学校から疲れて帰ってくると、居間のソファに姉が寝ていた。
 姉は高校二年生。バレー部に所属していた。
 今日は年に数回程度しかない休養日。
 よっぽど疲れているのだろう、顔の真ん前で息を吹きかけても、ぴくりとも動かなかった。
 Tシャツとジーパンをざっくり着て、ヘソが出ていた。
 無防備にもほどがある。

 これはチャンス……。

 最近学校で流行っている催眠術で、ちょっとイタズラしてやろうと思った。

「……ん、うん?」

 しばらくして、姉が目を覚ました。

「あ、おかえりユーくん」

「ただいま、姉ちゃん。急で悪いんだけど、コマネチのポーズやってみてくれない?」

「え? ユーくんなにいって――……コマネチっ!! ……っ!!?」
 姉は言っている最中に、両手を股に角度を合わせ、一気に引き上げた。キレのあるポージングだった。

「ちょっ!? ユーくん? なにこれっ!?」

「姉ちゃん、次はシェーっていうやつ」

 すると姉は、たちまち両手を頭上と腰下に持って行き、
「シェーっ!! ……ちょっとやめてユーくん!」

 姉には眠っている間に、言いなりになるよう催眠術をかけておいたのだ。

「ユーくん! いい加減にしないと、ホントに怒るよ!」

 姉はすごい剣幕だった。
 しかしポージングが無様なので、まったく怖くない。

「あれれ~、姉ちゃん、僕にそんな態度取っていいのかなぁ?」

「な、何よぉ!」

「じゃあ、次は姉ちゃん、ケツだけ星人!」

「ひっ……!? それはだめ――ぶりぶり~♪ ぶりぶり~♪ ……ちょっとユーくんホントにやめてぇ!! ぶりぶり~♪」

 ノリノリで五歳児のような行動を取りながら怒る姉。
 これは楽しい。

「じゃあ、姉ちゃんバンザーイ」

「へっ!?」

 姉の両手が天井に向かって伸ばされる。
 ぷるぷると青筋まで立っている。

「姉ちゃん、下ろしたらダメだよ~。はい、こちょこちょ~♪」

「きゃはははははははっ!!? ちょっ、だめぇぇあははははははは~~!!」

 腋の下をくすぐると、姉はぶんぶんと首を左右に振りながらも、決して腕を下ろそうとしない。

「じゃあ今度は、おへそ、見せてもらおっか?」

「……はぁ、……はぁ、ユーくん、いい加減に――は!? へそ?」

 姉は自分のシャツの裾を両手で掴む。
「ちょっ! ダメだって……!」
 さっきはヘソ丸出しで寝ていたくせに、こんなときは恥ずかしがっている。
 両腕に力を込めているようだが無駄だ。
 姉は、自分から、ぺろんと、シャツの裾をまくり上げた。
 ヘソをこちらに向かって見せびらかしてくる。

「姉ちゃん、そんなにおへそ丸出しにして、僕にそんなに触って欲しかったんだねぇ」

「ちょっ違っ――……そうなの! はいっ! ゆ~くん? 優しく触ってね♪ ……って何このキャラぁあああ!!」

 姉が艶めかしい声でおねだりしてくれたので、お望み通り人差し指でクリクリいじってあげた。

「ふひぃぃぃっ!!? ひひゃっ、やだっ!! やめぇぇ!! ふひっひっひっひっひっ!!」

 ヘソ周りのお腹もこそこそとくすぐってみる。

「ふひゃひゃひゃっ!! ユーくん!! ホントにだめぇふひひひひひっ!!? やめなさいぃぃいいいはははははは!!」

「うん? 何? もっと弱点をくすぐって欲しいって?」

 もう姉も、その言葉で自分がどうするのかわかっているのだろう。
 顔を真っ青にして、首を振る。

「違う! そんなこと言ってなぃ――……っ、足の裏! 靴下脱いであげるから、あたしのとっても敏感な足の裏! い~っぱいこちょこちょしてね♪ ……いやぁぁぁぁあああ!!!」

 姉は絶叫して嫌がるものの、すぐにノリノリの笑顔に変わり、「よいしょ」としゃがんだ。
 自分の靴下を脱ぎ捨てると、「はいっ♪」とこちらへ素足を突き出してくれた。

 そこで、素にもどったのか、姉の顔が真っ青になる。

「……もおおおお、なんなのこれぇぇぇえやだぁぁぁ!!! ――ユーくん♪ もぅ~早くくすぐってよぉ♪」

「姉ちゃんがそういうなら仕方ないなぁ」

「だから違うぅぅ――……じらさないでよぉ♪」

 こちらに向いた両足の裏。
 足の指を開いてくれているのは誘っている証拠だろう。
 ときどき素に戻ってきゅっと閉じる。
 催眠術と戦う姉の勇姿に感服した。

 敬意を表し、足の裏をガリガリ、ひと思いにくすぐってあげた。

「いぎっ!!? あぁあはははっはっはっはっははっはっははっはは!!!? サイコおおおおぉぉっほっほっほほほっほ――じゃなくてぇ嫌ぁぁああははははははははははははははは!!!」

 姉は恍惚と苦悶の表情をいったりきたりしながら大笑いした。

 ぴくぴくと動きまくる足の指が、すごくエロティックだった。

「おねがあぁぁぁいいいいっっひっひっひっひっひっひ!!! ユーくぅううううぅぅんひひひひひひひひ!!? もっとやってぇぇぇえっひゃっはっはっはっはっはっはっはっは!!! ――じゃないってぇぇえええっへっへっへ」

 どんなに嫌がろうと、姉は足を引っ込めない。
 突き出された足は、拘束もなにもされていないのだ。

 こちらは、目の前にある足をくすぐっているだけ。

「姉ちゃん。もうちょっと指開いてくれないと、指の股がくすぐれないよぅ」

「ふっじゃけんにゃぁぁぁあっはっはっはっはは――まってユーくぅん♪ あはぁぁん♪ すぐ開くからぁあっはははっははははっはっはっはっは!!」

 ガリガリとかきむしられる足の指が、ぱかっと開いた。
 くすぐられながら、こんなことができるなんて、催眠術恐るべし。

 せっかく開いてくれたのだ。足の指の間も綺麗にこそいでやる。

「いひぃぃいひひひひっっひっひっひっひ!!! もおおおおおおおおおっ!! あとでひどいからぁぁああっはひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!! あひゃぁぁあぁぁもっとやてぇぇぇえひぇひぇひえぇへへへっへ!!!」

 姉は涙を流して、怒ったり喜んだりしていた。
 面白くてこちらまで笑ってしまう。

 夢中になってくすぐっていると、すっかり日が暮れてしまった。

 さすがにやりすぎたと思って謝罪した。姉は、むちゃくちゃ笑顔だった。その後、むちゃくちゃ怒られた。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 ずいぶん前にチャットルームで書いたもの。催眠シチュは個人的な趣味で勝手に足しました。