くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

単発

ひっかけ擽り問題

「『ニシン』と10回言ってください」

「ニシン、ニシン、ニシン、ニシン、ニシン、ニシン、ニシン、ニシン、ニシン、ニシン、ニシン」

「赤ちゃんが生まれることは?」

「妊娠」

「残念! 答えは『出産』です!」

「うわあああああ、11回も言ったのにいいいい」

 部活をサボって帰る途中、街頭で突然TVカメラを向けられて出題されたひっかけ問題。
 アユミは見事にひっかかってしまい、頭を抱えた。
 冷静に考えれば「出産」だとすぐに思いついたのに!

「それでは、失敗した学生さんには罰ゲームを受けてもらいましょう!」

 アナウンサーの発言に、アユミは驚愕する。

「え、そんなの聞いてな――きゃああああ!?」

 突然現れた全身黄色タイツの集団に、アユミは路地のど真ん中で大の字に取り押さえられた。
 10人近くいる。
 彼らはわきわきと両手の指をくねらせると、

「スタート!」

 アナウンサーの合図で、一斉にアユミの体をくすぐりはじめた。

「ぶふっ――うわぁぁっはっはっはっはっはっはっはっは!!!? なにぃぃいいいいきなりあぁぁあああははははははははははは!!!」

 アユミは路地のど真ん中で、大声で笑い出す。
 周囲のざわめきを感じる。

「やめてぇえあぁああっはっはっははっはっはは!!! こんなのぉぉぉ恥ずかしいよぉぉああああっはっはっはっはっはっはっはは~~!!!」

 全身を這い回る約100本の指。

 ブレザーの前ボタンは外され、靴も靴下も脱がされていた。

「いやぁぁぁあっはっはっはっはっははっは!!!? くすぐったいぃいぃい、やめてぇぇああっはっはっはっはっははっはは!!!」

 腋の下に差し込まれた指がワラワラと蠢く。
 アバラはごりごりとしごかれ、脇腹はぐにぐにと揉みほぐされる。
 アユミは首を左右に激しく振って笑う。自分の身に何が起こっているのか理解できなかった。

「ぎゃぁああああっははははははははははっ!!! 嫌だぁぁあああははははははははは!! 勘弁してよぉ~~おおおおおひゃっはっはははははは!!」

 足の指を掴まれて、付け根や土踏まずはカリカリと引っ掻かれた。
 数十本の指が狭い足の裏を這い回り、アユミは気が狂いそうだった。

「おねがぁぁああはっはっはっはっはっ! 一体何ぃいいいっひっひっひっひ!!!? なんの番組ぃいいいいっひひっひっひっひっひっひ!!!」

 アユミにはなにがなんだかわからない。
 部活をサボって帰る途中に黄色い集団に寄ってたかってくすぐられている。
 こんなことなら真面目に部活に行けば良かった……。
 アユミは、部活をしているときよりも汗びっしょりになって、喉を枯らして大笑いしながら、日頃の行いを省みた。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 歯にもやしは引っかかりやすい。




 

沙希ちゃんの虫歯

 担任から歯科検診の結果が渡された。
 沙希は、自分の右奥歯に虫歯があることを知り、愕然とした。
「……毎日ちゃんと歯磨きしてたんだけどな」
 憂鬱だ。
 家に帰る途中、沙希はなんどもため息をついた。足取りが重かった。
 帰って母親になんて言われるか分からない。
 十字路を曲がって家が見えてくると、ますます憂鬱になった。
 見逃してくれれば、良かったのに。……
 沙希は、玄関の前で立ち止まった。
 ランドセルから歯科検診の結果通知表を取り出し、にらみつけた。
 紙の上にははっきり「う歯」の文字が見える。
 こんな紙切れのせいで。……
 朝家を出る前の母親の顔を思い浮かべた。今日はいつもに増して機嫌が悪かった。嫌味と小言はいつもの数倍だろう。
 また、怒られる……。
 そう思うと玄関の扉が開けられなかった。
 いつもの風を装って脳天気に「ただいま」なんて言えるわけがない。
 嫌、だ。
 沙希は、扉に背を向けた。くしゃりと、結果通知表を握りしめた。気づくと、駆け出していた。
 帰ってきた通学路を逆走する。
 どこに向かっているのかはわからなかった。
 ただ帰りたくなかった。
 偶然目にとまった先に空き地があった。
 大きな土管が転がっている。
 沙希は、土管の後ろに逃げ込んだ。何から逃げているのかは自分でもわからない。
 スカートの裾を引っ張って、パンツを隠しながら地べたに腰を下ろした。
 膝を三角に折って、両手で抱える。
 顔を伏した。
 このまま、何もかも過ぎ去ってしまえば良い……!
 膝を抱えてうずくまっていても、誰も助けに来ない。泣きそうになった。
 沙希はゆっくり顔を上げた。視線の先に、しわくちゃになった「う歯」の通知表があった。ずっと握り続けていために、手汗で湿っている。
 こんなのせいで……!
 沙希は唇を噛みしめた。怒りと恨みを目一杯に込めて、結果通知表を地面に投げつける。
 投げたつもりだったのに、まったく遠へ飛ばない。風に押し返されるような感触があって、手から離れてくれない。と、そのとき向かい風が吹いて、顔面に返ってきた。
 目の前に大きく「う歯」の文字が張り付いた。
「ああっ! もうっ!」
 沙希は、やけくそに通知表を顔から引きはがす。破り捨てたいが、学校から渡されたプリントを破く勇気は出なかった。
 夕陽が傾いて空が赤くなっていた。
 また泣きそうになって、手に通知表を握ったまま、再び顔を伏せた。

・・・

 ――ちゃん。……――沙希ちゃん。

 沙希は誰かに呼ばれているような気がした。
 どれくらい時間が経ったかわからない。顔を伏せていても、もう周囲が暗くなっていることはわかった。
 ついウトウトしてしまったようだ。
 ちょっと泣いたせいか、目の周りが乾いて痛かった。
「沙希ちゃん!」
 今度ははっきりと聞こえた。
 なかなか帰ってこない娘を心配して親が探しに来てくれたのだろうか?
 見つかっちゃったか……。沙希は、がっかりすると同時に、少し安心していた。虫歯の通知を抱えて帰宅するのは、逃げ出したくなるほど嫌だったのだ。そんな訴えが少しでも伝わればいいと思った。
 沙希は顔を上げた。
「……えっ」
 思わず声を漏らしたのは、目の前の光景があまりに予想外だったからだ。
「沙希ちゃん。虫歯が見つかったんだって? ブラッシングは正しくやらないとダメだぞぅ?」
 沙希の前に現れたのは、巨大な歯を象ったらしいかぶり物で頭部を覆った謎の人物。全身を白いタイツに包まれ、性別は不詳である。
「……え、だれ? ……てか、なに?」
 不気味だった。
「私は歯磨きマン。良い子のみんなに正しいブラッシングのテクニックを伝授しているよ!」
 自称歯磨きマンはそういうと、片手に持った小さなピンク色の歯ブラシを見せびらかしてきた。
 溌剌とした声が気持ち悪かった。
「さあ! 今回惜しくも虫歯になってしまった沙希ちゃんには、私が直々にブラッシングを伝授してあげよう」
 沙希は、にじりよってくる歯磨きマンのくねくね身をよじる動きに背筋が寒くなった。
「いっ!? け、結構ですっ!」
 沙希は逃げようと、とっさに立ち上がった。
「待ちたまへ!」
 歯磨きマンは目にもとまらぬ速さで片手を伸ばすと、沙希の唇をつまみ上げた。
「ひゃっ!? ひゃんでふふぁ!?」
 沙希は暴れるが、歯磨きマンの力は予想以上に強い。
 無理矢理広げられた口の中へ、歯磨きマンの持っていた歯ブラシの尖端をつっこまれた。
「ふえぇぇ!? ぶふうぅぅ!? くっ!? くさいっ、ひゃめっ! やだぁ!」
 誰が使ったのかも分からない歯ブラシをつっこまれ、しゃかしゃかと歯を磨かれる。
「沙希ちゃん。給食の後のブラッシングが上手くないね。まだまだこんなに歯垢がたまっているよ?」
「ぶへぇぇぇひゃめぇぇぇ!!」
 沙希は泣いていた。
 奥歯、横の歯、前歯と、歯磨きマンの歯ブラシが走る。ブラッシングがいくら正しかろうが、どこの誰かも分からない人物に口の中へ指をつっこまれる感覚は、不快きわまりなかった。
 五分ほどで、歯ブラシは口から引き抜かれた。
 ピンクの歯ブラシは沙希の涎が糸を引いていた。
「うえぇぇ」
 沙希はうずくまる。自分以外が使ったかも知れない歯ブラシを口につっこまれたという不快感で、吐き気を催した。
「沙希ちゃん。ブラッシングを続けるよ!」
 歯磨きマンはにこやかに言うと、こんどは沙希の左腕を掴み上げた。
「痛っ!! はっ……放して!! や、やめてぇ!」
 沙希は叫んだ。
 いくら大声で叫んでも、助けは来なかった。
 空き地の周囲にはまったく人影がない。
「沙希ちゃんぐらいの女の子はこんなところも汚れているからねぇ~」
 歯磨きマンはそういうと、沙希の半袖シャツの袖口から歯ブラシをつっこんだ。
「きゃああああっ!!? なっ! なにっ!?」
 急に腋の下がひんやりとして、沙希は悲鳴を上げた。
 歯磨きマンは、沙希の涎で湿った歯ブラシでしゃかしゃかと沙希の腋の下を磨きはじめる。
「うへぇぇぇえ!!? なっ……あはっ!!? やはははははははははは!!!? ちょっ!! やだぁぁっ! きたなっ、あぁ~~はっはっはっはっはっはっは!!!?」
 沙希は、唐突なくすぐったさに身をよじって笑いだした。
 歯磨きマンに腕を掴まれて万歳させられているために、腋を閉じることができない。
「やめぇぇええははははははははは!!! くすぐったあぁあぃはははははははは~~!!!」
 歯ブラシの歯先が直に皮膚の上を這う感覚ははじめてだった。
 歯磨きマンは、ぐりっ、ぐりっ、と手首のスナップを利かせ、腋のくぼみから汚れをほじくり出すように歯ブラシを動かす。
「やだぁぁあひっひっひっひっひっひ!!? そんあぁぁあっはっはっはっはは!! そんなとこ汚れてないぃひっひっひひ!!」
 沙希は歯磨きマンの体をげしげしと蹴りつけながら暴れる。
 しかし、歯磨きマンはまったく動じなかった。
「生えかけの腋毛の生え際には汚れがたまりやすいからねぇ。こうやってほじくり出してあげるんだよ」
「いやぁぁあっはっはっはっはっはっは!!! 放してぇぇぇえええ!!! おかあさぁぁああんっはっははっはっはっは~~!!!」
 沙希はわけもわからず笑い続けた。
 なんで自分がこんな目に遭っているのか、まったく状況が理解できなかった。
 逃げたりせず、家に帰って、正直に虫歯のことを母親に伝えていれば……。
 歯磨きマンが沙希の腋から歯ブラシを引き抜くと、今度は沙希の体を押し倒してきた。
 沙希に逃げる余裕はなかった。
 仰向けに押し倒された沙希の腰当たりに跨がって座った歯磨きマンは、ぺろんと沙希のシャツの裾をめくり上げた。
「……やっ、やだぁぁ……! やめてよぅ……ひっぅ」
 沙希はぼろぼろ涙を流して泣いていた。
 後悔のためか、くすぐったさへの恐怖のためか、呼吸困難のためか。
「あー、沙希ちゃん。さては手入れしたことないね? ずいぶん汚れているよぅ」
 歯磨きマンがそういって歯ブラシを差し込んできたのは、沙希のヘソだった。
「うひっぃいいいん!!?」
 未知の感覚に沙希の体がびくんと跳ね上がった。
 そのまま歯ブラシはシャリシャリとヘソ周り、脇腹を磨いていく。
「いやははあははあはははははははっ!!? やだぁぁっははっははっははは!!! 笑いたくないよおおっはっはっはっははっはっはっは!!!」
 沙希は地面に背中をつけたまま、必死に身をよじる。
 両手両足をばたつかせて暴れた。
 ぼこぼこと歯磨きマンの体を叩いても、びくともしなかった。
「沙希ちゃん元気だねぇ。元気があるぶん、汚れも溜まりやすいから、きちんとブラッシングするといいよぅ?」
 歯磨きマンは、しゃっ、しゃっ、と沙希の脇腹を弾くように歯ブラシを這わせながら言った。
「ひぃぃぃ~~ひっひっひっひっひっひ!!! お腹あぁぁひひひひひひひひ!!! それだめぇぇええひっひっひっひっひっひっひ!!!」
 数分ほどお腹周りを歯ブラシでこすられ、歯磨きマンの手が止まった。
 沙希は、肩で息をついた。
 お腹が熱かった。
「やっ……やっと、終わ……」
「おっと、沙希ちゃん。まだ終わりじゃないよ? 最後。一番汚れやすいところが残っているからね」
 沙希の目の前ににゅっと頭部を見せた歯磨きマン。
 にっこりと微笑みかけたつもりらしいが顔が見えないため分からない。
 手に持っているピンクの歯ブラシは、もう歯先が開いてしまっている。
 沙希は疲れ切っていた。いまなら逃げ出すチャンスなのに。体が動いてくれなかった。
 視界から消えた歯磨きマン。
「……いっ!?」
 沙希はハッとした。
「そ、……それはっ、だめぇ!」
 沙希はがばっと体を起こして叫んだ。
 歯磨きマンは沙希の太ももあたりに座っており、靴を脱がしている最中だった。
 歯磨きマンが何をしようとしているのかは容易に想像が付く。
「やめてぇぇ!! もうっ、やめて! 放してようっ!!!」
 沙希は体をくの字に起こして歯磨きマンの背中を叩く。
 しかし、歯磨きマンは沙希の両足から運動靴、次いで靴下まで脱がし取り、ぽいっと地面に放り投げてしまった。
「ここは特に汚れやすいからねぇ。丁寧にじっくりブラッシングしないとだめだよぅ?」
 歯磨きマンは言うと、歯ブラシの尖端を沙希の右足の親指と人差し指の間に差し込んだ。
「ひゃぁあああああああ!?」
 そのまま、ジョリジョリと皮膚のこすれる音が響きはじめる。
「いやぁぁあはひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? やめぇえええへへっへへっへっへっへっへっへっへ!!!」
 沙希は体を仰け反って笑いだした。
「そうそう。足の指と指の間は汚れが溜まりやすいからねぇ。入念に。入念に」
 歯磨きマンは穏やかにいいながら、歯ブラシを上下にしゅこしゅこ動かす。
「やぁぁあああはははははははははははは!!! やめてぇぇええひひひひひひひひ!!! そんなとこぉぉおおおおお死んじゃうああぁぁっはっははっはっはは!!!」
 普段のお風呂でさえ、足の裏をスポンジで洗うのはくすぐったいのに……。
 沙希は歯ブラシの歯先が指と指の間をこすり上げるくすぐったさに気が狂いそうだった。
「あひゃぁぁあはっははははっははっはっは!!! じぬぅぅぅぅぅぅ!!! やべでぇぇえっへっへっへっへっへっへっへ~!!」
「一本ずつ、丁寧にやらないとダメだからね? 沙希ちゃん。よ~く、体で覚えておくんだぞぅ?」
 いいながら、歯磨きマンは、歯ブラシの歯先を沙希の右足人差し指の裏へと回す。
「いひぃぃぃぃぃぃい!!? あひぃぃぃ指が攣るぅぅぅうう!!! 全部なんて無理ひぃぃっぃいいっひっひひひひひひひひひひひひひ!!! だずけでぇぇぇえっへっへっへっへっへっへっへっへ~~!!!」
 じょりじょりと足の皮膚のこすれる音が響き続ける。
 歯ブラシが順に足の指と指の間を移動していくごとに、くすぐったさが増してくるような気がした。
「ひぎぃぃぃいいいっ……ひぃぃっひっひひいひっひ!! あひゃぁあぁ……!!」
 だんだん息を吐くのさえ苦しくなってくる。
 右足の小指まで歯ブラシがきたところで、沙希は失禁して気を失ってしまった。

・・・

「――いっ!!?」
 沙希はがばっと体を起こして、周囲を見渡した。
 口元に涎が付いていた。
 いつのまにか眠ってしまったようだ。
 日が沈んで、あたりは暗くなっていた。
「ゆ、……夢?」
 自身の服は乱れていないし、靴も靴下もきちんとはいたままだ。
 歯磨きマンと名乗る謎の人物に、全身を歯ブラシでくすぐられる夢……。
 思い出しただけで体中がむずむずした。
 最悪の夢だった。笑い地獄の中、いくら助けを求めても誰も助けてくれない……。
 沙希は立ち上がり、スカートに付いた土埃を手で払う。
 足元にくしゃくしゃになった歯科検診結果通知表が落ちていた。拾い上げてにらみつけた。はっきりと記された「う歯」の文字。
 沙希は深々とため息をつくと、家へと足を向けた。
 帰りが遅くなったせいで、母親の雷は免れ得ない。
 憂鬱だ。
 さっきまでなら、虫歯の言い訳だけで済んだのに。……
 どっちも自業自得だと、沙希は自分自身に言い聞かせた。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 チャットルームにて、他人様の発言「虫歯発見するとめっちゃテンション下がる」を勝手にお題にしたてて書いたもの。













KTR彼女

「ごめん、ユーキ。私の方から告ったのに……」

 学校の帰り道。
 交際中のユリから突然別れ話を切り出された僕は、頭が真っ白になった。

 彼女とは付き合って二年。
 交際する前からも家が近所でよく遊ぶ仲だった。
 気弱でいじめられっ子だった僕を、ユリはよくかばってくれていた。
 ユリは僕よりなんでもよくできた。
 勉強、スポーツはもちろん、口だって達者だし、大人の扱いも上手い。
 僕が中学校のテストで赤点を取ってしまったとき、ユリはつきっきりで勉強を教えてくれた。
 僕は飲み込みが悪かった。なんども赤点を取ってしまう僕のために、ユリは毎日勉強を教えに来てくれた。ユリにいつまでも迷惑をかけるのが申し訳なくて、そのとき志望していた進学校への受験勉強を断念しそうになった。
 そんなとき、
「迷惑なわけないじゃん! ユーキがその高校に行きたいって言うから、私だってがんばったんだから! ユーキと、ずっと一緒にいたいから! それなのに……、なんで迷惑とか、そんなこと……」
 ユリは目に涙を浮かべていた。強気な彼女の泣いているところをはじめて見た。
 僕はそのときはじめて、ユリの気持ちを知った。
 ユリが僕のお節介を焼いてくれるのは、僕のことを好いていてくれたからだった。
 僕だって、ユリのことが好きだった。けれど、ユリに僕は見合わないと思っていたのだ。
 ユリから告白をうけて、僕とユリは交際をはじめた。
 それから僕は奮起した。飲み込みが悪いなりに勉強のしかたを考えて、ユリの力も借りながら、なんとか志望校に合格することができた。
 一般入試合格発表の日、ユリは推薦で早々合格が決まっていたのに、わざわざ僕のために発表会場まできてくれた。ユリが僕の受験番号を見つけてくれて、泣いて喜んでくれた。その日、僕とユリは、帰り道、生まれてはじめてのキスをした。

 僕は、ユリに甘えすぎていたのかもしれない……。

 目の前で申し訳なさそうに目を伏せる彼女を見ているとそう思う。
 高校の制服姿のユリ。ショートカットで整った顔立ち。最近また少し発育が良くなったように見える。

 高校に入ってから、デートでも、勉強でも、ユリにリードしてもらってばかりだった。
 僕はユリと一緒にいられるだけで楽しかった。
 けれど、ときおり物足りなさそうな顔をするユリは、僕にもっと求めていたのかもしれない。
 コミュニケーション能力? 積極性? 腕っ節? 負けん気? ……全部、ユリにはあって僕にないものだった。

 やっぱり、僕じゃ、ユリに見合わなかった。
 ユリにはきっと、もっとふさわしい人がいるはず……。
 むしろ、いままで僕に付き合ってくれただけでも感謝したい。

 僕は気持ちに割り切りをつけて、彼女の申し出を受けた。

 別れ際に手を振るユリは、寂しそうに微笑んでいた。
 僕はただ「いままでありがとう」と言った。彼女は、なにか言いたそうに口を開きかけて、やめた。
 僕は最後の最後まで、彼女の求めることがわからなかった。こんなときに、他になんて言ってあげればいいのかわからなかった。ユリの気持ちがわからない以上、僕は彼氏失格だ。フラれて当然だと思った。


 心にぽっかりと穴があいたような気分だった。
 帰宅すると、自分宛に荷物が届いていると母親が教えてくれた。
 小脇に抱えられる程度のダンボール箱。母親は「最近はインターネットでなんでも買えて便利ねぇ」と笑っていた。
 見慣れたアマゾンの箱だった。確かに、ときどき教材やCDの購入で利用してはいたが、最近何かを注文した覚えはなかった。
 自室に持ち帰って開封する。
 すると、確かに箱はアマゾンのものだったが、注文書の類いは入っていない。白いラベルのDVDが7枚ほど詰まっていた。ラベルには通し番号しか書かれていない。
 よくわからない。
 よくわからないけど、見てみよう……。ユリと別れて、気分が落ち込んでいたせいかもしれない。僕は、本当になんとなくという気持ちで、1番のDVDを、プレイヤーにセットして再生してみた。

「……え」

 映し出されたのは僕とユリの姿だった。二人とも制服姿で、学校からの帰り道のようだ。
 手撮りらしく画面がぶれぶれだ。
 ゆっくり、ゆっくりと、僕とユリの背中を追うように画面が移動していく。
 身に覚えのない映像……。
 いつの間に? 誰が? なんのために?
 映し出された自分とユリの姿を見ていると、急に寒気がした。
 ノーカットの無編集映像が延々と続く。
 しばらく歩いて、僕とユリは立ち止まる。いつも分かれる十字路だった。今日、僕がユリに別れを告げられた十字路だった。
 そのとき、雑音に混じって、ユリの声が聞こえた。
「じゃあ明日、11時に駅前で。遅れないでよ!」
 僕の声は小さすぎて聞こえない。
 ユリの言葉でわかった。これは先週末の映像だ。週末にデートの約束をしていた。テスト期間でしばらく一緒に遊べなかったから、ひさしぶりのデートだった。ユリが珍しくはしゃいでいたのを覚えていた。……それなのに、デート当日、突然ユリの方からドタキャンされて――……。
 背中に気持ちの悪い汗が流れた。
 ……ユリに、なにかあった?
 画面の中で分かれる僕とユリ。画面は去った僕ではなく、ユリの背中を追っていた。
 ユリは軽くスキップしている。
 突然、複数の足音がして、ユリの背中へ向かう画面が速くなった。
 ユリが気配に気づいたらしい、ばっと振り返ったところで、画面はブラックアウトした。彼女のびっくりしたような表情が僕の目に焼き付いていた。

 そこで1番のDVDは終わっていた。
 僕はすぐに、2番のDVDを手に取った。衝動的だった。乱暴にDVDを入れ替えて、再生ボタンへ指をのばす。
 この先、見てはいけないような気がした。見てしまうと、もう後戻りができなくなるような気がした。ユリとの大切な思い出がすべて穢れてしまうような予感がした。見なければよかった。知らなければよかった。後悔しか残らないだろうことは、自分でもよく理解していた。生理的な嫌悪感のせいで、心臓がバクバクと高鳴った。……それでも僕は、再生ボタンを押さずにはいられなかった。

 ぶれぶれの画面に映し出されたユリの姿。
 制服のまま、ベッドの上で仰向けに寝かされている。
 ユリは眠っているようだ。小さく胸が上下している。
 カメラが寄り、顔のアップ、胸元、脚まで舐めまわすように映し出される。

 僕は、嫌悪感で吐き気を催した。

 画面外から、太い腕が出てきた。節くれ立った指と、濃い腕毛。男のものだ。カメラを回している者と、別に仲間がいるらしい。
 男の手が、ユリの足を掴んで軽く持ち上げる。スカートの中の薄桃色の下着が垣間見えた。
 ユリは、すーすーと寝息を立てている。
 男の手は、ユリの穿いていた紺色のハイソックスに指をかけて、ゆっくりと脱がしはじめた。
 ユリは、身じろぎする様子もない。
 露わになる、ユリの白いふくらはぎ、くるぶし……。
 すぽっと、ソックスを脱がせると、ユリの素足が震動でぶるりとくねった。
 画面一杯に映し出されるユリの素足。細い指、綺麗なアーチ。親指よりも人差し指の方が長いために、足全体の輪郭が銛のように見える。紺色のソックスを一日中穿き続けていたためか、足の裏の皺や、指の間に、うっすら紺色の毛が挟まっている。

 夏場にたまに見る程度だった。こんなに間近で見る機会なんて、いままでになかった……。

 画面外から、ぬっと男の横顔が現れる。知らない男だ。メガネをかけて太っている。荒い息とにやけ顔。見ているだけで嫌悪感を抱いた。
 すると突然、男は自身の顔をユリの足の裏へ押しつけた。
 そのまま、すーすーと深呼吸する男。

 僕は、見るに堪えず、一瞬顔を背けてしまう。

 再び見直すと、男はユリの足の指の付け根に、鼻をこすりつけていた。
 ユリの足の指がぴくぴくと動いた。
 ユリの表情は、やや眉間に皺が寄り、くすぐったそうだ。

 男がユリの足の臭いを嗅ぐ映像は、数分間続いた。
 ユリのもう片方のソックスも脱がせると、今度はカメラが上半身に寄る。
 男は、ユリのシャツのボタンへ手をかけた。
 ひとつひとつ、焦らすようにボタンを外していく。

 僕は、思わず顔をしかめる。

 ユリの胸に、薄桃色の下着が見えた。
 フリルのついた、かわいらしくもあり上品なデザインだった。

 十数年の付き合いの中で、ユリの下着なんて、見たことがない。それをこんな男に晒されて……。

 男は、ユリのシャツからスカートまで、ゆっくりゆっくりと脱がしていく。
 10分以上かけて、ユリは下着姿にされてしまった。

 ベッドの傍に乱雑に放り捨てられたユリの衣類……。

 ユリは薬でも嗅がされているのかまったく起きる気配がない。

 ベッドで仰向けに寝かされる下着姿のユリ。
 そんなユリの周りに、画面外からまた別の男が近づいてきた。三人、四人。見知った顔はない。

「……や、やめて」

 もう手遅れであることがわかっていながら、僕は思わずつぶやていた。喉がからからに渇いていて、声がかすれた。

 男達の手にはロープが握られていた。
 彼らの腕が、ユリに伸びていくところで、画面がブラックアウトした。

 2番のDVDが終わった。……
 見たくない。もうこれ以上見たくない。そう体中が嫌悪感を示しているのに、やめることはできなかった。
 心臓の高鳴りが収まらない。

 3番のDVDを再生すると、いきなりの全身が映し出された。
 先ほどまでの手撮り映像ではなく、天井からの固定カメラの映像のようだった。
 ベッドの上で仰向けに横たわった下着姿のユリを見下ろすような構図。
 ユリは両手両足をまっすぐ上下にのばして、アルファベットのIの字のような形になっている。
 手首と足首をロープで縛って固定されていた。

「……ん、んぅ」

 画面の中のユリが、うっすらと目を開けた。2番のDVDからは少し時間が経っているようだ。ユリが自然に目覚めるまで、編集されたらしい。

「え……」

 ユリは目をしばたたいて、一瞬キョトンとした表情になる。
 そして見る見る顔を紅潮させた。

「な、なにこれっ!!? どこっ!? なんで私っ、はだ……っ!! だれかぁっ!」

 ユリはギシギシとロープをきしませてもがきながら叫んでいた。
 かなりの恐怖だったのだろう。
 パニックに陥ったユリは、金切り声を上げている。

 いつも強気で、余裕のあるユリが、こんなに乱れて……。

 しばらくして、ユリははっと、画面の外の何かに気づいた様子。

「だ、誰!? あんたたち……!! 私をここに連れてきたの……! なにっ……えっ!? 来ないで!!」

 画面の四方から六人の男が現れ、ユリの周囲を取り囲む。
 さっきユリの足の臭いを嗅いでいた男や、ロープを持っていた男もいた。

「やだっ!! なにするつもりなのっ!!! やめなさいっ!」

 ユリは声を荒らげる。必死に強気を装っているが、涙目になっている。
 男達は、ユリの言葉には反応せず、ただ「うひひ」と気味の悪い笑いを漏らしている。

 僕は、いよいよ体中が熱くなった。
 心臓が高鳴りすぎて、胸が痛かった。
 がちがちと歯が鳴って、左手の親指を噛んだ。

 ……彼女が、レイプ、される。

 そう覚悟を決めた矢先、

「きゃっ……はっ」

 ユリは笑い声を上げた。
 男達の一二本の手が、ユリの体をくすぐりはじめたのだ。

「は、はっ!!? なっ、やめっ、んはぁあははっ!!? やだぁぁ!!!」

 ユリは、びくびくと体を震わせて、頭を左右に激しく振った。
 その表情は嫌悪感に歪んでいる。
 男達は、無言のままにやにやと嫌らしい笑いを浮かべ、ユリの素肌に指を這わせていた。
 二人が腋とアバラ、二人が脇腹と太もも、二人が膝と足の裏である。

「やめっ……!!! やだぁぁはははははっ!! こんなのっ、なんでぇぇ~~~あはははははははははははは!!!」

 しばらくは笑い声をごまかすように声を絞っていたユリだったが、ものの数秒で本格的に笑い出してしまった。
 眉間に皺を寄せたまま、だらしなく大口を開けて笑う下着姿のユリ。波打つように体を震わせている。
 男達はこちょこちょとユリの全身をくすぐり続けている。

 なんだ、これは……?

 僕は唖然とした。
 好きだった女性が、目の前で、大勢の男達にくすぐられている。
 まったく予想外の光景……。

「嫌ぁあぁあっはっはっはっはっはっははっは!!! やめてぇぇ~~~!!!」

 ユリの白い肌に、男達のごつい指が食い込む。
 両腕両脚をまっすぐに伸ばしたまま身動きの取れないユリにとっては、かなり強烈な刺激に違いない。

「やぁあぁ~~っはっはっはっはっはは!! なんでぇぇ~~~なにが目的なのおお~~あはははははははははは!!!」

 目に涙を浮かべ、ユリは叫んだ。
 可愛い顔をくしゃくしゃにゆがめ、涙を流し、口元から涎を垂らしながら……。

 画面を見ている僕にも、男達の目的がまったくわからなかった。
 よってたかって身動きの取れない女の子をくすぐって、なにがしたいのか……。

「やぁあぁあはっはっはっはっはっはは!!! ひぎゃぁあああははあはははは~~!!!」

 ユリの笑い声が徐々に激しくなっていく。
 体中がびくびくと悶えて、まるで陸地に上げた魚のようだった。

 苦しそうに笑い続けるユリを見ていると、胸が苦しくなった。
 好きな女の子が、まったく見ず知らずの男の手で、大笑いさせられている……。僕の頭は、その事実を受け入れることに強烈な拒否反応を示した。

 なんでこんな奴らに、ユリは笑わされているんだ……。

 ユリの笑い声が耳に残る。
 彼女の悲痛な笑い声を聞けば聞くほど、自分でも訳の分からない感情に押しつぶされそうになった。

 薄ら笑いを浮かべてユリをくすぐる男達。
 腋から足の裏まで、全身をくすぐられて、下品な笑い声を上げるユリ。

 そんな映像が一時間ほど続いたところで、画面がブラックアウトした。

 4番のDVDは、自然と手に取っていた。
 僕は、……いったい、なにをしているんだ? いったい、なにを見ているんだ? いったい、なにを、期待しているんだ?
 番号が進むにつれて、どんどんユリがひどい目に遭わされているというのに、……僕は、なにを楽しみにしているんだ?

 僕は、自分自身に激しい嫌悪感を抱く。

 涙が出た。
 認めたくなかった。
 僕は、ユリが、他の男達に弄ばれる姿を見て、欲情していたのだ。

 意識した途端に、僕の陰茎は激しく勃起した。
 自分の体は、ユリが次になにをされるのか、期待してしまっている……。

 サイテーだ……。

 僕は股間を殴りつけながら、4番のDVDを再生した。

「をほっ!? うほほほほほほっ!!!? いひゃぁあぁあ!!!?」

 いきなり画面いっぱいにユリの笑い顔が映し出され、びっくりした。
 ユリは目を見開いて、舌を出して笑っている。
 可愛い顔立ちが見るも無惨。
 一瞬誰かわからなくなるぐらい、醜く歪んでいる。
 長年の付き合いの中で、こんな表情見たことがなかった。

 いったいどこをどんな風にくすぐられているのか……。

 カメラが次第にズームアウトしていく。
 すると、どうやら一人の男がユリに馬乗りになって、アバラから腋にかけてくすぐっているようだった。

 男の手をよく見ると、ゴム手袋がはめられている。
 ゴム手袋越しにくすぐられると、そんなにくすぐったいものなのか。ユリは、乳房を激しく震わせながら、笑い狂っている。

「あひっやひゃっひゃっひゃははひははははははっ!!! もうだめっ!!! だめぇええああはははははははは!!! いいひひひひひひ、いい加減っ!!! んひひひ、なにが目的か教えてよあおおあおおあはははははひゃひゃひゃひゃひゃ~~~!!!!」

 ユリは髪の毛を大きく振り乱して叫ぶ。
 すでに一時間以上くすぐられ続けているはずだ。
 それなのに、まだ男達は、ユリの言葉を無視し続けているのか……。

 ユリの素肌を男の指がこすり上げるごに、きゅっきゅと音を立てている。

「ひやぁあああははははははははっ!!! ひぃぃ~~っひひひっひっひひっひ、やめてぇぇえええひひひひひひひひひひ!!!」

 ガクガクと首を上下に揺らして笑うユリ。
 ユリの泣き叫ぶ姿に、僕は見入ってしまった。

 5枚目のDVDは、力なく涙を流すユリの表情から始まった。

「も、もう……げほっ、いい加減にしてぇ……」

 笑いすぎて息が上がっている様子。首回りや額にもじっとりと汗がにじんでいた。

 カメラがゆっくりと移動していく。
 胸、おなか、太もも……。
 ユリの足元、足の裏がアップになったところで画面が止まった。

「おねが……、げほっ、もう、くすぐられたくないぃ」

 ユリの泣き声。
 こんな弱気なユリの姿は新鮮だった。

 画面外から現れる男達の腕。
 彼らの手には、櫛やら耳かきが握られていた。

 画面の隅にユリの表情のワイプが出現したところで、男達のくすぐりが再開された。

「いぎぃぃいいいいぃぃっ!!? いやぁぁあぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは~~!!!」

 右足の裏はぐしぐしと櫛で激しくくすぐられ、左足の裏は耳かきと手でくすぐられている。
 びくびくともがく足の指。
 くねくねとよじれる足。
 ユリはびたんびたんとIの字に拘束された体をベッドに打ち付けながら笑っている。

「やめへぇぇぇえっへっっへへっっへ!!! くすぐったいぃぃひひひひひひひひひひひっ!!! もうやだぁぁぁあ~~っっはっはっはっひゃっひゃっひゃひゃひひひっひ!!」

 ユリは、ときおり咳き込みながら、泣き叫ぶ。

 わけもわからず、ただくすぐられ続ける数時間。
 ユリの顔は汗と涙と涎でぐしゃぐしゃで、じゅるじゅると下品に鼻水を鳴らしている。

 僕は、さっき別れたばかりのユリが、こんな壮絶な経験をしていたという事実が信じられなかった。
 ユリの変化が、まったくわからなかった……。
 僕は、それにもショックを受けた。

「うへぇ……もぅ……、いやぁ……」

 しばらくくすぐられたユリは、100均で売っているような足指セパレーターを足にはめられた。
 足の指が左右に大きく広げられて固定されると、土踏まずがひくひくと動いた。
 涙を流し、弱音を吐くユリ。
 そんなユリを、男達は再び容赦なくくすぐりはじめる。

「ひやぁあああぁあはははがあああぁぁぁあぁぁぁ!! あぁぁぁああ~~ひゃひひひひひひひひひがぁあぁぁぁあ!!?」

 がしがし、ぐしぐし。
 数十本の指が、ユリの足の裏に這い回る。
 足指が動かせない状態でくすぐられるのはよほどの刺激なのか、ユリは目をひん剥いて笑っている。

 もう何時間も、断続的にくすぐられているユリ。
 全身汗でびっしょり。彼女の体力は限界のように見えた。

 6番のDVDは、一人部屋に放置されたらしいユリの泣き顔からはじまった。

「もう……やだぁ……えぐ、誰かあ……、帰して……」

 力なく天井へ向かって嘆くユリ。普段の強気な表情はない。
 彼女の体はほてったように赤かった。

 しばらくして、ひとり、男が画面外から現れる。
 ユリの足の臭いを嗅いでいた男だった。

「……な、なんで、こんなことするのぉ……」

 ユリは男に向かって言った。声は枯れている。
 すると、少なくともDVDの中でははじめて、男が口を開いた。

「ユリちゃん、そろそろ体がくすぐって欲しくなってきたんじゃないかな?」

 僕には男の言っていることが理解できなかった。

「……そんなこと、……あるわけないじゃない」

 ユリは顔を真っ赤にして首を振った。
 よく見ると、ユリの体がぴくぴくと痙攣しているようだった。

「ユリちゃん。嘘はよくないなあ、体はうずいて仕方が無いくせに」

 男はそう言って、ユリの拘束されたベッドの上部へ回り込む。
 ユリの顔を上から覗き込むような態勢で、両手わきわきさせながらユリの腋の方へ。

 それを見たユリは、途端に暴れ出す。

「……――や、やあっ!! だめぇ!! もうくすぐらないでっ!!! これ以上やられたら――」

「これ以上やられたらなんだって?」

 男はそう言って、体をよじって暴れるユリの腋に指を差し込んだ。

「ぃぎゃぁああああああああああああっ!!?」

 ユリはびくんと体を波打たせ、奇声を発した。

 男は、ユリの汗ばんだ腋のくぼみを指先でほじくるようにくすぐった。

「ぐやぁあぁはっははっはっははっははっは!!!? だめぇぇええいひひひひひひひひひひっ、だめだってぇぇぇえああひぇひぇえへぇへひゃひゃへぇひぇひひひひひ~~!!!!」

 ユリは首をぶんぶんと左右に振って笑いもがく。

「ほらほら。ユリちゃん体は正直じゃないか。もう乳首が立ってる。興奮しちゃってるんだろ?」

 男の言うように、ユリの胸は下着越しにもぷっくらと突起が見えた。

「ひゃぁあああっはっはっはっはっはっはっは!!! そんなごどおぉおほほほほほほ、そんなことないぃぃひひひひひひひひひひひ!!!」

 ユリは激しく首を振る。

「嘘つくなら、もっと強くしてあげるよ」

 男は茶化すように良いながら、ぐりぐり親指をユリの腋のくぼみへねじこんだ。

「いぃぃぃ~~っひひひひひっひひひひ!!!? ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!」

「ほらほらすごいすごい」

 ユリの暴れぶりが半端なかった。
 びたんびたんと背中をベッドに打ち付け、激しくIの字に引き伸ばされた体をよじる。
 ユリの細くてきれいな体がちぎれそうなほどだ。

「ユリちゃんは腋の下のこのあたりゴリゴリされるのが好きだよね~?」

「ちがうあぁあうあうあいひひひひひひひひひひひひっ!!!? あぎぃぃいいあはははははははははははははは!!!」

 男の挑発。
 ユリの反発。

 男の方は完全に遊んでいる。

 ユリが、訳の分からない男に弄ばれる光景。

 僕は、ただ食い入るようにその映像に見入っていた。

 男は、これまでの数時間でユリの弱点を熟知しているようだった。
 わざと口に出して、ユリを挑発している様子。
 腋だけでなく、

「脇腹は軽く爪立てた方が好きだよね? ユリちゃん」

 男はユリの横っ腹に爪を立てて上下させた。

「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!? ひぃぃぃいいいっひっひひっひっひっひ~~!!!」

 ユリはお腹をひくひくさせながら悶えた。

「足は指の付け根がいいんだよねぇ?」

 男はユリの足の指を押さえつけて反らし、親指の付け根あたりをカリカリとくすぐった。

「きぃぃぃいい~~ひひひひひひひひひひひひひひひっ!!! そこだめぇぁぁあああははははははははははははははは~~!!!」

 ユリは、各部位をくすぐられるごとに激しい反応を見せた。
 男楽しむように、ユリの体に指を這わせ続けた。

 7番のDVDでは、ユリは再び、大勢の男達に全身をくすぐられていた。

「いひゃぁぁあががあはははははははははははっ!!!! ぎぃひひへぇひぃぇへぃえひぃええはひひひひっひひひ!!!」

 舌を出し、激しく笑うユリに、

「ユリちゃん、下品なアヘ顔もかわいいねぇ。親が見たら泣いちゃうレベル」
「涎垂らして喜んで、ホント変態さん」
「もっとやって欲しいんだろ? ほれほれ言ってみな?」

 男達は嘲笑する。

「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!! ひぎぃぃいいいいはひっひひっひっひっひっひ~~!!」

 ユリはただ大口を開けて笑うだけで、否定も肯定もしなくなっていた。

 みだらに涎を垂らして笑い続けるユリ。目は焦点が合っていない。
 顔のアップになるとよくわかった。
 恍惚の表情。
 もう、僕の知っているユリではなくなっていた。

 ……いったい何時間、見続けたのだろう。
 僕は画面の前でため息をつく。
 周囲には使用済みティッシュが散乱していた。

 僕は、もう、なにもかもあきらめていた。

「……あ、ユーキ。ごめん。今日、急に体調悪くなっちゃったから、……うん。うん。ありがと。またね」
 7番のDVDの最後のチャプター。ユリはベッドに腰掛けて電話をかけていた。
 私服姿だ。別の日らしい。
 家に帰してもらえたのだろうか。
 電話を切ったユリは、乱暴に電話を放り捨てる。自ら衣類を脱ぎ去り、生まれたままの姿になった。
 彼女がベッドに仰向けに寝そべると、複数の腕が画面外から現れた。
 そこで唐突にブラックアウトする。

 僕は「え?」と思わず声を漏らした。
 下腹部のうずく感覚が気持ち悪い。

 しばらくすると、画面上にURLが表示された。
 すぐにPCを立ち上げ、検索をかける。
 有料アダルト動画サイトのURLだった。
 『ユリ 8』というタイトルの動画を見つけたので、僕は迷わず課金した。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 ピクシブのマイピク限定で公開していたKTR小説です。













全国高校生くすぐり選手権大会 実況原稿

さあ、いよいよ始まりました。
第一回全国高校生くすぐり選手権大会。
全国から勝ち上がった52校によるトーナメント戦。
頂に立つのは一体どの高校なのか!

一回戦第一試合の模様をお届けします。
団体戦は
各校5名の選手が1人ずつ戦う勝ち抜き戦。
勝ち数、勝った人数の多いチームの勝ちになります。
試合時間は6分。
全日本くすぐり連盟審判規定によって試合が行われます。

一回戦第一試合は高知県代表足摺(アシズリ)高校と長崎県代表稲佐山(イナサヤマ)高校の対戦です。
清潔感のある水色のセーラー服を着ているのが足摺高校。
先鋒は、3年生で部長の岡林舞。
メガネを外し、ゆっくりとステージに上がりました。
落ち着いた表情、高校ではクラス委員を務めています。
対する稲佐山高校。開襟シャツにニットベストを組み合わせたカジュアルな制服が特徴です。
先鋒の岩永千尋は2年生。
実家は道場を経営していて、岩永自身高い身体能力を秘めています。
地区予選では、小柄な体躯を駆使したすばやい身のこなしで、全戦全勝。
自信に満ちた表情。
ポイントゲッターとしての活躍に期待が集まっています。

両選手向かい合い――
さあ、試合が始まりました!
先陣を切ったのは稲佐山高校岩永。
足摺高校岡林は、岩永のスピードに追いつけない!
岩永、岡林の後ろを取る。脇腹の攻撃。
岡林の表情が緩んだ。
岩永、すばやく後退。岡林の反撃を許しません。
主審により「吹きだし」が取られました。
開始10秒。まずは岩永の先制1ポイントです!
先手必勝の岩永流!
両者にらみ合い、再び岩永が駆け出した。
軽やかなステップ。
勢いに呑まれたか、岡林、動けない。
――と、岡林転倒。岩永の渾身の体当たりにバランスを崩した。
岩永、岡林の背中に密着、寝技に持ち込んだ!
そのまま岡林の急所、腋の下へ!
これぞ岩永流。見事な指さばきで、岡林の鉄仮面を剥いだ!
身を捩って笑う岡林。
攻撃を緩めない岩永。
主審から「哄笑」のジャッジがでました。
このまま10カウント取られると、岩永の勝利が決定します。
もがく岡林。必死に腕を振り回すが、岩永には届かない。
岩永勝利を確信したか、笑みがこぼれます。
あっと! ここで、岡林。自慢の長い脚を岩永の股へ絡め。身体をツイスト!
急な重心移動。岩永。対応できません。背中をついてしまった。
岡林。岩永の左足を持って――これは! 四の字固めだ!
見事な手際。
岩永、左スネの痛みに悲鳴を上げます。余裕の笑みは消え失せ、苦悶が浮かぶ!
この体勢になってしまえば、もうやりたい放題。
岡林。岩永のソックスを奪い、両足の裏を同時に攻める!
甲高い笑い声をあげる岩永。
主審から「哄笑」のジャッジ。
岩永。顔をぐしゃりと歪め、泣いているのか笑っているのかわからない表情。
痛みとくすぐったさで、感覚麻痺を起こしているのか。
断続的に、嗚咽を漏らしています。
悲痛な笑い声が会場に響き渡る中、決まったぁ! 「哄笑」10カウントで、岡林の勝利!

先鋒戦は、足摺高校が制しました。
4分2秒です。
足摺高校にとって、これは大きなアドヴァンテージと言ってよいでしょう。
この勢いを次鋒戦でも生かしたいところ。
一方の稲佐山高校は、ポイントゲッター岩永のカウント負け。
これは大きな誤算かもしれません。
このハンデを、次鋒戦で払拭できるか?

続いて、次鋒戦です。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 2013年頃、こえ部にアップロードしていた実況原稿です^p^
 今更、サービス終了していたことを知りました。このテキストを見つけたのも偶然。

 全国高校生くすぐり選手権大会というネタは、案外膨らませられるかもしれない……。






くすぐり罰制度は悪用された!

 少し前までは、くすぐり罰制度とは無縁の優等生だった。

 それなのに……。

「ひやぁあっはっはっはっはっは!! やめてぇぇっはっはっはっはっは~~!! ゆるひてっ、ごめんなさいぃいいっひっひっひっひ!!!」

 新井寛奈(あらい ひろな)は、四肢をX字に広げた状態でベッドに固定され、8人の生徒らに全身をくすぐられていた。
 学校指定セーラー服とミニスカートに素足という格好である。
 寛奈を取り囲んだ生徒らは、彼女の腋の下、お腹、腿や足の裏など余すところなく指を這わせている。
 あまりのくすぐったさに、端正な顔をくしゃくしゃにゆがめ、大口を開け、目に涙を浮かべて笑う寛奈。
 寛奈は人一倍敏感だった。何度くすぐられても、くすぐったい感覚には慣れることができない。

 寛奈は数ヶ月前にはじめてくすぐり罰を受けて以来、くすぐり罰の常連となっていた。
 寛奈は毎日のように、彼女を妬む生徒たちによって、罠に掛けられるようになってしまったのだ。
 睡眠薬を盛られるのは日常茶飯事。寛奈は強烈な眠気と戦いながら授業に臨むも、結局居眠りでくすぐり罰を受けるハメになる。
 くすぐったがり屋であることが知れてしまったせいで、授業中に脇腹を突然くすぐられることもある。たまらず大声を上げてしまい、授業妨害でくすぐり罰を受けるハメになる。
 教科書や提出するプリントを何者かに隠され、忘れ物をした罰としてくすぐり罰を受けることもある。
 
「あぁぁぁ~~っはっはっはっはっは!!! ホント無理いぃいいっひいひひっひっひっひひっひ~~!!!」

 今回は、いつの間にか机の中に入れられていた携帯電話が授業中に鳴り響いたことによる罰だった。
 寛奈は身に覚えのない携帯電話の存在に当惑したが、担当教師は聞く耳をもたなかった。

「ほ~らほら。いっつも優等生ぶってるからこんな目に遭うのよ~」
「先生のご機嫌取りとかやめな~」
「顔、超ブサイクだよ?」

 寛奈をくすぐる生徒達は好き勝手言う。
 日頃のストレスを発散させているのか、くすぐり方は激しい。

「いや゛あぁあぁああっはっはははははははは!!! いきがっ、あ゛ぁ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 上半身を這い回る数十本の指。
 アバラや腋の下に食い込む指。
 寛奈の身体はびくんびくんとまな板の鯉のように跳ね回っていた。

「いぃぃぃっひっひっひっひっひっひっ!!! 休憩っ、きゅうけいさせてえぇぇえ゛ぇぇえ゛っへっへっへ~~っへっへ!!」

 足の裏をくすぐっている2人の生徒は、櫛や耳かきといった道具まで用いている。
 しゃりしゃりと足の皮のこすれる音が響く。
 寛奈の足の指はくすぐったそうにびくびくと激しく蠢いていた。

 寛奈へのくすぐり罰は、リンチに近かった。
 寛奈は罰を受ける頻度が高すぎて、ほぼくすぐり役、および監視役のメンバーが固定化してしまったのだ。
 くすぐり役の生徒も、監視役の教師も、一様に寛奈のくすぐり悶える姿を見て、楽しんでいる。

 普通ならば倫理上の問題で憚られるような長時間のくすぐり罰に……

「あ゛ぁ~~~はははははは!!? ひゃぁあああははははははははははあぎゃぁぁ!!?」

 ぷしゅっ。

 寛奈は身体を大きく仰け反らせて痙攣した。
 直後、彼女のスカートにじわりと染みが広がっていく。

「うわっ!? 新井、小便漏らしてるじゃん」
「きったねぇ~」

 くすぐり役の生徒達は、なおも寛奈の身体をくすぐり続けながら悪態をつく。

「ひびゃぁああははははははははは!!? おねがぁぁっはっはっはっはっは!!! もうやう゛ぇでぇぇええへへへっへへっへ~!!!」

「漏らしても笑ってるし。せんせー! 新井さん、おしっこ漏らしたんですけど、どうしますー?」

 寛奈の左足をくすぐっていた生徒が監視役の教師に声をかけた。
 教師はとぼけたような表情で首を傾げた。

「うん? そうかー。漏らしちゃったのかー。それはよくないなー。もっと反省させてやらないとなー」

「はーい」

 生徒は寛奈の足の指を掴んで反らし、櫛でがしがし掻き鳴らした。

「ひえぇえええ゛え゛えぇえひぇひぇひぇひぇ!!!? あがぁぁああはははははははははははは!!!」

 しゅっ、しゅっ。

 寛奈の股間で、再び音がする。

「また漏らしてるし」
「くすぐったすぎて気持ちよくなってんじゃないの?」
「うわ、変態。優等生のくせに」

 くすぐる生徒らの悪態に、寛奈はボロボロ涙を流した。

「ひぃぃ~~っひっひっひっひ……やう゛ぇぇぇ、うへっぇえ、ふぇぇええ、いひぇっひぇっひぇっ~~」

「泣いちゃった」
「でも笑ってるし」
「ぶっさいくな顔だなぁ~」

 寛奈が苦しめば苦しむほど、くすぐり役の生徒らの責めは激しくなった。

「あがひゃぁぁああひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!! たすけひぇぇえええっへっへっへっへっへっへっへ~~~!!!」

 その日も寛奈のくすぐり罰は2時間ぶっ通しで続けられた。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 くすぐり罰制度を悪用しようの派生作品です。













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