くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

2014年11月

破れたページ


ここから先を読んではいけない。

私は、彼のことが好きだと気づいている。

だから試した。

これを書き切ると、私は彼への想いを客観的に見つめることになるのか。

もしそうなら、私のこれから綴る言葉はすべて、彼への想いによるものだということになるのである。


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知ったか擽りアンケート その3

 志帆が目を覚ました。
 一瞬自分がどこにいるのか、わからなかった。
 窓一つ無い、薄暗いだだっ広い部屋。
 ハッと思い出す。
 足元を見ると、木の足枷は取り払われ、素足だった。
(そうか……私、くすぐられて……)
 志帆は両足の足の指を拘束された上で足の裏をくすぐられ、たまらず気絶してしまったのだ。
 まだむずむずする。志帆は自身の足の指をぎゅっと縮こまらせた。
「あっ、桜子……っ!」
 唐突に友人のことを思い出した志帆は思わず声に出す。
 自分が解放されたということは、桜子が……。
 志帆は何も無い部屋を見渡した。
 本当に何も無い。
 制服に素足の志帆は、ぺたぺたと部屋中を歩き回った。
 壁に張り紙を見つけた。
『目が覚めたら、この裏のボタンを押してね』
 張り紙をめくると、壁に赤いボタンがくっついていた。
 嫌な予感がする。が、押さずにはいられない。志帆はボタンを押した。
 ポチ、と安い音がすると、突如、目の前の壁が左右に開き、巨大なスクリーンが現れた。
 と、同時に甲高い笑い声が聞こえ始めた。
 ボタンを押したことでスピーカーも作動したようだ。
 志帆の目の前に映し出された映像の中では、おなかを天井に向けてえびぞりに拘束された女の子が、五人の女性に上半身と太腿をはげしくくすぐられていた。
「うひゃぁあぁ~~っひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!? ひぃぃぃひひひひひひひひひひひひぅひぃぃ~~っ!!!」
 くすぐられている女の子は、紛れも無く桜子だった。
 学校指定の体操服。シャツの裾はべろんとめくりあげられており、おへそから水色のブラジャーパッドまで晒されてる。
 二人がおなかを指や筆、羽でくすぐり、二人がアバラ骨や、乳房の周囲を指でくすぐっている。
「あひやぁあぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃ!!! いひゃあぁあぁはははははははははっ、がはっ、ひ~~っひっひっひっひっひっひ!!」
 おへそは、周囲を羽先でさわさわくすぐられたり、いきなり真ん中に筆をつっこまれたりしている。
「はわははははははっ!!! ひっ、あひゃっ!!? おひょひょひょひょひょ~~っ!!!?」
 桜子は両足とも素足だった。膝を曲げ、ぴんと引っ張り伸ばされた両太腿を一人の女性がこそこそと指先でくすぐっている。
「あぁぁっはっはっはっはっはっ!! ひぎぃっひっひ、ふわっはっはっは~~!!?」
「……さ、桜子……っ」
 志帆は画面の中で激しく髪の毛を振り乱し涙を流して笑い狂う友人の姿を見て、うめくように声を上げた。
 どのくらいの時間くすぐられ続けたのかわからない。
 桜子の表情はもはや限界といった様相で、口周りは涎でべとべと、鼻水を激しく噴出し、目からはとめどなく涙があふれ出ている。
「はひゃ……っ、ひぎゃはははははっ!!! ひひひっ……ふぎっ、あひゃひゃ」
 桜子の笑い声がだんだん弱々しくなっていく。
(私が、喋っちゃったせいで……)
 志帆は、桜子に心から申し訳なく思った。
(…………)
 と同時に、解放されてホッとしている自分がいることに気付き、志帆は自己嫌悪にさいなまれた。
 桜子の解放のために、自己犠牲を申し出る勇気はない。
 もうくすぐられるのは嫌だ。
 志帆は、自身の情けなさに唇をかみ締め、ぐっと涙をこらえた。
「だひゃひゃひゃひゃっ!!!? もうひゃだっ、もうひゃだぁぁあはははははははあはは~~あぁあぁああぁぁぁああっ!!!!」
 画面の中の桜子がひとしきり大きな悲鳴を上げ、がっくりと気を失う。
 ハーフパンツの裾からちょろちょろと液体が流れ、床に落ちた。
 桜子は失禁してしまったようだ。
 志帆が放心して画面を眺めていると、画面の女性がひとり、ふと志帆の方を向いた。

「さあ、次はまた、志帆ちゃんの番よ」

 志帆は、その言葉を理解するのに数秒を要した。
「え……っ?」
 志帆が声を上げたときには、すでに天井の四隅からガスが出始めていた。
 すっかり解放されたと思っていた。
 甘かった。
 最初から、誰も信じてはいけなかったのだ。
 志帆は気付いた。自分はただ、友人を売っただけだ。
 絶望に打ちひしがれる。
 部屋にガスが満ちてくる。
 パニックに陥って、志帆は叫んだ。助かりたい一心で。
 しかし、何も無い部屋では、何をもなす術がなかった。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 前回のつづきです。
 「関係の無い子が次から次へと巻き込まれる」系くすぐり小説の今後の発展を祈って。

知ったか擽りアンケート その2

 体育の授業を終え、着替えに戻ろうとした桜子は、校内放送に気付く。 
「――桜子さん。至急、第二化学室まで来てください」
 体育館中に自分の名前が響き渡り、桜子は恥ずかしい思いをした。
 体操服のまま第二化学室へいそぐ桜子。
 体育館シューズは上履きと兼用できるためそのまま履き替えず。ハーフパンツと開襟シャツ。周辺の高校の中ではかわいい体操服だと評判が立っている。
 桜子は、第二化学室の扉をノックした。
 クラスと名前を言っても、返事はない。
「……失礼します?」
 そっと扉を開ける桜子。
 明かりはついておらず、人の気配もないため、中には入らずそのまま扉を閉めた。
 桜子は、放送をした教員がまだ到着していないのだと判断して、廊下で待つことにした。
 5分ほど待ってもまったく教員が来ないので、桜子は着替えに戻ることにする。
「なんだったんだろう……」 
 あとで、担任に確認しようと決めた。
 一歩踏み出したところで、突然背後から羽交い絞めにされた。
「えっ……きゃ」
 さらに背後から、誰かに口を押さえられる。
「桜子ちゃんだめよ~~、ちゃんと教室に入らなきゃ」
 女性の声。
 桜子を羽交い絞めにした人間は女性のようだったが、力が強く、もがいてもまったく歯が立たない。
 もう一人の女性が第二化学室の扉をあけ、桜子は勢いよく教室の中へ放り込まれてしまった。
 自動でぴしゃりと閉まる扉。
「けほっ……な、何……っ、……!!?」
 妙な臭いに気付いた頃には遅く、部屋中に充満したガスによって、桜子はあっという間に意識を失った。

 桜子が目を覚ますと、そこは窓一つ無い広い部屋だった。
「……えっ?」
 桜子は、自身の腕が限界まで万歳させられ、両脚もひっぱられたまま動かないことに気付く。
 両腕、両脚ともそれぞれ三箇所ずつベルトのようなもので固定されており、まったく動かすことができない。
 桜子のからだは、巨大な車輪状の台の弧に背中をつけて、えびぞりの状態で拘束されていた。
 弧に沿ってからだが緩やかに曲げられているため、顔は正面、手の指先が天井、膝から下が地面を向いている状態である。
「目が覚めたわね? あなた、桜子ちゃんで間違いないわね?」
 女性が二人、桜子を見つめている。
「……は、はい」
 桜子は少し考えてから、返事をした。
「ごめんねぇ桜子ちゃ~~ん。これからお姉さん達、桜子ちゃんにお仕置きしないといけないんだぁ」
 桜子は聞きなれない言葉に困惑する。
「お仕置き、……ですか?」
 桜子にはまったく見に覚えが無い。
「あの……、人違いじゃ」
「昨日、志帆ちゃんに何か聞かなかった?」
「志帆に……」
 桜子は、すぐに昼休みの中庭での会話に思い至った。
 が、
「わかりません」
 嘘をついた。
「えー? ほんとー? ま、志帆ちゃんから裏はとってあるからいいんだけどね。昨日、アンケートの話、聞いたでしょ?」
「聞いてません」
 桜子はきっぱりと言った。
 桜子は、白を切るのが最善だと思った。
(ほら、やっぱりこんな怪しいことになったじゃない……。志帆。だから関わるなって言ったのに……)
「嘘ー? じゃあ志帆ちゃんが出鱈目言ったってことー?」
 女性が大げさな声を出す。
「志帆と私は、確かに友達です……でも、なんで志帆がそんなこと言ったのかは……」
 桜子は、あくまでポーカーフェイスを突き通すつもりだった。
 二人の女性は、「ふーん」と顔を見合わせ何事かこそこそと密談を始めた。
 しばらくして片方の女性が部屋を出て行った。
 残った女性はゆっくりと桜子のもとへ近づいてくる。
「ちょっと、二人の言い分に食い違いがあるみたいだから」
 女性は、リモコンらしきものを取り出した。
「どっちかが本当のことを言うまで、二人とも尋問させてもらうわね」
「なっ……」
 女性がボタンを押すと、桜子の拘束された車輪がゆっくりと回転を始めた。
「ひっ」
 急にからだがひっぱられ、悲鳴を上げる桜子。
 桜子のからだは上へ上へと引っ張られ、顔が天井を向き、さらには反対側の壁が見えてくる。頭に血が上る感覚。髪の毛が逆さに垂れ、体操服のシャツの裾がべろんとめくれ、おへそが露になった。
 車輪に拘束された桜子のからだは、首を反らせば地面が見えるような位置で止まった。
 膝小僧がちょうど天井を向いて、シューズを履いた足の裏が正面になっている。
「な、何を、するつもりです……か」
 頭がさかさまになって、喋りにくい。
「何されると思うー?」
 女性は言いながら、桜子の両足から体育館シューズを脱がした。
「えっ、な、何を――、きゃははっ!!?」
 突然足の裏にくすぐったさを感じ、甲高い笑い声を上げてしまう桜子。
「あら、ずいぶん敏感じゃない。くすぐり甲斐があるわ」
 女性は、こちょこちょとソックス越しに、桜子の足の裏をくすぐった。
「やははっ、はははっ……な、やっ、やめてくださいっ!!!」
 桜子は混乱していた。
(……なっ、なんでくすぐられるの!?)
 固定された足首から先を左右によじり、女性の指から逃れようとするも、女性の指はねちねちといやらしく追いかけてくる。
 頭が下にきているため、どんどん顔が熱くなってくる。
「桜子ちゃん。あなた、本当に志帆ちゃんから何も聞いてないのかしら?」
「やはっ、あははははっ……聞いてっ!! ひっひ、……ませんっ」
 桜子は必死に否定した。
(こんなことされてっ、……誰が、言うもんですか)
「ふーん? 本当かなぁ?」
 女性はくすぐる指を止めると、桜子の足首のベルトを外した。
 桜子は膝に力を入れてみるが、腿と脛にもがっちりとベルトがはめられているため、まったく動かなかった。
 女性は桜子の両足からソックスを脱がし取った。
「あ……っ」
 素足が外気にさらされ、つめたかった。
 桜子は何をされるのかを察し、身をこわばらせる。
「桜子ちゃん。足の裏、真っ白ね! あ、血が頭にのぼってるからか」
 女性は桜子の足首のベルトを付け直し、両手でそれぞれ桜子の足の裏をくすぐりはじめた。
「きゃはははははっ!!!? あははっ、……あ、だめっ!!! あはははははははははははっ!!!」
 桜子はたまらず、激しい笑い声を上げた。
 女性の指使いはいやらしく、桜子のかかとから土踏まず辺りを、爪の先でなぞり上げるようにくすぐってくる。
「嫌っ、ははははははははっ!? やめてっ、くひっひっひっひっひ! やめてください~~ひひひひひひひっ」
「桜子ちゃん、嘘ついてない?」
「ついてっ、ついてません~~っひひひひひひひひひ!!」
 桜子はガクガクと首を揺らして笑う。
 からだ中に力が入っているが、上半身、下半身ともにびくともしない。
「あらあら、そんなに足の指に力をこめても、足の裏は覆えないのよ?」
 女性はそういうと、ぎゅっと縮こまった桜子の足の指を持って反らし、指の付け根をかりかりとくすぐった。
「あぁぁあぁひゃはははははははははっ!!!! だめぇぇえへへへ、ひぃぃ~~っひひひひひひひひひひひひ!!?」

 しばらく桜子の足の裏をくすぐった女性は、リモコンで再び車輪を動かす。
 さきほどと反対方向に回転を始める車輪。
 ちょうど桜子のおへそが天井を向く位置で止まった。
 そのとき、天井から突如モニターが出現し、奇妙な光景が映し出された。
「へ……?」
 桜子は、ぼんやりと画面を見やる。
 画面には、大きく二足の素足の裏が映し出されていた。木の足枷にはめられているようで、両足ともすべての指がロープでぎちぎちに拘束されている。
 その足を囲むようにして何人かの複数の手が、ガリガリと足の裏をくすぐりまくっている。
 くすぐられている足はほとんど動かすことができないようで、ときおりヒクヒクともがきたいようなふるえを見せるのみだ。
 桜子はたった今足の裏をくすぐられたばかりなので、余計にむずがゆく感じた。
「桜子ちゃん。この足、誰の足かわかるかしら?」
「だ、……誰って……」
 桜子ははっとした。
(まさか……)
「お察しの通り。桜子ちゃんのお友達、志帆ちゃんよ! 音声もいる?」
 女性がリモコンを操作する。
 すると、
「うぎゃひゃひゃひゃ!!? ひゃひゃひゃっ、あびゃああぁひゃひはははははははっ!! じぬぅぅぅ~~ひゃひゃ、じぬぅぅ~~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」
 画面には二つの素足しか映されていないが、間違いなく志帆の声だった。
「桜子ちゃんにアンケートのことを話したなんて、出鱈目言わなきゃ、こんな目に遭わなかったのにねえ」
 女性はため息混じりに言った。
(……私の、せい?)
 桜子は友人の苦しむ姿を見せ付けられ、抱く必要がないはずの罪悪感に見舞われた。
「ひぎゃぁあぁははははあはははっ!!! ぐひゃひゃひゃっ、ふぎひぃぃあばばばばっ!!」
 友人志帆の悲痛な笑い声が桜子の耳に響く。
 桜子は、とうとう耐え切れず、
「……う、嘘、つきました」
 昨日、志帆が中庭で桜子に話したことを白状してしまった。
 女性はにんまりと笑うと、
「なら、桜子ちゃんには、きっつ~いお仕置きが必要ねえ」
 トランシーバーで室外の仲間へ連絡を始めた。


(つづく)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 前回のつづき。
 桜子のポジションは言わずもがな『くすぐり倶楽部物語』(ジョーカー様、2005)の佳代ちゃんにあたります。私、あの佳代ちゃんには本当にとんでもない数、とんでもない年月、お世話になっておりまして、第三話のタイトル『佳代』と見ただけで興奮してしまうほどです。ジョーカー様の作品は、私にとってまさに原点でした。

知ったか擽りアンケート その1

「ねえねえ志帆(しほ)聞いてよ! あたし、昨日、極秘アンケートとかいうの、受けちゃった!」
「極秘アンケート?」
 とある女子高。月曜日の教室。
 志帆のクラスメイトの綾乃(あやの)は、声を弾ませた。
「そう! なんか、『体の中でどこが一番くすぐったいですか?』とか、『最後にくすぐられたのはいつですか?』とか、変な質問ばっかりだったよ~~! 変なお姉さんがひとりでハァハァ言いながら聞いてくるんだけど、気持ち悪くて!」
 綾乃はキャハハと楽しそうに笑った。
「……それ、あんまり健全なアンケートじゃないんじゃないの?」
 志帆は不安に思って言った。
「たぶんね」
 綾乃はさらりと言い、
「アンケート受けたこと誰にも言わないって約束で、協力料、十万円ももらっちゃった」
「え!?」
 綾乃の発言に思わず志帆は聞き返した。
「それ、私に言って大丈夫なの?」
「いいっていいって! だって十万だよ? どこくすぐったいか答えただけで、怪しくない?」
「いやっ、……怪しすぎるから心配してるんだけど」
「まだその人いるかどうかわかんないけどねー。街角の本屋の横の路地、行ってみなよ。志帆もアンケート答えたら、十万もらえるかもよ~~?」
 綾乃は自分のペースでまくし立てると、嵐のように去っていった。
 志帆は唖然として綾乃の背中を眺めながらつぶやいた。
「……くすぐり、か」

 昼休み。
 志帆は中学からの友人である桜子(さくらこ)と、中庭で弁当を食べていた。
「あんまり関わらない方がいいと思うよ」
 志帆から綾乃の話を聞いた桜子は、神妙な面持ちで言った。
「うん。やっぱり怪しいよね……。でも、十万か……」
「志帆、その話、忘れた方がいいよ。何かの事件に巻き込まれたら大変だし……。その人、最近よく出没するっていう不審者かも」
 桜子は、冷静に志帆を諭すように言った。
「ありがと、桜子。うん。そうだね。なんか怖いもんね。忘れることにするよ」
 志帆が言うと、桜子は安心したようにホッとため息をついた。

 翌日。
 綾乃は学校を休んでいた。 
(綾乃が休むなんて、珍しい……)
 志帆がそんなことを考えていると、校内放送で自分の名前が呼ばれていることに気付いた。
「――志帆さん。至急、第二化学室まで来てください」
 志帆は急いで第二化学室へ向かった。
「私……、何かやったかな?」
 志帆には、まったく化学室に呼ばれる覚えが無かった。
 第二化学室に入った志帆は、すぐに異変に気付く。
「な、何……っ? この臭い……っ!?」
 志帆は、とっさに部屋を出ようとして唖然とする。
 たった今入ってきた扉が閉まっている。
 何者かによって閉じ込められてしまったようだ。
「ちょっ、なっ……何これ!? あ、開けてっ」
 どんどん臭いはきつくなっていく。志帆は、だんだん意識が遠のいていくのを感じた。
(……こっ、このガス! 吸っちゃ駄目だ)
 そう思ったときにはもう遅く、部屋中に充満したガスによって、志帆は気を失ってしまった。

 志帆は甲高い笑い声が聞こえ、ハッと目を覚ました。
 目覚めた場所は、窓一つ無い薄暗いだだっ広い部屋だった。
 志帆は、椅子か何かに腰掛けた状態で気を失っていたらしいことに気付く。頭が重い。
 異様なことに、志帆の目の前で、天井から伸びたロープに両手を縛られてYの字に吊るされた少女が、二人の成人女性に腋の下をくすぐられていた。
「きゃぁぁあっはっはっはっははっ!!? やめてぇぇ~~~いやっはっはっはっはっはっは!!!」
 少女の顔には見覚えがあった。
「あ、……綾菜(あやな)、ちゃん?」
 綾乃の妹の綾菜である。今年中学二年生になるはずで、何度か綾乃の家に遊びに行ったときに挨拶をしたことがあった。
 綾菜は中学の制服らしい半そでのポロシャツにプリーツスカート。くすぐったさにぴょんぴょんと跳ねる両足は、素足だった。足首を揃えて縛られている。
「お願いぃぃぃっひひいひひひひひひひひっ!!! もうやだぁあぁっはっはっはっはぁぁ~~!!」
 綾菜はかわいい顔をぐしゃぐしゃにして涙をぼろぼろと流す。
 以前会ったときは無愛想で、垢抜けた印象を受けた中学生が、いまや、恥じらいも無く口元から涎を垂らし、鼻水をずるずると噴出して、笑い狂っている。
「なっ、何やってるんですかっ!?」
 思わず声を荒げた志帆に、綾菜をくすぐっていた二人が同時に振り向く。
「あ、起きたみたいよ」
「ホントね。ちょうどよかったわ。この子そろそろ限界みたいだし」
「じゃあもう終わらせていい?」
「そうね」
 志帆の問いかけには応じず、綾菜を激しくくすぐり続ける二人。
「あやぁぁあはははははははははっ!!!! もうだめっ、ひぎっ!!! あぁあぁあぁぁぁぁっ!!!」
 しばらくして、綾菜はびくんと体を仰け反るように震わせると、失禁して、がくっと気を失ってしまった。

 女性二人は一息つくと、ニコニコしながら、志帆の傍へ近づいてきた。
「さて、あなたが志帆ちゃんね?」
 女性の一人が言った。
「……あ、あなたは?」
 志帆は問い返した。
「質問は、こっちがしているのよ? それとも、何? 志帆ちゃん。自分の状況が理解できてないのかしら?」 
「そ、そんなの理解できるわけっ……」
 言いかけて、志帆は自分の体を見やる。
 服装は今朝学校に登校したままの、高校指定の夏服。半そでシャツ、サマーベスト、短めのスカート。
 椅子に座っており、右足は上履きと紺のソックスを履いたまま椅子の脚に縛られている。が、左足は前方にまっすぐ膝を伸ばした状態で台の上に固定されており、上履きもソックスも脱がされている。足首のところに大きな正方形の木の板がはめ込まれ、つま先は見えない。
 両手は椅子の後ろで手首を縛られている。 
「な、何……コレ……」
 志帆は、思わず声に出した。
「やっと自分の状態把握した? 志帆ちゃん。高校生ならわかるよね? 身動き取れない状態で、相手に逆らうのはおばかさんだって」
「…………」
「志帆ちゃん、で、間違いないわね?」
「……はい」
 志帆は、素直に答えた。
「オーケー。じゃ、次の質問。志帆ちゃんは、どうしてこんな状況に立たされているのでしょう?」
 志帆にはまったく見当がつかなかった。
「わ、……わかりません」
 女性二人は顔を見合わせてふふっと笑った。
「昨日、綾乃ちゃんに何か言われたでしょ?」
「え?」
 女性の質問に志帆はきょとんとする。
「綾乃ちゃん、あなたに何か自慢しなかった?」
 志帆は記憶をめぐらせた。
「……えっと、……アンケートに答えて、十万もらった……って」
「「それーっ!」」
 二人の女性は声を揃えて楽しそうに言った。
「ごめんねぇ~~、そのアンケート、被験者以外、誰にも存在を知られちゃだめだったんだ~~。だ、か、ら、知っちゃった人にはお仕置きするようにって、上から命令されてるの」
「……なっ」
 志帆は、あまりの理不尽さに、頭が混乱し言葉が継げなかった。
「綾乃ちゃんお喋りだから、話しちゃった人探すの大変なんだからぁ。……というわけで、志帆ちゃんには、これからお仕置きを受けてもらいまーす。どんなお仕置きかは……さっき、綾菜ちゃんの様子を見てたから、わかるわよねぇ?」
 楽しそうに笑う二人に、志帆はぞっと背筋を震わせた。
 そうか。綾菜は自分と同様に綾乃の自慢話を一方的に聞かされたがために、あんな仕打ちを受ける羽目になったのだ。
 志帆は、がっくりと頭を垂れて気を失っている綾菜の姿、綾菜の足下の水溜りを見て、いたたまれない気持ちになった。
「……な、なんで、私が綾乃から話を聞いたって、わかったんですか?」
 志帆はおそるおそる聞いた。
「そんなの簡単よ。綾乃ちゃん本人に聞いたんだから!」
「えっ」
 志帆は驚愕した。
「で、綾乃ちゃんの独断と偏見によると、志帆ちゃんは足の裏のくすぐりに弱そうってことだから、こーんな拘束にしてみましたー」
 間違いない。自分は、綾乃に売られたのだ。
「……綾乃、ひどいよ」
 志帆は悲しみのあまり、目に涙が浮かんだ。
「あっと、忘れるところだった。志帆ちゃん、このこと、他の誰にも言ってないでしょうね?」
「……え?」
 志帆は唐突な質問に、解読に時間がかかってしまった。
「この極秘アンケートのこと、誰にも言ってない?」
 志帆は、しまったと思う。
(ど、どうしよう……、桜子に話しちゃった……)
 女性二人は「ふーん」と志帆の顔を見て、
「あ、言っちゃったんだ」
 見透かしたように言った。
「誰? たぶん同じ高校の子よね? クラスと名前は?」
「だ、誰にも言ってませんっ!」
 志帆は慌てて叫んだ。
 二人の女性は呆れたように顔を見合わせた。
「いやいや、もう無理だって。誰に言ったの?」
「い、……だから、誰にも……」
「もし今言ったら、志帆ちゃんは何もせずに解放してあげるわよ」
「え」
 志帆は思わず反応してしまう。
「どう? 言う気になった?」
 二人が志帆の顔を覗き込む。
「も、もし……私が誰かに言っていたとして、……その、誰か教えたら、その人は、どうなるんですか?」
 志帆は、大方の予想はしていたが、聞かざるを得なかった。
「もちろんお仕置きよ!」
 二人の女性は声高に言った。
(やっぱり……。桜子にまで、迷惑かけられないよね……)
 志帆は覚悟を決めた。
「で、誰?」
「誰にも、言ってませんっ」
 志帆は体に力をこめて言った。そのとき、左足の指がまったく動かないことに初めて気がついた。
 二人の女性は、微笑んだ。
「そう~~、じゃあ、しかたないわねぇ~~」

 志帆は、くすぐりを侮っていた。
 多少なら耐えられると高をくくっていた。
 しかし、指のまったく動かせない素足の足の裏を、羽根で撫でられる刺激はまったく初めての経験で、ものの一分で志帆は笑い出してしまった。
「うひひひひひひひひっ!? いぃぃ~~っひっひっひっひ、嫌ぁあぁっはっはっはっはは~~!!!」
 四本の羽根が、志帆の左足の裏を這い回る。
 がっちりと拘束されている足はぴくりとも動かすことができない。
「あぁぁ~~っはっはっはっは、おねがいぃぃぃひひひひひひひひひ、やめてぇぇ~~!!!」
 志帆は首を左右にぶんぶんと振って笑う。
「だーめ! 志帆ちゃんが秘密を知っちゃったのが悪いんだから。恨むんなら綾乃ちゃんを恨むことね」
 羽根の先が足の指の間に入り込んだり、さわさわとかかと、土踏まずをくすぐってくる。
「いやぁぁぁははははははは!!! くすぐったいぃぃぃっひっひっひっひっひ!!」
 数分間笑わされた志帆は、早くも体力の限界を感じ始めていた。
 志帆は涙を流しながら、ときおり咳き込みながら、笑い叫ぶ。
 すると、足の裏をくすぐっている一人の女性が、志帆の耳元へ顔を寄せた。
「志帆ちゃん、やめて欲しいでしょ? 誰に秘密を喋っちゃったのか、言ってくれたら、すぐにでもやめてあげるわよ?」
「うひゃっはっはっはっはっはっ!!? いやぁぁあぁあぁはははははは~~!」
 志帆は、正直迷った。
 笑いながら、必死に脳を働かせる。
(どうしよう……くすぐったくてたまらないっ! もう駄目! 限界! でも、言っちゃったら、桜子を裏切ることに……)
「志帆ちゃんどうするの? 言うの? 言わないの?」
「ひゃっはっはっはっ!!! いぅっ、言えないぃぃぃひひひひひひひひひひひ!!!」
 志帆は首を左右に振った。
 やっぱり、自分の身を案じてくれた桜子にまで迷惑をかけるのは、耐えられない。
「そう? なら、そろそろ本番いっちゃおうか~~?」
 そう言うと、二人の女性は同時に羽根を止めた。
「……え?」
 志帆は、「そろそろ本番」という二人のセリフに、自分の耳を疑った。
 
 五分後、志帆は半狂乱で笑い声を上げていた。
「あぎゃははははははははっ、うへへへへへへへへっ!!!! だひゃっひゃっひゃっひゃっひゃぁぁあ~~っ!?」
 指のまったく動かせない志帆の左足の上で、計二十本の指が走り回っている。
「志帆ちゃんのかわいいすべすべの素足! たまんないわねぇ」
 女性の一人が、志帆の土踏まずをほじくるようにくすぐる。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!! ひぎゃぁあぁ~~はははははははははっ!!!」
 志帆は髪の毛を振り乱して笑い狂う。
 開きっぱなしの口からダラダラと涎が流れ落ちる。
「足の指も、くすぐったくてたまらないのねぇ~~。さっきからぴくぴくぴくぴくって! 指の間、ちょっと汗かいてきちゃってるわよぉ?」
 もう一人の女性が、志帆の足の指間に、指をつっこみ、ふるわせる。
「あひゃひひひひひひひっ!!? ひぎぃぃっ、うへっへっへっへっへっへっへはぎゃぁあぁ!!!」
 志帆は、くすぐったさのあまり、何も考えることができなかった。
 遠くの方で、くすぐってくる女性の嘲笑が聞こえてくる。「誰に喋ったか言ったら、やめてあげるわよ~~」
 笑いすぎて何がなんだかわからない。
 とにかくくすぐったさから逃れたい。その一心。
 そしてついに、
「ぎゃっははっはっはっ、言いますっ!!!! 言うからぁぁぁははははははははっ!!! もうやべでぇぇえっへっへっへっへっへ~~」
 志帆は涙を流して叫んだ。
 そしてようやく、志帆は激しい足裏くすぐりから解放された。
「さて志帆ちゃん、お疲れのようだけど、まず誰に秘密を喋ったのか、教えてもらいましょうか?」
 二人の女性が、にっこりと笑って志帆を見つめる。
 志帆は、呼吸をゆっくりと整えた。
「と……、隣のクラスの、桜子、です」 
 言い終えると、志帆は大きく息を吐いた。
(……あぁ……これで、桜子も……)
 志帆は、後悔の念に打ちひしがれた。
「えっと、桜子ちゃん桜子ちゃん、と――、あ、あった。志帆ちゃん、この子で間違いないわね?」
 うつむいた志帆に、女性が話しかけてくる。
 顔を上げると、大きな冊子が開かれている。
 顔写真付きの名簿のようだ。
 開かれたページには確かに、桜子の名と、クラス、生年月日、出身校などが記載されており、顔写真が貼られてあった。
 入学時に撮られたらしい写真の中の桜子は、もともと生真面目な性格も相まって、緊張していたのか硬い表情をしている。
「ま、間違いないです……」
 志帆は正直に答えた。
 もう何を言っても無駄だという事は、理解していた。
「じゃあ志帆ちゃん。桜子ちゃんはどこが弱点か知ってる?」
「え?」
 女性の質問の意味がわからず、高い声を上げてしまう志帆。
「桜子ちゃんよ。からだのどこの部位が、くすぐりに弱いか、知ってる?」
「……し、知りません」
 志帆は、そんなこと考えたこともなかった。
 そもそも『くすぐり』という行為を意識したことがなかった。
 桜子がくすぐられて笑う姿も、まったく想像がつかなかった。
「ふーん。くすぐりあいっことか、やったこと、ないのぉ?」
「……ありません」
「じゃあ、どこが弱そうだと思う? 志帆ちゃんの独断と偏見で教えてよ~~?」
「え……」
 なぜそうまでして聞き出そうとするのか。志帆は困った。
 桜子の名前を言ってしまっただけでも、罪悪感に見舞われているというのに……。
「5秒以内言わないと、その足の裏、またくすぐっちゃうぞ~~? 5、4、3、……」
「わわわっ!? 言いますっ、言います!! お、おなか……とか?」
 女性達がわきわきと指を動かす様子を見て、志帆は恐怖に耐えられなかった。
 くすぐる部位などまったくわからない志帆がとっさに思いついたのが「おなか」だった。
「そっかぁ~~、おなかかぁ~~、うんうん! 弱そう弱そう!」
「なんかおなか以外にも全身弱そうだけどね、こういう表情硬い子って」
 女性二人は楽しそうにはしゃいだ。
「おなかってことはアレが必要よねぇ?」
「じゃ、あたし準備してくる。準備できたら連れて来ようね~~」
 二人のやり取りを眺めながら、志帆は桜子に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


(つづく)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 以前、夢に見た勢いでもって、寝起き一発で書いたものです。今回は容姿について作者からの説明は省略。お好みの容姿を妄想して楽しんでくださいませ。
 ミニメロン様のサイト“くすぐり失禁キャットハウス”で掲載されている『廃校くすぐり拷問』(ロンロン様、2004)と『くすぐり倶楽部物語』(ジョーカー様、2005)の影響が丸見えですね。寝る前に読んだからに違いありません。この2作品、もう何度お世話になったことか。もし紙媒体だったら、繰り返しめくり続けたためにページが茶色く変色していることでしょう。なんやかんや、月に2回は必ず読み返している気がします。11月3日でミニメロン様のサイトは17周年ということで、ファンとして喜ばしい限りです。
 
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