9
???
「ちょっと手こずりすぎなんじゃない?」
後方からの声に、美鈴、ハッと振り返る。
パチュリー・ノーレッジが歩み寄る。
美鈴
「パチュリー様!」
パチュリー
「繁殖力の高い妖藻に、物理はダメでしょう」
パチュリーは手に持った本を開き、
パチュリー
「『アグニシャイン』……っ」
ずぼぼぼぼぼぼぼぼ。
パチュリーの詠唱とともに、湖の畔、横一線、炎の雨が降り注ぐ。
陸地に上がっていたボルボックが一掃される。
くすぐられていた妖精達が、解放され、どさどさと地面に落ちる。
美鈴
「パチュリー様、お見事です!」
パチュリー
「無事な妖精メイドは負傷した者を連れてただちに撤退しなさい」
担架を持ってきた妖精メイド達が、倒れた妖精メイドを回収し、運んでいく。
妖精メイドA
「申し訳ありません……パチュリー様……力及ばず……」
妖精メイドB
「くひゃひ……しゅ、しゅみましぇん……」
妖精メイドC
「し、死ぬかと思いましたぁぁ……ふぇえ」
妖精メイドたちが後方へ引きさがる。
湖からは未だに絶えること無く続々とくすぐりボルボックが上陸してくる。
パチュリー
「植物型の妖怪退治なら、最初から私を呼んでくれればよかったのに。全体魔法が使える魔法使いがいないと、さすがにこの数はきついでしょう。『アグニシャイン』!」
ずぼぼぼぼぼぼぼぼ。
横一線、岸に上がろうとしたボルボックを焼き尽くす。
美鈴
「よ! さすがパチュリー様!」
パチュリー
「咲夜から聞いて駆けつけたのよ。なんなの、この妖藻。どこから湧いてくるの?」
美鈴
「それが私にもさっぱりで。どうやら魔法の森から湖を渡ってきたようなんですが。妖怪をくすぐって妖力を吸収することで、増え続けているようです」
パチュリー
「くすぐって妖力を、ねえ……、あ、また出てくる……『アグニシャイン』」
ずぼぼぼぼぼぼぼぼ。
美鈴
「すごい! パチュリー様のおかげでもうマリモ一匹、岸に上がってこられませんよ!」
・・・
パチュリーが湖から湧き出るボルボックを焼き払う後方にて。
撤退した妖精メイド達が紅魔館へ向けて移動中。
先ほどくすぐられていた妖精達は、担架に載せて運ばれている。
妖精メイドB
「……ん、んひゅひっ……」
ずるり。
そのなかのひとりの服の内側から、小さなボルボックが滑り落ちる。
滑り落ちたボルボックはにょろにょろと触手の伸ばして地面を這っていく。
・・・
小さなボルボックは、湖へ向けて魔法を使うパチュリーの足元まで到達すると、触手を伸ばし、パチュリーのスカートの裾から内部へと潜り込む。
パチュリー
「アグニシャ――……むきゅんっ!!?」
パチュリー、びくんと体を仰け反って本を落とす。
美鈴
「パチュリー様!?」
パチュリーの服がもごもごと動く。
パチュリー
「きゃっ……なはっ、なにっ……やだっ……んはっ、くはっ、ひひゃぁぁん、あひあぁぁっ!!!」
パチュリー、くねくねと身をよじって暴れる。
服の内部ではボルボックの触手が彼女の弱点を探るように蠢いている。
パチュリー
「あぁぁあぁぁぁっ……かっ――あはははははははははは!? やめっ、あぁひぁぁあああはははははははははははははははっ!!!」
パチュリー、顔を真っ赤にして笑い出す。
美鈴
「まさか、服の中に!?」
パチュリーの攻撃がやんだことで、湖から再びボルボックが湧いて上陸してくる。
パチュリー
「きゃはははははははははっ!! ちょっとそれだめぇぇぇえ~~、あひゃぁぁあん!!! そこはぁぁぁあっ!!! ひぃぃ~~っひっひ、やめてぇぇへっへへへっへへへっへへ~~!!!」
美鈴
「やっばい……!」
美鈴、岸に上がってくるボルボックの大群と、笑い転げるパチュリーを交互に見て、
美鈴
「パチュリー様を放せえい!」
パチュリーを救出に突進。
しかし、美鈴がパチュリーの服を掴んだ瞬間、
きゅるきゅるきゅる。
美鈴
「ふぁっ!?」
パチュリーのスカートの下から飛び出したボルボックが、たこ足のように触手を広げ、美鈴の体に飛びつく。
美鈴
「なっ!? これっ、パチュリー様の服の中で分裂した――あぁあぁひゃっはっはっはっははっはっはっはっはっ!!?」
美鈴の上半身にへばりついたボルボックの触手が、彼女の腋の下をくすぐる。
美鈴
「あはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!? なあっぁこれぇぇっ、力がぁ、ぬけるううううははっはっはっはっはっはっはっはは~~!! パチュリー様ぁあぁああはははははは!!!」
美鈴、仰向けに倒れたところを、岸から上陸したボルボックに取り囲まれ、無数の触手でくすぐられる。
服は破かれ、靴を脱がされ、地面に四肢を引っ張り伸ばされてのくすぐり地獄。
美鈴
「いやぁぁあはははははははははははははっ!!? これはひどいぃいいいひひひひひひひひひひひ!!!」
パチュリーもまた、ボルボックの大群に埋め尽くされ、くすぐられている。
パチュリー
「あ゛あ゛ぁぁああはばははははははははははっ!!! らめぇぇえぇ~~~、変にゃ声でちゃううああひぁぁあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ~~~~~!!!」
服の中でもごもごと動き回るくすぐりボルボック。股関節周りを激しくくすぐられている様子。
足元ではブーツと靴下が脱がされる。足の指を触手で絡み取られ、引き伸ばされた足の裏をくすぐられている。
パチュリー
「やう゛ぇぇぇえ゛ぇぇ~~やう゛ぇでぇぇぇあひゃひゃひゃひゃひひひひひひぃい゛ぃ゛い゛ぃぃ゛い゛ひひひひひひひひ~~!!?」
舌を出して笑い狂うパチュリーの傍で、どんどん分裂し増殖するボルボック。
脇を素通りして、くすぐりボルボックの大群は紅魔館へと向かう。
(つづく)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
ト書きシリーズ連載中です!
最初からやり直す
???
「ちょっと手こずりすぎなんじゃない?」
後方からの声に、美鈴、ハッと振り返る。
パチュリー・ノーレッジが歩み寄る。
美鈴
「パチュリー様!」
パチュリー
「繁殖力の高い妖藻に、物理はダメでしょう」
パチュリーは手に持った本を開き、
パチュリー
「『アグニシャイン』……っ」
ずぼぼぼぼぼぼぼぼ。
パチュリーの詠唱とともに、湖の畔、横一線、炎の雨が降り注ぐ。
陸地に上がっていたボルボックが一掃される。
くすぐられていた妖精達が、解放され、どさどさと地面に落ちる。
美鈴
「パチュリー様、お見事です!」
パチュリー
「無事な妖精メイドは負傷した者を連れてただちに撤退しなさい」
担架を持ってきた妖精メイド達が、倒れた妖精メイドを回収し、運んでいく。
妖精メイドA
「申し訳ありません……パチュリー様……力及ばず……」
妖精メイドB
「くひゃひ……しゅ、しゅみましぇん……」
妖精メイドC
「し、死ぬかと思いましたぁぁ……ふぇえ」
妖精メイドたちが後方へ引きさがる。
湖からは未だに絶えること無く続々とくすぐりボルボックが上陸してくる。
パチュリー
「植物型の妖怪退治なら、最初から私を呼んでくれればよかったのに。全体魔法が使える魔法使いがいないと、さすがにこの数はきついでしょう。『アグニシャイン』!」
ずぼぼぼぼぼぼぼぼ。
横一線、岸に上がろうとしたボルボックを焼き尽くす。
美鈴
「よ! さすがパチュリー様!」
パチュリー
「咲夜から聞いて駆けつけたのよ。なんなの、この妖藻。どこから湧いてくるの?」
美鈴
「それが私にもさっぱりで。どうやら魔法の森から湖を渡ってきたようなんですが。妖怪をくすぐって妖力を吸収することで、増え続けているようです」
パチュリー
「くすぐって妖力を、ねえ……、あ、また出てくる……『アグニシャイン』」
ずぼぼぼぼぼぼぼぼ。
美鈴
「すごい! パチュリー様のおかげでもうマリモ一匹、岸に上がってこられませんよ!」
・・・
パチュリーが湖から湧き出るボルボックを焼き払う後方にて。
撤退した妖精メイド達が紅魔館へ向けて移動中。
先ほどくすぐられていた妖精達は、担架に載せて運ばれている。
妖精メイドB
「……ん、んひゅひっ……」
ずるり。
そのなかのひとりの服の内側から、小さなボルボックが滑り落ちる。
滑り落ちたボルボックはにょろにょろと触手の伸ばして地面を這っていく。
・・・
小さなボルボックは、湖へ向けて魔法を使うパチュリーの足元まで到達すると、触手を伸ばし、パチュリーのスカートの裾から内部へと潜り込む。
パチュリー
「アグニシャ――……むきゅんっ!!?」
パチュリー、びくんと体を仰け反って本を落とす。
美鈴
「パチュリー様!?」
パチュリーの服がもごもごと動く。
パチュリー
「きゃっ……なはっ、なにっ……やだっ……んはっ、くはっ、ひひゃぁぁん、あひあぁぁっ!!!」
パチュリー、くねくねと身をよじって暴れる。
服の内部ではボルボックの触手が彼女の弱点を探るように蠢いている。
パチュリー
「あぁぁあぁぁぁっ……かっ――あはははははははははは!? やめっ、あぁひぁぁあああはははははははははははははははっ!!!」
パチュリー、顔を真っ赤にして笑い出す。
美鈴
「まさか、服の中に!?」
パチュリーの攻撃がやんだことで、湖から再びボルボックが湧いて上陸してくる。
パチュリー
「きゃはははははははははっ!! ちょっとそれだめぇぇぇえ~~、あひゃぁぁあん!!! そこはぁぁぁあっ!!! ひぃぃ~~っひっひ、やめてぇぇへっへへへっへへへっへへ~~!!!」
美鈴
「やっばい……!」
美鈴、岸に上がってくるボルボックの大群と、笑い転げるパチュリーを交互に見て、
美鈴
「パチュリー様を放せえい!」
パチュリーを救出に突進。
しかし、美鈴がパチュリーの服を掴んだ瞬間、
きゅるきゅるきゅる。
美鈴
「ふぁっ!?」
パチュリーのスカートの下から飛び出したボルボックが、たこ足のように触手を広げ、美鈴の体に飛びつく。
美鈴
「なっ!? これっ、パチュリー様の服の中で分裂した――あぁあぁひゃっはっはっはっははっはっはっはっはっ!!?」
美鈴の上半身にへばりついたボルボックの触手が、彼女の腋の下をくすぐる。
美鈴
「あはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!? なあっぁこれぇぇっ、力がぁ、ぬけるううううははっはっはっはっはっはっはっはは~~!! パチュリー様ぁあぁああはははははは!!!」
美鈴、仰向けに倒れたところを、岸から上陸したボルボックに取り囲まれ、無数の触手でくすぐられる。
服は破かれ、靴を脱がされ、地面に四肢を引っ張り伸ばされてのくすぐり地獄。
美鈴
「いやぁぁあはははははははははははははっ!!? これはひどいぃいいいひひひひひひひひひひひ!!!」
パチュリーもまた、ボルボックの大群に埋め尽くされ、くすぐられている。
パチュリー
「あ゛あ゛ぁぁああはばははははははははははっ!!! らめぇぇえぇ~~~、変にゃ声でちゃううああひぁぁあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ~~~~~!!!」
服の中でもごもごと動き回るくすぐりボルボック。股関節周りを激しくくすぐられている様子。
足元ではブーツと靴下が脱がされる。足の指を触手で絡み取られ、引き伸ばされた足の裏をくすぐられている。
パチュリー
「やう゛ぇぇぇえ゛ぇぇ~~やう゛ぇでぇぇぇあひゃひゃひゃひゃひひひひひひぃい゛ぃ゛い゛ぃぃ゛い゛ひひひひひひひひ~~!!?」
舌を出して笑い狂うパチュリーの傍で、どんどん分裂し増殖するボルボック。
脇を素通りして、くすぐりボルボックの大群は紅魔館へと向かう。
(つづく)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
ト書きシリーズ連載中です!
最初からやり直す