くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

2018年08月

吹奏楽部員のこちょこちょお仕置き受難 #9

「おねが……やめてぇ……」

 紬は力なく懇願する。
 紬は両足の指に、100均でおなじみの足指セパレーターを取り付けられ、10本指の股を強制的に開かされていた。
 足指が大きく広げられたことで、足指の付け根部分がぴんと引っ張り伸ばされている。
「これつけて足の裏くすぐるの、一回やってみたかったんだよね~」
「そもそもなんのための器具、これ?」
「健康器具? 足つぼの指版みたいな?」
「足の爪を塗るための固定具だろう」
 男たちはそんなやりとりをしながら、プラスチックの櫛を取り出す。

「いっ……いやぁっ」

 紬は悲鳴を漏らした。
 あんなもので、こんな状態の足の裏をくすぐられたら……。
 想像するだけでぞっとする。
 男たちはそれぞれ櫛を手に持ち、紬の足へ迫る。

「おねがぃ、……します。なんでも、するから……それだけは……」

 紬は涙ながらに懇願した。

「ん?」「お?」「なんでも?」
 男たちは一瞬動きをとめたように見せて、
「じゃあ、笑い死ね」
 一気に紬の両足の裏へ櫛をこすりつけた。

「あがあぁ゛ぁ゛あ゛ぁぁあああああああっ!!!?」

 紬は目を見開き甲高い声を上げた。

「あ゛ぁぁあひひゃひゃひゃひゃ、あがぁがががはははははははははははっ!!!? やめぴぃいいっひっひっひっひっひっひっひ~~!!!」

 がりがりとプラスチックが足の裏の皮膚をこそぐ。紬は絶叫して笑う。
 引っ張り伸ばされた足指の付け根の筋肉がびっくりしたように痙攣する。

「ひぎいぃいい゛ぃ゛~~ひひひひひひひ!!!? ほんどにじぬぅぅ゛うぅ、死んじゃう゛ぅ、あひがががひゃひゃひゃひゃあ゛あ゛ぁ゛~~~~!!!!」

 紬は上半身をびたんびたんとベッドにたたきつけてもがいた。
 汗でべとべとになった髪の毛を振り乱し、よだれをまき散らす。

「笑い死ねって言ってんだからいいじゃん、なんでもするんだろ?」
「それにしてもすごい反応、さすがは足指拘束と櫛のコンビネーション」
「汗とおしっこが混ざってすごいにおいになってる」
 男たちは楽しそうにゲラゲラ笑いながら、紬の足の裏をくすぐり続ける。。
 一人がセパレーターを装着した足指を押さえつけ、四人が反り返った左右の足の裏をくすぐっている。
 四人がかりで足の裏をくすぐられた経験などない。しかも拘束されて。紬は初めての感覚に翻弄され、笑い狂った。

「あ゛あ゛ああぁはばはばはははは、だすげでぇえぇ゛ぇぇぇひぇひぇひぇひぇ!!」

 どのくらい時間が経ったのかわからない。
 足の裏が熱い。
 びりびりと背筋を駆け巡るくすぐったさで、頭が狂いそうだ。

 しばらく足の裏を櫛でひっかきまわされた紬。
 こんどはその足に、ローションが塗りたくられた。

「ひぃいい゛ぃっひっひっひっひっひ!!!? しょれやめぇぇぇ、くひゅぐりゃぁぁあ゛あだはははははははは!!?」

 男たちが素手でべたべたと紬の足を撫でまわす。
 櫛によるくすぐりですっかり敏感になってしまった足の裏に、ローションとぬるぬるの指の刺激は堪えがたかった。

「ひゃぁあぁあっはっはっはっは、あひのうりゃぁあぁ゛あはははははは!!!! むりむりっぃいひひひひひひ、ほんどにだめりゃかりゃぁぁあ゛あひひぃ~~ひひぃひひぃ」

 そうしてローションまみれになった紬の足の裏。
 休む間もなく、こんどはタワシをこすりつけられた。

「ぐへぇえぇえ゛えぇぇ゛!!? いだだだひゃははははははっ!!? いだぃ゛ってぇぇえっへへへっへっへ、や゛ヴぇでぎぃぃいっひっひひっひっひっひっひ~~!!!」

 じゃりじゃりと足の裏を磨かれる感覚。痛みの方が強いのに、笑いがとまらない。紬は自分の頭が本格的に狂ってしまったのだと、絶望した。 


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・


 紬は、救出されてもなおくすぐられているような錯覚を覚えていた。
 警察の突入、男たちの連行の後、いつまでも幻覚に笑い続けていた紬は、我に返って恥ずかしい思いをした。
 しばらくの間はひきつった頬が元に戻らず、腹の底から笑いがこみ上げてくる感覚を押さえるのに必死だった。
 なにより恐ろしく感じたのは、自分がくすぐられていた合計時間がたったの28分だったことだ。体感だと3、4時間はくすぐられていた気がしたのに……。
 今日の体験は一生のトラウマものになってしまうかもしれない……。
 紬は不安と絶望を抱きながらも、過度な疲労のために、その日はぐっすりと眠ってしまった。


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・


 一夜明けると不思議なもので、あれだけ笑い狂わされ、ぼろぼろに砕けたはずの心が復活していた。
「ざまぁ」
 男たちの顛末を想像して、紬は笑ってしまった。
 紬は自分の心の強さを確信し、プライドを取り戻した。

 昨夜はなにもなかった!

 ……と、思いたいところだったが、紬の中では確実な変化が芽生えていた。

 トラウマから、フェティシズムへ。

 これからは部活動の指導において、鉄拳制裁の代わりにくすぐりを取り入れるのも悪くない……。

 想像すると口元が緩んだ。
 鏡を見ると、昨夜の男たちと同じ顔をしていた。
 さて、今日はコンクール当日だ。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
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吹奏楽部員のこちょこちょお仕置き受難 #8

「さっきはよくも、おいらの大事な、……ブツを蹴り上げてくれたな!」
 紬が逃げようとして股間を蹴り上げた男だ。

 ブツって……、自分の性器すら口に出して言えないのか。クソ童貞。

 紬は心中毒づいた。
 ……つもりだったが、
「童貞だと!? お、おま、おま……もう許さん!」
 あろうことか口に出てしまったらしい。男が激高した。

 やばい。くすぐられ笑い過ぎたためか認知判断力が低下している。
 紬は焦りを隠すために男をにらみつける。が、男の手にしたものを見て、総毛だった。

 電気マッサージ器。

 男が電気マッサージ器にスイッチを入れる。先端がぶぶぶと振動を始めた。
「足を押さえておいてくれよ」
 男が他の男に言うと、二人駆け寄ってきて、紬の両足を押さえた。
 左右に広げて、開脚させられた。
「ちょ、……まじ? そこは、ダメ――」
 紬の制止を無視して、男は電気マッサージ器を紬のスカートの中へ突っ込んだ。

「んぐぅ……っ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、あ゛あ゛っ、あ゛あ゛~~っ!?」

 紬は目を見開き、びくびくと体をけいれんさせた。
 ぴんと伸びきった両脚。足指がきゅうと縮こまる。

「やだぁ゛っ、あ゛あ゛ぁっ、あヴぇっ、や゛あ゛あ゛~~~~~っ!!!」

 男が押し付けているため、骨盤にごりごりと振動が伝わり続ける。
 体の芯から震わされ頭の中がぐちゃぐちゃになる。
 そんななかで、「おい、俺たちもいくぞ」と棒立ちしていた男二人が参入。
 男二人は両手にゴム手袋をはめており、紬のブラウスの裾から両手を忍び込ませ、素肌をくすぐりはじめた。

「あ゛あ゛っ!!? あ゛あ゛ばははははははははははっ!!? ぐぎゃはははははははっ!!!? ぎぃいい゛ぃい~~あ゛あ、゛あ゛、あ゛、あ゛あ゛、がひぃっひっひっひ~~!!!?」

 紬は絶叫する。素肌にゴムの指20本をこすりつけられるのは未知の感覚だった。胸の付け根から腰周りまで、ゴム指がクモのようにはい回る。あまりのくすぐったさに脳がショートするような錯覚すら覚える。
 さらにそこへ、両足首を掴んでいた二人が紬の膝や足の裏をくすぐり始める。

「あぎぁ゛~~~がひっひひひひひひ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛がががががひゃひゃひゃひゃ、ひぬぅぅぅ゛ううう゛ぅぅ!!!! ひに゛ゅ゛ぅ゛ぅぐうっひひひひひひひひひひい゛い゛い゛い゛!!!?」

 くすぐったさと痛みが入り混じったようなおぞましい快感の嵐。頭の中がぐちゃぐちゃにかき乱される。紬は理性を働かせる間もなく失禁した。
「うわ、きたねっ」
「あらら、漏らしちゃったね。そんなに体が敏感になってたのかな」
「さすがにくすぐられ即電マはきつかったか」
 男が電気マッサージを紬のスカートから引き抜く。紬は、ガクッと全身を弛緩させ、はぁはぁと息をついた。

「や、やだ……っ」
 紬は自分が失禁してしまったことに気付き、涙を流した。
 こんな奴らの前で、無様に笑い転げた挙句、失禁まで……。

 紬の心が折れた。

「ふぇ……ふぇえぇ」
 一度折れてしまった心を持ち直すことは不可能だった。紬は声を上げて泣き出してしまう。

「あらら、泣いちゃって、かわいそうに」
「さっきまであんなに口悪かったのに」
「猫かぶってたからだろ」
「すぐまた笑顔にしてあげまちゅからね~」
 男たちははやし立てながら、紙袋の中をあさりだした。


(つづく)


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(ここから作者コメント)

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吹奏楽部員のこちょこちょお仕置き受難 #7

「……っ」
 紬はかび臭いにおいで目を覚ました。
 ベッドの上で仰向けに寝かされており動けない。両手を万歳に伸ばして、ベッドの格子にタオルとベルトで縛り付けられている。衣類に乱れはなく、レイプされた様子はなかった。室内だというのに靴も脱がされておらず履きっぱなしだった。
 天井から部屋の中を見渡し、気付く。
 ここは、H高校の向かいにある男の家。井澤咲良、梨本夕奈、菊池美央が拉致監禁された家だ。

「おはよう、紬ちゃん」
 男の一人が紬の目覚めに気付いた。
「やっと起きたかお姫様」「待ちくたびれたぜ」などと男どもは呼応する。
 彼らが胡坐をかいた前には、紬のバッグが広げられていた。
「……」
 紬は不快感に顔をしかめた。
「こないだはシンペーが世話になったみたいだなあ」
 男の一人が紬に近づいてきて言う。
 紬は察した。
 こいつらは、数週間前三人の女子部員を襲った男――名をシンペーというらしい――の関係者で、彼を通報した報復として自分を拉致したのだ。

 ……本当にくだらない。馬鹿ばかり。

 紬は呆れた。
 下校中の高校生を拉致するなんて正気の沙汰ではない。両親が帰宅して娘がいないことに気付けば当然連絡しようとするだろうし、連絡が取れないなら警察へ通報が入る。わずか一カ月前に似たような拉致事件が起きたばかりなのだから、この場所が特定されるのも時間の問題だろう。
 浪人仲間同士で傷のなめあいやって、挙句の果てに女子高生を拉致して逮捕。人生を自らどぶに捨てる。愚かにもほどがある。
 こんなクズ共のためにコンクール前日の貴重な時間が削られると思うと、虫唾が走った。

「なんか紬ちゃん、怒ってる?」
「にらんでるねえ」
「すぐに楽しいことはじめるからね~」
 男たちは口々に紬をあおる。
 紬はつい言い返しそうになるが、抑えた。
 過度に反応してはだめだ。
 挑発に乗ると、相手を喜ばせるだけ。
 ここは、時間を稼ぎつつ救助を待つのが得策。

 しかし、5人がかりか……。

 紬は、美央たちが男に何をされたのかは聞いている。
 くすぐりなんて幼児の戯れにしか思えないが、世の中にはそういうアブノーマルな嗜好を持つ人種がいることは知っている。
 こいつらがどの程度の行為をなそうとしているのか予想がまったくつかない。
 それが、紬にとっては恐怖だった。

「あ、あの……、私に何を、するつもりなんですか?」
 紬は、あえておびえたような声を出した。
 とにかく時間を稼がなければ。
「おうおう、ようやく自分の立場が分かったかな、紬ちゃん」
「泣きそうな声出してかわいそうでちゅねえ」
「安心しろ。レイプなんかしねーよ。紬ちゃんの大事な処女はちゃーんと守ってやるから、げへへ」
 男の下品な笑い声は、紬をいらだたせた。
 高校生全体の1/2が初体験を済ませているご時世に何を言っているのか。
 処女のアクセントと周囲の反応で、こいつらが童貞なのは一目瞭然だった。
 ……倒錯した変態が。
「や、……、変なことしないでください。私、明日早いんです。早く帰らないと……」
 演技は疲れるが、少しでも会話を長引かせたい。
「どうすれば、帰してくれますか?」
 紬の質問に、男たちは顔を見合わせた。
「そうだなあ……」「帰らせないよな?」「条件みたいなやつ? ゲームをはじめようとか、いうやつ?」
 回答は全然出てこなかった。

 なんという猿知恵!

 紬は、つい笑いそうになった。
 だめだ。男たちを馬鹿にしていることは悟られてはいけない。

 たっぷり数分経ってから、
「ああ、そうだな! 『もっとこちょこちょして』って言ったら帰してやるよ!」
 男たちは回答をひねりだした。

 あほくさ。

「それじゃあ」
 と、男が一歩踏み出したので、
「……あ、あなたちはいったい誰なんですか? なんのために、こんなことを……?」
 紬は、続いて質問をかぶせた。
 こうして質問を続けていれば、時間稼ぎになる。
 案の定、男の動きはとまり、「俺たちは、お前がサツに売ったシンペーのダチだよ」などと自己紹介してくれる。

 ちょろい。

「俺はケンスケ」「俺は――」
 続いて5人全員名前まで名乗ってくれた。

 馬鹿だ。

 紬は内心微笑んだ。この調子。うまくいけば、一切手を触れさせずにこの場を切り抜けられるかもしれない。
「お前にはたっぷりお仕置きしてやらねーといけねえ」
 男がまた一歩踏み出すので、
「いっ……いつからこんなことを、やっているんですか? なれそめは……」
 紬は質問を投げる。
「はじめて全員揃って会ったのは、……2年ぐらい前だったか?」
 再び動きをとめる。

 よしよし。そのまま思い出話にでもふけってろ。

 紬は、おびえた表情を作りつつ、次の質問を考える。時間稼ぎは順調に思えた。
 しかし、
「おい! いつまでくっちゃべるんだよ!」
 男の一人が抗議を上げ、
「俺はJKをくすぐれるって言うから一週間オナ禁してきたんだ! もう我慢ならねぇ!」
 いきなり、紬の脇腹を両手で挟み込み、ぐにっともみこんだ。

「きゃはっ!? ……ん、……っぐ」

 突然の刺激に紬の体が跳ねた。
 笑い出すのはなんとかこらえたものの、
「おうおう、良い声だすじゃねーか」
「それじゃあお仕置き開始といきますか」
「シンペーの弔い合戦だ」
 男たちを扇動するには十分だった。
 男たちの手が、紬の首、腋の下、あばら、脇腹に伸びる。

「やひっ……!? やっ……くっ」

 紬は歯を食いしばって笑いをこらえる。
 こんな奴らの前で無様に笑い転げることは、彼女のプライドが許さない。

 油断した……。
 まさか、いきなりくすぐり始めるなんて。

 紬は、まっさきに脇腹をくすぐり始めた男をにらみつけた。

「あ、なんだ? にらんでないで笑えよ。ほらほら」
 男は茶化すように脇腹をくにくにもみしだく。

「ん……っ、っ、っ」

 紬は膝を立て、地団太を踏んでくすぐりに耐えた。
 体の中をほじくられるような感覚、それによってこそばゆい笑いが体の底から沸き起こる感覚が、ものすごく不快だった。

 笑って、なるものか……!

 紬は、目を閉じて無心になろうと意識を集中する。

 男たちは、「笑え」「笑え」と指を走らせる。
 ケンスケと名乗った男が、
「おい、足がバタついてうざいから、お前ら押さえてろよ」
 誰にともなく言った。
 あばらあたりをくすぐっていた男2人が紬の足元にまわり、それぞれ足首を押さえた。
 ローファーを脱がし、「あ、ちょっと蒸れてる」などと漏らす。

 言うな、ボケカス。

 紬は心の中で足元の2人を罵倒した。

 腋の下を上下に撫でるような刺激、脇腹をもんだり、あばらをぐりぐりつくような刺激。
 ちょっとでも気を抜くと、笑い出しそうだ。
 紬は顔をしかめた。眉間に力を入れて、笑い出しそうになるのを誤魔化す。
 そのとき、左足が涼しくなった。
 左足のソックスを脱がされたのだ。
 足元の男2人は、ソックス越しの右足と、素足の左足をくすぐりはじめる。

「……っ、っんく……、……っ」

 足の裏からチリチリと伝わってくるくすぐったさは、はじめはそれほどつらくないと感じた。
 しかし、何度も繰り返されるうちに、だんだんそのくすぐったさが増してくる。

 男たちは、紬の反応の薄さに苛立ってきているようだ。
「どうした? さっきまであんなに饒舌だったのに。くすぐったくてそれどころじゃねーか?
「もっと懇願していいんだぜ? 『やめてください』って」

 誰が言うか。

 そんなこと言ったら、男たちの加虐心を刺激することになる。
 男たちの求める反応はするべきでない。

「なあ~なんか言えよ、紬ちゃーん」
「『やめてー』って泣き叫んだら許してくれるかもよー?」

 うるさい。
 紬は虫を決め込んだ。『もっとこちょこちょしてください』はどこにいったんだ。猿知恵かつ鳥頭なんて、本当に救えないクズどもだ。
 紬は心の内で男たちを罵倒することで精神を保っていた。

 そんなときに、突如、煮干しにカビの生えたような不快臭が鼻を突いた。

「ぶふっ!? ……っ、あ゛ぁ゛?」

 思わず苛立った声を上げてしまう。
 目を開くと、左足をくすぐっていた男が、紬の足から脱がしたローファーとソックスを、紬の鼻に近づけていたのだった。
「うわ、こわっ。紬ちゃん、そんなキャラだった? それとも臭すぎてキャラ忘れた? 自分の足のにおい、そんな臭かった? ねえ?」

 死ね。

 紬は、いらだちのおかげで若干くすぐったさが和らいだ気がした。

 こいつら、ほんとに何がしたいんだ?

 不毛な時間だ。
 警察はなにをやっているのだ。早く来い。
 それとも自分が誘拐されたことに、両親がまだ気づいていないのか?

 そんな思いを巡らせていると、紬のケータイが音を立てた。
 男たちはびくっと肩を震わせ手をとめた。

 しめた。おそらく両親が自分の不在に気付いて連絡を寄越したのだろう。ちょっと遅いが、まあ良いだろう。これで事態発覚が露見すれば、男たちも観念して自分を解放してくれるはず……。

 すると、男の一人が電話に出、
「もしもし。紬ちゃんの親御さん? ワタシ、紬ちゃんの友達の母です」
 気色の悪い裏声で、紬の友達の母を装った。
 あまりにも無理がある。
 しかし、それはあまりにも紬にとって予想外の展開で、――

「ぶは――っ」

 紬は吹き出してしまった。

 そこを、男たちは一気に攻め立てる。
 紬の、がら空きになった腋の下、小ぶりな胸の付け根、細くくびれたおなか、白くて小さな足の裏、……
 縦横無尽に男たちの指が走り回る。

「――ふ、ふはははっ……くふ、ふははははははははっ!!!」

 紬はついに口を開けて笑い出した。
 自分でも、こんなきっかけで笑ってしまうなんて思いもよらなかった。
 しかし、一度決壊した笑いの衝動は、いくら理性で制しようとしても効かなかった。

「ぷははははははは、やだっ……、なにこれっ、いぁあぁだはははははははははははは~~!!!」

 体中がくすぐったくてたまらない。
 紬は体を弓なりにのけぞらせ、ロングヘアの髪の毛を振り乱して暴れた。

「おうおう、紬ちゃん、やっと笑ってくれたねぇ」
「笑えばかわいいじゃねーか」
「やっぱ、反応薄かった奴が折れて大笑いする姿は最高にそそられるな!」
「お前の手柄だな。ナイス裏声。で、上手くいったのか?」
「一瞬でバレて、警察に通報するって言われた」
「あたりまえじゃんっ」
 男たちは楽し気に笑いながら紬の体をくすぐり続ける。
 いつの間にか電話の男も戻ってきていて、紬の右足のソックスも脱がしとり素足にしてくすぐる。
 彼らの会話によると、すでに警察に通報されたらしい。それなのに、慌てるそぶりはまったく見せない。

「ひやはははははっ!! なんで、……っ、解放っひぃぃ~~ひひひいひひひひ、バレてるのにぃひひひひっひっひっひ~~!!」
 
「あ? 解放? なにいってんだ?」
「警察に通報されたってバレねーよ」
「そうそう、一回捜査された場所は警備がお留守になるっていうじゃん」
「それに俺たちがやった痕跡はどこにもありゃしない」
 男たちはせせら笑う。
 そうだった。こいつらは馬鹿だった。

「んにゃわけあるかぁぁあっははっはっはっは!!! すぐくるっ、ぃっひひひひひひひ、すぐ警察くるからぁぁあははははははは!! 解放してっ……、うひゃひゃっ!? そんなとこ触んなっ!!! ひやっはっは、逃げろよ馬鹿ぁぁひゃははははははは~~!!!」

 紬は男たちの知恵のなさに絶望した。
 おそらくこの場所が突き止められるまで早くて20分、いや30分程度だろうか。
 しかし、たかだか30分であっても、このままくすぐられ続けるのはきつい。

「なんだ。急に口が悪くなったぞ」
「自分が解放されたくて必死か!」
「猫かぶってたんだろ」
「くすぐったがり屋のくせにずっと我慢してるから……」
「これはもっともっとお仕置きが必要でちゅね~」

 男の一人が紙袋を持ってきた。
「お、これよさそうだな」「これも試したい」「おお、こっちも効きそう」
 紙袋の中を覗き込んではしゃぐ男たち。

 紬からは何が入っているのか見えない。得体のしれない恐怖に身を震わせた。


(つづく)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 紬は、フェチ小説の登場人物として、いままであんまり書いてこなかったキャラです^p^
 初登場時のキャラ印象を「くすぐり」シーンの前に壊すのは、実用性の面でノイズになるのではないかという懸念。今回は実験兼ねて!












吹奏楽部員のこちょこちょお仕置き受難 #6

 事件の翌日。さすがに咲良も夕奈も気まずく、練習に身が入らなかった。美央にいたっては、すっかり覇気を失い、いつもの威厳も傲慢さもなくなっており、合奏ではケアレスミスを連発していた。
 事件のことはすでに知れ渡っており、気まずい雰囲気が部内全体に伝播した。
 しかし、そこで状況を急変させたのが、部長の大河内紬であった。
 合奏中にいきなり立ち上がった紬は、部員全員の前で美央を譜面でバシンと殴りつけたうえで、咲良と夕奈も呼びつけ、「被害者ぶって甘えんな!」「お前らが馬鹿な男にそそのかされて勝手について行って連れ込まれただけでしょうが」「危機管理できなさすぎ」「自分らが馬鹿なだけってわかってないの?」「心の傷? ふざけんな」「ただの自業自得」「馬鹿丸出し」「私情を部活に持ってくんな!」「時期わかってんのか」「目障りなんだよ!」「切り替えられないなら帰れ!」罵詈雑言の嵐を浴びせかけたのだ。
 紬の豹変は、咲良だけでなく部員全員を驚かせた。
 紬は部員全員を見渡し「このクソみたいな雰囲気、……ないわ。他にも、やる気ない子いたら、帰っていいよ? ……帰れるもんなら」異常に柔和な笑顔に、部員一同恐怖に委縮した。
 その日以来、部内ではすっかり、副部長の美央と部長の紬のイメージが変わってしまった。
 美央は、口調はきついが後輩思いで情に厚い、愛らしい先輩。
 紬は、優しそうな雰囲気が見せかけで、実は部員を駒としてしか見ていない冷徹な鬼先輩。
 部内における鬼と菩薩の役割が完全に逆転。しかも、紬は美央と違い、部員の失敗に容赦がない。ネチネチ罵倒することもあれば突如鉄拳制裁を加えることもあった。毎日どこかで誰かの譜面がはじける日々。鬼に転じた紬は、見事な恐怖政治をやってのけた。

 そうして日が流れ、いよいよコンクール前日となった。

 最後の合奏を終えて、部員たち帰宅する。すでに日は暮れた。
 紬は一人残って、各教室の施錠を確認してから帰る。
 校門を出たところに、5人の男がたむろしていた。よれよれのシャツやジャージといったみすぼらしい姿。無精ひげに手入れされていない髪の毛。20代にも見えるが、30を過ぎているようにも見える。年齢不詳。わざわざH高校の校門前にしゃがみこんで、大声でしゃべりながら煙草を吹かしている。
 紬は足を速め、目を合わせないようその場をさっさと通過しようとした。
「よお、君がブラスバンドの部長さんだろ?」「こんばんはー」
 男たちが声をかけてくる。
「……」
 紬は無視して通過する。
「おいおい、無視はねーんじゃねーの」
 男たちは笑いながら立ち上がると、紬の後をついてきた。
「ちょっとさあ、つきあってくんない?」「楽しいよ」「なあ」
 男はしつこく声をかける。
「……っ」
 こんな奴らとは関わりあわないのが一番だ。
 紬は小走りになった。
「なあって!」
 男のひとりが紬の腕をつかんだ。
「はなしてください」
 紬はキッと振り返って言った。腕をつかんだ男はずいぶんと太っていて、額まで汗びっしょり、メガネが曇っている。腕毛が濃い。
 紬が振り払おうと腕を引くが、男の力はずいぶんと強く、ほどけない。
「おお、こわいこわい」「ずいぶん反抗的じゃん」「なあ、ちょっとだけだからさあ~」
 男たちが口々に言う。
 なんだこいつら……。
 紬は男たちのしつこさに恐怖を感じた。
 拒絶の意思を示しているにもかかわらず、腕をほどかない。その時点でこいつらの有罪は確定だ。馬鹿なのか。
 紬は、腕をつかんだ男の股間を、右足で蹴り上げた。
「ひでヴゅっ!?」
 男は悲鳴を上げて手をはなす。
 紬は男の手がはなれたところで一気に駆け出した。
 ここから数百メートル先に交番がある。そこに逃げ込めば、こいつらは一網打尽だ。学校の真ん前で女子高生を誘拐しようなんて、馬鹿にもほどがある――……
 紬は突然のめまいを覚え、その場に崩れ落ちた。
「……え、あれ……?」
 地面に膝をついた。
 脚に鈍い痛みを感じる。スカートの裾から垣間見える太ももの裏に、小さな矢が刺さっているのが見えた。
 後ろを振り返ると、男の一人が尺八のような筒を持っている。
「吹き、矢……?」
 紬はぼんやりとしていく意識のなかで呟く。
 男たち5人が目の前に迫ってくる。
「まったく手間とらせやがって」「なあ、こいつで間違いねーんだろ?」「ああ、H高のブラバン部長ってこないだ新聞出てたし、この顔だよ」「お前そんな記憶力いいのになんで大学受かんねーんだよ」「うっせ、俺はお前らとレベルが違うとこ受けてんだよ」
 男の嘲笑を聞きながら、紬は意識を手放した。


(つづく)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 いよいよ部長に制裁! コンクールがんばれ!













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