くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

2016年11月

くすぐり指が幻想入り ルーミア編

 『指でくすぐった相手を虜にする程度の能力』を手に入れた博麗霊夢(はくれい れいむ)は、紅魔館へ向かっていた。
 道中、大きなリボンをつけた人食い妖怪を見かけた。

「そーなのかー」

 ルーミアだ。脳天気に腕を左右に広げ、ふわふわと浮遊している。発している言葉はおそらく意味がない。彼女は足りない子なのだろう。

「なのかー♪ なのかー♪」

 ルーミアは上機嫌の様子だった。
 黒いスカートをなびかせて、きゃっきゃとはしゃぐ姿は愛くるしい。
 霊夢は、ルーミアの姿をぼんやりと眺めているうちに、無性に彼女をくすぐりたくなった。

「なのか?」

 ルーミアが霊夢に気付き首を傾げる。
 霊夢はそんな彼女に向けて、容赦なく夢想封印をぶっ放した。
 突然の攻撃をもろに喰らい、ルーミアは声にならない悲鳴を上げて墜落した。

「あ……げほ、げほっ! あんた、なによぅ……いきなり。痛いじゃない」

 地面にうつぶせに倒れたルーミアが顔をもたげ霊夢へ抗議する。せっかくおめかしした服はボロボロ。涙目になっている。
 霊夢は慈悲の心を持ち合わせていない。
 ルーミアの背中に馬乗りになると、両手を彼女の腋の下へ差し込んだ。

「きゃっ!!?」

 ルーミアは素っ頓狂な声をあげ、びくんと体を震わせた。
 霊夢はそのままわきわきと指を動かした。

「――んあぁあははははははははははっ!!? なにっ、やあぁぁはははははははははははははっ!!!」

 途端にバタバタと両手を動かして暴れるルーミア。ケタケタと甲高い声を上げている。
 霊夢は彼女の反応の大きさに驚いた。

「うわ。弱すぎ。……まだ軽くくすぐってるだけなのに。雑魚妖怪って弾幕だけじゃなく、くすぐりも弱いのね」

「やめてぇぇええあはははははははあははっ!! くすぐったいよ~~っはっはっはっはっははっはっははっはっは!!!」

 ルーミアは涙を流して笑いながら制止を訴えてくる。
 霊夢は鼻で笑ってかわし、彼女の腋から脇腹にかけてくすぐってやった。
 指先一本でもかなりの反応。よほどのくすぐったがり屋らしい。
 指先でくりくりと動かし、弱点を探してみる。

「あぁぁあははははははははっ!!? やだぁぁぁああっ!! やめてぇぇえあははははははははははっ!!!」

「あ、反応良くなった。そう? 横っ腹のところ、両側からぐりぐり押し込まれるのがいいのか」

 霊夢は、人差し指を立てて、ルーミアの横っ腹に突き刺すようにして震わせた。

「あひあぁあはははあはははははあはっ!!! ほんとにだめぇぇえぇああああっ!! 笑い死んじゃうよおおおおおあははははははははははははっ~~!!!」

 ルーミアは激しく体をよじる。
 必死に腕を振り回し、足をばたつかせる。
 人食い妖怪らしい大きな牙を剥きだしにして、涎を垂らして笑っている。

「指一本ずつじゃ寂しい? じゃあ、五本ずつに増やしてあげる」

 霊夢はさらりと言うと、両手の計十本の指を、ルーミアの脇腹へ突き刺した。
 そのままぐにぐにと揉みほぐす。

「うきゃあぁぁああああっはっはっはっははっはっは!!!? ひやぁあぁあああああああっ、だひゃっはっははっはっはっはっはっははははぁぁあ~~!!!」

 ルーミアは泣き叫んだ。
 バタバタ激しく両足を動かし、馬乗りの霊夢の背中を蹴り上げる。

「痛っ……、チッ……めんどうな足」

 霊夢は舌打ちすると、ルーミアの体に馬乗りになったまま体を反転させ、ルーミアの足首を掴んで引き寄せる。
 靴を脱がし、ぺっと放り捨てる。
 次いで、白いソックスもつま先から引っ張り脱がし、ぽいと投げ捨てた。

「……ちょっ!! やだぁ、やめ――」

 ルーミアは何をされるのか予想したのか、怯えた声を上げ、暴れ出す。
 霊夢は無視して、ルーミアの素足の足の裏をくすぐりはじめた。

「くひゃははははははははっ!!! もうやだっ、……くあぁああっははっはっはっははっはっはっははっははっはは~~~!!!」

 爪を立てて足の裏を引っかき回すと、ぴくぴくとくすぐったそうに足の指がもがいた。
 ルーミアは大口を開けて笑いしながら、地面を掻きむしって悶えている。

「やめ……あぁぇえぁあはははははっはははっははははっ!!!? なんでこんなことするのぉあおあおあああっははひほひほひはひひひひひひひひ~~!!? へんにゃかんじにぃいあぁああはははははあははははは!!!」

「ふうん。足も弱いんだ。……てか、全身弱すぎ」

 霊夢はため息をつきながら、ルーミアの足指の股を広げてほじくる。

「きぃいいあひひひひひひひひひひひひっ!!? そんなとこまでえぇあぁぁぁぁあっはっはっははっははっはっははっは~~!!!」

 ルーミアは目を見開いて、笑いながら泡まで吹き始めた。
 顔は真っ赤で、全身汗びっしょりである。

(そろそろか……)

 霊夢はルーミアをくすぐりながらふんふむと頷く。
 『指でくすぐった相手を虜にする程度の能力』の発動には個人差がある。
 数名で試したところ、くすぐりに弱い相手ほど、短時間で落とせるらしい。

 ルーミアはこれまでに試した相手の中でも最弱だったかもしれない……。

「きゃはははあははあはははははははっ!!! ひあぁああっはははははっははははっははあがぁぁああああああ!!!」

 ルーミアはゲラゲラ笑いながら、足の指を自ら広げてきた。
 彼女の口からはもう制止の声は出てこない。

 霊夢がはたと手を止めると、

「ああぁあぁあっ!!」

 ルーミアは名残惜しそうに声を荒らげた。
 霊夢は立ち上がり、彼女を見下ろす。
 ルーミアは霊夢を見上げ、視線を泳がせた。まだ彼女の中で葛藤があるらしい。
 しかし、欲望には勝てなかったようで、

「……も、もっと……」

 ルーミアは恥ずかしそうに顔を赤らめながら声を絞り出した。
 霊夢は満足した。
 ついさっきまで嫌がっていたはずの相手のひれ伏す姿を見るのは、気分が良い。それが可愛い妖怪ならなおさらである。
 霊夢は彼女の頭を足蹴にして、

「なに? 聞こえないんだけど。ちゃんとお願いできないなら、もうやらない」

 あえて冷徹な口調で言い放つ。
 霊夢の言葉に、ルーミアは絶望的な表情を浮かべ、涙目になった。
 霊夢はそんな彼女の表情を見て、ぞくぞくと高揚感を覚えた。

 ルーミアは泣きそうな表情で「あう……あう……」とどもる。

「なに? あんたは私に何をして欲しいの? はっきり言いいなさい」

 霊夢が促すと、ルーミアは意を決したように目をつぶり、

「お、お願いします! どうか、私を……、くすぐって……っ!」

 顔は真っ赤。目尻に涙が浮かんでいる。恥じらう表情は、実にかわいらしい。
 霊夢は興奮した。
 ご褒美に、全裸に剥いてくすぐり犯してやった。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 くすぐりたい東方キャラ投票で割と票数を稼いでいた人食い妖怪。
 『東方紅魔郷@上海アリス幻樂団』より、ルーミアさんです。

 ナチュラルに好きなキャラです。くすぐりたくなる服装デザイン。
 弾幕に関しては、歴代一面ボス最弱は揺るがないと思います。











咲夜さんこちょられスペカ

 八雲家の居間にて、ボリボリとせんべいの咀嚼音が響いている。
 座布団を枕代わりにして寝転んでテレビを眺める少女がひとり。幻想入りして久しいブラウン管テレビは、ときどき砂嵐が交じっている。
 八雲紫は退屈していた。
 一時間あまり、とあるお笑いコンテストの中継を惰性で見続けている。
 画面に映っている若手漫才師。紫は、ひょろ長男がボケの小太り男の頭をはたくたびに、ため息をついた。ネタの構成がまったくなっていない。だからといって荒削りとかでもない。華がない。テンポと間が悪すぎる。よくこれで決勝に上がれたものだと辟易する。
 紫は、漫才大会の審査員を務めたこともあるお笑い通であった。そんな彼女にとって、素人に毛の生えたような漫才は見るに堪えなかった。
 しばらく見続けるが、一向にまともな漫才師が現れない。
 紫は深々とため息をついて、

「らーん!」

 寝転んだまま、式の名を呼んだ。
 彼女の式である八雲藍とその式である橙を呼びつけて、漫才をさせるためである。
 漫才が見たいならはじめからそうすればよかった。
 紫の式たちは幻想郷内でも随一の漫才師であると、紫は自負している。
 しかし、いつもならすぐに飛んでくるはずの藍が来ない。代わりに、彼女の式である橙がひょっこりと顔を出した。

「すみません、紫様。藍様はいま人間と戦っていて、手が離せません」

 彼女の服はところどころ破れていた。ボロボロの姿。戦帰りのように見えた。
 聞けば、藍はただいまスペルカード合戦中。橙を倒した人間に対して藍が激怒し、喧嘩をふっかけたらしい。橙は、スペルカード『式神「橙」』が破られて、帰還したところだそうだ。
 相手は紅魔館のメイドだそうだ。ナイフの使い手らしく、なかなか苦戦を強いられているという。
 まったく、しょうがない式達である。

(藍にはあとでお仕置きするとして……)

 紫はテレビを消して、むくりと起き上がる。
 右手で空を切るような動作を施すと、空間に亀裂が入る。ぐにゃりと空間がねじれ、スキマが出現した。

(少しだけ、助太刀してあげる)

 我ながら親ばかだと呆れる紫であった。

・・・

 十六夜咲夜は、スペルカード『幻神「飯綱権現降臨」』に挑んでいた。X軸の1/4地点あるいは3/4地点に陣取り、八雲藍を誘導すれば安地が作れることはすでに調査済みである。咲夜は左側の1/4地点に誘導し、米粒弾と蝶弾を避けながら微調整している最中であった。

(不安要素だったこっくりさんが取得できたのは僥倖。九尾の狐も所詮この程度。たいしたことなかったわね)

 咲夜はここまで7機を残している。
 このままクリアすればスコアボードでも上位に食い込めるはずだ。
 
(……できた!)

 安地が完成し、あとは撃ち込むだけ……。
 そう安心した矢先のことだった。

「……っ!!! ひゃうっ!!?」

 突如襲った刺激。
 咲夜はびくっと体を震わせ、攻撃を止めてしまう。

(……な、なに!?)

 脇腹にふわりとこそばゆい刺激。
 見やると、咲夜の両脇腹の横に、白い手袋をはめた手が二本、空間から生え出ている。その指が、咲夜の脇腹をすりすりとなで回すように動いている。

「あっふ……っ!? ちょ……な、なんなの、これえっぇっ、んはっ!!」

 咲夜はくねくねと体をよじった。
 事前の調査では、安地さえ作ればこのスペルカード取得は容易なはず。くすぐり攻撃が付加されるなど聞いていない!
 自機が動くと、せっかく作った安地が崩れてしまう。
 咲夜は、自機の位置がずれないように、くすぐったさに必死に耐えた。

 こちょこちょこちょ。

「くひっ……ちょっ!? 段々早くっ……!? やめっ、ふはっ、あはぁぁあん!!」

 咲夜は地団駄を踏んで悶えた。
 脇腹に食い込む10本の指。ぐにぐに揉みほぐすように動く。
 突如出現した謎の手にくすぐり回されるという理解不能な状況であった。

「やめっ、ひあぁぁっ! あひぃぃ、ひ、ひ……っ!! くあぁっ!!」

 咲夜は、くすぐったさに耐えながら、攻撃し、弾を避けなければならなかった。
 笑いをこらえればこらえるほど、くすぐったさは増長していく。

 脇腹に張り付くように蠢く指は、とうとう咲夜のツボを探り当てた。

 ぐりぐりぐり。

「ひぁっ……あははっ、だめぇぇっ!! だひひっひっひっひっ!!? あだあはははははははははははははっ!!!」

 一度笑い出してしまうと止まらなかった。
 横っ腹のちょうど真ん中あたり、両腋からぐりぐりと指を押し込まれる感覚。
 腹の底から沸き起こる笑いは抑えることができない。

「きゃはははははははははっ!!! やめっ、だめぇぁああはっははっはっはっははっは~~!!」

 ぴちゅーん。

 ぴちゅーん。

 咲夜は激しく体をよじった瞬間、米粒とクナイに足を引っかけ被弾してしまった。痛恨の連続被弾である。

 残機5。

「く……」

 汗だくで復帰した咲夜は歯がみする。
 せっかくのハイスコアが遠退いてしまった。

 ふと見ると、さきほどまで脇腹の横にあった謎の腕が消えていることに気付く。

 どうやら被弾と一緒に消失したようだ。
 これはチャンス。
 さいわい、安地も崩れず保っている。

 咲夜はふたたび安地に陣取り、撃ち込みを再開する。
 敵のゲージも残り半分を切っている。
 あと少し……。あと少し……。

「……っんはっ!!?」

 そんな矢先、ふたたび咲夜をくすぐったさが襲う。
 咲夜はびくんと体を震わせて、

「むほあぁあはははははははははははっ!!? ひあははっははっはっはっははっは~~!!!」

 いきなり笑い出してしまった。

 足の裏を突如襲ったくすぐったさ。

 足元を見ると、出現した二本の手。片方が咲夜の右足首を掴んで、もう片方がその足の裏をくすぐっている。
 いつの間にか靴と靴下が脱がされ、素足にされていた。

「きゃあぁぁっはっはははっはっはっはっ!!! ちょっと……やめてぇぇああははっはっははっははっはっははっは!!!?」

 片足をわずかに上げた不自然な体勢でくすぐられる咲夜。
 笑って集中力が保てないために、敵に攻撃も当てられない。
 足を必死に引っ込めようとするが、空間から生え出た謎の手は恐ろしいほど力が強く、びくともしない。

「やぁぁあははははははははははは~~っ!! ちょとっ、バランスがぁぁああはははははははは~~~!!?」 

 咲夜は笑い転げ、転倒した。と、同時に、

 ぴちゅーん。

 大玉に敷かれて被弾してしまう。

「あはははははははっ!!!? 嫌ぁぁあっははっはっははっはっはっは!!!」

 ぴちゅーん。

 転げて被弾してもなお、謎の手は咲夜をくすぐり続けた。
 咲夜は笑い続け、そのまま中弾の直撃を食らってしまった。

「はぁ……ちょっと……勘弁……」

 ようやくくすぐったさが途絶え、咲夜は起き上がろうと腕に力を込める。
 いまだ敵の攻撃は続いている。すぐにでも態勢を立て直さなければならない。

 と、その瞬間、今度は、腋の下に強烈なくすぐったさが襲いかかる。

「きゃはははははははははははっ!!!? なにぃぃいいいいいっ!!?」

 ぴちゅーん。

 ぴちゅーん。

 いきなりのくすぐったさにまったく対応ができなかった。
 咲夜の腋の下にぴったりと張り付いた手が、ぐりぐりとうごめき続ける。

「いやぁぁぁっははははっはっはははっはは、だめぇぇぁああはははっはあ!!! いいかげんにしてぇぇぇぁはははははははははは~~!!!」

 ぴちゅーん。

 あっという間に残機0。
 すでに安地は崩れ、無作為に飛んでくる弾を気合いで避けなければならない状況だった。

「ぎゃあはっははははっはははっはっ!!! なんでぇぇぇぇぇえ!!? なんでこんなことおおおああはははははははははははははは!!!」

 気まぐれに出たり消えたりしながらくすぐってくる謎の手。
 笑いながら投げたナイフが敵に当たるはずもなく、また敵の攻撃を避けられるわけもなく、……

 ぴちゅーん。

・・
・・・
・・・・

 あと少しだったのに……。
 八雲藍に敗北し紅魔館に帰還した咲夜は落ち込んでいた。

(……しかも、あんな馬鹿みたいな攻撃で……、馬鹿みたいに笑わされて……)

 咲夜は、思い出しただけでも恥ずかしくなった。
 八雲藍のラストスペルカード取得のためには、どうしてもくすぐり耐性を身につけなければならない……。

 咲夜の出した答えはひとつであった。

 三時のおやつ時。いつものように主人レミリアの元へ菓子と紅茶を運ぶ。しかし、今日は別の道具も一緒に……。
 咲夜は茶菓子の準備を済ませると、レミリアの前に膝をつき、頭を垂れた。

「レミリアお嬢様、どうか私を、くすぐってくださいませ」



(完)



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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 くすぐりたい東方キャラ投票でかなり票数を稼いでいた瀟洒なメイドさん。
 『東方紅魔郷@上海アリス幻樂団』より、十六夜咲夜さん。妖々夢仕様。
 せっかくたくさん投票いただいたので書いてみました。
 ぶっこんだネタは趣味です。











ハクタクのくすぐり折檻

「チルノ!」
「な、なゃっ!?」
 寺子屋の廊下にて、チルノは突然、後ろから慧音に声をかけられビクッと肩を震わせた。
「お前、なんで素足なんだ!?」
 慧音は怒りの形相でチルノをにらみつけた。
「……はへ?」
 チルノには何を怒られているのか、何を言われているのかもよく理解できなかった。
「なんで素足なんだ、と聞いている!」
 慧音は完全に怒りモードだ。
「……え、いや、暑いし……」
 慧音の般若のような顔に、チルノは声を小さくして答える。
「暑いだとっ!?」
 すると慧音は、チルノの腕を掴み上げた。
「きゃっ!? ちょ、何するのっ!?」
「来いっ! 貴様には指導が必要だ!」
 わけもわからず、チルノは資料室に連れて行かれた。

~~~

 数分後。

「きゃはははははははははっ!!! おねがっ……やめてぇぇ~~っはっはっはっはっは!!!」

 資料室の床の上。
 チルノは慧音に足首を掴まれ、こちょこちょと足の裏をくすぐられ、悲鳴を上げていた。

「素足で学校へ来るなど、非常識だと思わんのか!」

 慧音は鬼のように目を吊り上げて、カリカリと爪でチルノの土踏まずを引っ掻いている。

「やっはっはっはっははっ!!! 非常識ってぇぇぇひゃはははははは、非常識って何よぉぉ~~やぁぁははははははははは!!!」

 チルノは顔を真っ赤にして、ジタバタと両手を動かしてもがく。
 暴れたチルノは、思わず片足で慧音の顔を蹴ってしまう。

「なんだ! その反抗的な態度は!」

 慧音はチルノの両足を片腕でがっちりと抱え込み、両足の裏を激しくくすぐり始めた。

「きゃあぁぁぁっはっはっははっはっっは!!? いやぁぁぁぁぁ事故ぉぉ~~ひゃひゃひゃ事故だからぁぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃぁぁ~~!!!」

 チルノはバンバンと床を両手で叩いて暴れる。
 慧音の五本の指がガシガシと激しくチルノの足の裏で踊り狂う。

「いやぁぁぁははっはっははっはははやだぁぁぁぁやめてぇぇぇぇ~~ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃぁあぁ!!!」

 涙を流して大笑いするチルノ。

「反省するか?」

「反省するぅぅぅ~~ひゃっひゃひゃっひゃひゃ!!! 反省するからあぁぁぁははははははあははは!!!」

 チルノは笑い続け、体がぽたぽたと溶け始めていた。
「何を反省したかちゃんと言え!」
 慧音は、謝り泣き叫ぶチルノの足の指にぐりぐりと指をねじこんだ。

「うひゃひゃひゃひゃぁあぁぁぁひゃぁぁぁぁ~~はでゃっ……ひっひっひっひっひ学校にぃぃ~~ひっひっひっひ裸足でってぇぇぇぇひゃははははは!!!」

「なんだ!? 笑いながらじゃわからん!」

 慧音は怒鳴り、さらに爪を立ててチルノの足の指の間をくすぐり立てる。

「あひゃひひひひひひひひひそんな無茶なぁぁああっははっはっはははあはぎゃぁぁぁあ~~~!!! ごめんにゃぁぁはっはっっはは、ごめんなさ……っ、あはははっははははは~~!!! はひゃひゃひゃ……――」

 チルノは大笑いしながら、溶けてしまった。 

「これで少しは反省しただろう」

 慧音はフンと鼻息を立てて、資料室を後にした。

~~~

「あ、チルノちゃんもやられたんだ。慧音先生のあれ、……きついよね」

 数時間後転生したチルノに大妖精が言うには、慧音は生徒に罰を与える際、くすぐり刑を科すことで有名らしい。

「ちっくしょ……覚えてろよ……」

 チルノはひそかに復讐を誓った。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 くすぐりたい東方キャラ投票でなにげに票数を稼いでいた氷の妖精さん。
 『東方紅魔郷@上海アリス幻樂団』より、チルノさんです。
 とあるチャットルームで書きました。

 紅魔郷初クリアはレザマリ装備でした。
 マスパで時間稼ぎのごり押しェ……。大玉が列になって飛んでくるのを、縁にそって右に避けるのがとても怖かった思い出。











酔っ払いくすぐり鬼

「ゆーぎー」
「ん、なんだ萃香?」
「おしっこ」
「一人で行け!」

 酒の席で、萃香はぐでっと勇儀に体を預けてきた。

「ゆーぎー」
「だから一人で――って、酒臭っ! お前いくらなんでも飲み過ぎじゃないのか」
「んぁー?」

 萃香はとろんとした目を勇儀に向けた。
 顔は真っ赤で、見るからに酔っ払っている。

「ゆーぎー、おこなのー?」

 普段以上に舌っ足らずの萃香はこてっと首を傾げて勇儀の顔を見上げる。
「っ!?」
 勇儀はそのあどけない表情に一瞬ときめいてしまい、ぶんぶんと首を左右に振った。
「……べ、別に怒ってない! さっさと便所へ行け!」
 ぷいとそっぽを向いた勇儀に、ぷーっと頬を膨らませる萃香。
「ゆーぎおこー。おこ~んにゃぁ~」
 萃香はうにゃうにゃと言いながら勇儀の体にまとわりつく。
「だぁもう! 鬱陶しい!」
「おこ~んにゃぁ~」

 すると、萃香はべたべたと勇儀の体をまさぐりはじめた。

「んひゃっ!? こっ、こら萃香! どこ触って――うひゃぁ!?」

 萃香は両手を勇儀の服の裾から差し込んだ。
「わらえよゆーぎー」
 にへーっと笑いながら萃香はこちょこちょと勇儀のお腹をくすぐる。

「ひゃははははははははっ!!? こら萃香やめ、あぁぁ~~はははははははははは!!!」

 勇儀は萃香の肩を持って押しやる。
 しかし体格差があるとは言え萃香も鬼。
 萃香のしがみつく力は強く、たやすく引きはがすことはできない。

「ゆーぎわらえー、えへへー」

 萃香はわちゃわちゃとお腹に爪を立てる。

「あぁぁ~~っはっはっはっはっはっははやめろぉぉ~~すいかぁぁぁはははっはははははは!!!」

「ゆーぎのおへそー」

 萃香はくりくりと勇儀のおへそをほじくる。

「おほぉぉぉ~~ほひゃぁぁっはっはっは!!? ――と、あぁぁっ!!?」

 勇儀は萃香に押し倒され、仰向けに倒れ込んだ。
 その上に萃香が跨がり、足で勇儀の両腕を挟み混んで押さえつけてしまった。

「こ、こらっ! 萃香!?」
「へへー、ゆーぎ、つーかまーえたぁ」

 すっかり酔っ払って調子に乗った萃香は、体を反転させて、勇儀の足の裏をくすぐり始める。

「ぎゃはははははははっ!!? そこはやめぇぇあぁぁぁあっはっはっははっはっはっはっは!!!」

「うひひー、ゆーぎのよわいとこめーっけ」
 萃香はへらへら笑いながら、爪を立てて、ガリガリ勇儀の素足を掻きむしる。

「がひゃひゃひゃひゃひゃだぁぁぁっはっはっはっはっはやめろぉぉ~~はははははははこらぁぁぁ!!!」

 腕を体側につけたまま身動きが取れない勇儀は、首だけをぶんぶん左右に振って笑う。

「だぁぁぁははははははやめっ!! やめぇぇっ……やめろってぇぇぇぇ!!」

「はわぁぁ~~?」

 とうとう切れた勇儀は力任せに萃香を押しのける。
 とぼけた声を上げて尻餅をついた萃香の足首を掴み上げ、今度は勇儀が萃香の素足の足の裏をくすぐりはじめた。

「あ――きゃはははははははははっ!!!? にゃぁぁぁっはっはっはっはっははやぁあぁゆうぎぃぃっひっひっひっひっひやめてぇぇえぇ~~っはっはっは!!!」

 いきなり足の裏を激しくくすぐられ、たまらず甲高い声を上げる萃香。

「お返しだ! 酔っ払いは結構だが、限度はわきまえろ!」

「にゃぁあぁっはっはっはっっはっはっははっ!! ゆうぎぃぃぃひひひひひひひひ、ホントにだめぇぇぇひゃはははははははは!!!」

 笑って酔いが覚めたのか、激しく四肢を動かして暴れる萃香。

「あぁぁぁあゆうぎやめてぇぇぇひゃはあぁはははぁひひぃひひいはぁあぁぁああぁっぁぁぁ!!!」

 ぷしゃっ。
 勇儀は突然の音に驚き、手を止めた。
 萃香の股間が湿っていく。
「ふ、ふぇぇ~~、ゆーぎひどいよぉ……」
 そして、萃香はぽろぽろと涙を流し始めた。

「……あ、悪い」

 勇儀は萃香がトイレを我慢していたことをすっかり忘れていた。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 『東方地霊殿@上海アリス幻樂団』より、星熊勇儀さん、伊吹萃香さんです。
 とあるチャットルームで書いたもの。

 地霊殿初クリアはあやや装備でした。
 個人的な使いやすさ(クリア安定度)は、
 あやや>ぱっちぇ>アリス>ゆかり>スイカ>にとり
 でした。






Tickle-Tickle団ヤマブキジム落城計画

 ロケット団が解散して数年。
 カントーに新たな巨大組織が誕生した。
 Tickle-Tickle団(ティコティコだん)。
 これは、ポケモンを「くすぐり」の道具としてしか考えない、変態集団の軌跡。

○○○

 ヤマブキシティ北部に位置するヤマブキジム前。黄色のスーツに黄色いサングラスをかけた怪しい男女二人組が、フリーザーの『そらをとぶ』によって、降りたった。
「ここがヤマブキジムでございますね」
 ロン毛で整った顔立ちの男(以下ロン)が、自身の髪の毛をかき上げながら言った。
「R団最大の失敗は、有能なジムリーダー達を利用しなかったこと。カントー征服にあたっては、まず各地のトップ、ジムリーダー達に協力を仰ぐことが必要なのだ」
 ショートボブでマネキンのような顔立ちの女(以下ボブ)が続けた。

「カントー地方最強のエスパータイプのポケモンを味方につければ、我ら野望の達成も目前ぞ」
「ナツメ嬢にはぜひご協力いただかなければいけませんね」

 T-T団幹部二名は、モンスターボールの大量に入ったバッグを携え、ヤマブキジムへと入っていった。

○○○


 さっさとナツメと交渉がしたいT-T団の二人にとって、ヤマブキジム名物のワープシステムはかなり煩わしいものだった。
 全室の四隅には魔方陣が描かれており、そのどれかがジムリーダーのナツメの部屋に繋がっている。


「ナツメさんは若くしてこのポケモンジムを仕切る実力者! 簡単には会わせないぜ!」

 二人が最初のワープで飛ばされた部屋。白衣をまとったおさげの少女は二人を挑戦者と勘違いしたのか、戦う気満々の様子で歩いてくる。各部屋で対戦を強いられるポケモントレーナーのサイキッカーである。

「すべての魔方陣を確かめるのは時間の無駄だな」
 ボブが言った。
「そうですね。ちょうどよくこちらへ向かってくるあのサイキッカーに聞いてみましょう」
 ロンは言うと、その場でモンスターボールを展開した。

 ぼぅんっ、と音がして、アーボックが現れる。

「おっと、お兄さんやる気だな! でもちと勉強不足なんじゃないか? このジムで毒タイプは――」
「『まきつく』攻撃」
 サイキッカーが喋り始めるが、ロンは無視してアーボックへの指示を出した。
「うわっ!? 何をするっ!?」
 サイキッカーは、あっという間にアーボックにぐるぐる巻きにされてしまった。

「なんだお前達! どういうつもりだ!?」
 アーボックとともに床に転がされたサイキッカーはキッとT-T団二人を見上げる。両足をそろえ、両腕を体の脇にぴったりとつけられた、Iの字で拘束されているため、まるでキャタピーのようである。
「お前。名前は?」
 ボブはサイキッカーの言葉を無視して聞く。
「さ、サイキッカーの……カオル」
 しぶしぶという風に答えるカオル。
「僕達はナツメ嬢に会いに来ただけなんですよ。どの魔方陣がジムリーダー部屋に繋がっているか、教えていただけますか?」
 ロンが言うと、カオルは一瞬驚いたような表情をして、すぐに「ふふん」としたり顔を作った。
「へぇ、無駄な戦闘はなるべく避けて体力温存しておきたいってことなんだ? 確かに戦略としちゃ間違ってないけど、あたしを軽々倒せない奴らにナツメさんが果たして倒せるのかな?」
 ボブとロンは顔を見合わせた。
「……質問に答えていただけますか? ジムリーダー部屋へ通じる魔方陣はどれですか?」
「知りたきゃあたしをポケモンバトルで倒すことだね! 正々堂々戦ってくれれば、ヒントぐらい教えてやるよ」
 カオルは不敵な笑みを崩さない。
「まったく会話が成り立たないな」
「仕方ないですね。アーボック」
 ロンが指示を出すと、アーボックは口でカオルの両足から靴を脱がし取った。

◎◎◎

「『まとわりつく』攻撃」

 アーボックは、カオルの素足に、ちろちろと舌を這わせ始めた。

「わっ、わわっ!? なっ……何をするっ!!? ふはっ、ひゃひっ」
 カオルの足の指が、くすぐったそうにもぞもぞと動く。

「カオルさん、どうですか? どの魔方陣が正解か教えていただけませんか?」
「ふははっ、……な、お前たちっ、ふひっ!? 何者だっ」
 カオルは顔を真っ赤にして言った。
 アーボックの舌先はカオルのかかとをチロチロ刺激し続けている。

「我らはTickle-Tickle団。ここカントーを『くすぐり』で支配するために立ち上がった秘密結社だ」
 ボブが口を開いた。
「ひ、ひひっ!? な、なんだそれぇぇっぁああっ!!!」
 カオルはくねくねと、体をキャタピーのようによじった。

「ナツメ嬢の部屋へ繋がる魔方陣はどれですか?」
「ひ、くひひっ……」
 カオルは唇をかんで、笑いをこらえる。

「『ふいうち』攻撃」
 ロンが指示を出すと、アーボックは尻尾の先端をカオルの腋へねじ込み、くねらせた。

「ぶはっ!!! あははははははっ!!? や、やめっ……くぁっはっはっはっはっはっは~~!」
 一度笑い始めると抑えられない。
 カオルは苦しそうに眉間に皺を寄せて笑い始めた。
「あっはっはっはっは、やめろっ、やめろぉぉ~~~~……っ!!」

「質問にお答え願えますか?」
 ボブがカオルの顔を覗き込んだ。
「はははははっ……そんなっ、答えられるわけないだろぉぉ~~っはっはっはっは! せ、正々堂々っ! 勝負しろぉぉ~~っ……ふはははははははっ!!」
 カオルはかなりの戦闘中毒らしい。
 T-T団の二人は顔を見合わせて肩をすくめた。

「『おいうち』攻撃」
 アーボックの舌の動きが速くなった。
「ぐはっ!!! 嫌あぁぁははははははははははっ!!! やめっ、くすぐったいぃぃぃ~~っひっひっひっひ!!!」
 カオルは涙を流して叫んだ。
 アーボックの舌が、カオルの足の指の間に入り込み、びちびちと音を立てる。
「うひひひひひひひひひっ!!? いぃぃ~~っひっひっひ、それ駄目っ、やめっ、やめてぇぇ~~~っはっはっはっは!!」

「『おいうち』攻撃」
 さらにロンが追加指示を出すと、アーボックの尻尾の先端が、ぐりぐりとカオルのアバラをほじるように動く。
「あひひひひひっ、ぶわぁっはっはっはっははっ!!! やめっ、ふざけんなぁっはっはっはっはっはっは~~っ!!」
 体を床に打ち付けたり、反ったり、よじったりして、涙を流して笑い狂うカオル。

 しばらく笑い続けていたカオルだったが、耐えられなくなったのか、意外と早く口を割った。
「わかったぁぁあっはっは、教えるっ!!! 教えますからぁぁぁっはっは、そこっ! その角の魔方陣っ! それが正解っ!!!」

「なんだ。あっけなかったな」
 ボブは軽くため息をつき、魔方陣へと急ぐ。
「では、参りましょうか」
 ロンも続く。

「ちょっとぉぉぉ~~っはっはっは、教えた! 教えたからぁぁっはっは、助けてよぉぉ~~っひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!」
 カオルは体を反り返らせて懇願する。
 身動きの取れないIの字の体がびくびく痙攣するように動いている。

「バトル狂はしばらく笑って、脳のリフレッシュでもしていろ」
 ボブはあざけり笑いながら、魔方陣へ飛び乗った。
「そんにゃぁぁぁっはっはははははははっ!!」
 ボブの体がぐるぐると回転をはじめ、ゴムをねじ切るような音とともにワープした。
「『おいうち』攻撃」
 ロンは魔方陣の上で最後の指示を出した。
「あぁぁぁっ!!! ひぎゃぁぁぁあっはっははっははっはっ、だぁぁぁあぁ――」

 カオルの断末魔のような笑い声は、ワープ音にかき消された。


○○○


「ナツメは……、私よりだいぶ年下だが! 彼女を尊敬している!」

 T-T団の二人はワープした部屋で、もんぺを履いた非常に幼く見える祈祷師の少女にからまれた。手には御幣を持っている。
 部屋の四隅には、魔方陣がある。

「ナツメ嬢の部屋……ではないようでございますね」
 ロンが言う。
「あの女、だましたな」
 ボブが忌々しげにつぶやく。
 T-T団の二人に、祈祷師の『私よりだいぶ年下』発言をつっこむ余裕はなかった。

「仕方がありません。この部屋のトレーナーに尻拭いをしてもらいましょう。おや、こんなところにかわいらしい祈祷師さんがいますね」
「絶対に許すな」
「仰せの通りにいたします」
 ロンはボブの指示乾いた笑いで応じると、モンスターボールを五個一度に展開した。

 ぼぅん、と音がして、五体のゴーストが現れる。

「『まとわりつく』攻撃」
 ロンが指示を出すと、二体のゴーストが祈祷師の少女へ飛びついた。
「なっ、何をするっ! おぬしらっ!」
 祈祷師の少女は、両手両足首をつかまれ、立ちX字に体を引き伸ばされた。

◎◎◎

「ええい、放せいっ!」
 手首を使い、必死に御幣を振る祈祷師。
「威勢の良い祈祷師さんですね。お嬢さん、お名前をお聞かせ願えますか?」
「ふふん。名乗る名などないっ! おぬしら、何も知らぬようだな! 私は三百年もの間、この地を守り続けている巫女! 私にこのような悪態をついて、ただで済まされると――」
「『おどろかす』攻撃」
 威勢よく叫ぶ祈祷師の少女をさえぎるように、ロンは指示を出した。
 浮遊していた一体のゴーストが、祈祷師の脇腹をこちょこちょとくすぐる。
「きゃはははははははっ!!?」
 途端、甲高い笑い声を上げる祈祷師。肘を曲げ、必死に腕をおろそうと体をよじる。

 ゴーストはすぐにくすぐる手をとめた。
「かわいらしい声でいらっしゃいますね。祈祷師さん。お名前は?」
「……はぁはぁ……きゅ、急に何をするのだ……っ! おぬし、たたりにあうぞ、たたりに――」
「『おどろかす』攻撃」
 ゴーストの二本の手が、祈祷師の脇腹に食い込む。
「きゃはははっ、はっはっはっはっ!! やめてっ! あははははははははっ、……フミカっ!! 名前っ、フミカぁぁ~はははははは!」
 地団太を踏んで笑いながら、フミカは答えた。

 ゴーストの手がとまる。
「フミカさんですか。最初から素直にいいましょうね」
「……はぁ、……はぁ、……そ、それは、私が今借りている体の名だ。私はこの者の、霊力に導かれ、現世によみがえって――」
「『おどろかす』攻撃」
 今度は、二体のゴーストがそれぞれ、フミカの腋の下と腰をくすぐり始めた。
「きにゃっ!!? はははははははっ! やめっ、やぁぁっはっはっはっはっはっ! 名前言った! 名前言ったのにぃぃぃっひっひっひっひっひっひ!!」
 フミカは首を左右にふって、けらけらと笑う。

「『まとわりつく』攻撃」
 ロンが指示を出すと、足首を掴んでいたゴーストが、フミカの左足をぐっと体の前まで持ち上げる。
 がに股にさせられ、膝をくの字に曲げた状態で、体の前で足の裏をさらすような形で固定される。
 浮遊していた最後の一体のゴーストが、その足から足袋を脱がし取ると、がりがりとフミカの素足の裏をひっかきはじめた。
「ふひっひっひひっひっひっ!!? やめてぇぇえ~~~あっはっはっはっはっはっ!!! こちょこちょ駄目ぇぇぇえっはっはっはっはっはっは~~」

「『まとわりつく』攻撃」
 腋と腰をくすぐっていたゴーストも、ぐにぐにと指をフミカの体へ食い込ませ、くすぐりを強くした。
「いやぁぁぁっはっはっはっはっはっ!!! やぁぁ~~っはっはっはっ!!! うにゃぁあっぁああやだぁぁぁ~~っ、やめてよぉぉ~~~っはっはっはっは」
 体を上下に揺らせて笑うフミカ。

「おやおや、三百年の霊力はどうしたんですか?」
 ロンはあざけるように言う。
「きゃはははははははっ、やぁぁぁあああっはっはっ……そんにゃのっ!!! 笑ってたら出せないに決まってるじゃないぃぃ~~っひっひっひっひっひ!!」
 フミカは泣き叫んだ。
「ああ、そういう設定でしたか」
 ロンはにやにやと笑う。
「なら、くすぐり終わった後にたたられないように、ここで目一杯笑わせておかないといけませんね」
「にゃあぁあああっはっはっはっ!!!? 嫌っ、っはっはっは、たたらないっ!!!! たたらないからぁぁっはっはっははは、やめてぇぇぇ~~っひゃっひゃっひゃ!」
 甲高い声で大笑いするフミカの姿は、歳相応の女の子であった。

「『たたりめ』攻撃」
 ロンが指示を出すと、フミカの体をくすぐっていたゴースト達が、フミカの服を脱がし始めた。
「きゃっはっはっはっ!!? いやぁぁ~~っ! やだぁっはっは!!!」
 もんぺを膝までずり下ろされ、羽織の内側の襦袢を観音開きのように引き剥がされ、下着をさらされるフミカ。
 フミカは和装にまったく合わないフリルの付いたキャミソールを身につけていた。
「おやおや、三百年前の巫女様はずいぶんと洋風な下着を着用されているのですね」
 ゴーストはキャミソールの裾から手をつっこみ、フミカの脇腹をくすぐる。ふともも、脚の付け根にも別のゴーストの指が食い込む。
「くきゃはははははははっ!!! やめっ、だってぇぇぇっはっはっは、それはお母さんがぁぁぁっはっはっはっはっはっは~~」
 フミカは泣き叫ぶ。

「もうキャラクターを安定させる余裕もなくなってしまいましたかね? 『したでなめる』攻撃」
 フミカの腕を持っていたゴーストが、フミカのうなじに舌を這わせた。
「うひゃぁぁああああんっ!!!?」
 フミカの足下でも、右足から足袋を脱がし取ったゴーストが、べろべろとフミカの足の裏を舐め始めた。
「あぁぁっひゃっひゃっひゃっ!!! やめてっ、嫌だぁぁぁっはっはっはは、うひゃひゃひゃっ!! お母さんっ! お母さァああんにゃははははははははははははっ!!!」

 しばらく体中を舐められ、くすぐられ続けたフミカは涙をぼろぼろと流して謝り始めた。
「ひぎゃぁぁっはははっははははっ!!! ごめんなさいぃっ!! ごめんなさいぃぃ~~っひっひっひっひ」
「『したでなめる』攻撃」
 おなかをくすぐっていたゴーストが、フミカのへそを舐める。
「あひゃぁぁっはっはっはっははっ!!! おかあぁぁぁあんっ、助けテェぇぇぇっひっひっひ!!! あひゃひゃひゃっ、もう変なこと言わないっ!!! 変なカッコもしないからぁぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃ~~っ!!!」
 フミカは限界なようで、その場にいない母親に助けを求め、自身の設定を否定するような発言を繰り返した。
「ひゃぁぁあ~~っはっはっはっ! ごめにゃしゃいっひっひ、こちょこちょいやぁぁぁっはっはっは!! 宿題もちゃんとするからぁぁぁっはっはっはっはっはっ!!」

「フミカちゃん。ナツメ嬢の部屋に直通する魔方陣を教えていただけますか?」
 じっくりとフミカの泣き喚く姿を堪能した後、ロンは口を開いた。
「あぁぁっひゃっひゃひゃひゃひゃひゃっ!!! そこっ!!! 左下の角ぉぉぉははははははははっ」
 すぐに答えるフミカ。
「嘘じゃないだろうな?」
 ボブが念押しした。
「ひひゃひゃひゃひゃっ!!? ほんとだよぉぉぉっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!」
「さっき、サイキッカーに同じ質問をしたら、ここに通されたんだが」
「にゃっ、ナツメの部屋行くにはぁぁぁっはっはっは、ここからしかいけないからぁぁぁっひゃっひゃひゃっひゃっ!!!」

「さきほどの方も、別に我々をだましたわけではなかったようですね」
「そうだな」
 二人は魔方陣に乗った。

「ゴースト、『したでなめる』攻撃、『まとわりつく』攻撃」
「ぐぎゃぁあぁああああああっははははははははははっ!!!!」
 二人はフミカの悲鳴を聞きながら、次の部屋へとワープした。


○○○


「……やっぱり来たわ! 予感がしたのよ! 何気にスプーンを投げたら曲がって以来……、私、エスパー少女なの。戦うの好きじゃないけどあなたが望むなら、私の力、見せてあげる!」

 T-T団の二人を待っていたのは、エリートトレーナーのように鞭を持った長髪のジムリーダー、ナツメである。
「間違いないか」
「ナツメ嬢に間違いございません」
 ボブとロンは細く微笑むと、ロンがモンスーターボールを展開した。

 ぼぅん、とバリヤードが出現する。

「『でんじは』攻撃」
 ロンがバリヤードに指示を出した。
 バリヤードはパントマイムをするように両手のひらを前に突き出し、攻撃を発動する。

「あなたの手の内は、予知していたわ」
 ナツメはふっと余裕の笑みを浮かべた。
 きぃん、とナツメの正面の空間がゆがんだかと思うと、バリヤードの放った攻撃『でんじは』は、ロンに跳ね返った。
「ぐあっ!?」
 体をピンと硬直させ、両腕を体の脇につけた直立の姿勢で後ろに倒れるロン。『まひ』状態にかかったようだ。
「マジックコートか」
 ボブが感心したように頷く。
「なかなかの手だ。……が、しかし」

「……――うっ!?」
 ナツメは突然、ピンと体を硬直させ、ロンと同じように直立の姿勢で後ろに倒れた。

「我らの方が、……いや、私の方が一枚上手だったようだな」
 ボブがそういうと、ロンの顔がぐにゃりとゆがみ、『へんしん』が解けていく。
「な……っ」
 ナツメは横目でその様子を見て絶句する。
「こいつは『シンクロ』特性を持ったミュウ。私の相棒だ」
 ボブは、すっかり『へんしん』の解けたミュウを見る。体の自由が利かず仰向けに倒れたままである。
「お前の『へんしん』もまだまだだな。あいつは確かに丁寧口調だが、お前は少々へりくだりすぎだ」
「……申し訳ございません。ご主人」
 ミュウは見事に人語を操っていた。

「……こ、こんなことは、予知にはありませんでした」
 ナツメは観念したように目をつぶった。

◎◎◎

「さて、交渉といこう」
 ボブがゆっくりとナツメに近づいていく。
「言わなくてもわかる。あなたの目的は『くすぐり』によって、カントーを笑顔で満たすこと」
 心を読んだらしいナツメは、目をつぶったまま言った。
「ほう?」
「私はヤマブキシティのジムリーダー。断固として、あなたのカントー征服に協力することはできない」
「話が早くて助かるな」
 言うとボブは、バリヤードに指示を出し、『ねんりき』でナツメの気をつけの姿勢のまま宙に浮かべ、両足から靴を脱がした。
 黒いストッキングを履いたナツメの足が露になる。
「……っ」
 少しだけ眉をしかめるナツメ。
 覚悟を固めたようだ。

「バリヤード、『くすぐり』」

 バリヤードは、かかとを揃えたナツメの足の裏をこちょこちょとくすぐり始めた。
「ぷふっ……く……」
 一瞬頬を膨らませ吹き出したものの、ナツメは口をむんずと締め直し笑いをこらえた。
 バリヤードの指の動きにあわせて、くねくねとナツメの足の指が動く。

「ナツメ嬢。顔を真っ赤にして、目には涙まで浮かべて。かなり敏感な癖に無理をしているな?」
 こちょこちょとバリヤードの攻撃は続く。
「くふ……ふ、……そ、そんな、こと……」
 ナツメは嬌声の混じった高めの声を発しながら、ふるふると首を左右に振った。
「バリヤード、『くすぐり』」
 バリヤードはボブの指示を受けると、くすぐる指の動きを速めた。
「くはっ! ……は、……うくぅ……、ひ、く、うふぅ……」
 ナツメは顔を真っ赤にしてくすぐりに耐えている。
 ボブは、ナツメがくねくねと足をよじる様子を満足気に眺めた。しばらくして口を開く。
「その強固な精神力は敵ながら天晴れ」
「く……ふ、ぅ、うるしゃ……ひぅ……ぅ、ぅっ」
 ナツメはぷるぷると唇を震わせた。
 必死に笑い出すのをこらえているようだ。
「だが、目的達成のためにはお前に降伏してもらわねば困るのだ。バリヤード、『ねんりき』」
 バリヤードはくすぐる指を止め、『ねんりき』を発動する。
 すると、ナツメのストッキングがびりびりと激しく音を立てて破け、素足が露になった。
「さらに、『ねんりき』」
 ナツメの足の裏へ向け、バリヤードが両手の平を向けた。『ねんりき』により、ナツメの足の指と指の間がぐぐぐとどんどん広がっていく。両足の指が限界まで広げられたところで、静止する。
「ひっ……こ、これはっ」
 さすがのナツメも怯えたような声を上げた。
 足指が全開に広げられており、素足を守るものは何もない。
 ひきつったようなナツメの表情は必死に恐怖を隠そうとしているようだった。
 ボブはにやりとナツメの顔を覗き込んだ。
「こんな状態でくすぐられたら……ナツメ嬢、想像してみることだな? ぴくりとも動かせない足の裏を、大きく開かれた足の指と指の間を、パントマイムで鍛えたこのバリヤードの両手で、かりかりかりかりと掻き毟られるのだ。その敏感な白い足。エスパーに目覚めて以来念力に頼って、足腰を使ってないんじゃないか? きっと足の裏の神経はびっくりしているんだろうな。これまで味わったことのない強烈な刺激にさらされて、果たして耐えられるかな?」
 ナツメはごくりと生唾を飲み込んだ。

「どうする? 今ならまだ間に合うぞ? ナツメ嬢。我々に協力する気はないか?」
 ナツメは唇をかみ締めてから、ぐっと目を閉じた。
「断固、拒否する……っ」

「バリヤード、『くすぐる』攻撃」

 バリヤードは、ナツメの素足――『ねんりき』で指を全開に広げられた上に、ピンと反り返っている――を目にも止まらぬ速さでくすぐり始めた。

「あがっ――!」

 ナツメはカッと目を見開き、びくんと首を後ろにのけぞった。
 がりがりがり、とバリヤードの指が、ナツメの足の裏で動き回る。

「――ががっ、ふがっ!!? が、が、が」

 ナツメは鼻を鳴らし、口角を限界まで引き上げた。
 直後、ぐりんと一瞬白目を剥いたナツメは、

「ふぐぁ――がぁあぁあああはっはっはっ!!!! あぁぁぁああぁ~~っはっはっはっはっはっ!!!!!」

 決壊し、金切り声で笑い始めた。

 バリヤードの指がわちゃわちゃと、セメントで固められたように動かないナツメの足の裏を這い回る。
「嫌ぁぁああああっ、いゃぁぁぁああああっはっはっはっはっははっ!!! ひゃあぁあぁははっはっはっははっはぎゃぁぁ~~っ!!」
 自由の利く首から上を、縦横無尽に振り回すナツメ。
 艶やかな黒髪が、激しく振り乱れた。

「ふがぁぁあっはっはっはっは、嫌ぁぁああ、やべでぇぇえええええっひゃっひゃっひゃひゃっひゃああぁ~~!!」
 バリヤードの攻撃は続く。ナツメは口の端からだらだらと涎をたらして笑い狂う。
「エスパー少女もこうなってしまえばただの敏感な女の子にすぎぬな」
 ボブは鼻で笑う。
「協力は?」
「ぐあぁあっはっははっはっは!!! ふぎぃっひっひっひっひ!!」
 ナツメはボブの質問には答えず、大口を開けて笑い続けている。

「バリヤード、『くすぐる』」
 バリヤードは、ナツメのかかとから指の間までを、まんべんなくなぞり上げるようにくすぐる。
「ほぎゃぁぁあああっはっはっはっははっはっ、だぁぁああっはっはっはっはっはっ!!?」
 ナツメの足は、『ねんりき』で固められぴくりとも動かない。
 涙を撒き散らして、鼻水を噴出しながら笑うナツメ。
「ひぎゃっはっはっはっはっはっ!!! あば、ひががははははははははははっ!!」
 ナツメの顔は、断末魔の様相を呈していた。

「ひぎぃぃぃ~~っひっひっひっひっひっ!!! はぎゃぁぁあはははははははははははっ!!! だひゃっ、だべぇぇええっひぇっひぇっひぇっひぇ!!!」

 ナツメはたった一体のバリヤードに、たかが『こうげき』と『ぼうぎょ』を下げる程度の補助技で、無様に笑わされ続けた。カントー最強のエスパータイプの使い手としての威厳は、見る影もない乱れっぷりであった。

○○○

 Tickle-Tickle団は、数時間に及ぶ拷問の末にナツメを屈服させ、タマムシジムに続いてヤマブキジムを手に入れた。
 彼らの『くすぐり』によるカントー征服計画はまだまだこれからである。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 昔ピクシブにアップロードしたものです。
ヤマブキシティ落城計画表紙






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