「私の貯金返せやゴルァ!」
「魔眼殺し返せやヴォケェ!」

 一触即発。
 蒼崎青子と橙子の殺し合いが始まった。
 青子が左拳を橙子の顔面めがけ突き出すと、橙子は右拳を青子の顔面へ突き返した。
 拳は交差して双方の横っ面へめりこんだ。

 二人には互いに貸しがあった。
 青子は金。橙子はアイテム。
 青子が橙子の工房から魔眼殺しの材料を奪った経緯については割愛する。

 橙子がなんやかんやと魔術を使い、青子をなんらかの光で拘束した。

「なっ……!? 放せゴラァ!」

「遊びは終わりだ。青子。愚昧にはこれから本当の地獄を見せてやろう」

「はぁ? 何を言って――ひゃっ!?」

 Iの字に体を引っ張り伸ばされた青子は突然悲鳴を上げた。
 橙子が、彼女のシャツの袖から手を差し込み、素肌の腋の下を弾くように触りはじめたのだ。

「ちょっ!? やははっ、姉貴!? いきなりなによ?! あはは」

 橙子は両手をシャツの袖からねじこみ、こちょこちょと腋の下をくすぐる。

「あはははははははっ!? なにっ! くすぐったい~~はははははははは!」

 青子はぶんぶんと長い赤髪を振り乱して笑った。

「愚昧よ。くすぐっているのだから、くすぐったいのは当たり前だ。ほら。ここはどうかな」

 橙子は、青子のシャツの裾をめくりあげ、白いお腹を外気に晒す。
 上下に引っ張り伸ばされたヘソのシワへ指をつっこむ。

「ひははっはははっ!!? なにっ! どこさわってんのあぁぁあぁひっひっひ、ひぃ」

 青子は涙を流して嬌声を上げた。

「ふんふむ。常日頃から見せびらかしている割に弱いのだな」

 言いながら橙子は、ヘソをなぞるように指の腹を上下に這わす。

「ひやっはっはっはっはっは!!? だめっ!! ひぃぃぃやめぇぇぇ」

 軽く爪を立て、ヘソの周りをわしゃわしゃとくすぐる。

「うひゃはははっはははははっ!! いきなりつよいぃぃいっひっひっひっひっっひっひっひっひ~~!!」

 青子は必死にお腹をへこませるも橙子の指先がわしゃわしゃとヘソ周りを蹂躙する。
 ひとしきり腹回りをくすぐった橙子は、青子の足元で、靴を脱がし取る。
 ジーンズの裾からのぞく青子の足。
 橙子は次いで、靴下も脱がし取った。

「……ひぃ、ひぃ、姉貴。やめなさい、よぉ」

 くすぐられ続け、息を切らす青子。

 橙子はそんな青子の足に容赦なく爪を立てた。

 ガリガリガリガリ。

「ふがぁぁ――ああはっははっはははははっはははは!!!?」

 青子は体をびくんと仰け反らせて笑い出した。
 橙子の指の爪が青子の素足の皮膚を掻きむしる。

「やめてぇええははははっはははははは!!! もう限界っ!!! げんかいだかっらぁぁはっはっはっはっははっはっははっは!!!」

 青子の足の指がくねくねとよじれる。
 橙子は足指を掴んで反らし、付け根を掻きむしった。

「いやははははっはははっはははは!! ひぃぃ~~ひっひひっひひっひやめぇぇええ!」

「足、弱いな」

「言うなぁあぁあははははははははははははは!!!」

 泣き喚く青子。
 追い打ちを掛けるように、橙子は青子の足の指の間に指をねじこんで震わせる。

「うひぃぃぃい~~~~っひっひ!!? 姉貴ぃぃいいひひひひ、殺してやるっ!!! 殺してやるからぁぁははははははははははは!!!」

 青子は涎を垂らして笑いながら、悪態をついた。
 橙子と青子の殺し合いは、今日も白熱している。


(完)