くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

2015年03月

QB「僕と契約して、魔法擽女になってよ!」 なのは「ユーノ君じゃないっ!?」

QB
「僕と契約して、魔法擽女(マジックティックラー)になってよ!」

~~~

なのは
「ユーノ君じゃないっ!?」ガバッ

チュンチュン

QB
「おはよう、なのは。寝ぼけているのかい? 僕の名前はQB。君は僕と契約して、魔法擽女になったんじゃないか」キュップイ

なのは
「あ、そうだった、……かな……?」
(なんだろう。妙な違和感がある)

QB
「さあなのは、さっそく今日もTポイントを貯めに行こう」

なのは
「うん。そうだね。そんな契約したような気がする。……えっと、QB君ごめん。私寝ぼけてるみたい。Tポイントってなんだっけ? 私、具体的に何をすればよかったんだっけ?」

QB
「Tポイントは、いたいけな少女をくすぐって笑わせることによって得られる、宇宙延命のために必要なエネルギーだよ。僕はそのポイントを回収するために地球にやってきたんだ。なのはは魔法で女の子を捕まえて、どんどんくすぐってもらえればいいんだ」

なのは
「そっか。私、女の子をくすぐらなきゃいけなかったんだ」

QB
「そうだよ。TポイントはDVDを借りたり宅配ピザを注文したりしても貯まるけど、少女をくすぐって得られるポイントには遠く及ばない。さあ、なのは、君なら運命を変えられる。避けようのない滅びも、嘆きも、全て笑顔に覆せばいい」

なのは
「……なんかぬぐい去れない違和感がするけど、……ティクリカル・マジカル・がんばります!」

~~~

なのは
「う~ん……なんだろう? 何かが違う気がするんだよね……」

アリサ
「やはははははははは!!? 何が違うって言うのよぉ~~やめなさいなのはぁぁっはっはっは!!!」ジタバタ

すずか
「きゃはははははは!! なのはちゃんお願いやめてぇぇ~~っへっへっへっっへひゃぁ~~!!!」クネクネ

なのは
「ごめんね、アリサちゃん、すずかちゃん。召喚したマジックハンド、勝手に動くから私には制御できないらしいの」

QB
「自律性のくすぐりハンドを召喚するなんて、なのは、君の潜在能力には驚かされるよ。召喚された数十本のくすぐりハンドが、対象者の体中をまんべんなくくすぐりながら、徐々に弱点を絞っていく……、なんて効果的なんだ」

アリサ
「あははははははは!!! いやぁぁぁあ腋はやめぇえぇうあははははあは、くはっ!? そんなとこ入ってくんなぁぁ~~っはっはっはっは!!!」

すずか
「嫌~~っはっはっはっは!!! あっ、靴下脱がさないで……っ、ひゃははははははは!? やめてぇ!! ひはははっあぁあぁああぁ、お腹もダメなのぉぉ~~!!!」

なのは
「……う~ん」

QB
「どうしたんだい、なのは?」

なのは
「やっぱりなんか違う気がして……。QB君、これでホントにTポイント貯まってるの?」

QB
「もちろんだよ! ……でも、もっとポイントが貯まりやすい少女がいることも事実だよ」

なのは
「へぇ……どんな少女なの?」

QB
「魔法少女さ」

なのは
「魔法少女……あれ? 私って、もしかして――」

QB
「なのはは魔法擽女だよ。あっ、ちょうど近くに魔法少女の反応があるよ? なのは、行ってみるかい? 今週の魔法少女はポイント10倍キャンペーン中だ」

なのは
「……だったら最初から魔法少女だけ狙った方が良かったよね? 少し、頭冷やそうか?」

QB
「殺気がすごいよ、なのは」アセッ

なのは
「……いいよ。魔法少女からTポイントもらいに行こう?」フワリッ

アリサ
「ちょっとぉぉ~~行く前にコレ止めていきなさいよぉ~~っはっはっはっはっはっは!!!」

すずか
「いやぁぁあはははははは、下着恥ずかしぃぃ~~っひっひ、ふあっはっはっはっは~~!!」

なのは
「ごめんね二人とも。それ、いったん動き出したらポイント搾り切るまでとまらないの。あと一時間ぐらいがんばって?」スイーッ

アリサ
「なにゃぁぁあ~~っはっはっはっはは!!?」

すずか
「もうだめぇぇ~~へっへっへっへ!!」

~~~

なのは
「あの金髪の子が、魔法少女?」

QB
「そうさ。なのは、早くTポイントを――」

フェイト
「……っ!」クルリ

なのは
「あ……」

フェイト
「なのは……」

なのは
「え? なんで私の名前を知ってるの?」

フェイト
「なのは。そいつの言うことに耳を貸さないで。なのははそいつに記憶を改ざんされてる」

なのは
「……あなたは誰なの?」

フェイト
「ぅ、なのは……っ。私は、フェイト=テスタロッサ。なのはの、……友達だよ」

なのは
「とも、だち……?」

QB
「ダメだなのは! あいつの言うことに耳を貸しちゃいけない!」

フェイト
「なのはを返せ。……バルディッシュ!」ギュンッ

QB
「きゅ――」クビチョンパッ

なのは
「QB君!? …………っ」ザワッ

フェイト
「……!」ビクッ

なのは
「フェイトちゃん、だっけ……? どうしてこんなひどいことするの?」

フェイト
「なのは、そいつは――」

なのは
「少し、頭冷やそうか?」スッ

フェイト
「待ってなのは! 正気に……っ、くっ、バルディッシュ行くよ!」ギュイーン

なのは
「ティックライト・ブレイカーああああああ!!!」

~~~

フェイト
「……う、な、なのは、こんなに、力が」ボロッ

QB
「さすが、なのは。数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな相手も目じゃないね」

なのは
「QB君! よかった。無事だったんだね」

QB
「なのはのおかげさ。さぁ、早く、あいつのTポイントを回収しよう」

なのは
「うん」

フェイト
「なのは……っ、やめっ」

なのは
「ティックル・ハンド」ポン、ポン、ポン

フェイト
「や、うわぁっ!?」ガッシリ

QB
「M字開脚だね、なのは! まさか君は、たった数分間の戦いの中で、彼女の弱点が下半身にあることを見抜いたって言うのかい?」

なのは
「マジックハンドが勝手に動いてるだけだよ」

QB
「なんて手際がいいんだ! あっという間にブーツとソックスをはぎ取っていくよ」

フェイト
「やぁっ!? やめて、なのは、こんな格好、恥ずかしいよ……」ヌギヌギ

なのは
「ごめんね。フェイトちゃん。これが私の使命みたいだから」

フェイト
「ち、ちがうっ! なのはそいつに操られて――ひひゃあぁああああああ!!!?」ビクビクビク

QB
「すごいよなのは! 彼女の足の裏にくすぐりハンドが触れた瞬間、とんでもない量のTポイントが放出されたよ」

なのは
「そうなんだ? じゃあこのまま続ければいいんだね?」

フェイト
「ひやぁぁあ~~~はははははははははははっ!! なのはぁぁっはっはっはっはっは、ふにゃぁぁああひゃはははははははははは」ガリガリ、ビクビクビクッ

QB
「すごい! こんななめらかな指さばきは見たことがない!」

フェイト
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!? 指はぁぁあひゃひゃひゃ、ゆびゅやみゃぁあぁああっはっはっはっはっはっはっは~~!!」グリグリ、ピクピク

QB
「こんなことが……っ! 想定値を遙かに超えるTポイント獲得が期待できる……っ!」

フェイト
「うひひひっひひひひひひひひっ!!! ひっかかにゃいでぇぇぇ~~ひゃひひひひひひひひひひひぐひゃひぃぃ~~!!!」カリカリカリカリ、クネクネ

なのな
「なんだろう。狭い足の裏にひしめき合うマジックハンドを見ていたら、私までむずがゆくなってきちゃった」

フェイト
「にゃにょひゃぁぁぁあ~~っひゃっひゃっひゃ、とめてぇぇぇぇ~~っひぇっひぇっひぇ!!!! いぎがぁぁぁががはっははははっはははっはっはっは!!!」コチョコチョコチョ、ビクンビクン

なのは
「でも、フェイトちゃん。さっき怖い顔より、今の方がかわいいよ」ニコッ

フェイト
「おひょひひひひひひひひっ!!!? そんにゃっ、ひっひっひ無りぃぃぃぃひひひひひひ!!! あひっ、あひのうりゃやだぁぁぁぁ~~っひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!!」

QB
「あ、なのは、また魔力反応が。近くに魔法少女がいるよ? 行ってみるかい?」

なのは
「そうだね。……フェイトちゃん、あと二時間ぐらいだと思うから、がんばってね!」フワリ

フェイト
「いやぁぁぁあひゃひゃひゃひゃひゃ!!? なのはぁぁぁあひゃひゃひゃひゃ、いかにゃいでぇぇ~~ひぇひぇひぇひぇ!!!!」

~~~

こうして世界中の魔法少女は、白い悪魔によって駆逐された。

~~~


(完)

エメラダの受難

「パパ! 『はたらく魔王さま!』に出てくるエメラダ・エトゥーヴァちゃんのくすぐられる姿が見たいです!」
「よし! じゃあパパが、『モブキャラくすぐり連盟』さんにお願いしてあげよう」
「やったぁ!」

 こうして、異世界エンテ・イスラの神聖セント・アイレ帝国宮廷法術士であるエメラダ・エトゥーヴァは、拉致された。


 気を失ったエメラダの身体は台の上で四肢を目一杯広げられ、仰向けX字の状態で拘束されていた。
 ワインレッドのノースリーブブラウスとカボチャパンツ姿で、白いニーハイブーツは脱がされ、素足にされている。
 意識を取り戻したエメラダは、きょろきょろと辺りを見回した。

「なんですか~……これ~……?」

 エメラダは間延びした声を上げながら、ガチャガチャと両手両足を動かしてみる。
 が、手足を拘束した枷はびくともしない。

「誰ですか~? こんなことをするのは~?」

 エメラダはどこへともなく呼びかけてみるが、反応はなかった。
 そのとき、突然グオンと台から音がした。

「……!? ~~?」

 台はなんらかの装置で、稼働し始めたようだ。
 エメラダが身構えていると、台の下から十数本のマジックハンドが飛び出してきた。

「な……っ、なんですか~……!?」

 びくっと肩をふるわせるエメラダ。
 マジックハンドはワキワキと指を激しく動かしながら、ゆっくりとエメラダの身体に近づいてきた。

「ま、まってください~、私に何をするつもりですか~? ま、まさか……っ」

 想像してしまったエメラダの表情が恐怖にゆがんだ瞬間、すべてのマジックハンドが、一斉にエメラダの身体をくすぐり始めた。

「ふひゃははははははははっ、ふわっはっはっはっはっは~、やっぱりぃぃ~」

 大声で笑い始めるエメラダ。
 首筋、腋の下、あばら、脇腹、太もも、内股、膝、足の裏と、体中のくすぐったい部分を余すところなくくすぐられる。

「やぁぁっはっはっはっは、やめてぇ~~っはっはは、なんでこんなことぉ~~? はっはっはっは~」

 マジックハンドの動きは、時間とともに激しさを増していく。
 腋の下をくすぐるマジックハンドは、指先でなでるような動きから、ぐりぐりと腋のくぼみをほじくるような動きに変わっていった。

「きゃはははっ!! いやぁ~、何か言ってくださいぃ~~っひっひっひっひ~」

 エメラダは誰のいない空間に叫び続ける。
 あばらをくすぐるマジックハンドは、ごりごりとひっかくような動きに変わっていった。

「いひひひひひひひっ!? はひぃ~~っひっひひ、誰かあぁっはっは、やめてぇ~~っはっは」

 ぶんぶんと髪の毛を左右に振り乱し、目に涙を浮かべて笑うエメラダ。
 脇腹をくすぐるマジックハンドは、五本の指でぐにぐにともみほぐすような動きに変わっていく。

「くははははははっ!! やぁぁ~~っはっはっは! おねがいぃぃ~~っひっひっひ、くすぐったいの駄目なんですぅぅ~~っはっはっはっは~」

 内股はぐりぐりとえぐるようにくすぐられ、太ももはなで回されたり、指先で細かくひっかかれたりしている。

「ふひひひひひひっ!!! 嫌あぁぁっはっはっはは、やめてっ、こんなことして……っ、ひひゃっひゃっひゃ!? 何が楽しいんですかぁあ~~っはっはっはっは!?」

 エメラダは身体をびくびくと震わせながら泣き叫んだ。
 余裕がなくなってきたようで、口調もどんどんきつくなっていく。
 足の裏をくすぐるマジックハンドは、土踏まずからかかとにかけて五本の指で激しくひっかいたり、足の指間をこりこり指先でひっかいたりしていた。エメラダの足の指は、くねくねともがき苦しむように動いている。

「はひゃっひゃっひゃ!!? うひゃぁぁぁあ~~っはっはっっはは!! だっはっっはは、もう嫌っ!! 笑いたくないぃぃ~~っひっひっひっひひ~~!!」


 数時間後、エメラダは、

「ひぎぃぃ~~ひひひひひひひ、ごめんなさいぃぃ!! ごめんなさいぃぃ~~っひっひっひっひっひ!!!」

 わけもわからず泣きながら誰かもわからない相手に謝っていた。
 ブラウスのボタンは引きちぎられ、素肌を直にくすぐられている。

「あひゃぁぁっはっはっっはっは、ひやぁぁぁっはっはっはっは!!」

 おへそに指をつっこまれ、お腹をつままれ、つつかれ、よだれを垂らして笑うエメラダ。

「やぁあぁ~~やぁああ~~っひゃっひゃっひゃっひゃひゃ!!! ふぎひひひひひひひひらめぇぇえ~~」

 カボチャパンツは膝までずりおろされており、脚の付け根を指でいじられ、腿をなでられ、膝をガクガク震わせて笑うエメラダ。

「はひひひひひひいぃぃい~~っひっひっひっひ!!! やがぁぁぁっはっはっはっはっは」

 足の裏は目一杯に反り返らされて、足の中央部分をかりかりと局所的にくすぐられている。

「おひひひひっひひいひ!? あひぃぃぃ~~ひひひひひひひひ、だひゃぁぁあぁ!!?」


 エメラダは、気を失うまでくすぐられた。
 

(完)

呪擽 ~すみれ2~

 すみれは一年前に失踪した親友の部屋で、一冊のノートを見つけた。
 表紙に『かの子の呪い調査報告』と、親友の字で書かれてある。
 最初のページの日付は、一年前にすみれが親友に『かの子の呪い』について話した日だった。
 インタビュー形式で、すみれの言葉が丁寧に記されていた。
「こんなこと、してたんだ……」
 次のページには、かの子の死亡時の新聞記事が貼り付けられており、彼女の生い立ちが、時系列順に記されている。
 さらにページをめくると、卓也の彼女の死、親衛隊メンバーの失踪や死についての記事もある。
 すみれは、親友の神経質な性格を思い出した。
 読み進めていくと、どうやら『かの子の呪い』で失踪したと思われる事件は、親衛隊メンバーだけではなかったらしい。
 卓也の彼女の妹や友人、親衛隊メンバーのいとこなど、一見卓也とまったく関係なさそうな人間まで、含まれている。
 すみれは、自分の推測に確信を持って、ページをめくり続けた。
(あの子なら、絶対どこかに書き残してあるはず……)
 ふと、ページをめくる手が止まった。
 ページが破れていた。

 もしこれを読んでいるとき、私がこの世にいないのならば、

 ページの冒頭にそれだけあって破れている。
 かなりの枚数がごっそりと抜けている。
「そ、そんな……」
 すみれは絶望に顔をゆがませた。
 親友の書き残しから察するに、彼女は明らかに『かの子の呪い』の核心部分に触れようとしている。
(それがこの有り様では……)
 すみれは最後に一枚だけ残ったページを見て、安堵した。

 呪われているのは後背卓也ではない。

 後背卓也へ向けられる好意そのものだ。

 第三者がその好意に触れたとき、死ぬ。

 好意を抱いた本人が客観的に自身の好意を認識したときも、死ぬ。


 すみれは、親友の最後の書き置きを見て、パタンとノートを閉じた。
 親友が自分と同じ結論に達していた。
 すると『かの子の呪い』を回避する策はいくらでも立てられる。

(……え?)

 では、なぜ、回避策を知りながら親友は失踪したのか?

 そんな疑問が頭をよぎった瞬間、すみれの眼前の光景が一変した。

「ここ……」

 すみれは、卒業した中学校の教室にいた。
 一年間過ごした教室。
 かの子がいて、卓也がいた教室。その一画に、すみれの机もあった。
 窓から夕日が差し込んでいる。
 教室を見回して、夕日に望む一人の少女を発見した。
「かの子」
 セミロングの髪の毛はぼさぼさ。半袖のポロシャツ、サマーベストにプリーツスカート。足元は上履きも靴下も履いていない。
 ゆっくりと少女が振り返った。
 垂れ目で団子っ鼻。視線はいつも自信なさそうに左右に泳がせて、つらそうに眉を寄せ、人付き合いが苦手なのは明らかなのに、それでも他人に気を遣い、ぎこちなく微笑む仕草。
 中学時代のままの、反町かの子だった。
「かの子!」
 すみれはかの子に駆け寄った。
 かの子は目を見開いた。
「ごめん! かの子……、私、かの子のこと、助けてあげられなくて」
 すみれは、クラスで卓也の親衛隊メンバーに罵られているところを見て見ぬふりをしてしまった。そのときはまだかの子の病気のことを知らなかったが、それでもかの子への言葉の暴力はひどかった。その場で動けなかった自分が悔しかった。だから、後日他クラスにいた卓也の彼女に相談したのだ。すると彼女はすぐに親衛隊にかの子への嫌がらせをやめるよう言いに行った。彼女は、自分も一度かの子と話をしてみると言っていた。彼女の行動力に、すみれは余計に自分が情けなくなった。そのうちにかの子が殺され、彼女も死んでしまったために、罪悪感を抱き続けていたのだ。
 かの子はきょとんとした表情で首をかしげた。
「かの子のこと、ちゃんと知ってれば。ちゃんと理解してあげてれば、私……、私……」
 すみれは涙を流し、かの子を抱きしめた。人間らしいぬくもりがあった。
 かの子は優しく微笑み、すみれの背中に手を乗せた。
 二人はゆっくりと対峙する。
 すみれはかの子の心配そうな表情を見て、
「許して……くれるの……?」
 かの子は指先ですみれの涙をぬぐい、微笑んだ。
「ありがとう」
 すみれはぐずっと鼻を鳴らして、微笑み返す。
 かの子の髪の毛をそっとなでると、かの子は照れくさそうに笑った。
 すみれは、かの子と心が通じ合った気がした。
 
 だから、勘違いしてしまったのだ。

 口が滑ったのだ。

「かの子、あいつらに、何されたの?」

 うつむき気味だったかの子の動きが止まった。

『知りたいか?』

 そう言われた気がした。
 顔を上げたかの子には顔がなかった。

 突然目の前が真っ白になったすみれは、気づくと教室の床に大の字に寝そべっていた。
 着ていた服が中学時代の制服になっていた。足元は白いクルーソックスと上履きを履いている。
 両腕、両脚にそれぞれ一人ずつ、かの子の姿をした顔のない少女が座っており、まったく身動きが取れない。
『あんたさ、卓也君のストーカー、やめてくれない?』
 立ってこちらを見下ろしていた顔のない少女が言った。
 その声はかの子ではなかった。聞き覚えがある。中学時代、クラスで嫌と言うほどかの子を罵った、親衛隊のリーダーの女子生徒の声だ。
 すみれは何か言おうとするが、言葉が出ない。
 自分の意思とは別に、首が激しく左右に振られた。
 顎や首に、ぼさぼさの髪の毛先が当たった。
『そういう態度取ってさ。いい加減にしなよ。とぼけて天然ぶってればみんなが優しくしてくれるって? 卓也君の優しさにつけこんで卑怯なんだよお前』
(……そうか。これはかの子の記憶なんだ)
 すみれは、目の前の少女達から次々と罵詈雑言を並べ立てられた。
 それでもすみれは、黙って首を振ることしか出来なかった。
(かの子……なんで何も言い返さないの。言われっぱなしで……つらいだけなのに……)
 今となってはかの子の病気のことも知っている。だから余計に、かの子への同情の念が強かった。
 すみれは人格を否定するような言葉を立て続けに浴びせられ、涙が出てきた。
『きゃはは、泣いてるよこいつ!』
『あんまり泣かせちゃだめだよ。言われたじゃん本妻に』
『卓也君とこいつの問題だから手を出すなって? 馬鹿じゃんあの女。自分の彼氏が取られそうなのに悠長すぎ』
『卓也君の彼女だからって、調子乗ってるよね。最近』
 本妻というのは、卓也の彼女のことだろう。
 彼女のことまで、こんなに悪く言っていたなんて。
 すみれは、過去のことだと知りながらも親衛隊達に憤りを覚えた。
 しかし、怒りが一瞬で消え、心が悲しみに埋め尽くされた。
 すみれの目からは止めどなく涙があふれ出ていた。
 かの子は怒りという感情に疎かったのかもしれない。
『いつまでも泣いてんなよ!』
 突然少女が怒鳴った。
 すみれはびくっと肩を揺らした。
『涙で同情誘うなんて最悪。泣いてれば誰か助けてくれるって、甘すぎるよ』
『泣き虫のストーカーにはお仕置きが必要だよね』
『そう。あんた、何回注意してもストーカーやめないから、もう体で教えてやることにしたから』
 すみれは顔を小刻みに震わせることしかできない。
 息が上がっている。心臓がバクバクと高鳴っている。かの子の感じた恐怖は計り知れなかった。
『安心しな。殴ったり蹴ったりしたらアザが残って、またあの女がうるさいから……』
 リーダーらしい少女は言いながら、すみれの腰あたりに馬乗りになった。
『こうしてやる』
 少女は両手を、すみれの両腋の下へ食い込ませた。
「んひゃぁあぁっ!!!?」
 すみれは甲高い声を上げた。
 とてつもなくくすぐったかった。その感覚が自分のものなのか、かの子のものなのか、わからなかった。
『うはっ、反応おもしろ!』
 言いながら少女は、指一本で腋の下をなぞり始めた。
「はっ、はひぃいっ!!!? ひ、ひひっ、ふひひっ!!!! かあぁ、はぁっ!!!」
 すみれの体は痙攣するようにびくびくと震えた。
『え、こいつめっちゃくすぐり弱いじゃん』
『指一本でこれって、やばくない?』
『お仕置きのやりがいあるじゃん』
 腕や脚に乗った少女が、口々にそんなことを言う。
 馬乗りになった少女は、くすぐる指を二本にして、こちょこちょと軽く動かし始める。
「ふゅひひひひひっ!!? うひっ、ひははひゃひゃ、あひゃっんぅぅひひひっひ」
 すみれは歯をかみしめた。
 と、同時にぞっとする。
 まだ一人しかくすぐっていない。しかも指二本で。
 噂では、六人にくすぐられて、笑い発作を起こして……。
『感度もわかったところで、本番いっちゃう?』
 馬乗りになった少女が擽る指をとめて言った。
 他の五人の少女も賛同した。
 脚に乗った少女二人に、両足から上履きが脱がされた。
 すみれは制止を求めたかった。
 しかし、すみれは、目に涙を浮かべ、ふるふると首を左右に振ることしか出来なかった。
『ストーカーに制裁を!』
 一斉に六人の指が、すみれの、腋、お腹、内股、足の裏へ襲いかかった。
「ぷひゃははははははははははっ!!!!? はひぃぃはははっはは、ひゃぁぁあっはっはっはっはっはっはっは~~!!!!」
 我慢できるくすぐったさではなかった。
 すみれは「笑え」という脳の命令通りに、ひたすら大声で笑った。
『なんだこいつ。笑ったら結構可愛いじゃん』
『鼻水垂れてるのにぃ?』
『涎きったねぇ!』
 少女達の嘲笑が聞こえる。
 しかし、全身を這い回る指のくすぐったさでそれどころではない。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!? ひぃぃあぁあっははっはっはっはっは、ひぃぃ~~っひゃひゃはははっはははっはは!!!」

 くすぐられた時間はせいぜい一分か二分程度だったろう。
 それでも、すみれは全身汗びっしょりで、体中が火照って熱くなっていた。
『弱点を探して遊ぼう~~!』
 全身のくすぐりが中断されると、今度は局部的にくすぐられる弱点探しが始まった。

「いひゃひゃひゃひゃっ!!! あぁぁあ~~ひゃはっはっはっはっひひぃひはっは!!!」
 腋の下を腕に乗った二人にくすぐられると、すみれは激しく首を振って笑った。
 半袖のポロシャツの袖口から指をねじ込まれ、素肌の腋を直にほじられると、一層甲高い悲鳴を上げた。
「きゃぁああああははっはっはっははっは!!! にゃあああああひゃはははっははっははは!!」

 アバラは、骨をしごくようにごりごりとくすぐられるのがきつかった。
「だぁぁあはっはっはっはっはっはは!!! あひゃあぁぁ~~はぁあああひひひひひ」

 脇腹は、かぎ爪のように引っかけた人差し指でぐりぐりツボ責めされるのが耐えられなかった。
「うひひひひっひひひひひいひひ!!!! ぎひひひひひひひひひひひっ、いぃぃ~~ひひひっひひひひひひひひひ」

 べろんとシャツの裾をまくられ、へそ周りを指先でくすぐられるのは、じれったくてたまらなかった。
「あははっ、はひぃぃっ……ひぃ~~……ふひっひっひひ、あひぃひぃ」

 内股は指先ではじくようにくすぐられたり、親指を脚の付け根にぐりっと押し込まれぐにぐにと揉まれると、下腹部の辺りからせり上がってくるように笑いが漏れた。
「んぅぅぅぅふふふふふぅぅぅひゃひゃひゃひゃひゃ!!!! あぁぁあひゃはひはひあひひっはははっはははっははは!!!」

 どの部位も少女達を満足させたようだ。
 最後は足の裏だった。
『靴下どうする?』
『とりあえずそのままでいいんじゃない?』
 すみれ自身、足の裏がそれほど敏感だという自覚はなかった。
 しかし、感覚はかの子のもの。
 少女の人差し指が白いソックス越しにすみれの土踏まずに接触した瞬間、全身に電流を流されたような感覚を覚えた。
「きひゃあぁああああああ!!?」
『うわ、すっげぇ声』
『人差し指でなぞっただけなのに』
『足の裏弱いんだぁ~~、へぇ』
 足元からそんな声が聞こえた直後、足の裏は数本の指でがりがりとひっかかれた。
「うわぁぁあひゃひひひひゃはははっ!!!? いぎゃぁぁはははははっはははんぅぅぅうにゃぁあひはひはひひゃひゃひゃひゃひゃ!!!! だぁぁあっひゃっひゃっひゃっひゃぁぁ!!!」

 足の裏が弱点とバレてからは、とにかく脚から足の裏にかけて集中的にくすぐられた。
 靴下を脱がされ、足を直にくすぐられ、すみれは発狂しそうだった。
「あぎゃぁああははっはははははっはあは、ひやあぁあぁあっはっはっはっはっはだひゃぁぁぁぁ!!!」
 大きく広げられた脚を四人がかりでくすぐられたり、汗ばんだ足の裏をなめられたり、足の裏にマジックで文字を書かれたりと、少女達の足責めは多岐に渡った。
 すみれは息をつく間も与えられず、ただただ半狂乱に笑い続けた。

「ぐひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? いぃぃぃぃ~~ひひいっぎひひひひいひうにゃぁあぁぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」
 再び大の字に押さえつけられたすみれは、全身を少女達にくすぐられていた。
「あがぁあぁぁぁひゃぁあぁっぁあああああ!!!? ……うひひひひっひひひひひひ!!!」
 すみれは失禁し、意識を失いかけるが、少女達のとまらないくすぐりに再び笑い出した。
『こいつ何回漏らすんだよ』
『中学生にもなってねぇ』
 という嘲笑の声に混じって、
『……ねえ、そろそろやばくない?』
『なんか声、おかしくなってきてるし……』
 と、心配するような声も聞こえてくる。
『何、あんたら。うちら裏切るの? じゃああんたらがこいつみたいにくすぐられる?』
 その言葉に、反論を示す声はなかった。

「ああぁぁああひゃひゃひゃひゃひゃ!!! があぁあはがあぁあはははっははっははっは!!!!」
 すみれは体の限界を感じていた。
 のどはカラカラで、肺は締め付けられるように苦しい。今にも呼吸が止まってしまいそうだ。

 しかし、

 いったいいつまで笑い続ければ、死んで楽になれるのだろう?

 まだ、死ぬほどではない気がした。
 こんなに苦しいのに、死ねない気がした。
 それがたまらなく恐ろしかった。

 かの子……。

 死ぬまで笑わされるって、どんな気持ち?

 ねぇ、かの子……。

 これで私は、あなたの理解者になれるの? 

 すみれが薄れゆく意識の中で巡らせた思考は、すみれ自身の笑い声でかき消された。
 
 
(完) 


♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7 ♯8 ♯9


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 久々の長編、ご読了ありがとうございました!
 すみれの親友のノートの破れたページはこのブログのどこかに落ちています。

【呪擽】
激しく擽られて死んだモノの呪い。それは、死んだモノが生前に執着していたモノに蓄積され、(笑)となる。その呪いに触れたモノは擽られ、新たな笑いが生まれる。

 ↑これ、一番最初にネタで書いてみたものの、小説中に入れる場所がなくて困りました;;

呪擽 ~まゆ2~

「きゃ!?」
 まゆは突然のことに軽く悲鳴を上げた。
 中庭にいたはずの自分の体が、いつの間にか、夕暮れの教室の中に移動したのだ。
 座っていたベンチが突然消えたために、尻餅をついてしまった。
 まゆは両手のひらをまじまじと見つめた。
 たった今まで持っていたラブレターが消えている。
 結局まゆは、好奇心に勝てず、封筒から便せんを取り出し中身を読んでしまったのだ。
「……ここ、どこ?」
 まゆは声に出してつぶやいてみると、余計に心細くなって、スカートの裾を握りしめた。
 ふと、視線を上げた先に、灰色のサマーベストを着たセミロングヘアの少女が後ろ向きに立っていた。窓の外を眺めている。
 まゆは、ギョッとした。
 唐突に出現したように感じられた。
「だ、……だれ、ですか?」
 少女はゆっくりとまゆの方へ振り向いた。
「……っ!!!!」
 まゆは、全身に鳥肌が立つのがわかった。
 顔のない少女と目が合った。
 少女が一歩、まゆの方へ足を踏み出した。
 まゆは恐怖のあまり立ち上がることができず、地面を蹴って、後ずさりした。
 扉まで数メートル。
 まゆが扉の方向を確認してから振り返ると、少女が二人に増えていた。
「ひ……っ」
 まゆは悲鳴を漏らし、匍匐前進をするように扉に向かって這った。
 後ろを振り返る。
 少女は六人になっていた。
 まゆはぶるぶると首を振り、なんとか扉にたどりついた。
 しかし、
「え……っ」
 まゆは絶望にうちひしがれた。
 その扉には取っ手がなかった。
 次の瞬間、足首をつかまれる感触がして、まゆは声にならない悲鳴を上げた。

 まゆは幼少の頃から足腰が弱かった。
 小学校、中学校と、体育はほとんど見学で、ろくに走ったこともなかった。
 人生の中で足を使うことが、人よりも少なかった。
 だからかもしれない。
 靴と靴下を脱がされ、貧弱な足の裏をべろべろとなめ回される感覚は、とてつもなく新鮮で、尋常じゃないほどくすぐったかった。
「ふひゃははははははははははははっ!!!? にゃああぁぁぁっはっはっはっはっはっはは~~!!!」
 まゆはロングヘアを振り乱して大笑いしていた。
 両腕を体側に付けた仰向けの状態で、二人の少女に床に押さえつけられ、片足二人ずつ四人の少女に足を掴まれている。
 前方に突き出すように抱き上げられた足の裏。
 足首を持った少女が舌でまゆの素足をなめ回す。
「いにゃははははははははははっ!!! やだぁあはははははははは、ひにゃぁあぁぁっはっはっはっはっはっは!!!」
 くねくねと動くまゆの足の指。
 膝を抱え込んだ少女が、片手でぐっとまゆの足の指を握り、後へ反らせる。
「んぅぅぅううひひひひひひひひひひひっ!!!? 無理無理無理ぃぃひひひひひひっ!!!」
 反り返った足の裏をれろれろとなめられ、まゆは歯ぐきをむき出しにして笑う。
 もう片方の足では、少女がまゆの足の指をしゃぶり上げ、舌先で指の間をちろちろとくすぐっていた。
「いふぅぅ~~ひゃひゃひゃあははあっは、うにゃあぁぁあぁっははっはははははひはひあひあひあひひひひ!!!」
 まゆの足の裏は、少女のよだれが糸を引いていた。
 足の裏から送られてくる刺激に、まゆは頭の中がちかちかとショートするような感覚に襲われる。
 開きっぱなしの口からは涎がだらだらと溢れだし、見開かれた大きな目からはとめどなく涙が流れた。
「あがぁぁあぁひゃぁあっぁあ~~はあひあひあひははひはひはひはひはひひひひひひひぃぃ~~!!!!?」
 顔を真っ赤にして笑い続けたまゆは、びくびくと海老反りになるように体を痙攣させ、失禁した。
 少女は構わず、まゆの足をれろれろなめ続ける。
 まゆは白目をむき、舌を出して、甲高い笑い声を上げ続けた。


♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7 ♯8 ♯9


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 原作の頃から、この子はお気に入りでした。
累計PV数
メールフォーム

名前
メール
本文
最新コメント
  • ライブドアブログ