生粋の素足くすぐりフェチである谷井重里(たにい しげさと)は、ある日、洗脳アプリを手に入れた。
 アンドロイドに表示された文字を相手に見せると、その文字通りに洗脳できるというものだ。

 谷井は、可愛い店員がたくさんいると噂の喫茶店を訪れた。
「いらっしゃいませー!」
 店内に響き渡る女の子達の声。なるほど、ぱっと見渡しただけでも女子店員は可愛らしい子ばかりだ。今日のホールは3人。グリーンを基調としたワンピースにエプロン、カチューシャ、赤いネクタイ、紺ハイソにローファーという制服。ミディアムショートの天然パーマの子、ポニーテールの子、ちょっと茶髪のサイドアップの子だ。
 たたっと小柄なポニーテールの女子店員がかけてきて案内してくれる。
「お一人様でよろしいでしょうか!」
 元気が良くて好印象。くりくりした目とえくぼが可愛らしい。幼さが残る。高校生アルバイトかな?
 谷井は客目のない店内奥の4人がけテーブル席について、おもむろにアンドロイドを取り出す。
「ちょっと、これを見てくれるかな?」
「はい?」
 ポニーテールの女子店員は、首を傾げて覗き込んだ。
「えっ?」
 彼女は、持っていたメニューを床に落とした。体を強ばらせ目を見開き、口をぱくぱくとさせる。

「あ、が、……く、口が、勝手に……わ、わわわ、『私は、生涯、谷井重里様に、服従を誓う、くすぐり奴隷です!』――んあっ!?」

 言い終えた瞬間、彼女は白目を剥き、天を仰いだ。体がびくびくと痙攣している。
 痙攣が治まると、ゆっくりと谷井へ向き直った。

「く、く、く、くすぐってください! 谷井様!」

 彼女は目にハートを浮かべひざまずいた。
 谷井は満足して微笑む。
「まず、君、自己紹介してくれるかな?」
「矢島(やじま)です! 矢島日葵(ひなた)です! 南高校2年で、帰宅部です! このバイトは半年やってます! 将来の夢は、友達と一緒にカフェを開くことです!」
 日葵は元気よく答えた。
「友達?」
「ここで一緒にバイトやってる、水原藍子(みずはら あいこ)ちゃんです。ちょっと天パの子です。家が料亭なので、料理が上手です! 最近彼氏ができたみたいです」
 ついでにサイドアップの子のことも聞いておくと、
「湯月香奈恵(ゆづき かなえ)ちゃんは、商業高校の1年の子です。見た目チャラそうですが、めっちゃ仕事できます!」
 なるほどなるほど。
「あ、あの……谷井様……」
 日葵はくすぐって欲しくてたまらないという様子でうずうずしている。
「よし、いいだろう。日葵、正面に座れ」
「はい!」
 谷井が命じると、日葵は勤務中にもかかわらず素直に席に座った。
「靴と靴下を脱いで、足をテーブルに載せろ」
「はい!」
 日葵はテーブルの下を覗き込むようにして、自分のローファーと紺ソックスを脱いだ。
 そして、「よいしょ」と両足をテーブルの上に載せた。反動で、がしゃんと、机上のナイフフォーク入れが音を立てた。
 店員が客の目の前でテーブルに素足を載せている異様な光景。
 谷井は、目の前に突き出された日葵の素足へ、ゆっくりと指を這わせた。

「くふっ!? んふふふ、ひひゅはははっ」

 くねくねとよじれる日葵の足の指。
 紺色のソックスを穿いていたためか、彼女の素足にはところどころ紺色の毛がついている。
 足指は全体的に丸みがあり短く、親指の長いエジプト型だ。
 谷井は、きゅっと皺の寄った土踏まずに爪を立てて引き伸ばすようにくすぐる。

「くひゃはははっ!! んひぃぃい、くすったいぃ、ひははははははっ!!」

 日葵は苦しそうに頭を左右に振って笑うが、両足を引っ込めようとはしない。
 谷井は、10本の指を、彼女の両足の裏に突き立ててやる。

「ひやははははははっ!!? やはっ、くひぁぁはっはっはっはっはっはっはっは!!」

 日葵は眉をへの字に曲げ、大口を開けて笑っている。
 そのとき、タタタと足音が近づいてきた。


(つづく)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 洗脳アプリとか洗脳ペンライトとか洗脳ノートとか。くすぐりモノでも量産されて欲しい^p^





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