草原に女がいた。16歳の村娘だった。
 彼女は昼過ぎに森で薬草を集めるのが日課だった。
 最近森では、村娘が次々と襲われる事件が多発している。おそらく新手のモンスターが出没しているのだろう。
 身を守るすべが必要だった。
 彼女は、高い金を出して、優秀だと評判の魔法使いを雇い、周囲に結界を張り巡らせてもらった。これで安心して薬草が取れる。油断していた。

 気配に気づいたのが遅かった。
 振り返ると、目の前に真っ黒なモンスターが立っていた。
 モンスターはヒト型だった。長身細見。長い指と大きな頭。目が赤く光っていた。

「我が根城に侵入せし者……、許すまじ……」

 村娘と戦闘になった。

――

「きゃははははははははははは!? やめてぇぇ~~っひひっひっひひっひ~~!!」

 非力な村娘はあっけなく敗れ、ブーツを剥かれ、歩き疲れた足裏を触手で入念にくすぐられた。
 触手は人間の手のような形だが薄く紙のような質感。かと思えば、ドロリとスライムのようなジェル状にも変化する。
 さわさわと娘の素足の皮膚を撫でまわしたり、足指の間に入り込みジュルジュルと指股をこすりあげたり、変幻自在だ。

「うひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!?」

 村娘は泣き喚いた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。涎をまき散らした。

「な゛ん゛でソコばっかりぃ~~っひっひっひっひ!!!」

 モンスターの触手は、まるでそれぞれが意思をもっているかのように動き回る。
 若い娘の激しい反応を一瞬で察知。娘の敏感な部位など簡単に見抜くことができた。
 逃げ回るようにクネクネ動く娘の素足を執拗に追いかけ、皴の隅々までくすぐりつくす。

「やだぁぁあ!!! やだぁぁああびゃっはあっはっはっはっはっはっはっは~~!!!」

 娘は絶叫した。あまりのくすぐったさに気が狂いそうだ。

 こんなことになるなら、村の注意喚起を守ればよかった。あれほど一人で森に入るなと、しつこくお達しがあったのに……。
 いや、それよりも結界はどうした? なぜ破られた!? ザルなのか? 優秀だと評判の魔法使いは、詐欺師だったのか!?

 後悔。責任転嫁。ぐるぐると頭の中をめぐった。
 徐々に意識が遠のいていく。

「あがぁあっはっはっはっははひゃひゃひゃ!!? ひぬぅぅ!! しんじゃうぅひぃぎぃい~~っひっひひひっひひひっひ~~!!!!」

 触手のくすぐり攻撃がやむことはなかった。


(完)











ツクールMZ 『くすぐり魔の棲む森』 こちら!!

くすぐり魔の棲む森タイトル7-1


https://ert.fanbox.cc/posts/2403178