くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

2015年02月

呪擽 ~泉2~

「あなた、……誰?」
 尻餅をついた泉が、目の前の少女に質問した。
 夕日の差し込む教室。
 ここはどこ?
 中庭は?
 今の今まで昼だったはず?
 泉は混乱していた。
 少女が一歩足を踏み出し、泉に近づいた。
 その瞬間、泉は戦慄した。
 本能が「逃げろ」と言っている。
 泉は起き上がり、教室の扉めがけて走った。
 もともと足は速かった。
 扉に到達した泉は扉の取っ手に手をかけようとして、
「……っ!?」
 絶句した。
 取っ手がなかった。
 ハッと振り返った泉は、
「ひぃぃぃ!?」
 思わず悲鳴を上げた。
 姿が全く同じ少女が六人、泉めがけて近づいてきていた。
 泉は少女達に背を向け、扉をこぶしでダンダンと叩いた。
「誰か! 誰かぁ!!! 誰か助けてくださいぃ!!!」
 泉は叫んだ。
 涙が流れ出した。
 怖かった。とにかく、怖かった。
 と、突然、背後の気配が消えた。
 泉は、動きを止めた。
 心臓がバクバクと高鳴っている。
 額から汗が流れ落ちた。
 息が上がっている。
 振り返ってはいけないと、わかっていた。しかし、確かめずには、いられなかった。
 泉はゆっくりと、目線、首を背後へと向けた。
 鼻先数ミリの位置に、少女の鼻があった。目の高さが一緒だった。
 しかし、少女には、顔がなかった。
「きゃあああああぁあああああああ!!!」

 泉は小さい頃から足が速かった。
 幼稚園のかけっこも、小学校のリレーも、中学の徒競走でもいつも一番だった。
 だからかもしれない。
 自慢の引き締まった脚を、四人の少女によってたかって指先でなで回されるのは、たまらなくくすぐったかった。
「きぃいぃいいいいいひひひひっひひひひっ!!!! ふぁっははあはっははははあははは、あひあひひぃぃぃいはははは!!!」
 泉は取ってのない扉に背中を付けて尻餅をついた状態で、二人の少女に腕と肩を押さえつけられていた。
 残り四人の少女が二人ずつ泉の片足を抱えて持っており、泉は大きく左右に開脚した状態で、足の裏や腿、股などをくすぐられていた。
「あひはひぃぃ~~ひいひっひっひっひ!!!! やめへぇぇえぇっへっへっへっへっへ!!!」
 白いハイソックスとスニーカーは脱がされている。
 足首を持った少女に、がりがりと素足の足の裏をくすぐられ、膝を抱えた少女に、内股をこそこそとくすぐられる。
「ひひゃあはははっはははははは!!!! いやあぁあぁあっはっはっはっはは、だめえぇえぇああひひひひひひひひ!!」
 泉はおっぴろげた両脚をびくびくと痙攣させて笑う。
 首を左右に激しく振ると、二つにくくった髪の毛が、べしべしと顎に当たった。
 両脚から送り込まれる刺激は、泉には激しすぎた。
「あがぁあぁあはははっはははは、きひゃぁあぁははひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」
 全身を汗びっしょりにして笑い続ける泉。
 丸見えになった下着が見る見る湿っていく。
 すぐ傍らの内股には爪を立てた少女の指がこそこそと激しくうごめき続けている。
「ひぎゃあぁあははははははははっ!!!! あひゃあぁぁぁあああああ!!!?」
 泉はびくんと体を震わせてのけぞると、膝をガクガクと揺らして失禁した。
 広げられた股間の下の床に水たまりが広がっていく。
 少女達の指はとまらない。
 泉は舌を出して悲鳴のような笑い声を上げ続けた。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 制服とスニーカーの組み合わせって好きです。

呪擽 ~まゆ~

 まゆが飲み物を買って中庭に戻ってくると、そこに、泉の姿はなかった。
 ベンチの上に食べかけの総菜パンが置かれている。
 トイレにでも行ったのだろうと、まゆはベンチに腰掛け、自分の弁当を取り出した。
 ふと、ベンチの上に置きっ放しになった便せんが目に入った。
「不用心……」
 他人のプライバシーをこんな形で放置するなんてと、泉に対して軽く憤りを覚える。
 便せんを手に取った。
 折りたたみ、封筒にしまい直そうとして、手が止まった。
 まゆは目を上げ、周囲に視線がないことを確認した。
(……誰も見てない)
 突然まゆの中にわき上がった好奇心。
 まゆは、首を左右に振った。
(だめだめ。他人のラブレター盗み見るなんて、趣味悪い)
 まゆは心の中で言い聞かせ、便せんを封筒にしまい、丁寧にベンチの上に置いた。
 弁当を膝に置き、箸を構えた。
「…………」
 まゆは少し考えて、弁当と箸を元の位置に置き直した。
 泉がトイレから帰ってくるまで、待っていようと思った。
 待ち時間は手持ちぶさたで、とてつもなく、長く感じられた。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 こういう子のちょっとした葛藤ってフェチ心をくすぐりませんか?

呪擽 ~泉~

 泉は、すみれとスポーツバッグが入れ替わったことを僥倖だと思った。
 なにせ、開けてびっくり、一番上に『後背卓也様』と書かれた、明らかに怪しい薄水色の封筒が入っていたのだ。
「なにそれ?」
 泉が「ジャーン」と取り出した封筒に、黒髪ロングヘアの女子生徒はたいした反応を見せなかった。
 西原まゆ(にしはら まゆ)。小柄で大きな目が印象的な、泉の中学時代からの友人である。
 昼休み。
 二人はいつも通り中庭のベンチに並んで座り、昼食の用意をしていた。
 二人とも学校指定の半袖のセーラー服姿。泉はスカートがやや短いが、まゆは校則通りの膝上一センチ以内。二人とも白のハイソックス、泉はスニーカー、まゆは焦げ茶色のローファーを履いている。
「もぉ~まゆぅ! テンションあげなよ! ラブレターだよ、ら、ぶ、れ、た、あ!」
「泉。誰かに告白するの?」
 まゆはいたって冷静に言う。
「違うよぉ。部活の先輩の! 朝練でバッグ入れ替わっちゃって。で、なんと、中から先輩のラブレターを見つけてしまったのでしたぁ!」
 声を張って言う泉に、まゆは少し怪訝な表情をした。
「……もしかして、確信犯?」
「まさか! 偶然だよ偶然!」
 言いながら、泉は封筒を開け始めた。
 まゆは驚いたように目を見開いた。
「え、何やってるの?」
「ん? 封筒開けてる」
「それはわかるけど、……他人の手紙、勝手に見る気?」
「先輩にはジュース一本で許可取ってあるから、問題ない!」
 泉は言って、便せんを取り出した。
 チラリと文面を確認して、間違いなくラブレターだった。
 泉は鼻息を荒くした。
 隣のまゆが深々とため息をつき、立ち上がった。そのまま歩き始めてしまう。
「え? まゆ。どうしたの? 一緒に読もうよ!」
 泉は驚いて叫んだ。
 まゆは足を止め、
「飲み物買ってくる。泉は勝手に読んでて。私はそういうの、あんまり好きじゃないから」
 冷たく言って再び歩き始めた。
 泉は頬を膨らませて、
「チェっ、いいもんいいもん! 私一人で楽しんじゃうもんねぇ~! まゆ、後で見たくなっても見せてあげないから!」
 まゆの背中は、すぐに見えなくなった。
「ふーんだ」
 泉は、購買で買ったばかりの総菜パンにかぶりつきながら、便せんに目を落とした。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 白いソックスが好きです。

呪擽 ~みすず~

 新聞部一年生の河合みすず(かわい みすず)は早朝の校内巡回を日課にしていた。
 天然パーマの髪の毛はミディアムカットに切りそろえられ、頭にカチューシャを付けている。
(そうです! 面白いネタは日々の積み重ねから発見されるのです!)
 みすずはその日も、メモ帳とペンを持って、学校中を練り歩いていた。
 好奇心に満ちあふれた瞳をせわしなく動かし、いつもの風景に紛れ込んだネタ探しに励む。
 二年生の下駄箱から匂いを感じた。
(いや! 靴の臭気ではなくてですね。私のマスコミセンサーにビビッときたわけですよ!)
 みすずは、二年生の下駄箱を一つずつのぞき込んでいった。
「ビンゴっ!!!」
 みすずは思わずその場で叫んだ。
 二年生の『後背』という生徒の上履きの上に、薄水色の封筒が乗っている。
 ハッとして周囲を見回した。
 誰もいないことを確認してから、手にとってみる。
 表に『後背卓也様』とある。
(うっひょー!!! これだから早朝巡回はやめられないっ!!)
 みすずはさっそく、封筒を開き、中に折りたたまれた便せんを取り出した。
 みすずのやることは決まっていた。
 手紙から情報のスキャニング。本日行われるであろう時刻、現場の把握。後背という生徒を尾行。本日繰り広げられるであろう恋のイベントの一部始終の観察。
「やはり、恋愛沙汰は読者の目を引きますからね~」
 みすずは、舌なめずりをしながら、その便せんに目を通した。
「甘い! 甘い! こんな純情なラブレターは初めてです!!! これは大スクープになります!!」
 読み終えたみすずはその場でガッツポーズした。
 
 と、その瞬間、違和感に気づく。

「はい?」

 みすずはきょとんとした。
 みすずは、見たことのない教室の中にいた。
 何度も目をしばたたく。
 まったく状況が変化しない。
(今まで、間違いなく玄関前にいたはずなんですが……)
 手を見ると、たった今まで持っていたはずのラブレターと封筒がなくなっていた。
 他は何も変わっていない。
 夏服のセーラー服、短くしたスカート、白いクルーソックスに上履き。ポケットの中には、メモ帳とペンがいつも通り入っている。
 窓から差し込む太陽は赤く、夕日のように見えた。
 頭を掻くみすず。
 ふと、目線をずらした先に、半袖のポロシャツの上に、灰色のサマーベストを着たセミロングヘアの少女が立っていた。
「わわっ!? い、いつの間にいたんですか!」
 少女は反応しない。
「その制服……、中学生、ですか?」
 みすずは少女の足元に視線を落とし、いぶかしげに眉をひそめる。
 少女は素足だった。
 よく見ると、服装もだいぶ乱れている。
「あなた、ここで、何かあったんで――きゃぁああっ!!?」
 近づこうとして、みすずは驚きのあまり尻餅をついてしまった。
 目の前の少女には、顔がなかった。
 みすずは危険を察知して逃げだそうとして後ずさりする。腰が抜けて、体が思うように動かない。
 目の前の少女がゆっくりとみすずの元へ近づいてくる。
 尻餅をついたまま後ずさりを続けたみすずの背中に、何かがぶつかった。冷や汗が出る。
 首をゆっくりとねじり、上を見上げた。
 真後ろに立った顔のない少女が、みすずを見下ろしていた。
「いやあぁああああああああああああ!!!!」

 みすずは自分が絶叫をあげてから、どのくらいの時間が経ったのかわからなかった。
 自分の身に何が起こっているのか?
 自分はどこにいるのか?
 自分は何をしているのか?
 自分はこれから、どうなるのか?
 ただただ笑い叫びながら、みすずは同じ疑問を何度も何度も頭の中で繰り返した。
「ひゃはははっははっはあははは!!? あっーっはっはっはははは、ひはあぁあはっはっはっはっは!!!」
 みすずは、六人の少女に床に押さえつけられ、全身をくすぐられていた。
 万歳をしたIの字の状態で、手首と足首を押さえつけられたみすずは、まったく身動きが取れない。
「あひああぁぁあははっははっはははは!!! やめてえぇぇえはははははは、やめてくださぃぃいいいっひひひひひっひひひひひひ!!!」
 ぴんと引き伸ばされた腋やアバラに、数十本の指が突き刺さり蠢く。
「ひえぇえええはっはっはっは、はがあっぁぁっはっはっはっははっは!!! 死ぬぅぅぅっはっはっは、だやぁあぁあっはっはははははははは!!!」
 みすずはあまりのくすぐったさに白目をむきながら叫んだ。
 少女達のくすぐりによって引き起こされる笑いは、際限がなかった。
 みすずの上履きとソックスは脱がされ、素足にされていた。
 かかとを揃えて押さえつけられた素足の足の裏を、みすずの持っていたペンの先端でこりこりとくすぐられている。
「うほぉぉ~~はおあははっははっははっは!!!! はぎゃぁああぁはははははははは!!! やべぇえっ、やべでぇぇえぇぇぇっひぇひぇっひぇっひぇっひぇ~~っ!!!」
 足の指がびくびくと激しく動く。
 みすずには、自分の状況がまったく理解できない。
 なぜくすぐられているのか?
 なぜ笑わされているのか?
 少女達の指から送られる刺激は、脳に直接響いてくる。
「あぎゃあぁぁぁはははははははは!!!! ぎひゃぁあぁぁあはははあはははは!!!!?」
 わけもわからず、みすずは失禁した。
 それでも少女達の指はとまらない。
 みすずは、何の理解もできぬまま、ただひたすら笑わされ続けた。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 この子、原作だと完全な使い捨てキャラだったので、肉付けいたしました。

呪擽 ~すみれ~

「どこまでが噂で、どこまでが事実だ?」
 すみれがそう聞かれたのは一年前のことだった。
 高校に入学してすぐ、すみれは一人の女子生徒と意気投合した。すぐに親友と呼べる関係になった。
 親友は好奇心が旺盛で、すみれの中学で流行った『かの子の呪い』なるものが存在することを知っていた。
 すみれは親友に強くせがまれ、『かの子の呪い』の概要を話してしまったのだ。
「かの子が死んだ。卓也の彼女が死んだ。親衛隊のメンバー二人が死んだ。この三点は当時の新聞を見ればわかるな?」
 親友は事実と噂話の境界線にこだわっていた。
「かの子がくすぐられて死んだ。それは君が直接くすぐって殺したメンバーから聞いたのか?」「死因は担当医師からの情報か?」「死に顔が笑ってたっていうのは?」「実際に見た人間がいるか?」「その人間の名前を具体的に挙げられるか?」
 親友は、まるで新聞記者のようだった。
「ふふふ、すみれ! 私が『かの子の呪い』の全貌を解き明かしてやろう!」
 その数日後、親友は失踪した。

 鈴江に『かの子の呪い』について話した翌日、すみれは登校しながら、失踪した親友のことを思い出していた。
 すみれは気分が落ち込んだ。深いため息をつく。
 すみれは親友に『かの子の呪い』について喋ったことを後悔していた。
 彼女が失踪したのは自分のせいだと、ふさぎ込んだ時期もあった。
 親友のことを思い出すのがつらかった。
「だめだ! 切り替えよう」
 すみれは学校の下駄箱までやってきて、自分に活を入れた。
 テニス部の朝練前に、いったん教室で荷物を片付けるのが習慣だった。
 ふと、クラスの下駄箱前の地面に、二枚の紙が落ちていることに気づく。
 近づいて、ぎょっとした。
 一枚の便せんと、薄水色の封筒。封筒の表には、『後背卓也様』と書いてあった。
 チラと便せんに記された文字が目に入る。末尾に署名はないが、間違いなく鈴江の筆跡だった。
(す、鈴江ちゃん……、忠告したのに!!)
 すみれはキョロキョロと辺りを見回した。
 誰もいない。
 開きっぱなしの便せんを折りたたみ、封筒に入れ、自身のスポーツバッグへしまった。
 鈴江の靴を確認した。すでに学校へは到着しているようだ。
 教室に上がった。
 鈴江の姿はなかった。鈴江の机を確認しても、登校した様子はなかった。
「鈴江ちゃんっ」
 教室を出て、廊下に呼びかけてみるが返事はない。
 すごく嫌な予感がした。
 そのとき、早朝予鈴が鳴る。
 時計を見た。朝練に遅刻だ。すみれは通学鞄を自分の机に放り出して、慌てて教室を飛び出した。

「先輩が遅刻なんて珍しいですね。何かあったんですかぁ?」
 朝練を終えた更衣室。
 髪の毛を耳の後ろで二つくくりにした少女が人なつっこい笑みを浮かべ、着替え中のすみれに声をかけた。テニス部の後輩である細野泉(ほその いずみ)であった。
「いや、ちょっと……」
 すみれは言葉を濁した。
「もしかして、恋煩い?」
 泉はニシシと笑って言った。
「当たらずも遠からず」
「えーっ!? まじですか!? 先輩もぉ? ついにぃ!?」
 泉は大げさに声を張った。泉はすでに着替えを終え、セーラー服姿である。
「私じゃないよ」
「えー! またまたぁ! ジュースおごりますから、詳しく教えてくださいよぉ」
 泉は、すみれのスポーツバッグの隣に自分のスポーツバッグを置いて、自販機まで走って行った。
 泉は買ってきた栄養ドリンクをすみれに渡しながら、
「で、誰なんです? あさーいせーんぱい?」
「だから私じゃないんだって。友達の話。友達が好きになった人がちょっと訳ありで……」
 すみれは、そこまで言ってハッと口をつぐんだ。
 見ると、泉はきらきらと目を輝かせている。
「どういうことですかぁ!? 訳あり!? すごく面白そうじゃないですかぁ! 詳しく! その辺詳しくお願いします!」
 すみれは反省した。
(……ちょっと昨日から、口滑りすぎだな、私)
「放課後の部活、楽しみにしてますから! あ、それ、飲んでくださいね! 元気出して、先輩!」
 さらにつっこんでくるかと思いきや、泉はスポーツバッグを肩にかけて、さっと更衣室から出て行ってしまった。
 と、泉はすぐに戻ってきて、
「先輩、授業まで遅刻したら洒落になりませんよ!」
 それだけ言って、去った。
 すみれは更衣室内の時計を確認して、大急ぎで着替えを済ませた。

 すみれがスポーツバッグの入れ替わりに気づいたのは昼休みだった。
 朝練終了時に、泉が間違えて、すみれのバッグを持って行ってしまったのだ。
 すみれは急いで一年生の教室に向かった。
 バッグには鈴江の手紙が入っている。鈴江は学校を無断欠席している。泉に手紙が見つかってしまえば、嫌でも事の次第を話さねばならなくなる。泉まで巻き込むのは耐えられなかった。 
 一年生によると、泉は毎日、友達と中庭で食べているとのこと。
 泉の机に、スポーツバッグはなかった。
 すみれは、中庭へ向かった。

 中庭のベンチの上に、スポーツバッグが二つ並べて置いてあった。
 誰もいなかった。
 ベンチの上に、食べかけの総菜パンが一つ、まだ手のついていない弁当が一つ置いてある。
 その横に、鈴江の書いた便せんと封筒が開いて置いてあった。
「泉ちゃん?」
 すみれは声をかけてみるが、やはり反応がなかった。
 便せんを手に取った。背筋が寒くなった。
(これ……、駄目だ……!)
 すみれは便せんを折りたたみ、封筒にしまい、自分のスポーツバッグへ入れて持ち帰った。

 放課後、部活に泉は現れなかった。
 別の一年生に聞いてみると、泉とその友人が、昼休みに食事に行ったきり行方不明になったという。
 すみれは、鈴江の書いた手紙の危険性に確信を持った。

 他人の書いたラブレターを燃やすなんて、どうかと思う。
 しかし、背に腹は代えられない。
 すみれは、帰り道の橋の下で、鈴江の手紙を焼き払った。
 燃え尽きる瞬間、わずかに頭痛が生じた。
「すみれ! 私が『かの子の呪い』の全貌を解き明かしてやろう!」
 突然、一年前に失踪した親友の言葉が脳裏によみがえった。
 すみれの足は、導かれるように、親友の家へ向かった。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 ジャパニーズホラー好きのくすぐりフェチの皆様はより一層美味しくお召し上がりいただけると思います。
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