西原まゆは拍子抜けするほど簡単に、罠にかかってくれました。
私は河合みすずになりすまし、西原まゆに旧校舎へ来るようメッセージを送ったのです。
河合みすずと西原まゆのやりとりをいくつか見たので、口調は完全コピーできていたと思います。
「……っ」
目覚めた西原まゆはきょろきょろあたりを見渡します。
足枷から突きだした二本のソックスを穿いた足。上靴は予め脱がしておきました。
ソックスはおろしたてだったのか、まったく汚れが見当たりません。
「西原さん。卓也君の彼女になりたい?」
私の質問に、彼女は首を傾げました。綺麗なさらさらのロングヘアが流れるように揺れます。今日も、昨日のように丁寧に髪の毛を梳かしてもらったのでしょうか。
「……誰ですか?」
とぼけちゃって……。
「私の責めにも耐えられなきゃ、卓也君の彼女はつとまらないってこと、教えてあげる」
「……えっと?」
ポカンとする西原まゆのソックスを掴み、力任せに引っ張りました。「やっ」と彼女は軽く声を上げます。
すぽんと、露わになった彼女の足は、人形のように真っ白でした。恥ずかしそうにきゅっと指が縮こまりました。皺の寄った土踏まずは私よりも平らでした。
私は彼女に、櫛を見せつけます。彼女のポケットに入っていた物です。
「……えっ?」
何をされるのかまったくわからないという表情。
私は、はじめて卓也君に櫛を見せつけられたときの高揚感を、思い出していました。
このようなプラスチックの櫛は、足の裏をくすぐるのに最適です。
特に彼女のような凹凸のない扁平足ならば、全面をまんべんなくくすぐることができるのです。
「ふひゃははははははははははっ!!? ひぃぃいぃいぃっひっひっひっひっひっひ!! にゃめてぇぇええいひひひひひひひひひひひひひひ!!!」
表情の乏しかった西原まゆが、大口を開け、綺麗に梳かされていた髪の毛を乱暴に振り乱して笑っています。
それほどの刺激なのです。……
私は、櫛でしゃりしゃりと彼女の素足を掻き鳴らしながら、あの強烈なくすぐったさを思い出していました。
「ぐひひひひひひひひひ!!? むでぃいいいいむでぃいいいっひっひっひっひっひっひっひっひはひゃぁぁぁ~~!!?」
西原まゆの人形のような顔は、無様に歪んでいます。
涙を流し、鼻水を噴き出し、歯茎をむき出しにして笑う彼女。
きっと、卓也君にくすぐられた私もこんな顔をしていたのでしょう。
「やべへぇぇええひひひひっひひひひひ!!!? あひがむでぃぃぃいいっひっひひいっひひっひっひ!!!」
彼女の笑い声を聞く度に、私の記憶は鮮明になりました。
笑う私。くすぐる卓也君。
卓也君は、いつも櫛で私の足をくすぐっていたときどうしていたか。
私は、彼女の足の指を掴んで反らし、突っ張った土踏まずを思い切り櫛でしごきます。
「はぐあぁあぁぁあっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!? ひえぇぇぇ~~っひぇっひぇっひぇっひぇ、ふががぁぁああ!!!?」
くすぐっていない方の足の指まで、くすぐったさの余り、びくびくと激しく痙攣しています。
私は、櫛の歯が折れるまで、彼女の足の裏をくすぐり続けました。
くすぐり終えた西原まゆの足の裏は真っ赤になっていました。
彼女は口角を吊り上げた表情のまま「げひゃ……げひ……っ」と汚い声を漏らして、目を回しています。
私の股間は濡れていました。
彼にくすぐられた後のような気持ちでした。
嫉妬は、快感に変わっていました。
喪失感は、もうありません。
私は、卓也君が傍にいなくても、卓也君にくすぐられる方法を見つけたのです。
(完)
♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
晒そう企画『ストーカー』の二次創作です。
私は河合みすずになりすまし、西原まゆに旧校舎へ来るようメッセージを送ったのです。
河合みすずと西原まゆのやりとりをいくつか見たので、口調は完全コピーできていたと思います。
「……っ」
目覚めた西原まゆはきょろきょろあたりを見渡します。
足枷から突きだした二本のソックスを穿いた足。上靴は予め脱がしておきました。
ソックスはおろしたてだったのか、まったく汚れが見当たりません。
「西原さん。卓也君の彼女になりたい?」
私の質問に、彼女は首を傾げました。綺麗なさらさらのロングヘアが流れるように揺れます。今日も、昨日のように丁寧に髪の毛を梳かしてもらったのでしょうか。
「……誰ですか?」
とぼけちゃって……。
「私の責めにも耐えられなきゃ、卓也君の彼女はつとまらないってこと、教えてあげる」
「……えっと?」
ポカンとする西原まゆのソックスを掴み、力任せに引っ張りました。「やっ」と彼女は軽く声を上げます。
すぽんと、露わになった彼女の足は、人形のように真っ白でした。恥ずかしそうにきゅっと指が縮こまりました。皺の寄った土踏まずは私よりも平らでした。
私は彼女に、櫛を見せつけます。彼女のポケットに入っていた物です。
「……えっ?」
何をされるのかまったくわからないという表情。
私は、はじめて卓也君に櫛を見せつけられたときの高揚感を、思い出していました。
このようなプラスチックの櫛は、足の裏をくすぐるのに最適です。
特に彼女のような凹凸のない扁平足ならば、全面をまんべんなくくすぐることができるのです。
「ふひゃははははははははははっ!!? ひぃぃいぃいぃっひっひっひっひっひっひ!! にゃめてぇぇええいひひひひひひひひひひひひひひ!!!」
表情の乏しかった西原まゆが、大口を開け、綺麗に梳かされていた髪の毛を乱暴に振り乱して笑っています。
それほどの刺激なのです。……
私は、櫛でしゃりしゃりと彼女の素足を掻き鳴らしながら、あの強烈なくすぐったさを思い出していました。
「ぐひひひひひひひひひ!!? むでぃいいいいむでぃいいいっひっひっひっひっひっひっひっひはひゃぁぁぁ~~!!?」
西原まゆの人形のような顔は、無様に歪んでいます。
涙を流し、鼻水を噴き出し、歯茎をむき出しにして笑う彼女。
きっと、卓也君にくすぐられた私もこんな顔をしていたのでしょう。
「やべへぇぇええひひひひっひひひひひ!!!? あひがむでぃぃぃいいっひっひひいっひひっひっひ!!!」
彼女の笑い声を聞く度に、私の記憶は鮮明になりました。
笑う私。くすぐる卓也君。
卓也君は、いつも櫛で私の足をくすぐっていたときどうしていたか。
私は、彼女の足の指を掴んで反らし、突っ張った土踏まずを思い切り櫛でしごきます。
「はぐあぁあぁぁあっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!? ひえぇぇぇ~~っひぇっひぇっひぇっひぇ、ふががぁぁああ!!!?」
くすぐっていない方の足の指まで、くすぐったさの余り、びくびくと激しく痙攣しています。
私は、櫛の歯が折れるまで、彼女の足の裏をくすぐり続けました。
くすぐり終えた西原まゆの足の裏は真っ赤になっていました。
彼女は口角を吊り上げた表情のまま「げひゃ……げひ……っ」と汚い声を漏らして、目を回しています。
私の股間は濡れていました。
彼にくすぐられた後のような気持ちでした。
嫉妬は、快感に変わっていました。
喪失感は、もうありません。
私は、卓也君が傍にいなくても、卓也君にくすぐられる方法を見つけたのです。
(完)
♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7
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(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
晒そう企画『ストーカー』の二次創作です。