんの姿があった。
 ソフトボール部のマネージャーだったはず。上は制服のワイシャツのままで、スカートだけクオーターパンツに穿き替えていた。

『やめて! 放して!』

 齋藤さんもまた、岡田さんや広田さんと同じく、台の上で大の字に拘束されている。
 齋藤さんは、僕の元カノの大親友だ。
 いつも2人は一緒だった。僕の悪口を言うときだって……。
 そういえば、最初に僕のことを「きもい」と表現したのは彼女だった。「うわ、最低……」「あんなやつ。別れて正解だよ!」「ほんときもい!」「怖かったでしょう? おーよしよし」「今度は変態じゃない彼氏作らないとね」元カノを励ますために発された齋藤さんの言葉の数々。思い出す度に、僕は胸が締め付けられた。

 そんな齋藤さんの苦しむ姿……。

『きゃははははははははははっ!!? いぃぃぃ~~っひっひっひっひっひ、やめてぇ~~~!!!』

 ざまーみろ、なんて思えない。思っちゃいけないと思う。
 だけど、どうしても目を離せない。そして気づくと、僕の口元はほころんでいた。

『ぐひひひひひひひひひひ!! いぎゃぁあああっはっははっはははっはははっはあひぃぃいいぃぃいぃ!!?』

 5人がかりで全身をまさぐられて、泣き叫ぶ齋藤さん。
 くすぐったがり屋だったのかも知れない。

 最初は靴下の上から足の裏をくすぐられていた。

『あはっはっはっはっはっはっは!!! 足だけはっ!! 足だけはやめてぇぇえええひぎゃっはっはっはっはっはっは!!!』

 齋藤さんがそんな言葉を吐いた途端、足をくすぐっていた大学生が靴下を引っ張り脱がした。
 露わになった素足をより一層強く掻きむしられて、齋藤さんは狂ったように暴れていた。

『あぁあああああああははははははははははっ!!! ふぎゃぁああああっははははははははははははははははっ!!』

 足の指がびくびくと激しく動いていた。
 足が弱点だったらしい。

 弱点を重点的に責めるなんて……。
 
 僕は生唾の飲み込んだ。

 齋藤さんは髪の毛を振り乱し、ずぶずぶと鼻水を鳴らして大笑いしていた。

 15分間のくすぐりで、齋藤さんはすっかり参ってしまったようだ。ぴくぴくと口元を引きつらせながら「あへ、ふひひ……」と笑いを漏らす。見開かれた目からは涙が溢れていた。
 そこで画面はブラックアウトした。
 

(つづく)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 時すでに遅しって状況、結構好きです。