俺はとにかく焦っていた。
あと30分以内に誰かをくすぐらないと先生に殺されてしまう。
すでに下校時間は過ぎていて、校舎内にいる生徒がまばら。なんとか話を聞いてもらえそうな女子に片っ端から声をかけてみるが、すべて無碍にされた。
「くすぐり? 意味わからない」「くすぐらないと殺されるって……なんてデスゲーム??」
俺の話を信じてくれる女子はひとりもいなかった。
万事休すか。……教室の隅でうなだれていると、
「どうした? なんか悩みあるなら聞こうか?」
クラスメイトの黒川瞳が声をかけてきた。
彼女は、短めの髪の毛を一つに結んでいて、真面目な雰囲気。外見から内気な印象を受けるが、はきはきとモノを言い、芯のしっかりした子だった。
「黒川……、なんとか、俺にくすぐらせてくれないか?」
俺の言葉に、黒川はきょとんとした。
「くすぐる? ……なぜ?」
「あと30分以内に誰かをくすぐらないと、先生に殺されてしまうんだ」
黒川は眉をしかめ、怪訝な表情をしていたが、俺の真に迫った様子を見て、
「……ちょっとだけなら、いいよ」
と、そばの机に座って足を向けてきた。
俺は、黒川の足からゆっくりと上履きを脱がす。一日の学校生活を過ごした足。白いソックスに包まれた黒川の足はしっとりとしていた。
「あまりじろじろ見るな……」
頬を赤らめる黒川をしり目に、俺はするするとソックスを脱がしていく。
露わになった素足。土踏まずのしっかりした健康的な足に見えた。足の人差し指が長く、つまさきが綺麗な三角形をつくっている。
脱がしたソックスを上履きの中に入れ、俺はゆっくりと指を足裏へ這わす。
「くふっ……んっ」
黒川は身をよじって笑いをこらえた。
こんどは爪を立てこそこそとくすぐってみる。
「ひひゃっ……くひひ、ぷふふふ」
反応が良くなった。
指を反らして、付け根や土踏まずを勢いよくひっかく。
「きゃっ!? あはははああははははは!! つよっ……!? それはつよいぃっひひひひひひひひいひ」
あまりに夢中になってくすぐり続けてしまい、俺は黒川に蹴り飛ばされた。
「……少しは手加減しろ」
黒川には怒られてしまったが、おかげで俺は先生に殺されずに済んだ。こんど、黒川にはなにかおごってお礼しなければと思う。
(完)
あと30分以内に誰かをくすぐらないと先生に殺されてしまう。
すでに下校時間は過ぎていて、校舎内にいる生徒がまばら。なんとか話を聞いてもらえそうな女子に片っ端から声をかけてみるが、すべて無碍にされた。
「くすぐり? 意味わからない」「くすぐらないと殺されるって……なんてデスゲーム??」
俺の話を信じてくれる女子はひとりもいなかった。
万事休すか。……教室の隅でうなだれていると、
「どうした? なんか悩みあるなら聞こうか?」
クラスメイトの黒川瞳が声をかけてきた。
彼女は、短めの髪の毛を一つに結んでいて、真面目な雰囲気。外見から内気な印象を受けるが、はきはきとモノを言い、芯のしっかりした子だった。
「黒川……、なんとか、俺にくすぐらせてくれないか?」
俺の言葉に、黒川はきょとんとした。
「くすぐる? ……なぜ?」
「あと30分以内に誰かをくすぐらないと、先生に殺されてしまうんだ」
黒川は眉をしかめ、怪訝な表情をしていたが、俺の真に迫った様子を見て、
「……ちょっとだけなら、いいよ」
と、そばの机に座って足を向けてきた。
俺は、黒川の足からゆっくりと上履きを脱がす。一日の学校生活を過ごした足。白いソックスに包まれた黒川の足はしっとりとしていた。
「あまりじろじろ見るな……」
頬を赤らめる黒川をしり目に、俺はするするとソックスを脱がしていく。
露わになった素足。土踏まずのしっかりした健康的な足に見えた。足の人差し指が長く、つまさきが綺麗な三角形をつくっている。
脱がしたソックスを上履きの中に入れ、俺はゆっくりと指を足裏へ這わす。
「くふっ……んっ」
黒川は身をよじって笑いをこらえた。
こんどは爪を立てこそこそとくすぐってみる。
「ひひゃっ……くひひ、ぷふふふ」
反応が良くなった。
指を反らして、付け根や土踏まずを勢いよくひっかく。
「きゃっ!? あはははああははははは!! つよっ……!? それはつよいぃっひひひひひひひひいひ」
あまりに夢中になってくすぐり続けてしまい、俺は黒川に蹴り飛ばされた。
「……少しは手加減しろ」
黒川には怒られてしまったが、おかげで俺は先生に殺されずに済んだ。こんど、黒川にはなにかおごってお礼しなければと思う。
(完)