翌日の昼休み。早めの時間に中庭に行くと、すでに河合みすずが歯を磨いていました。
 どういう食材をどんなスピードで食べればこの時間に歯磨きができるのか想像できません。

 昼休みの早い時間で、生徒達の大勢はまだ食事中。
 誰もいないことを確認して、私は足を忍ばせて彼女に近づきました。

 簡単でした。

「ん……」

 河合みすずが目を覚ましました。
 細野泉の時同様、気絶させて台車で運び、拘束を終えていました。

「わわっ!? なんですかコレ? ……え、あなた、誰ですか?」

 河合みすずは、きょろきょろと首を左右に振ったり、足をガタガタ動かしたり、落ち着きがありません。

「河合さん。卓也君の彼女になりたいのなら、私の責めにも耐えないとだめよ?」

「はいっ!? 卓也君って誰ですか――って!! 何するんですかっ!!?」

 私は河合みすずの両足から白いソックスを脱がしました。
 タコや豆があって、ちょっと汚い素足でした。爪の手入れもあまりされていなくて、垢がたまっているのが丸わかりです。

 私は、さっきまで彼女がくわえていた歯ブラシを見せつけました。
 唾液がまだ乾いていなくて、歯先がすこしテカっています。

「……な、なにする、つもりなんですか?」

 私は、彼女の怯えたような表情を見て、彼にはじめてくすぐられた日のことを思い出しました。

 歯磨きは3分間やるべきだとか5分間やるべきだとか、いろんな説がありますが、足の指は何分間が順当なのでしょうか。

「ひぎぃいいひひひひひひひひひひっ!!!? ぐひひひひひひやべでぇぇぇえあがやぁぁぁあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」

 ぐしぐしごしごし。
 河合みすずの足指の股を歯ブラシで磨いています。

 彼女は舌を出し、ずぶずぶと鼻水の垂らして笑っています。
 激しく上下左右に首を振り回す姿は、まだ刺激になれていなかった頃の私と重なりました。

「ぎひゃひゃひゃひゃひゃなんでぇぇぇええぃぃっっひっひっひ!!? ごんにゃごどやでなんになるんでずがぁぁああっはっはっはっはっはっは~~!!?」

 泣いたり笑ったりしながらなので何を言っているのかさっぱりわかりません。

 彼女の小指を持って股を広げ、歯先を指の付け根へ押しつけてこすり上げます。
 自分の使っていた歯ブラシで足を磨かれる気分はどんなものなんでしょう。私は経験が無いのでわかりません。
 新品のように綺麗だった歯ブラシは、もう歯先が開いてしまい、すき間に足の皮が白いふけのように挟まっています。

「ひぎゃはははははははははははっ!!? あひがぁぁぁああぁぁ!! あひがひぬぅぅぅううううひひひいひひひひひひひひひひひひひ!!!」

 シャカシャカと歯ブラシの音が響き渡りました。
 しばらくして気を失った彼女の顔は涙と涎でぐちゃぐちゃになって、ひどい顔でした。

 この程度じゃ、絶対に、卓也君の彼女なんてつとまるはずがありません。

 彼女のポケットから携帯を奪って、『西原まゆ』の連絡先を探しました。携帯にロックをかけていないなんて、あまりに不用心で、私には信じられませんでした。


(つづく)


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 こんばんは。ertです。
 晒そう企画『ストーカー』の二次創作です。