小山鈴江をくすぐってから、不思議な感覚が続いていました。
 私にレズビアンの気はないはずでした。
 それなのに、小山鈴江の笑い狂う姿を思い起こすと、不思議と欲情してしまうのです。
 彼女が私で、私が彼……。
 そう。私は、彼女がくすぐるられる姿を思い出す度に、まるで自分が卓也君にくすぐられているような錯覚を起こしたのです。

 部屋でひとり、ソックスを脱ぎ、足枷に足を通し、小山鈴江をくすぐった日のことを思い出します。
 妄想の中で、小山鈴江は私の姿に変わり、私の手は彼の手に変わってゆきました。
 驚くほど鮮明に、昔の感覚が蘇りました。
 おそろしい快感でした。気づくと私の股間は濡れていました。

 そうして数日が過ぎたある日のことです。

「先ぱぁい! お久しぶりですぅ!」
 廊下で、卓也君に、髪の毛を二つ括りにした女子生徒が話しかけていました。「おお、細野か」と応じる卓也君。細野という女子生徒は、人なつっこそうな笑みを浮かべ、卓也君にすり寄っていました。
「先輩のおかげで、あたしもココに入学できましたぁ! これからもよろしくお願いしますね!」

 はつらつとして、元気が良い子でした。
 今年入学した一年生で、卓也君の後輩。わざわざ出身校が同じの卓也君の元へ、挨拶にやってきたようです。彼女の笑顔を見ながら、私は確信しました。

 あの子も、卓也君のことが好きなんだ。

 そう考えが至った途端、体中が熱くなりました。嫉妬に違いありませんでした。
 私は、卓也君と別れた彼女を尾行しました。クラスを確認しました。クラスで交わされる会話に耳を澄ませ、『細野泉』というフルネームも得ることができました。


(つづく)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画『ストーカー』の二次創作です。