「ミクリカップのエントリーはもうしたのか?」
「ええ! ミクリカップにはずっと出たかったもの! 今回はシンオウって聞いて、絶対エントリーしなきゃって思ったの!」
 リッシポート波止場にて、そんな会話を交わすサトシ一行。
 どうやら、リッシ湖畔にて開催されるミクリカップに出場するために、ハルカがシンオウ地方に到着したところのようだ。ハルカはオレンジのノースリーブにグリーンのバンダナを身につけており、AG時代とはずいぶんと印象が違っている。

 ロケット団の三人は、彼らの様子を高台から眺めていた。
「懐かしのジャリガールじゃないか」
「まさかあいつもミクリカップにエントリー……」
「強敵が増えるにゃ」
 コジロウ、ムサシ、ニャースは口々に漏らす。
 ミクリカップにはムサシもエントリーする予定だ。
 このところ成績の振るわないムサシにとっては、強敵がひとり増えるのも大打撃に感じられた。
「なんとしてでも、あいつのエントリーを阻止しなきゃならないね」

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「あなたたち、またこんな悪さして! 全然変わってないのね!」
 ハルカは叫んだ。
 彼女の背後には赤い寸胴ボディのメカが立ち、側面から生え出た四本の腕で、彼女の四肢を掴み拘束している。
 ロケット団は、ハルカがトイレに立つためにサトシら一行とはぐれたところを見計らい、彼女を捕らえ拉致監禁したのだ。
「いい気なもんだね、ジャリガール。私たちの要求はひとつ。ミクリカップのエントリーを辞退しなさい」
 ムサシは、身動きの取れないハルカの顎をくいと持ち上げながら言った。
「ふざけないで! せっかくシンオウまで来て、サトシ達にも会えたのに、こんなところで邪魔されてたまるもんですか!」
 ハルカがキッとムサシをにらむ。
「おやおや、威勢がいいじゃないか」
 するとムサシはため息をついて、
「……なら、ニャース! やっておしまい!」
「ポチッとにゃ」
 ニャースがリモコンのボタンを押すと、ハルカを捕らえたメカの側面から、さらに四本、腕が生え出る。
 ハルカは、機械音と、不気味なマジックハンドに、不安そうに頬を引きつらせる。
「……え? な、なにするつもりなの?」
「こうするつもりにゃ」
 ニャースがさらにボタンを押す。
「やばいかも……」
 ハルカの言葉通りだった。
 両側二本のマジックハンドがハルカのノースリーブでガラ空きになった腋の下を、下部二本のマジックハンドがハルカの脇腹を、突如くすぐりはじめた。

「きゃっ……!!? あはっ、……あはははははははっ!!? や、だっ!! あはっはっはっはっはっはっはっは~~!!」

 ハルカは大きく空いた腋の下を直にくすぐられ、大笑いしてしまう。

「やめっ、なっ、なにこれぇぇ~~~~!!? くすぐたいぃいぃ~~っはっはっはっはっはっはっははっは!!!!」

 四肢を拘束されて動けないハルカ。
 体を必死によじり、マジックハンドから免れようとするが、無駄である。
 マジックハンドがこちょこちょと腋の下、脇腹をくすぐり、ハルカは目に涙を浮かべ眉をへの字にして大笑いしている。

「おやおや、そんな腋丸出しの服着てる割に、ずいぶんと腋の下が弱いようじゃないか」

「うぐひひひひぃひひひひっ!!? うるさいぃっ!!! あひぃぃ~~!!? ……ぷぐぐぐははっはっはっはっはっははっは~~!!!」

 我慢しようとしてもすぐに吹きだしてしまう。
 ハルカはマジックハンドの指の動きに翻弄された。

「さあ、ジャリガール、腹で茶が沸く前に降参しておしまい!」
 ムサシはせせら笑った。

「だれがっ……っはっはっはっはっはは!!!! あなたたちの言いなりなんてぇぇ~~あぁぁ~~っはっはっはっはっはっははっは~~!!!」

 ハルカは激しく首を振って抵抗した。

「強情な……っ! ニャース!」
 ムサシが歯ぎしりをしてニャースへ指示を出すと、ニャースは再度ボタンを押した。
 すると、今度は最下部でハルカの両足を掴んでいた二本のマジックハンドが上部へ稼働しはじめる。

「嫌ぁぁあっはっはっはっは!!? なにぃぃ~~、なにぃいいひっひっひっひっひ~~!!!?」

 左足を強制的にくの字に曲げさせられたハルカは、スニーカーを脱がし取られた。
 そして、紺色のソックスを穿いた足の裏を、マジックハンドの人差し指でくりくりとくすぐられる。

「きゃはぁあぁっはっははっはっははは~~!!! やめぇぇえいぃぃひひひひひいひひひひひひひひ!!!」

 腋、脇腹、足の裏、と敏感な部位を一斉にくすぐられ、狂乱するハルカ。
 体が弓なりに伸びたり、よじれたりして、その刺激のきつさを物語る。

「さあ、まだ意地を張る気かい? あっちじゃ『舞姫』だのなんだの言われてるようだけど、ファンはこんな『舞姫』の無様な姿を見てどう思うかねえ?」

「あぁはっははっはははっははっははははっは、こんなっ、卑怯ものぉおぉお~~!! こんなことで屈して、ひぃぃ~~っひっひっひ、たまるもんですかっ!!!」

 ハルカは大口を開け、涙を流し、鼻水を垂らして笑いながらも、抵抗の意志を見せた。

「こやつ、なかなかやるにゃ……」
 ニャースがやや感心するような声を漏らした。
 するとムサシは歯がみし、ニャースからリモコンを奪い取った。
「聞き分けのないジャリガールにはっ!」
 ムサシはさらにメカのくすぐりを強めようとボタンを押した。

「……いいぃぃぃっ!!? あははははははっはっ!!? だめぇあぁぁあぁあぁぁ~~~!!!」

 ハルカの上半身をくすぐっていたマジックハンドは、途端に指を高速に蠢かし始め。
 ハルカの足元では、マジックハンドが、ソックスを無理矢理引っ張り脱がし、素足にした足の裏をガリガリと掻きむしり始める。

「くあぁぁあはははははははははは!!? ひぃぃぃ~~~ひひひひひひっひ、くるぢぃぃいっひひいっひっひっひっっひっっひ、たすけでぇぇっへっへっへへっへっへっへっへ~~!!!」

 ハルカは首を上下にガクガクと激しく振り回して笑い狂う。
 万歳に引き伸ばされた腋の素肌はひくひくと痙攣するように震え、足指もくすぐったそうにくねくねとよじれている。
 涙と鼻水と涎で、顔はぐしゃぐしゃ、特徴的な髪型もくずれ、髪の毛が頬やおでこに張り付いてる。

「ミクリカップのエントリーを辞退しなさい!」

「嫌だぁぁああっはっはっはひゃはっはっはっはっはっはははっは~~ぐえ゛ぇ゛ぇ~~~~ぎぃひいぃいぃ!!!」

 ハルカは決してロケット団に屈しようとはしなかった。
 サトシら一行が助けに来るまで、ハルカは延々と笑わされ続けた。



(完)



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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 ハルカもついでにくすぐりメカの餌食にしました。