くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

2016年04月

ミッコちゃんの大冒険

 ミッコはときどき、自走砲BT-42通称「クリスティ突撃砲」にひとり乗り込み、ドライブする。
 その日も、いつものように、海岸線に沿ってBT-42を走らせていた。
 ふと窓から射し込む太陽の光がいつもより強いような気がした。車体が太陽に照らされて、内部にまで熱がこもってくる。
 突然だった。
 視界が闇に包まれたかと思うと、BT-42は勢いよく落下した。
「いっ!?」
 ミッコはハンドルにしがみついた。
 まるで、地面が一瞬にして消え失せ、地中に吸い込まれていくような感覚だった。
 視界が真っ暗なため、何が起きているのかまったくわからない。
 どこまで落ちるのか。
 ぶよん。
 着地したのは、柔らかいクッションのような地面だった。
 車内のミッコはスーパーボールのように弾き飛ばされた。
「いてて……」
 落下の衝撃が緩和されたおかげで、怪我はなかった。
 ミッコは起き上がり、操縦席から外を見渡す。
 やはり暗くてよく見えない。
 地面は土ではない。色は白っぽく見える。迂闊に車外へ出ない方が良いだろう。
 ミッコはアクセルを踏み込んだ。
 がらがらと履帯の回転する音が響く。
 地面がぶよぶよと上下して、まるでボートにでも乗っているようだ。
 乗り物酔いには強い方だが、不気味だった。
 車体が動くたびに、地面が揺れ動く気がする。地盤が安定していないのかも知れない。
 この道はいったいどこまで続いているのか?
 そもそも道と呼べるのか?
 しばらく進むと、眼前に巨大な丘陵があった。
 丘陵の周囲を走らせてみる。
 越えられるだろうか?
 一時停止して、一気にアクセルを踏み込んだ。
 BT-42は勢いよく丘陵に乗り上げる。
 重力に逆らい突き進む。アクセルを踏み込むと、排出口からバスバスと火が噴いた。
 頂上まで到達し、一時停止。
 なにもない。
 丘陵の頂上にはぷくりと円形の突起があるだけだった。
 地面の色と少し違う。突起の周囲が円形に茶色っぽく変色しているように見えた。
 この突起、どこかで見覚えがある?
 ミッコは意を決して車外へ出てみた。
 踏みしめた地面は柔らかい。水風船の上にのっかっているような感覚だった。
 常に地面がぐらぐらと揺れ動いていて、居心地が悪い。
 茶色の突起はミッコのからだほどの大きさがあった。
 おそるおそる触れてみる。
 ぷにぷにとしていて弾力があった。
 地面の揺れが少し大きくなった気がした。
 突起の直径はだいたい、ミッコが両手を広げたぐらい。
 両手で囲い、引っ張ってみた。
 のびる。が、ちぎれるような様子はなかった。
 と、そのとき、地面が今まで以上に激しく揺れ動いた。地震だ。地盤沈下か!?
 慌ててミッコはBT-42に乗り込んだ。
 ここにはもう何もない。
 いったいここはどこなのか?
 不思議に思いながら、ミッコはアクセルを踏んだ。
 丘陵を慎重に降りる。
 地震は続いていた。

~~~

「ひゃっ!?」
 ミカは突然体に違和感を覚え、カンテラを演奏する指を止めた。
「どうしたの? ミカ?」
 隣でアキが首を傾げてくる。
 が、ミカは返答する余裕がなかった。
「な……んぅ!?」
 服の内側、腋のあたりだった。
 素肌の上を何か虫のような小さなモノが這い回る感覚だった。
 ミカはくすぐったさに顔をしかめた。
 小さな虫はぐるぐると皮膚の上をのろのろ這い続けた。
「ミカ? 具合悪いの?」
「い、や……ちょっと……ひゃぁぁあん!?」
 虫が、乳房にっ!?
 ミカは、虫に乳房の上を這い上られるような感覚に襲われ、パニックに陥った。
 ミカは顔が上気する。
 アキの目を気にしている場合ではなかった。
 ミカは自分の乳房を、服の上から押さえた。
「うぇっ!? ミカ!? 何やってるの!?」
「ひぁっ、む、虫がっ……んぁっ!!」
 いくらまさぐっても、虫の這い回る感覚は消えなかった。
 もう限界だった。
 ミカは服の裾から片手をつっこみ、直に、掻痒感の生じた乳房に触れる。しかし異物は見つからない。
 人前で、自分の乳房に触れるど、普段のミカからは考えられない奇行。アキもあんぐりと口を開けた。
「……なっ!? ミカ!? 虫が入ったの? 服の中!? 大丈夫!?」
 アキの声は、ミカの耳に入ってこなかった。
 ミカはいやらしいくすぐったさに身をよじり耐えながら、必死に自身の胸をまさぐる。
「い、……いひゃ、むひっ、虫、ど、どこに――」
 そんなとき、突然乳首を何かにつままれる。
「ひゃぁぁああああん!!!?」
 ミカは、顔を真っ赤にして、嬌声と共に体を仰け反った。
「ミカぁぁ!?」
 アキも心配そうに声を荒らげた。
「ひやぁぁぁああ!? や、やめっ!! んぁぁあああっ」
 小さな何かが、ミカの乳首をつまみ引っ張っている。
 ミカが激しく体をよじっているうちに、刺激は収まった。
「……はぁ……はぁ」
 虫が、消えた……?
 ミカは前屈みになって胸部を隠すように手で押さえながら、肩で息をした。
「み、ミカ……? 大丈夫……?」
 うずくまるミカの背中に、アキがそっと手をのせた。

~~~

「いっ!!?」
 しばらく平らな地平線が続いていたため、ミッコは油断していた。
 がこん、とBT-42の車体が大きく傾く。
 左後輪が、謎のくぼみに嵌まってしまったのだ。
 いくらアクセルを踏み込んでも、履帯が空回りするだけ。
 ががが、ががが、と激しくエンジン音が鳴り響いた。

~~~

「ひゃひっ!!? はひっひっ!?」
 ミカが突然地面に倒れ込んだために、アキはびくっとした。
「ミカ、また虫!? どこ!?」
「あひぃぃいっっぃ、おへそっ!! だめぇぇひぃぃ」
 ミカの様子から、虫はへそに入り込んでいるらしい。
「ミカ、待ってて! 私が見てあげる」
 アキはミカに断りを入れて、ミカの服の裾をめくり上げた。
 ミカの白いお腹が露わになる。
 アキはミカのヘソあたりに目をこらす。
「どこ!? ミカ! 虫なんて居ないよ!?」
「ひひゃぁぁああひぃぃぃ!!! ひゃえぇぇっ!! おへそぐりぐりぃぃひゃぁぁぁ!!?」
 ミカは左右に身体をよじってもがいている。
 アキは目をこらした。
 すると、ミカのヘソあたりがたしかにひくひくと震えているような気がした。
「なにか? いるの?」
 アキはそっと人差し指をミカのへそへ差し込む。
「あひゃぁぁあああん!!?」
 と、すぐさまびくんとミカが体を仰け反らせた。
「あわわミカ、ごめん!! ごめん! えっと、見えないけど!! なんかいるっぽい! 私、どうしたら……!?」
「とってぇぇえひひっひっひっ!! ふひゃぁぁあひっ! アキぃぃいい」
「と、取ってって言われても……」
 ミカは笑っているような泣いているようなひどい表情だった。
 普段の澄ました表情からは考えられない。
 アキは、ミカのそんな姿を見ていられない。なんとか力になってやりたいと思うものの、為す術がないのだ。

~~~

 ミッコは焦っていた。
 どうしても、BT-42がくぼみから抜け出せない。
 そろそろエンジンがオーバーヒートしそうだ。
 かくなる上は、
「天下のクリスティ式なめんなよ!」
 ミッコはエンジン全開に両輪の履帯を切り外した。
 BT-42は履帯を外すことで装輪装甲車として使用できるのである。
 ぶるんとエンジンが唸り、くぼみから飛び出す。
 BT-42はそのまま、やわらかい地面の上を、猛スピードで疾走した。

~~~

「ふひゃひゃはははははははは!!?」
「ミカ!!?」
 いきなりミカが大口を開けて笑い出したため、アキは戸惑った。
「ひぁぁやっはっはっはっはっはっはははっは!!! おなかぁぁぁああはははははははやぁぁ~~!!」
「お腹!? お腹なの!? お腹に何かがあるの!?」
 アキはミカのお腹付近を凝視する。
 やはり何もない。
 手でなでてみるみる。
「ひひゃははははは!!?」
「ごめん!! ミカ! いまのくすぐったかった!?」
 どうしたらいいのかわからない。
 確かに目をこらせば、ミカのお腹から脇腹にかけて何かが這っているようなくぼみが見えるような気がするが……。
 アキには状況がまったく理解できなかった。

~~~

 BT-42は長いトンネルを抜けた。
 といっても、いまだ外の様子は暗いまま。空間を脱出したわけではないようだ。
 しかしようやくハッキリとわだちが見える地帯に到達した。
 地盤が緩い以上、わだちに沿って進むのが吉。
 ミッコはステアリングハンドルを操作して、わだちの上へBT-42を走らせた。

~~~

「ひひゃぁぁぁああひひひひひひひひひひ!! あひの皺ぁぁああっははっはっは皺の間を這われてぇぇぇえっひっひっひっひ!!!」
「待って! ミカ! 今、靴下脱がすから」
 アキはミカの足から靴下を脱がした。
 綺麗な素足。
 しかし、なんの異常も見られない。
 ミカによると、足の裏の皺に沿って、虫が這い回っているという。
 目をこらしてもまったくわからない。
「ひひゃははははははははは! とってぇぇぇえひひっひっひっひアキぃぃいっひっひっひっひ!!! はやくぅぅぅ~~!!!」
「そ、そんなこと言われても……」
 ミカの足の指がくすぐったそうにくねくねもがいている。
 アキが触れると、またミカをくすぐったがらせてしまうかもしれない。
 アキはこれ以上ミカを苦しめることは避けたかった。
「ひゃぁぁあはははははははははひぃぃぃ~~!!!」
 ミカは目を剥いて笑っている。
 アキはいたたまれなくなって、ミカの被っていたチューリップハットをミカの顔面に被せた。
「むごごごごごひひひひひひっ……ひっき……息っ……ふごひぃぃ~~!?」
「ご、ごめんミカ! これじゃ息できないよね」
 ミカの息苦しそうな声を聞いて、アキは慌ててチューリップハットを取る。
 アキはどうしたらよいかわからず迷走していた。
「えっと……お湯とか、かけてみようか」

~~~

 走っても走っても同じ道をループしているような気がする。BT-42の前方のわだちはどこまでも続いていた。
 ミッコは、この空間を脱出する道を探して走り続けた。
 なんとかここを抜け出したい。
 そろそろ燃料も絶えそうだった。
「ん?」
 ミッコはBT-42を停止させた。
 音がしたのだ。
 と、次の瞬間、目の前に水が迫っていた。
「いいいいいっ!!?」
 避ける余裕なんてなかった。
 しかも、
「熱っ!!?」
 窓から侵入してきた水は熱湯だった。
 慌てて窓を閉める。
 が、鉄製の車体は外から温められ、徐々に内部に熱がこもる。
「熱ぃ……」
 あまりの暑さに意識がもうろうとした。
 頭がぼーっとしてきて、だんだんまぶたが重くなる。 
 意識が飛んだのはほんの数秒だろうと思う。
 ミッコはハッと目を見開いた。
 ミッコとBT-42はもといた海岸線に戻っていた。
「いまの……夢?」
 ミッコは首を傾げながら、継続高校へBT-42を走らせた。
 ベッドの上で隊長のミカがアキに介抱されていて、不思議に思った。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 チャットルームで「ミッコ責めミカ受け」のお題をいただいて書きました。
 ミカさんのキャラ崩壊ごめんなさい(>_<) (キャラ崩壊どころじゃない)
 さらに劇中ミッコさんが人間と対話するシーンがなく、ミカさんにどんな口調で喋るのかが不明だったために、こんな謎仕様にしてしまいました。もろもろ反省しています。おそらく一般的な戦車は特殊なカーボンで内部がコーティングされているため、熱を帯びても異空間には飛ばされません。







チョビ子の弱点?

「アンチョビ姉さんって足くすぐられるの苦手っすか?」

「はあぁぁ? なんだ藪から棒に」

 アンチョビはペパロニの突然の質問に虚を突かれた。
 ただいま訓練中。
 二人乗り戦車CV33の車内。二人は前衛部隊の連絡を待っている最中だった。
 前衛部隊が目的地に到着するまでの待機時間。手持ち無沙汰なのはわかるが、質問内容があまりにも脳天気すぎる。

「いや。別に大した意味じゃないっすけど~。なんか急に気になって。で、姉さんどうなんすか? 足」

 ペパロニはひょうひょうと質問を繰り返した。
 そんなに気になるのか……。

「そんなもの知らん。考えたこともない」

 アンチョビは正直に答えた。
 ペパロニはそれで満足なのか「そっすかー」と前方に目を向けた。
 と、「あ」と思い出したように振り返り、

「じゃ、試してみていっすか?」

「へ」

 アンチョビは再び虚を突かれた。
 ペパロニは突然、アンチョビをうつぶせに押し倒したのだ。

「こっ、こら! ペパロニっ!? こんな狭い車内で暴れるな!」

「いいじゃないっすか姉さぁん! 女同士っすよぉ~」

「そういう問題じゃなくって……! あ、こら!」

 馬乗りになったペパロニは、ぐいぐいとアンチョビの左足のブーツを引っ張って脱がした。

「うっは。姉さん。汗かいてますねぇ~! 熟成されたカマンベールみたいなニオイっすよ~」

「おい! デリカシー! ペパロニ、いい加減に――」

 アンチョビは、ペパロニがなにをしようとしているのかある程度予想していた。
 そろそろ本気で怒ろうかと体に力を入れた途端。

 つつーっ。

「あひゃんっ!?」

 アンチョビは全身の力が抜け、間抜けな声まで出してしまった。
 なんだいまの……?
 アンチョビは困惑した。
 左足に感じた強烈な刺激。
 ペパロニがアンチョビの足の裏を人差し指でなでたのだ。
 たったそれだけのはずなのに、まるで全身に電流を流したような感覚に襲われた。

「姉さぁん! なんすか! 今の反応!? もしかして、めちゃくちゃ足弱いんじゃないっすか?」

「え……いや……」

 アンチョビは戸惑っていた。
 足が弱い?
 そんなこと考えたこともなかったのに……。

 すると、ペパロニはニカッと笑い、
「ピンときてないみたいなんで、試させてもらいますね~」 

「あ、いや……っ!! ちょっ、ま――」

 こちょこちょこちょこちょ。

「おほっ!!? おひょおおおおおほほほほほほほほほほっ!!? あはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!?」

 アンチョビは足の裏から送られてくる強烈なくすぐったさに、たまらず声を上げて笑い出した。
 ペパロニは五本の指を使って、靴下越しのアンチョビの左足の裏を弾いている。

 な、なんだこの刺激っ!!?
 アンチョビは体の底からわき上がる笑いを抑えることができない。

「あひあぁぁっはっはっはっはっはっはっは!!!! ぺぱっ……やめっ、だぁぁ~~っはっはっは」

 アンチョビは体を必死によじり、両手をじたばたと振り回してもがいた。

「姉さん、すごい反応っすね。もしかして喜んでます?」

「んひゃひゃっ!? んなわけあるかぁぁああはっはっはっははっはっは――あだぁぁっ!? 頭打ったあぁぁあっはっはっはっはっはっはっは~~!!」

 狭い車内で暴れたため、アンチョビは体中を機器に打ち付けながら笑う。
 無邪気にくすぐり続けるペパロニは、頭が弱い。アンチョビの苦痛などまったく想像できないのだろう。

 アンチョビが首を左右に振り乱す度に、巨大なツインテールがびちびちとペパロニの頬を打った。

「痛っ……、姉さぁん。ウィッグ邪魔っすよ~」

「だかっ、ら地毛だっつーのぉぉ~~ほほははははははははははははははははっ!!!」

 ペパロニは手加減を知らない。
 爪を立てて踵を引っ掻いてみたり、指の腹を使って土踏まずをなぞってみたり、なかなかのテクニシャンだ。

「ほんとやめりょ~~~ひゃひゃ!! ぺぱろにぃぃううひっひひっひっひひっひ~~!!」

 と、突然ペパロニが手を止めた。
 アンチョビはがくっと脱力して突っ伏す。
 息を整えながら肘を立てて、

「ペ、ペパロニ、いい加減に……」

「姉さん。くっさい靴下脱がしますね」

「は?」

 アンチョビが制止するまもなく、ペパロニはアンチョビの左足から靴下をすぽんと引っこ抜いた。

「おいおいおいっ!? 待て待て! いくらなんでもそれはやりすぎ――」

 かりかかりかりかり。

「うひょおおおおおおおほほほほほほほおぼぼぼぼぼぼっ!!!?」

 あまりの刺激に、アンチョビは体を仰け反った。
 ペパロニは晒したアンチョビの素足、指の付け根あたりに爪を立て、引っ掻きはじめたのだ。

「やっぱり素足にした方が効くんっすね~」

 ペパロニは感心したように頷きながら指を動かす。

「あったりまえだバカぁぁあああっはっはははっははっはっはっはっはは!!! ホントだめっ……!! 息がっ、……あがぁぁはっははははははははははははは!!!」

 ペパロニは思いのほか器用で、足の小指と薬指の間にまで、指先をねじこんでくる。

「ひぃぃっひっひひひひひひっ!!? ふごごぉおっほっほほほほっ!! ギブギブギブ!! もうだめだってぇえあああひぃぃ~~はははっははははははは!!」

 アンチョビはバンバンと椅子を叩いて笑い続けた。
 ペパロニは楽しくなってしまったのか、まったくくすぐりをやめようとしなかった。

『統帥! A地点到着しました! ……統帥? 統帥!?』
『隊長車から応答がないぞ!』
『指示がないならパスタをゆでればいい!』
 無線の声は、アンチョビの笑い声でかき消された。
 司令塔であるアンチョビの指示無しに、自由なアンツィオメンバーが訓練を継続できるはずがなかった。
 ペパロニをぶっとばしてアンチョビが復帰したころは時すでに遅し。メンバーはどんちゃん騒ぎをはじめていた。

 調子に乗り過ぎたペパロニは、アンチョビにこっぴどくお仕置きされた。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 以前チャットルームでお題をいただいて書いたドゥーチェです。

 いまさらながら気づいたこと。うちのリン、ドゥーチェのコスプレが凄く似合いそう。灯台もと暗し!





もこっちはすでにくすぐりフェチを発症している可能性がある


○弟の部屋

 ガチャっ

もこっち
「弟、足裏文字当てゲームをやろう」


「は? ひとりでやってろよ」

もこっち
「そうか」


「おい。なに勝手に俺のベッド座ってんだよ」

もこっち
「こうしないと足の裏に文字が、……うひゃひゃひゃっ!!? あひゃひぃぃぃ!!」


(自分で自分の足に文字書きながら笑ってる……うぜぇ)

もこっち
「答えは『リア充』だ」


「足の裏に何書いてんだよ……」

もこっち
「足の裏で踏みつけてやろうと思ってな!」ドヤッ


(うぜぇ)

もこっち
「……って、自分で書いたらもろバレじゃないか。弟、責任とれよ」


「責任ってなんだよ」

もこっち
「やっとその気になったか。さあ、私の足に文字を書け。私が勝ったら、なんかくれ」


「聞いてねぇし。てか、なんもやんねーし」

もこっち
「弟……。お前、ケチだな……」アワレミノメ


(うぜぇ)

もこっち
「弟よ」


「……」

もこっち
「弟よ!」


「……」

もこっち
「一回だけ。一回だけでいいから。一回だけやってくれたら我慢できるから!」


「だぁ、うっせ! おっさんが女子高生に援交頼むみたいに言ってんじゃねーよ! 一回だけ付き合ったら出てけよ、姉ちゃん」

もこっち
「くくく……最初からそう言っていれば良いものを」ニヤニヤ

 ガチャっ
 ぽいっ
 バタンっ

もこっち
「わかった! 弟! 今のは私が悪かった! 閉め出すな! 一回だけ! 一回だけ!」


(ホントにうぜぇ……)

 ガチャっ


「勝手に入ってきたし」

もこっち
「さぁ、弟よ。私の足を愛でるがよい」


(うぜぇ……)
「一回だけだぞ? 一回やったら出てけよ? 約束だぞ?」

 マジックの蓋、きゅぽんっ

もこっち
「私が勝ったら、お前の大事なものを一ついただくぞ」


「すでに俺の大事な時間は侵害されてるけどな」

 カキカキ

もこっち
「うひひひひひひひひひひひっ!!!」


(きもっ!?)

もこっち
「あひひゃひひひひひひひひひっひぃぃっひっひひっひ!!」


(白目剥いて笑ってるし……。さっさと書き終えよう……)

もこっち
「うひゅひひひひっひ――あへっ? も、もう終わりか?」


「終わりだ。さっさと出てけ」

もこっち
「ここで勝利条件を確認しておこう。弟。私が文字を当てたらお前の勝ちだ。私が文字を当てられなければ私の勝ちだ」


「は? そんなの聞いてねーし。姉ちゃんが圧倒的に有利すぎんだろ」

もこっち
「私がルールだ」


(うぜぇ)

もこっち
「さっきのは早く書きすぎてよくわからなかったかもしれないな。このままだと私の圧勝だぞ弟? ……それとも、もう一度ゆっくりと書くチャンスをやろうか?」ニヤァ


(本気でうぜぇ……)

もこっち
「ん? ん? どうした? このまま私が圧勝してもいいのか?」


「わかったよ。次はゆっくり書いてやるから、絶対当てろよ。絶対だぞ」

もこっち
「寛大な姉の慈悲に感謝するがよい」


(うぜぇ)

もこっち
「さぁ私の足を愛でよ」


「……」

 カキカキ

もこっち
「うひゅひゅひひっひひひひひひ!!!」


(……きも。足の指めっちゃうごいてるし)

 つつーっ、かき、かき

もこっち
「うひぃぃいっひっぃっひぃひぃぃっひひひひゃひっひひぃぃいい!!!」


(舌出して笑ってる……。こいつ本気で喜んでるんじゃねーか?)

もこっち
「ひぃぃぃっひひひひひひひひひっひひうひゅっひぃぃっひひっひひ!!」


「終わったぞ?」

もこっち
「ひぃぃっひっひっひっひひっひうひぃぃ~っひっひ」


「姉ちゃん! 終わったぞって! いつまで笑ってんだよ」

もこっち
「ひっひっひ……お? お、そうか。ついついトリップしてしまっていた」


「なにがだよ」

もこっち
「今度ははっきりわかったぞ」


「さっさと答え言えよ」

もこっち
「『さっさと出てけ』」

 ガチャっ
 ぽいっ
 バタンっ

もこっち
「ちょっおまっ……!! 大事なもの! 大事なもの!」

 それ以来、ときどき弟はもこっちの足裏文字当てゲームに時間を割いてくれるようになった。



(完)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 ずいぶん前にチャットルームで書いたもこっちを発見。書いたことをすっかり忘れていました。気まぐれに公開します^p^


ツクールゲーム第2弾! 『Sole Tickler ~隠された擽力~』公開!

Sole Tickler ~隠された擽力~

以下のリンクからDLいただけます。パス「kocho」
http://www1.axfc.net/u/3648603/


Sole Tickler 2 サンプル画像


こんばんは。ertです。
RPGツクールVX Aceで作成しました。
第2弾と銘打っていますが、続編というわけでありません。こちらはこちらで完結作品となります。
所要プレイ時間は1時間半程度。
顔グラと立ち絵は自作。こちょSE以外の素材は極力ツクール製品内のサンプルオンリー。
興味のある方は是非遊んでいただければ嬉しいです。

http://www1.axfc.net/u/3648603

当ゲームは『RPGツクールVX Ace』を使用して製作しています。
プレイには『RPGツクールVX Ace RTP』が必要です。
http://tkool.jp/support/download/rpgvxace/rtp
↑からダウンロードしてお楽しみください。


RTPをダウンロードするのが面倒な方は、コチラからゲームをダウンロードしてください。コチラかからダウンロードされた方は、新たに何かをダウンロードする必要はありません。RTP関連の記述はすべて無視してゲームを始められます!



簡単マニュアル!

1)URLからダウンロードページに飛びます。キーワード「kocho」を確認し「ダウンロードします」ボタンをクリックしてください
ツクールDL説明5


2)「ダウンロードできる状態になりました」というページに飛びます。「ダウンロードする click here to start download.」というリンクをクリックしてください
ツクールDL説明6


3)「ダウンロードを開始します」というページに飛びます。5秒経ってもダウンロードが開始されない場合は「こちら」というリンクをクリックしてください
ツクールDL説明7


4)ダウンロードしていただいた[Sole Tickler ~隠された擽力~.exe]をダブルクリックか「開く」で実行してください
ツクールDL説明1


5)解凍先フォルダの指定画面が表示されます。お好きなフォルダを指定してください
ツクールDL説明2


6)指定先のフォルダに[Sole Tickler ~隠された擽力~]という新しいフォルダが表示されます。[Sole Tickler ~隠された擽力~]フォルダ内にある[私を読んでください.txt]を読んでください
ツクールDL説明3

ツクールDL説明4


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SOLE TICKLER くすぐり過ぎにご用心

 テックリンワールド。
 くすぐりモンスターが蔓延る混沌の世界。
 冒険者は『擽師』なる者を倒すため、あるときは単独で、あるときはパーティを組んで旅をしていた。

「ミサ、次はどこ行くのさ?」
 腰まで伸びた長いツインテールをなびかせて言う小柄な少女。剣士リンである。布のツーピースの上に勇者気取りのマントを羽織っている。両腰に短剣を掲げている。
 隣を歩くミサと呼ばれたボブヘアの少女は、魔法使いのミサキ。右手にステッキを装備し、ローブに身を包んでいる。
「この先に小さな町があります。そこで少しTpointを調達しましょう」
 Tpointとは、この世界における経験値である。Tpointを一定数貯めるとレベルが上がり、取得技も増える。
 リンとミサキの二人で旅をはじめてしばらく、『擽師』を倒せるだけの力をつけるために、Tpoint集めに奔走していた。

「うわあああああ!! 冒険者だあああ!」
「冒険者が来たぞ、みんな逃げろおおお」
「キャー」
「冒険者警報発令だぁああああ」
 町に到着したリンとミサキを人目見るや、一目散に逃げ出す町人たち。
 冒険者は一般人に嫌われている。

 なぜなら――

「きゃははははははははっ!? やめっ、やめてぇぇぇぇ~~~あっはっはっは!!」

 道具屋の娘らしいエプロンを着けた三つ編みの少女が笑い狂っていた。
 ひとり逃げ遅れたところを、リンとミサキに押さえつけられ、二人がかりでくすぐられているのだ。

 ――Tpointは、人間をくすぐることでより貯まる。
 冒険者は通りすがりの人間を見境無く襲ってはくすぐる。
 そのため、善良な一般人にとっては、冒険者はモンスターよりも厄介な存在なのだ。

「あぁぁっはっはっはっはっはっは!!? もういやぁぁぁ~~~!!」

 地面に仰向けIの字に寝かされた状態で、両腕、両足にリンとミサキがのっかっている。
「そういうなよ。『擽師』倒すためなんだからよー」
 リンはガラ空きになった娘の腋の下をくすぐっていた。
「文句なら、こんな世界にしてしまった『擽師』にお願いします」
 ミサキは娘の素足の足の裏をくすぐっていた。傍らに脱がされたブーツが転がっている。

「冒険者なんか大っ嫌いぃいい~~っひっひっひっひ!!」

 くすぐったがらせればくすぐったがらせるほど、取得できるTpointは多くなる。
 そのため冒険者は日夜くすぐりのテクニックを磨いているのだ。

 数分後、やっと解放された娘は、へらへらと引きつった笑みを浮かべて失神していた。

「しけてんなぁ。もうちょい搾らせてくれてもいいじゃんよー」
 リンはぶーぶーと口をとがらせた。
 娘の耐久力が予想以上に低かったらしい。
「一般町人はこのぐらいが限度ですね。……それにしても」
 と、ミサキは不審そうに眉を寄せ、
「この町。冒険者に対する警戒がかなり高いですね。ひとりくすぐっている間に、通行人がすっかりいなくなってしまいました」
 町を見渡して言った。
 民家の窓も扉も閉ざされ、外にもまったく人影がない。
「適当に探してれば誰か見つかるんじゃね? てか、宿屋行かね?」
「……そうですね。道中で消費した体力を回復させましょう」
 リンの提案に、ミサキがのった。
 さすがに宿屋まで冒険者出禁ということはないだろう。
 二人は宿屋へ足を向けた。

 冒険者に対する警戒が異常に高い町に迷い込んだリンとミサキ。
 二人はまだ、自分たちの置かれた状況の危険性に気づいていない。


○○○


「……んぁ? ……は!? なんだこりゃ!?」

 リンは目覚めるやいなや、パニックに陥った。
 記憶では、宿屋のベッドで眠ったはずだった。
 それがどうして、薄暗い洞窟のような場所に移動しているのか。
 体を起こす。尻が冷たく背中が痛い。体の節々もギシギシ痛んだ。身動きがうまくとれないことに気づく。
 両腕が動かない。背中で手首を揃えて縛られていた。
 両脚も動かない。足を前に投げ出した状態で、板状の足枷に足首を固定されていた。

「リン。油断しましたね」

「ひぁっ!?」

 突然横から声がかかり、リンは素っ頓狂な声を上げた。
 横で並んで座っているのはミサキだった。
 ミサキもリンと同様に手首を縛られ両足を足枷に固定されていた。見ると、板状の足枷はリンのものと繋がっている。一台で4人までまとめて横一列に拘束できる便利なタイプだ。

「どうやらあの宿屋は、冒険者を捕らえるための罠だったようです。町人の異様な警戒心を甘く見すぎました。私も迂闊でした」

 ミサキは呆れたように言った。

「そんな他人事みたいに言ってる場合かよ!? てか、ここどこだよ!?」

「おそらく町にくる途中にあった洞穴の中。町の住人達が、招かれざる冒険者を投棄するために使っていたようです。冒険者は一般人に恨みをかいやすいですからね」

「つまり、私ら、ポイされたってこと? このまま薄暗い穴の底で、誰にも見つからないまま腐って死ぬ!?」

「そうならないために、なんとか自力で脱出したいところなんですが……」

 そんな問答をしていると、突然「キキー!」とかん高い声が聞こえた。
 二人は驚いて顔を上げる。

「……え、も、モンスター?」

「……ゴブリンですね」

 二匹のゴブリンだった。
 通りすがりらしい彼らは、キーキーと謎の奇声を上げながら、リン達の元へ近づいてくる。

「みっ……ミサ! あいつらこっちくるじゃん!! なんか魔法!」

「杖がないと無理です。どうやら捨てられた際に装備が外れてしまったらしく……」

「やばいじゃんよ!!」

 リンが地面を見ると、そこらじゅうに自分たちの持ち物が散乱していた。
 衣類はそのままであるが、アイテムや装飾品の類いは、すべて手元からはなれてしまったようだ。

「リンの短剣はこちら側に落ちているのですが、杖がどうしても見つかりません」

 ミサキが首をねじってリンに示す。ミサキの背後数メートル先にリンの短剣が落ちている。

「短剣あんのかよ!? じゃあそれでロープ切れんじゃん!」

「リン。ちゃんと見て下さい。私の手は体の前で縛られています。どんなに体をねじっても届きませんでした。リンが寝てる間に何時間も試したんです」

「んじゃあ私が!」

 リンは言いながら背中に縛られた腕を無理矢理伸ばしながら上体を反らせた。
 短剣にはまったく届かない。

「ふんがああああ!?」

「リン。背中を攣りますよ」

 そんなやりとりをしているうちに、ゴブリン二匹がリンとミサキの前までやってきた。
 物珍しそうに首を傾げてリン達の顔を覗き込んでくる。

「……な、なんだよっ! やんのかあ!? あぁ!?」

 リンが威嚇する。

「……リン。挑発しないでください」

 ゴブリン達はリン達の身動きがとれないとわかると、ケケケと嘲笑のような声を上げた。
 そして、一匹がリンの足元にしゃがみ込み、ブーツを掴んだ。

「おいこら!? 触るなよぉ!」

 リンはガタガタと体中を揺り動かしてもがくが、足首から先はまったく動かない。
 ゴブリンはリンの両足からぐいぐいとブーツをひっぱり、すぽっと脱がし取ってしまう。
 リンの素足が露わになった。

「……あの町の住人もなかなか鬼ですね。モンスターの沸いた区域に、動きを封じた冒険者を置き去りにする。そうしておけば、自動的に冒険者はモンスターの餌食というわけで……」

「感心してる場合かよ!?」

 ミサキの足元でもゴブリンがブーツを脱がしにかかる。
 ミサキは足を左右に振って抵抗するが、無意味。すぽんと両足ともブーツを脱がされ素足にされた。

「万事休す……ですね」

「あきらめんなよ! あきらめんなよお前ぇぇ!!」

 次の瞬間、ゴブリンに二匹は同時に、リンとミサキの足の裏へ指を這わせはじめた。

「ぐふぅっ!? ――ぶふぁあああっはっはっはっはっははっはっは!!?」

 リンは盛大に吹きだした。
 ゴブリンはガサガサに乾燥した五本の指で、リンの柔らかい足の裏の皮膚を掻き回す。

「にゃぁあああっはっはっはっはっはっは!!? やめぇぇぇえぇ~~!! くすぐったすぎるぅうううはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 リンは大笑いしながら、上半身を左右に激しくよじって暴れた。


○○○


「……うくっ! ひぃ……、ひっ、んふっ!?」

 一方のミサキは、足の指を縮こまらせ、足をゆるやかに動かしながら、なんとか笑い出すのをこらえている。
 ゴブリンの指の動きを予測し、打点をずらすことで、くすぐったさを軽減しているのだ。

「くふ……リン……笑いすぎです……んひっ!!」

 ミサキはなんとか突破口を見いだそうとしていた。
 が、リンの笑い声が激しく、集中できない。

「ぶあぁあっははっはっははっははっは!!! 無理無理無理いぃいいっひっひっひっひっひひゃぁぁあ!!!」

 リンは激しく身をよじって笑う。
 足の指がびくびくとあまりに激しく動くので、ゴブリンは邪魔に感じたのか、親指を紐で結んでしまった。

「あぁぁああははははははははははは!!? こんなぁぁあ卑怯だぁぁあああっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

「うく……っ、リン……ちょっとは、ふひっ……こらえて……――っ!!?」

 涙を浮かべ大口を開けて笑うリンの様子を横目で見ていたミサキは、突然目を見開いた。
 リンの背中にかかった勇者気取りのマントが、ばさばさと浮き上がり土埃をまき散らす。
 マントの下に、ミサキの杖が転がっていた。
 リンが暴れたことで、さきほどまでマントの下に隠れていた杖が見つかったのだ。

「ひっ……り、リン! 後ろに、杖っ……ふひひっ……杖! ……とってくださ……ひ!?」

 ミサキはなんとかリンに杖の所在を伝えようとする。
 リンは後ろ手で縛られているために、手を伸ばせば届く位置にある。

「にゃははははははははははははは!!! やめえぇぇ!!? あぁぁあ~~っはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 リンは激しく笑っているため、まったく聞こえていない。
 リンの足元のゴブリンは、いつのまにか、ブラシやら耳かきやらを駆使してリンの足の裏をくすぐっていた。
 ブラシがリンの土踏まずをこすり上げ、耳かきが足指の股をこりこりと掃除する。

「うひいぃぃぃっひっひっひっひっひひ!!? たすけぇぇええ!! うにゃぁぁああっははっはっはっはっはっはっは!!!」

「り、リンっ……! くひっ……ちょっとガマンして、……背中にひひっ、杖がぁッ……ふひゃっ!!?」

 ミサキはなんども訴える。
 杖さえあれば、この状況を打破できる。
 それなのに、リンはくすぐったさに身を委ねてひたすら笑い続けている。

「り、ひひひっ……いい加減にっ!! あぁひっ!? ひひ、後ろ見て!! ひぃぃッ……ひひひっ!! ちょっ……!? おねがっ……後ろに杖っ……くひひひ!!!」

 ミサキの足元のゴブリンは羽根を持ち出し、足の裏をなぞり上げてくる。
 ゴブリンはなかなか笑い出さないミサキをくすぐるにあたって、パターンを変えることを学習したようだ。
 羽根で全面をなで上げた上で、さらにガサガサの指先で局所的に引っかかれると、とてつもないくすぐったさがミサキを襲う。

「ひふぅぅううう!? ……リンっ!! 後ろっ! 後ろぉおひぃぃぃい!!?」

 ミサキは苛立ちとくすぐったさで、限界だった。
 打点ずらしでくすぐったさを軽減するテクニックは、所詮その場しのぎなのだ。長時間のくすぐりには耐えられない。

「ひっ……ひひひひっ!! り、うひろっ!! 後ろ見てっ、ひっひひ、杖!!! おねがぁぁひぃぃぃ」

 ミサキは顔を真っ赤にして、歯を見せながらもなんとか笑い出すのはこらえていた。
 足の裏をなであげる羽根。
 足の裏をガリガリとこすりあげるゴブリンの指。 
 そんな繰り返し。
 たかだか低級モンスターの単純なパターン攻撃でも、蓄積されれば効いてくる。
 足の裏を意識すればするほど、くすぐったさが増してくる。
 隣で激しく笑うリン。
 リンのかん高い笑い声に、ミサキはますます集中を欠かれる。
 そんななかでミサキは、ほんのコンマ数秒、ゴブリンの指先の動きを見誤った。
 わずかな時間。一瞬予測できなかったくすぐったさが、ミサキを襲う。
 たったそれだけで、ミサキの中で、何かが崩れた。

「――ひぁ? ……ぷひっ!? ひひゃはははははははははははははははははは!!?」

 ミサキは突如、大口を開けて笑い出した。

「ひひゃひひひひひひひひひひひひ!!? ひぃぃっひっひっひっひっひっひっひっひ!!! はひぃぃぃぃいい~~!!?」

 ゴブリンのくすぐりは何も変わっていない。
 同じような動きを繰り返しているだけ。 
 それなのに、今までとは比べものにならないほど強烈なくすぐったさがミサキを襲った。

「ひひゃっはっはっはっはっはっはは!!? ひぃぃっひひひひひひひひ!! むひぃぃひひっひふへぇぇぇひひひひひひひひ~~!!」

 ミサキは激しく体をよじり、髪の毛を振り乱して笑った。
 言葉を発することさえできない。
 溜め込んだくすぐったさをすべて解放するかのように、ミサキは笑い狂った。
 ミサキの頭の中は、くすぐったさでぐちゃぐちゃにかき乱された。
 くすぐったくてたまらない。笑わずにはいられない。
 打開策など、考える余地もなかった。
 意識の狭間で、リンの笑い声が少しずつ収まってきていることに気づいた。


○○○


 …………

「リン。できればもう少し早く復帰してくれませんかね?」

「だってさ……、ミサが馬鹿みたいに笑いまくってるの見て、やっと頭が冷えたっていうか……」

 リンがミサキの杖に気づたのは、ミサキがくすぐったさに陥落して数分経ったころだった。
 リンは身をよじって杖を掴み、ミサキに渡した。
 ミサキは笑いながらも必死に杖を構え、全体攻撃魔法を発動。ゴブリンを足枷もろとも吹き飛ばし、二人は生還したのだ。

「馬鹿みたいに、は余計です。……たしかに、他人が笑っている姿を見て、誘発される場合もあれば、逆に冷静になる場合もあるという――」

「講釈はいいって! それよりさ! これからどうすんのさ?」

 ミサキはまゆを潜めた。
 リンに話を遮られて少しむっとしたようだ。
 しかし、すぐに諦めたようにため息をついた。

「……とりあえず、あの町に報復しますか」

「異議無し!」


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
ミサリン

 なんと! ショタおね足枷魔神のDDD様より、リンとミサキのイラストをいただきました!
 鼻血が出るほど嬉しいです! 足の形の再現率にも感涙!!
 いただいたイラストを元にssを書かせていただきました!
 圧倒的感謝! 本当にありがとうございました!

 ssの設定は、ツクールRPG『Sole Tickler』の世界観にだいたい準拠。

 新作ツクールRPG『Sole Tickler ~隠された擽力~』できました! ← New!

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