小山鈴江を我が家に招くのは簡単でした。
 ラブレターの返事を装って、彼女へ手紙を出したのです。

「反町さん……っ! なんで、こんなことするの? やめて……っ」

 小山鈴江は、泣きそうな顔で私をにらみました。
 ショートヘアで純朴そうな雰囲気。交友関係はあまり広くなくて内気な性格。おそらくラブレターを出すのだって相当勇気の要る行為だったろうと思います。

 彼女はいま、私の部屋で拘束されています。両足を前に突きだした状態で、木の板の足枷をはめられて。

「小山さん。この部屋、どう思う?」
 私は、小山鈴江に訊ねました。

「どうって……」
 彼女は壁に飾られたり天井から吊されたりした拘束具の数々を見渡して、
「悪趣味……」
 と呟きました。

 私は、勝ち誇ったような気分になりました。口元が緩むのを抑えられません。

「だったら、卓也君の彼女になるのは無理ね」

「えっ?」

「この部屋は彼の部屋を真似したもの……それに、あなたのその拘束だって、私が彼にされ続けたものだもの」

「嘘……」

 小山鈴江は信じられないというような表情でした。

「う、嘘だよ! デタラメ言わないで! 反町さん……振られたからって、彼を貶めるようなこと……っ」

 イラ、としました。
 事実を認めようとしない小山鈴江には、お仕置きが必要です。

「もし本当に卓也君の彼女になりたいなら、私の責めにも耐えられるよねぇ?」

 私は、小山鈴江の白いソックスのつま先を掴みました。黒ずんでいて少し湿っています。一日中学校で上靴を履きっぱなしだったのだから仕方ありません。
「や、何するのっ!? やめて!」と叫ぶ彼女を無視して、すぽん、と一気に引っこ抜きました。
 白い素足でした。ぽてっとした肉付きの足。文化系特有なのでしょうか。土踏まずのアーチがなだらかで、私の足に似ていました。

 私は、恥ずかしそうに足の指を縮こまらせる彼女の足の裏を、ガリガリと皺を引き伸ばすようにくすぐりました。

「ぃぃいきゃっ!? きゃはっははっはっはっはっはっはっは!!? なにぃぃぃ~~やめてぇぇえあっはっはっはっはっはっは!!」

 小山鈴江は、大口を開けて笑い出します。

「やめてやめてぇ~~ひゃひっひっひっひっひっ! ひっひっひっひっひ、いやぁぁあぁぁ~~!!」

 彼女は、足の指がびくびくと震わせ、首を左右に激しく振って笑っています。

 私も、こんな風に、くすぐられていたのかな……。

 自然と私は彼女に自分を重ねていました。卓也君がやられたときのことを思い出しながら、爪を立て、足の皮をかき鳴らしました。

「ひぎゃぁあああっはっはっはっはっはっはっは!!! なんでぇぇぇ~~、なんでこんなことするのぉぉ~~あははははははははははは!!?」

 小山鈴江は最後まで、泣きながら「やめて」と繰り返していました。
 目を回した彼女の、涎と涙でぐしゃぐしゃになった顔を見て、私は「ほらね」と確信しました。

 卓也君の彼女がつとまるのは、私だけ。


(つづく)


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 こんばんは。ertです。
 晒そう企画『ストーカー』の二次創作です。