サユリは、二日ぶりに自宅に帰ってきた。
 学校の部活の合宿を終えたばかりだった。

「ただいま――」

「おかかいりぃぃぃいいいい!」

 玄関の扉を開けた瞬間、大学生の姉に抱きつかれた。

「サユたんサユたん! もぅ~さびしかったんだお~!」

 姉はサユリに頬ずりしながら言った。泣いている。姉は重度のシスコンだ。
 ……鬱陶しい。

「姉貴、邪魔。風呂に入りたい」

 サユリがもがくと、

「んもぅ~、サユたん照れんなよぉ~」

 姉は、サユリの体に腕を巻き付け、ジャージ越しの脇腹をこちょこちょとくすぐった。

「うへははははっえ!!? こらっ! やめろ姉貴ぃいああっはっはっはっはっは!?」

 サユリはとっさのことに驚いて笑い出してしまう。まだ靴も脱いでいない足をばたつかせた。

「うへへ、サユたんは笑うとかわいいなぁ」

 姉は指先をぐりぐりとめり込ませるようにくすぐってくる。

「やめろぁぁぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 サユリは激しく身をよじるが、姉の力が強すぎてなかなか抜け出せない。
 やっとの思いで姉の腕を振り払ったところで、床に押し倒されてしまう。
 うつぶせになったサユリの上に姉は馬乗りになった。

「姉貴おもっ!! 太ったんじゃ――だひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!?」

 姉は、サユリの言葉を待たず、脇腹をくすぐった。
 両手をばたつかせるが、姉の体重のためにまったく身動きが取れない。
 姉は調子に乗ったのか、体を反転させ、サユリの運動靴を脱がし取った。

「ひゃっはー! サユたん、がんばったんだねぇぇ、ぐへへ。汗いっぱいかいてるよぉぉ」

 姉は涎を垂らしながら、サユリの靴下を脱がし取る。

「姉貴っ!! いい加減にし――ろひゃっひゃっひゃひゃっひゃひゃ!!?」

 姉は、サユリの素足の足の裏をガリガリとくすぐった。
 足の甲を床に押しつけられているために、足首を曲げて刺激から逃れることもできない。

「おねがいぃいぃっひっひっひっひ!!! 疲れてる!!! あたし疲れてるからぁぁぁあっはっはっはっはっははっはっはっは!!!」

「サユたんがお姉たんを寂しがらせるから悪いんだおー」

「知るか馬鹿姉貴ぃいいいいいははっははっはっはっはっはっはは~~!!?」

 今日も平和だ。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 大むかしチャットルームにて、他人様の発言した挨拶「ただいま」を勝手にお題にしたてて書いたもの。
 妹ちゃんはたぶん運動部です。今日も平和です。