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 画面が晴れた。
 とうとうやってきた。
 台の上で拘束されていたのは、元カノだった。

 セミロングの髪の毛。ソフトボール部の練習の時は後頭部で一つにくくっている。
 時間的に、部活の途中だったのだろうか、練習用ユニフォームを着ていた。濃紺のポロシャツ、ハーフパンツ、足元はハイソックスだ。

『や、やめてください……。助けて……』

 彼女は目に涙を浮かべていた。
 少し胸が痛くなった。

 大好きだった彼女。

 僕の触れられなかった彼女の体に、5人の大学生の指が迫る。

『ひっ……いやっ……』

 彼女の怯えた顔。
 涙に潤んだ瞳。

 僕は震えていた。
 心臓が激しく高鳴っていた。 
 自分の指を噛んで、動揺を殺した。

 大切な物が、ぐちゃぐちゃに壊されてしまう……。

 そんな恐怖を感じた。

 だから余計に、目を離すことができなかった。

『くふっ――』

 指が触れた瞬間、彼女の口が緩む――、

『ぷはっ――ひはっはっはっはっはっはっはっはっは!!? あぁああああっはっはっはっはっはっはっはっははっはっはは!!!』

 次の瞬間、彼女は甲高い声で笑い出していた。

 男達の指が、彼女の体中を這い回る。
 彼女は、ブンブンと首を左右に振って、体をびくびくと震わせながら笑っている。

『嫌ぁぁあああっはっはっはっはっはっはっはは!!! やめてやめてぇぇえええはっはっはっはっはっはっはっは~~!!?』

 ハイソックスを穿いた足の裏は汚れていた。
 黒ずんだ足の裏に、男が爪を立ててガリガリとひっかく。

「だひひひひひひひひひひひひひっ!!? いぃぃいいっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 彼女は歯を食いしばり、もの凄くブサイクに歪んだ顔で笑っていた。

 僕の中の、彼女が壊れてゆく。

『ぎやぁぁああっはっはっはははっはは!!? うへへへへへへへ! ひぎぃぃいいいひっひひひっひっひっひ!!?』

 ハイソックスを脱がされて、素足の足の裏をくすぐられると、彼女の反応がより激しくなった。
 ポロシャツの裾にも手をつっこまれ、素肌をくすぐられている。
 むっちりした太ももも、膝も……。

『あひゃぁぁあひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!? やだひゃぁぁああっひゃっひゃっひゃっひゃふげぇぇえええへへへへへへ!!!』

 彼女の足の指と指のすき間に、こしこしと歯ブラシが差し込まれた。
 反対の足の指が、激しくもがいた。

『やべぇえええっへっへっへっっへっへへへ!! じぬぅぅううううひひひひひひひひひひひひ!!! やべでぇぇぇえひぇひぇひぇ!!』

 彼女は顔を涙と鼻水、涎でぐしゃぐしゃにして笑っていた。
 自慢だった可愛い顔立ちは、見るも無惨に歪んでいた。
 足元では男が、土踏まずをほじくり、踵を掻きむしり、指の付け根をなで上げた。

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 そこまで動画を見て、僕は限界だった。
 僕は激しく勃起していた。
 震えるほど恐ろしい感覚だった。
 背筋の奥からせり上がってくる、熱くて不思議な感覚……。あまりの快感に白目を剥いた。
 気がつくと、パンツの中に射精していた。
 精通だった。
 脱力して、動画に視線をもどす。
 画面の中の彼女も虚脱して、へらへらと余韻で笑っていた。

 画面の中の兄が、僕に向かって話しかけてくる。
『な? お前、くすぐりフェチだろ?』

 僕はしばらく動けなかった。初めての射精を経験して、息切れしていた。
 頭の中が真っ白だった。
 いつの間にか、スマホの画面が暗くなっていた。
 やっと起き上がってカーテンを開けると、夕焼け空が広がっていた。
 なんだか、心の支えが取れた気がした。
 僕は、明日から学校へ行こうと思った。


(完)


#0 #1 #2 #3 #4 #5  


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 特殊性癖に気づく瞬間って、みんなそうだと思っていたことが、実は自分だけだったって気づく瞬間なんですよね^p^ ようこそ!