日に日に、なのはのくすぐり責めがきつくなってきている気がする。
最初は週に2、3回程度だったのが、いまやほぼ毎日。
ヴィータはなのはに見つかるや否やくすぐり責めに遭った。
(いつか……仕返ししてやる……)
ヴィータはそう闘志を燃やすものの、なかなか実行に移せないでいた。
なのはに隙が無く、とても捕縛できそうにないのだ。
失敗して返り討ちにでも遭えば、何をされるかわかったものじゃない。
「……つーわけで、練習相手になってくれないか?」
「……意味がわからん」
ヴィータが練習相手に選んだのは、同じヴォルケンリッターのメンバーであるシグナムだった。
「いやさ。なのはを捕縛する練習に付き合ってくれないか、って言ってるんだよ」
「なんのために?」
「仕返し」
「なんの?」
真顔で聞かれると答えづらい。
ヴィータは少し恥ずかしくなる。
「く……くすぐり……」
するとシグナムは、「はぁ?」とへの字にまゆを曲げた。
「くだらん! 私は訓練で疲れているんだ。遊び事に私を巻き込むな」
シグナムの言いように、ヴィータはかちんときた。
「うわ! シグナムひでぇ! それはなのはのくすぐりがどんだけきついか知らないから言えるんだって!」
「知る気もない! もう話しかけるな!」
虫の居所が悪かったのか、シグナムはぴしゃりと言って踵を返した。
ヴィータはあまりの無理解にむしゃくしゃして、シグナムへ向けて砲撃を放った。
シグナムは間一髪で横へかわす。
「……っ!? お前。なんのつもりだ!」
「……そんな態度とるなら力尽くでも、練習台になってもらうぜ」
ヴィータが攻撃態勢に入ったのを見て、シグナムも構えを取った。
「ヴィータ……。お前の馬鹿さ加減には飽き飽きする」
~~~
激闘の末、なんとか勝ったヴィータは、シグナムをマジックリングで拘束することに成功した。シグナムに疲労が溜まっていたこともヴィータの勝利に貢献したのかも知れない。
「……く、なんだこの拘束は!」
シグナムのバリアジャケットはところどころ破けていた。
両足を前に突き出し、両手を背中に、地面に尻餅をついた状態で、手首足首をマジックリングで拘束されている。
ヴィータはシグナムのブーツを引っ張り脱がす。
「おい! ヴィータ、なにやっている!? 捕縛の練習だったんだろ? もう済んだじゃないか」
「シグナム。さっき、くすぐりについて、くだらんとか遊びだとかいってただろ? どんだけきついか教えてやるよ」
「おい、やめ――」
ヴィータはシグナムの両足から靴下まで脱がし、素足にしてしまった。
一日訓練を終え、さらに突然の戦闘を終えたシグナムの足は少し蒸れていた。
そんな足の裏へヴィータが両手10本の指を突き立てる。
「――くはっ!? はぁっはっはっはっはっはっははっは!? なっ、や、やめろぉ~~!!」
シグナム体を大きく仰け反って笑いはじめた。
「うわっ、シグナム弱っ! なのはの責めはこんなもんじゃないぞ?」
「はっはっはっは!! そ、そんなことどうでもいい!! やめろっ~~っはっは!! 笑いたくないぃぃ~~っひっひっひっひ!!」
普段クールなシグナムが目に涙を浮かべ、大口を開けて笑っている。
ヴィータは段々楽しくなってきた。
「なのは……どんな風にくすぐってたっけな」
ヴィータはいつもなのはにくすぐられている感覚を思い出しながら、シグナムの足の裏へ指を這わせる。
片手で足の指を掴んで反らせ、もう片手で土踏まずを引っ掻く。
「ひぁっはっははっはっははっはっは!!? そんなくすぐり方やめろぉぉ~~あっはっはっはっはっはっは!!」
爪を立てて、人差し指でほじくるようにくすぐるのだ。
掴まれた足指が押し返そうとしてくる。
ヴィータは体重をかけて押さえつけながら、土踏まずをくすぐり続けた。
「あぁぁっはっはっははっはははっは!!? やめてっ……ほんと……うははははははははははは!!!」
いつも厳しいシグナムが、涙を流して懇願してくる。
ヴィータは驚いた。
自分がこんなに高いくすぐり技術をもっていたとは知らなかった。
(これなら……なのはにも勝てるかも……?)
「やぁぁあっはっははっはっはっははっはは!!? いやぁぁあははははははは!! ひぃぃっひっひっひっひほんどにぃぃ!!? 勘弁してぇぇぇえっへっへっへっへ!!!」
ヴィータはなのはにやられたように、足指を押し広げ、指の付け根をくすぐってやる。
シグナムは普段の男勝りの口調が崩れるほど笑っていた。
涙を流して笑いながら許しを乞うシグナムの様子を見て、ヴィータは自信をつけた。
(あのシグナムをこんな風にするほど、あたしのくすぐりはすごいんだ……!)
ヴィータが夢中でくすぐり続けるうちに、シグナムは失神してしまった。
後日、自信満々でなのはに勝負を挑んだら、簡単に返り討ちにされた。
ヴィータはこれまでにないほど強烈なくすぐり責めを受けた。失神なんてぬるい結果では済まなかった。ヴィータは二度と、なのはに逆らうまいと心に誓った。
(完)
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