こんばんは。ertです。
なんと! Tickle Love(https://twitter.com/TickleLove1)様が、『くすぐりイタズラ好きの男子高校生が時を止める能力を手に入れた2』のイラストを描いてくれました!
哄笑顔(大口を開けて笑う表情)が豊かで大好きな絵師様です!
聖マリアンヌ女子高の三人組! 左から、茶髪ショートカットの椎奈(しいな)、釣り目ロングヘアの冬歌(とうか)、垂れ目で巻き毛の実春(みはる)です。
感激のあまり、ver2.5を書いてしまった!
はじまるよっ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
※
「今朝ほんっと最悪でさー。澪(みお)の奴が急にあたしに炭酸水吹き付けて爆笑してんの。しかもポケットにくっさい靴下入ってて。もろに顔にこすりつけちゃった」
移動教室中、隣を歩くクラスメイトの椎奈(しいな)が熱を帯びていった。澪というのは、隣のクラスに在籍する彼女の同中友達である。
身近な友人の愚痴を、第三者に向かって大げさに言い立てるのは彼女の専売特許だ。
「なにそれこわっ」
冬歌(とうか)は、椎奈が求めているであろう反応を返してやる。
二年ほどの付き合いで、椎奈の性格はだいたい把握した。表面上悪ぶってはいるが実は繊細で傷つきやすい。いつも周囲の意見を気にしている。それゆえ、他人の気を引く愚痴やら誹謗中傷を大げさにまくしたて、自分の意見への同意を求めるのだ。共感者をいつも傍で確認し続ければ不安になってしまう彼女の性格は、ときにウザったく敵を作りやすいものではあるが、内面の弱さの裏返しであることを見抜けば、かわいらしく映る。
「……洗濯中にお父さんのが入っちゃった、とか?」
隣を歩く実春(みはる)が恐る恐るという風に口をはさんだ。
彼女とは二年生になってからの付き合いだ。巻き毛とおっとりとしたしゃべり。誰かが何かをいったら、必ず何かをいわなければならない、という謎の義務感に駆られている。彼女を一言で評するならKYだ。空気が読めず相手への気配りの足りない発言を突然するため、邪険にするクラスメイトも多い。休み時間は常にだれかと一緒にいないと不安になる性格らしく、移動教室の時はいつも金魚の糞のようにくっついてくる。
冬歌にとっては、いてもいなくてもどちらでもよい、無害な存在だ。
「きもっ、じじぃ、帰ったら許さねぇ」
椎奈は実春の意見を受けて返す。露骨に顔をしかめる。不細工だ。
実春はわずかに安堵の表情を見せた。自分の発言が邪険にあしらわれなかったことでホッとしたのだろう。
椎奈は、何かいえば必ず反応を示す実春の存在が嫌ではないらしい。彼女は、周囲の目を気にする割に、実春がクラスでどういう扱いを受けているかいまいち把握できていない。そこが椎奈の甘いところだと思っている。
「ひぇぃっ!!?」そのとき、突然椎奈が甲高い声を上げた。持っていた化学の教科書を投げ飛ばし、肩をびくんと上下させる。
冬歌は何が起こったのかわからず困惑した。
「――ぶひゃっ!!!」次の瞬間、椎奈が吹き出した。
「うひゃっはっはっはっはっはっはっはっ!!!? あだははははははははははは~~!!?」
全身をこわばらせ大口を開けて笑う椎奈。
意味不明だ。
何がツボに入ったのか。
「どど、どうしたの!? しーちゃん」実春が場当たり的に椎奈のもとへ駆け寄るが、暴れ狂う椎奈に腕をはじかれた。
「いひゃっはっはっはっはっは!!? くしゅぐりゃぁあはははははは、あがぁぁあ!? ごりごりだめぇぇっへへっへっへへっへへっへ~~!!!」
椎奈は地面を転がり、足をバタバタさせて笑っている。
「うわ……」
冬歌の口から思わず声が漏れた。
さすがに笑いすぎだ。
椎奈は、脱色してギシギシなったショートヘアを振り乱す。笑いすぎで涙まで流している。歯をむき出しにしたくしゃくしゃの顔。
あまりにもアホ面すぎて、これからの関係を考えないといけないと思い始めた。――
そんな矢先、
「ふぁっ!?」
突然胸をもまれるような感触。次いで左足がひやりと冷たくなる。そして、――
「ひっ――いぎゃあぁあああははははははははははははっ!!!?」
いきなり足の裏にとてつもないくすぐったさが走り、冬歌は我慢できず笑いだしてしまった。
「のぁぁああぁぁ゛あぁばばばばばばばばばばば!!!? なにこれっ!!? 足があぁあぁ゛あぁ゛!!! 足がががああぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!?」
意味不明っ!
たった今まで身に着けていたはずのスリッパと靴下が消え去り素足になっていた。
左足の裏を硬い何かでひっかかれるような感覚。びりびりと脊髄を通って脳を侵食するくすぐったさ。
冬歌はわけもわからず腹の底から沸き起こる笑いの渦に呑まれた。
嫌だ! 笑いたくない!
学校の渡り廊下だ。幸い三人以外いないようだが、いつだれが来るかもわからない。
公衆の面前で、こんな無様な姿見られたくない!
「はぎゃぁああ゛あぁあははははははははは、ぎぃいいっひっひっひっひっひっひ!!!」
どうにか笑いをこらえようにも、くすぐったさは激しさを増すばかり。めったに人前にさらされない足の裏をめちゃくちゃにくすぐられる感覚は初めてだ。冬歌は、得体のしれないナニカに足の裏をくすぐられる恐怖でパニックに陥った。
くすぐってくるナニカは、指の間にも侵入してきた。
やわらかい皮膚をがりがりとむさぼる感覚に発狂しそうになる。
「なじゃぁあ゛あぁばばばばばあば!!!? そこらめぇええ゛えぇぇえっへっへっへっへっへっへっへ!!!」
隣で笑い転げる椎奈。いつの間にか両足が素足になっている。
さきほどよりも笑い方が激しくなっていた。
「ふ、二人ともどうしちゃったの? ねぇ!」実春は最初こそ心配するそぶりを見せていたが、すぐにパニックに陥って逃げ出した。
薄情者め!
怒鳴りつけてやりたかったが、くすぐったさでそれどころではなかった。
彼女の背中が走り去っていく。――と、その刹那、
「誰か助けっ……!!? ぶわぁあひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!?」
いきなり実春が笑いだした。
目の錯覚か、たった今まで背を向けて走っていたはずの実春が、地面に倒れこみ、両手を背中に回して縛られている。両足も素足になっていて、足首に白い靴下が巻き付いていた。
「ぐへぇえええぇぇぇえ、なんひゃりゃぁぁあぁぁぁっはっはっはっはっはっは~~っ!!!?」
びたんびたんと陸に上げられた魚のように暴れる実春の光景がかすんでいく。
酸欠だ。
「んぼぼっ!!? んぼぼぼぼぼぼぼごほほほほほほほほほっ!?」
口の中が妙に香ばしいと思ったら、靴下が口の中に詰められている。
いつの間に!?
冬歌は不思議な現象の連続で頭が追い付かなかった。
くわえて、足の裏には激しくかきむしられるような感覚が増長している。
「んごぉぉおお゛ぉ、んぼぉぉぉ~~~ほほほほほほほほ!!?」
ぎっちりと口内に詰められた靴下は、なかなか吐き出せなかった。
笑い続けるうちに意識がもうろうとして、涙があふれた。
なんで自分が、こんなみじめな目に合わねばならないのか。
考えれば考えるほど脳から酸素が失われる気がした。
「ぎやぁぁはっはっはっはっはっは!!! 助けてっ、だれかぁひゃひゃひゃひゃっ!!! なんでも゛ぉ゛、ひひひひひひ、なんでもずる゛がら゛あぁぁ゛あぁあ~~っはっはっはっはっはっは!!!」
「ひげぇぇえひゃっひゃひゃっひゃ!!!? んな゛あぁ゛ははははははははははっ!!! あがががが、腋ぃいひひひひひひ、おほほほほおおながぁぁあ!!!? ひぇえっ、あひぃい!!? なんじゃこりゃぁぁあばばばばばばばばっ!!?」
椎奈と実春、二人ともくすぐったさのあまり、見たことのない形相で笑い狂っている。目を見開き、歯茎をむき出しにした、ぐしゃぐしゃの不細工顔。
自分もいま、あんな風に笑っているのだと想像すると、……実に萎える。
冬歌はその思考を最後に意識を手放した。
(完)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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なんと! Tickle Love(https://twitter.com/TickleLove1)様が、『くすぐりイタズラ好きの男子高校生が時を止める能力を手に入れた2』のイラストを描いてくれました!
哄笑顔(大口を開けて笑う表情)が豊かで大好きな絵師様です!
聖マリアンヌ女子高の三人組! 左から、茶髪ショートカットの椎奈(しいな)、釣り目ロングヘアの冬歌(とうか)、垂れ目で巻き毛の実春(みはる)です。
感激のあまり、ver2.5を書いてしまった!
はじまるよっ
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「今朝ほんっと最悪でさー。澪(みお)の奴が急にあたしに炭酸水吹き付けて爆笑してんの。しかもポケットにくっさい靴下入ってて。もろに顔にこすりつけちゃった」
移動教室中、隣を歩くクラスメイトの椎奈(しいな)が熱を帯びていった。澪というのは、隣のクラスに在籍する彼女の同中友達である。
身近な友人の愚痴を、第三者に向かって大げさに言い立てるのは彼女の専売特許だ。
「なにそれこわっ」
冬歌(とうか)は、椎奈が求めているであろう反応を返してやる。
二年ほどの付き合いで、椎奈の性格はだいたい把握した。表面上悪ぶってはいるが実は繊細で傷つきやすい。いつも周囲の意見を気にしている。それゆえ、他人の気を引く愚痴やら誹謗中傷を大げさにまくしたて、自分の意見への同意を求めるのだ。共感者をいつも傍で確認し続ければ不安になってしまう彼女の性格は、ときにウザったく敵を作りやすいものではあるが、内面の弱さの裏返しであることを見抜けば、かわいらしく映る。
「……洗濯中にお父さんのが入っちゃった、とか?」
隣を歩く実春(みはる)が恐る恐るという風に口をはさんだ。
彼女とは二年生になってからの付き合いだ。巻き毛とおっとりとしたしゃべり。誰かが何かをいったら、必ず何かをいわなければならない、という謎の義務感に駆られている。彼女を一言で評するならKYだ。空気が読めず相手への気配りの足りない発言を突然するため、邪険にするクラスメイトも多い。休み時間は常にだれかと一緒にいないと不安になる性格らしく、移動教室の時はいつも金魚の糞のようにくっついてくる。
冬歌にとっては、いてもいなくてもどちらでもよい、無害な存在だ。
「きもっ、じじぃ、帰ったら許さねぇ」
椎奈は実春の意見を受けて返す。露骨に顔をしかめる。不細工だ。
実春はわずかに安堵の表情を見せた。自分の発言が邪険にあしらわれなかったことでホッとしたのだろう。
椎奈は、何かいえば必ず反応を示す実春の存在が嫌ではないらしい。彼女は、周囲の目を気にする割に、実春がクラスでどういう扱いを受けているかいまいち把握できていない。そこが椎奈の甘いところだと思っている。
「ひぇぃっ!!?」そのとき、突然椎奈が甲高い声を上げた。持っていた化学の教科書を投げ飛ばし、肩をびくんと上下させる。
冬歌は何が起こったのかわからず困惑した。
「――ぶひゃっ!!!」次の瞬間、椎奈が吹き出した。
「うひゃっはっはっはっはっはっはっはっ!!!? あだははははははははははは~~!!?」
全身をこわばらせ大口を開けて笑う椎奈。
意味不明だ。
何がツボに入ったのか。
「どど、どうしたの!? しーちゃん」実春が場当たり的に椎奈のもとへ駆け寄るが、暴れ狂う椎奈に腕をはじかれた。
「いひゃっはっはっはっはっは!!? くしゅぐりゃぁあはははははは、あがぁぁあ!? ごりごりだめぇぇっへへっへっへへっへへっへ~~!!!」
椎奈は地面を転がり、足をバタバタさせて笑っている。
「うわ……」
冬歌の口から思わず声が漏れた。
さすがに笑いすぎだ。
椎奈は、脱色してギシギシなったショートヘアを振り乱す。笑いすぎで涙まで流している。歯をむき出しにしたくしゃくしゃの顔。
あまりにもアホ面すぎて、これからの関係を考えないといけないと思い始めた。――
そんな矢先、
「ふぁっ!?」
突然胸をもまれるような感触。次いで左足がひやりと冷たくなる。そして、――
「ひっ――いぎゃあぁあああははははははははははははっ!!!?」
いきなり足の裏にとてつもないくすぐったさが走り、冬歌は我慢できず笑いだしてしまった。
「のぁぁああぁぁ゛あぁばばばばばばばばばばば!!!? なにこれっ!!? 足があぁあぁ゛あぁ゛!!! 足がががああぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!?」
意味不明っ!
たった今まで身に着けていたはずのスリッパと靴下が消え去り素足になっていた。
左足の裏を硬い何かでひっかかれるような感覚。びりびりと脊髄を通って脳を侵食するくすぐったさ。
冬歌はわけもわからず腹の底から沸き起こる笑いの渦に呑まれた。
嫌だ! 笑いたくない!
学校の渡り廊下だ。幸い三人以外いないようだが、いつだれが来るかもわからない。
公衆の面前で、こんな無様な姿見られたくない!
「はぎゃぁああ゛あぁあははははははははは、ぎぃいいっひっひっひっひっひっひ!!!」
どうにか笑いをこらえようにも、くすぐったさは激しさを増すばかり。めったに人前にさらされない足の裏をめちゃくちゃにくすぐられる感覚は初めてだ。冬歌は、得体のしれないナニカに足の裏をくすぐられる恐怖でパニックに陥った。
くすぐってくるナニカは、指の間にも侵入してきた。
やわらかい皮膚をがりがりとむさぼる感覚に発狂しそうになる。
「なじゃぁあ゛あぁばばばばばあば!!!? そこらめぇええ゛えぇぇえっへっへっへっへっへっへっへ!!!」
隣で笑い転げる椎奈。いつの間にか両足が素足になっている。
さきほどよりも笑い方が激しくなっていた。
「ふ、二人ともどうしちゃったの? ねぇ!」実春は最初こそ心配するそぶりを見せていたが、すぐにパニックに陥って逃げ出した。
薄情者め!
怒鳴りつけてやりたかったが、くすぐったさでそれどころではなかった。
彼女の背中が走り去っていく。――と、その刹那、
「誰か助けっ……!!? ぶわぁあひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!?」
いきなり実春が笑いだした。
目の錯覚か、たった今まで背を向けて走っていたはずの実春が、地面に倒れこみ、両手を背中に回して縛られている。両足も素足になっていて、足首に白い靴下が巻き付いていた。
「ぐへぇえええぇぇぇえ、なんひゃりゃぁぁあぁぁぁっはっはっはっはっはっは~~っ!!!?」
びたんびたんと陸に上げられた魚のように暴れる実春の光景がかすんでいく。
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口の中が妙に香ばしいと思ったら、靴下が口の中に詰められている。
いつの間に!?
冬歌は不思議な現象の連続で頭が追い付かなかった。
くわえて、足の裏には激しくかきむしられるような感覚が増長している。
「んごぉぉおお゛ぉ、んぼぉぉぉ~~~ほほほほほほほほ!!?」
ぎっちりと口内に詰められた靴下は、なかなか吐き出せなかった。
笑い続けるうちに意識がもうろうとして、涙があふれた。
なんで自分が、こんなみじめな目に合わねばならないのか。
考えれば考えるほど脳から酸素が失われる気がした。
「ぎやぁぁはっはっはっはっはっは!!! 助けてっ、だれかぁひゃひゃひゃひゃっ!!! なんでも゛ぉ゛、ひひひひひひ、なんでもずる゛がら゛あぁぁ゛あぁあ~~っはっはっはっはっはっは!!!」
「ひげぇぇえひゃっひゃひゃっひゃ!!!? んな゛あぁ゛ははははははははははっ!!! あがががが、腋ぃいひひひひひひ、おほほほほおおながぁぁあ!!!? ひぇえっ、あひぃい!!? なんじゃこりゃぁぁあばばばばばばばばっ!!?」
椎奈と実春、二人ともくすぐったさのあまり、見たことのない形相で笑い狂っている。目を見開き、歯茎をむき出しにした、ぐしゃぐしゃの不細工顔。
自分もいま、あんな風に笑っているのだと想像すると、……実に萎える。
冬歌はその思考を最後に意識を手放した。
(完)
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