くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

単発

くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力 #5

「……ロープマジック、ですか?」
 向かいに座った手品研究会の林さんは不思議そうに聞き返した。
 長い前髪で顔の半分が覆われているため、表情がよくわからない。
 ぼく、斎藤さん、木森さんは放課後になって旧校舎のとある教室を訪れていた。
 斎藤さんの中学時代の後輩が手品をやっているというので、協力を仰ぎに来た。ナワヌケやトリナワなどの技術を、暴れる相手をくすぐるときに使えるだろう、というのだ。
 手品研究会ただ一人の会員である林さくらという女子生徒は、内気で自信なさそうなおどおどとした喋り方で、とても手品を上手くやれるようには見えなかった。
「もしかして、さくらちゃん、やったことない?」と、斎藤さん。
「い、いえ!」と勢いよく首を振る林さん。「だいたいメジャーなトランプマジックをリクエストされることが多いから、びっくりしただけで……」
「たとえば、ここにいる八重ちゃんを一瞬で縛り上げて動けなくして、また一瞬で解除する、とかできる?」
「ああ、そういうのでいいなら……」
 林さんは立ち上がると、まっすぐ木森さんの横について、
「きゃっ!?」
「動けます?」
 一瞬のことでまったくわからなかった。
 椅子に座ったままの木森さんは、両手を体側につけたまま背もたれにロープでぐるぐる巻きに縛り付けられていた。どこからロープを取り出したのかもわからない。
「えっ!? なに? どうやったの?!」
 木森さんは焦ったようにガタガタ椅子を鳴らした。
「手品です」と、林さんは少しばかり誇らしげだ。
 木森さんは指先をクネクネ、首を上下左右にふり動かしながら、自分の状況を確かめようとしている。どうやらまったく身動きが取れない様子。
「ちょっと本当に動けないか試すね?」と斎藤さんは、両手をわきわき。
「待って……、陽菜さん、まさか……」
 慌てふためく木森さんを無視して、斎藤さんは木森さんのおなかをくすぐった。

「いひゃひゃひゃひゃひゃ!? ちょ待ってえぇぇひひひひ!! ほんとに動けないからぁああはははははははは!!」

 木森さんは激しく笑いだす。
 ロープでからだをがんじがらめにされているから、さぞくすぐったいことだろう。

「ほんとにこれくるしぃいっひっひひひっひっひ!! もうわかったでしょおおははっははっははははは!!」

「どうやら本当に動けないようだね」
 斎藤さんは満足そうに頷くと、くすぐっていた指を止めた。
 木森さんはゲホゲホと大きくせき込み「陽菜さん、ひどいですよ……」と涙目になっている。
「動けないの、わかりました?」
 林さんが得意げに言う。いつの間にか斎藤さんの後ろに回っていた。
 斎藤さんは振り返り、
「で、さくらちゃん、これをどうやって――」
 言いながら、視線を戻して絶句した。
 ぼくも林さんの方を見ていて、気づかなかった。
「え?」
 木森さんが驚いたような声を上げた。木森さんを椅子に縛りつけていたロープが完全にほどけていた。
 斎藤さんは、ほどけたロープを手に取り、引っ張ったり自分の手首に巻き付けたりして、強度を確かめている。どう見ても種も仕掛けもない本物のロープだ。
「さくらちゃん、どうやったの?」
「手品です」
 得意げに言う林さん。斎藤さんは、木森さん、ぼくの顔を交互に見て、満足そうに頷く。
「そっか、使えそうだね」


(つづく)











くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力 #4

 木森さんは、すぐに松原あやめを連れてきて来てくれた。
 呼び出す口実は、ソフトテニス部マネージャーの仕事について聞きたいということにしておいた。
 松原さんは、ぼくみたいな男子がいることにかなり緊張した面持ちだったが、斎藤さんが優しく出迎えると安心したようだった。
「立ち話もなんだから、座りなよ」
 斎藤さんはそう言って、机をつなげた台に松原さんをうながす。
 疑いもせず腰を下ろす松原さんの腕と足を、斎藤さんと木森さんで押さえつけた。
「えっ、えっ?」と戸惑うだけの松原さん。斎藤さんが「暴れると危ないから外しておこうか」と、松原さんの眼鏡をはずして教卓の上に置いた。
 木森さんは、いつのまにか松原さんの足から上履きとソックスを脱がしていた。
 ぼくが二人の手際の良さに呆然としていると、
「時間ないから早く!」
 と斎藤さんが急かした。
「や、待っ……」
 と、涙目になる松原さんを無視して、ぼくは、木森さんの押さえつけた松原さんの素足に指をつけた。

「ひぃいん!?」

 びくんとのけぞる松原さんのからだ。
 斎藤さんと木森さんがぐっと押さえつける。
 ぼくは、両手でこちょこちょと松原さんの足の裏をくすぐった。

「やはっ!? あはは……! やめて……っ、なにするのぉ……」

 松原さんは顔をしかめて笑い声を漏らす。
 斎藤さんや木森さんと明らかに違う反応。くすぐりには耐性があるようだった。

「あははっ、やだあぁあ、やめてぇ……、ひひひ……」

 松原さんの足の指がくすぐったそうにくねくね動く。
「足は弱点じゃないみたい」と斎藤さん。
 しかし、松原さんは激しく身をよじろうと暴れていて、押さえつけている斎藤さんと木森さんは大変そうだった。

「松原さん、体重を教えて?」
「やはは……!? やだっ、……言いたくないっ」

 まったく「言いなり」になっていない。
 ぼくは、台の横に移動して、松原さんのわきの下に手を伸ばした。

「きゃあああ!?」

 ぼくの指先が松原さんのわきに触れた途端、彼女のからだがのけぞった。
 木森さんは危うく蹴り飛ばされそうになるのを必死に押さえつける。
 ぼくは、松原さんの両わきのくぼみに指を押し込んでぐりぐりと動かした。

「きゃはっはっはっはっは!! はなしてっぇええ! はなしてぇえぇぇひひぃっひっひっひっひひっひぃぃぃ!!」

 松原さんは絶叫しながらもがく。
 斎藤さんの押さえていた左腕がいったんはずれ、ぼくは一発殴られてしまった。
 斎藤さんは「ごめん、強くて」と額に脂汗を浮かべて松原さんの腕を押さえつける。
 くすぐり続けて1分弱、やっと松原さんの目の奥がとろんとしてきた。
「松原さん、体重は?」
 手を止めて聞くと、
「ご、52キロ……」
 素直に答えてくれた。
 松原さんを「言いなり」にすることは成功したが、押さえつけていた斎藤さんと木森さんの負担が大きかったらしい。
 二人とも息が荒くなっていた。
 今回、くすぐりにもっていくまではスムーズにいけたものの、くすぐりの最中に暴れる子を押さえつける問題が生じた。「くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力」を使いこなすには、まだまだ課題がありそうだった。


(つづく)










くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力 #3

 ぼく、鈴木蓮太郎は、「くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力」を手に入れた。
 能力を使って、昔いじめてきた連中に仕返しをしてやろうと思ったのだが、ひょんなことから、関係のない2人の女子生徒、斎藤陽菜と木森八重を「言いなり」にすることに成功した。
「遠元さんはソフトテニス部で、放課後は忙しそうだよね。休み時間もほとんど誰かしら友達と一緒にいるから、一人で呼び出すのは難しいと思うよ」
 斎藤さんは、ぼくの復讐計画に忌憚の無い意見を述べてくれる。
 昼休み、ぼくと斎藤さんと木森さんは、音楽室横の空き教室で作戦会議をしている。昼休み中はブラスバンド部が音楽室で練習しているから、楽器の音のおかげで話を盗み聞きされづらいという。斎藤さんのアイデアだ。
 どうやらぼくの能力の「言いなり」状態になるということは、ぼくが命令を出さないと動けないようなロボット状態になるというわけではなく、個人としての自主性は残ったままぼくの言葉を違和感なく受け入れてくれる状態になるということのようだった。
「3組にソフトテニス部マネージャーの子がいるから、その子を通せばやりやすいかもです」
 木森さんは上目遣いに言った。
 保健室で彼女をくすぐったときは、きつめの性格の子かと思ったが、「言いなり」にしてからはずいぶんとしおらしい態度になった。
 斎藤さんがまったく変わらない態度なのと対照的だ。「くすぐって笑わせる」という判定についても感じたことだが、ぼくの能力には相手によって個人差があるようだ。
「なんて子?」
「松原あやめって子です。おとなしい系の子で、あんまりクラス内で人とつるまないから、呼び出すのは簡単だと思います」
「いまはどこにいそう?」
「たぶん教室だと思います」
 ぼくが何も言わなくても、斎藤さんと木森さんで勝手に作戦を進めてくれる。とても心強かった。
「鈴木君」と斎藤さんは続けて、「いまからこの場で、松原さん、くすぐりでいい? この部屋、放課後には軽音部の人が入ってきちゃうから、いまがチャンスだよ」
「う、うん。ありがとう……」
 ぼくは、斎藤さんの心強さに圧倒された。


(つづく)









くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力 #2

「……あなたたち、なにしてるの?」
 保健室の奥のベッドから上半身だけを起こした女子生徒が、ひきつった表情を浮かべた。
 やばい。
 ぼくは焦った。
 目撃者、彼女の目の前では、一介の男子生徒がうつ伏せの女子生徒に馬乗りになっている。女子生徒は息荒く、とろんとした表情。いかように誤解されても仕方がない状況だった。
「斎藤さん……」
 ぼくは声を絞り出した。
「あの子を押さえつけて……」
 賭けだった。「くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力」がきちんと機能したのか、確かめるためには命令してみるしかなかった。

「……は?」
 と、声を上げたのは目撃者の女子生徒。
 その刹那、斎藤さんが彼女の背後から両腕を掴み、ベッドに引き倒してしまった。
 ぼくは、自分の股の下から斎藤さんが抜け出した早業に驚いた。
「ちょっ、痛いっ! やめてよ!」
 暴れる女子生徒の腕と肩を押さえつける斎藤さん。
「鈴木君、次はどうするの?」
 斎藤さんは、教室でぼくを気にかけてくれたときと同じような、優しい口調で言った。
 ぼくは「そのまま押さえてて」と言い、ベッドへ。女子生徒の下半身にかかった布団を剥いだ。彼女はワイシャツ姿でリボンは外しており、ミニスカートとニーソックスという姿だった。
「やだ! 変なことしないで! だれか!」
 女子生徒は、叫び、両膝を立ててからだを縮こまらせた。
 ぼくは、ベッドに上がる。女子生徒がキックしてくるので、足首を掴んで引っ張り、その上に腰を下ろした。
 ぼくは彼女の脇腹を指を立てた。
「ひぃんっ」
 と鳴く女子生徒。
 ぼくは、指をこちょこちょ動かし始めた。

「あはっ!? なにっ、ふひぃっひっひっひっひっひやめてぇぇえ!!」

 彼女は首を左右に振って笑い出した。
 はげしく暴れているため、斎藤さんも必死になって押さえているようだ。

「やははは!! ふざけんなっ! やめれぇえぇへへへへへへへ!」

 女子生徒は眉をヘの字に曲げて笑っている。
 くすぐって笑わせたのだから、もう「言いなり」になっていることだろう。
 ぼくは指を止めて、「君の名前を言ってみて」と問うてみた。
 すると女子生徒は息を切らして、
「な、なんで、あんたなんかに言わないといけないの……? 絶対、後で先生に言って、制裁してもらうんだから」
 と反骨精神を露わにした。
「あれ?」と思わず声が出る。
 能力が、効いてない?
 そのとき、
「鈴木君、この子の名前、私が教えようか?」
 斎藤さんが小首をかしげていった。
「え?」
「さっき利用者名簿を見たから、私は学年も組も名前も知ってるんだけど……」少し口をすぼめて、「もう少し、くすぐってみる?」
 ぼくは、斎藤さんの言わんとすることを理解した。
 この女子生徒はまだ「言いなり」になっていない。「言いなり」になったか否かを確認するために名前の情報を使おうというのだ。「言いなり」にするためにどの程度くすぐる必要があるのかも定かでない。
 ぼくが斎藤さんの顔を見ると、コクリと頷いて見せてくれた。
 そういえば、斎藤さんをくすぐった後、彼女はとろんと呆けたような顔になっていた。ああいう表情になるまでくすぐらないと能力の判定にならないということなのだろうか?
 能力がうまく発動したときと発動していないときの判断基準が欲しかった。
 ぼくはからだをねじり、彼女のニーソックスを穿いた足の裏に触れた。
「ひぃん!?」と女子生徒のからだがエビぞりに緊張した。
 そのままこちょこちょと指を動かすと、

「いひゃっひゃっひゃひゃ!?」

 先ほどとは段違いの反応。

「いやぁあひゃひゃひゃひゃ!! そこは触らないでぇえええひぃいひひひっひひひひひひふひゃぁぁあ!!」

 なるほど。足の裏をくすぐられるのが弱点らしい。
 ぼくは、右足のニーソックスを引き抜き、素足にした足の裏、指の股などをくすぐった。

「あぎゃはあひゃはひゃっひゃっひゃひゃ!! ぴぃいひひひひひひひひひひ!! やらやらぁぁあははははははははは!」

 ぼくはくすぐりながら彼女の顔を見た。
 目の奥がとろんとしている。
 指を止めて、「君のクラスと名前は?」と聞いてみた。
「3組の木森八重、です……」
 女子生徒は息を切らして答えた。
 間違いない。
 能力が上手く発動したかどうかは、目の奥がとろんとしたかどうかで判断することができるのだ。
「きょうのこと、誰にも言わないでくれる?」
 ぼくのことばに、木森さんは大きく頷いた。




(つづく)






くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力 #1

 ぼくの名前は鈴木蓮太郎。スペックは、高2、帰宅部、身長170、体重70弱、そこそこのブサメンで成績は中の下、早生まれ、小学校時代にいじめを受け中学は区域外就学。高校で当時の加害者数名と再会したが、まるで昔のことがなかったかのように接されて困惑した。趣味はスマホ。ダラダラと動画を見ていると、いつの間にか日付が変わっていることもしばしば。スマホを触るなら先に課題を済ませてからと、毎回反省するのだが、どうしても帰宅後すぐに動画を見始めてしまう。
 ある日、動画広告で変なサイトに飛ばされた。
 何かに憑かれたようにページをタップ。なんやかんやで個人情報を入力させられてしまった。
 結果、「くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力」を手に入れた。
 よくわからなかったが、「言いなりにする」というワードに魅力を感じた。
 ぼくは、能力を使って小学生時代にいじめてきた連中に仕返しすることにした。

 遠元希子は、いわゆるギャル系の女の子だった。小学生時代から髪の毛を染め、いつも派手な服装で学校にきていて、ぼくが近づくと「クサイ」「近づくな」と恫喝してきたのを覚えている。
 昔と比べて性格がかなり丸くなったらしく、友達も多いようだった。
 今年はじめて同じクラスになって、席替えで隣の席になったときは、「鈴木君、だっけ? 話すの初めてだったよね。よろしく」と、まるで初対面のような雰囲気で気さくに話しかけられた。ぼくは困惑してろくに挨拶できなかった。
 彼女はときたま授業中に「あの黒板の字、なんて書いてるの?」と聞いてくる。目が悪いらしく、黒板に字を細かく書かれると読めないらしい。どういうつもりでぼくに話しかけてくるのかわからなかった。ぼくは「あ……、これ……」と板書したノートを見せるので精いっぱいだった。

 ぼくは、遠元希子を言いなりにして、当時のことを謝らせようと考えた。
「遠元さん」
 授業が終わったタイミングで、ぼくは隣の席の彼女に声をかけた。
 彼女は、はじめてぼくに話しかけられたことに驚いたのか、きょとんとしている。
「放課後、西体育館の裏に来てくれない?」ぼくがどもりながら言うと、遠元さんは口を半開きにしたまま数秒フリーズ。
 やっと口を開くと、「え、なんで?」とかなり引き気味の表情で言った。
 ぼくは、予想外の質問返しに焦った。
 でまかせに、「手伝ってほしいことがある」といった。
 遠元さんは困ったように苦笑いして、
「いや、あたし、部活あるし……」さらに言いにくそうに「鈴木君と、そんなに仲いいわけでもないし」と視線を横へ流した。
 すると、前の方の席から
「希子、なにやってんのー? 次、移動教室だよー」
 と声がかかり、遠元さんは行ってしまう。
「あ……」
 ぼくは声にならない声を上げ、絶望した。
 たしかに「くすぐって笑わせた相手を言いなりにする能力」は便利だが、その能力を発動させるまでの過程、くすぐりにもっていくまでがめちゃくちゃ大変なのだ。
 ぼくは机に突っ伏した。
 なんでもっとうまくやれないのか。もともとの根暗な性格とコミュ力の低さが恨めしい。
 次の授業が移動教室だというのに、ぐたっと席から動かずにいると、
「鈴木君? 大丈夫?」
 頭の上から優しい声が降ってきた。
 顔を上げると、ふわっとポニーテールをなびかせる女子と目が合った。
「授業の前に保健室行く?」

 ぼくは、彼女に世話を焼かれるまま、保健室まで連れてこられた。
「今日、保健の先生いないんだ。利用者名簿だけ書いちゃうね」
 学級委員の斎藤陽菜は、勝手知ったる手際で、保健室の机をがさごそやっている。
 斎藤さんは、かなり世話好きの女子で、まさに学級委員ピッタリの生徒だ。
 男女問わず、誰とでも分け隔てなく接してくれるため、ぼくのような陰の者にとってはまぶしすぎる存在だ。
 ぼんやりと斎藤さんの手元を見ていて、ふと思いいたる。

 女子をひとり、言いなりにしておけば、遠元さんに仕返しがしやすくなるのではないか。

 斎藤さんは、小学生時代のいじめと関係がない。
 しかし、ぼくの仕返しを成就させるためには、彼女の協力が必要なのかもしれない。
 ぼくは、背中を向けて机に向かう斎藤さんの脇腹にそっと腕を伸ばした。

「……んひゃっ!? ちょ、鈴木君、何するのっ!」

 きゅっと斎藤さんのからだがこわばった。
 ぼくは、指をバラバラに動かして斎藤さんの脇腹をくすぐった。

「きゃはっ!? あはっ、あははははは!! 何っ!? やめて、あはははは!」

 斎藤さんはからだをよじって笑い出した。
 ぼくは力だけには自信があった。
 そのまま斎藤さんを床に押し倒し、背中に馬乗りになって腋をくすぐる。

「やはっはっははははははははは!! やだやだぁはははははは! やめてってばぁあぁっはっはっははっはっはっはっは!!」

 足をジタバタさせて笑う斎藤さん。
 どの程度くすぐれば有効なのか判断がつかないため、入念に笑わせておきたい。
 ぼくは、からだをひねって、うつ伏せの斎藤さんの足から上履きを脱がした。

「嫌あぁあっはっはっはっはっはは!! そんなとこまでやめれぇぇっへっへっへっへへっへっへ!!」

 白いソックスを穿いた足の裏は、少し茶色く汚れていた。
 土踏まずあたりに爪を立ててゴリゴリかきむしると、斎藤さんは激しく笑いもがいた。

 時間は1分かそこらだと思う。
 斎藤さんの顔を覗き込むと、とろんと呆けたようになっていた。

 これは、「言いなり」になったのか?

 肩で息をする斎藤さん。
 ぼくも少し指が疲れていた。

 そのとき、
「なにしてるの?」
 突然の声に、ぼくは顔を上げた。
 奥のベットに、上半身を起こしたミディアムヘアの女子生徒がドン引きした表情でこちらを見つめていた。




(つづく)






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